2012年01月22日

世界最悪の企業を巡る仁義なき戦い

 2月に開催される世界経済フォーラムのダボス会議。これに対抗して毎年グリーンピースなどのNGOが行っているのが、The Public Eye Awardsです。いって見れば「世界最悪の企業(The Worst Company)」を選んで「表彰」する制度ですが、今年はその最終候補のリストに、我らが(?)東電がエントリーしています。



 ノミネートされた理由には、「TEPCOは日本最大のエネルギー会社であるにも関わらず、コスト削減のために原発の構造的安全を著しく軽視してきた」ことが上げられています。

 当初は2位だったのですが、韓国のサムスンを抜いて堂々と1位になりました。が、アマゾンの熱帯林を破壊してダム建設をしているVale社が急速に追い上げており、このまま首位を守りきれるかどうか、注目されます。

 これに対して位、Finance GreenWatchは、Vale社が先週になって一気に票を集めているのは不自然であり、「同賞を主催しているPublic eye Awardの事務局は、「マニピュレーション(世論操作)があるかどうかについて調査に入った」ことを認めている。」と報じ、東電に投票するように日本語と英語で呼びかけています。

 ちなみにこのThe Public Eye Awards、どういう企業がどういう理由でノミネートされているか、受賞をしているかを見ると、世界では何が問題とされているかがわかって非常に興味深いと思います。日本企業のCSR関係者は必見です。

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posted by あだなお。 at 23:23| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | CSR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月05日

復興の歩みを支える靴

 昨日1月4日の東京新聞の夕刊のトップは、「『復興の靴』1500足 東北の新社会人へ」でした。

 東京墨田区の紳士靴メーカーが、宮城県内の大学を卒業して4月から新社会人になる若者になんと1500足もプレゼントするというのです。

 なかなか出来ることではないと思います。失礼ながら、下町の靴メーカーさんなんてそんなに景気がいいわけではないだろうに…などと思って読み進めると、実はこの靴メーカー、ヒロカワ製靴というのは、スコッチグレインを作っている靴屋さんでした。

 スコッチグレインであれば、よく知っています。というか、かなり愛用しています。とても足にしっくりときて履きやすいのですが、海外ブランドに比べるとぐっとリーズナブル。そしてモノもしっかりしているので、とても長持ち。グッドイヤーウエルトという製法で作られているので、ソール全体も交換できるのです。

 ただこの製法は、一つひとつ職人さんが縫って仕上げるので、リーズナブルではあっても、決して安くはありません。何年も使えることを考えれば結局はお得だとは思うのですが、僕も最初に買うときにはちょっと贅沢かなと思ったのを覚えています。でも、大事に長く使うのがエコだろうと考えて、思いきって買ったのでした。

 そんなことを思い出しながら記事を読むと、今回新社会人にプレゼントする靴も一足約3万円相当なのだそうです。それを1500足ですから、中小企業にとっては決して小さな金額ではないと思います。

 社長の広川さんは「これを履いて、人生の新たな一歩を踏み出してほしい。靴を通して彼らの人生を見守っていけたら」と記事の中でおっしゃっています。新社会人の皆さんは、こんな立派な靴を贈ってくれる立派な会社が日本にはあることを、そしていいモノは大切にすれば本当に長持ちすることを、きっと学んでくれることでしょう。

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2012年01月04日

辰年は、絶つ年、立つ年

 新しい年になりました。今日から仕事始めという方も多いと思います。

 とても、明けましておめでとうございます、と素直には言えないお正月です。しかし、一つの区切りでもあるので、長らくお休みしていたブログをボチボチ再開したいと思います。

 ただあまり気張ると大変になるので、これからは前とは少し違ったスタイルで、自分自身のメモもかねて、さらっとしたブログにするつもりです。持続可能性のためのヒントをメモっていく感じです。

 さて、今年は辰年です。年が変わる頃にツイッターを見ていたら、「原発を絶つ年」、「TPPを絶つ年」、「増税を絶つ年」と書いていらしゃる方がいてなるほどと思いました。

 僕はこれに加えて、今年を「立つ年」にしたいと思います。すなわち、私たち一人ひとりが自分の足でしっかり立つ、自立するようにしようということです。

 自分の頭で考えずに、メディアや他人の言うことを鵜呑みにしない。自分で使うものはなるべく自分でなんとかする。もちろん都会の生活者にとっては、今すぐそうすることは難しいわけですが、であれば、少なくとも「公平な」対価を支払い、自分の代わりに作ってくれた方、準備してくれた方に敬意を示すと共に、生産者の自立を支える。

 一人ひとりが、どうしたら自立できるかを考えることが、持続可能な社会へも近づくことになると思うのです。

 年賀メールにはこれとは少し別の切り口で書きましたが、私たち一人ひとりが持続可能なやり方に本気で取り組む年にしようという意味で、趣旨は変わりません。

 メールで発信した新年のご挨拶は、会社のWebにも同文を公開しています。ご興味のある方は、こちらをご参照ください。
 「2012年 新春のご挨拶」(株式会社レスポンスアビリティ)

 それではこれから一年、2012年を、これまでの惰性を絶ち、自分の足で立つ年にしましょう。

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posted by あだなお。 at 18:55| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月05日

これ以上の危険をなくすために

 この数週間というもの、私の頭の中のかなりの部分が東電原発事故のことで占められています。この事故が私たちの未来にきわめて重苦しい影を投げかけ、そして既に現実的な重荷を負わせているからです。少なく見積もっても福島原発の周囲数十キロは、これからかなりの期間、住んだり農業などを行うことはおろか、人間の立ち入りすらできなくなるでしょう。

 もしこれ以上事故が悪化することがあれば、最悪の場合には東京も含めて日本のかなりの部分に人が住むことができなくなってしまいます。そこまでいかなくても、5年後、10年後には、ガンの発生率が高くなったり、子どもの成長障害が起きるなど、深刻な健康被害が出てくるでしょう(つまり、「直ちには健康に被害があるわけではない」のです(苦笑))。

 事故がこれ以上深刻なものにならないように、そしてなるべく速やかに収束するように(それでも専門家は、廃炉の処理が終了するまでには数十年かかるであろうと予測していますが....)願いますが、私たちは専門家ではありませんし、現場で作業をしているわけでもありません。私たちができることは、残念ながら、ただ祈るだけです。

 では、私たちはできることは何もないのでしょうか? いえ、そんなことはありません。事故そのものについては何もできなくても、これから起きる被害を最小限度に食い留めるために、私たちにできることが少なくとも二種類あります。

 一つは、自分と家族の健康、安全を守ることです。正確な情報をもとに、避難や放射能に対する防御を行うことが重要なのは言うまでもないでしょう。ただ、正確な情報とそれをどう判断するかについてはかなり注意が必要です。

 もう一つは、これ以上、原発による危険性を社会の中で高めないこと。要は脱原発を進めることです。具体的には、相対的に危険性が高い原発は速やかに停止し、それ以外のものもなるべく早い時期、できれば数年以内、長くてもも10年ぐらいの間に停止することです。これは夢や絵空事ではなく、今の東京で行っているような省エネと、再生可能エネルギーへのシフトを全力で行えば実現できることです。

 私たちが原発のオペレーションの鍵を持っているわけではありませんが、消費者として、市民として、企業人として、原発の存在を許さない。それであれば私たちにもできますし、これ以上この危険や不安と同居しなくてもいいようにするためには、今このことをしなくてはいけないのです。

 そしてそれは決して難しいことではありません。本当は電力が自由に選べればいいのですが、今の日本の法律や制度ではそれが許されていないので、まずそこから変えていく必要があります。脱原発と電力自由化を明確に掲げる候補者を議会に送り込み、そうでない人は支持しなければいいのです。また、自宅で太陽光発電をしたり、自然エネルギーを使えるようであれば、そちらにシフトすることも考えられます。

 企業であれば、市民よりは若干自由に電力を選ぶことができます。まず何より自分たちで発電をすることができます。そのことは、震災などの大規模な事故や、今後しばらく続くであろう電力不足に対する備えにもなります。

 こういう話しをしたときに必ず出てくる質問は、原子力が使えなくなると、必要な電力が賄えなくなるのではないか、産業が止まってしまうのではないか、日々の生活が営めなくなるのではないかということです。しかし、それは誤解です。

原発がすべて止まっても、電力不足にはなりません。
 いま、大規模な電力不足が起きているのは、火力発電所もダメージを受けたり、休止中の火力発電所がすぐに再開できないからです

原発は安くもないし、持続可能でもありません。
 けっして未来永劫にわたって利用可能な夢のエネルギーではありません。

原発は安定的なエネルギーではありません。
 今回のような事故が起きれば、修復もバックアップも困難です。いえ、それだけではなく、そもそも普段から出力調整すら困難であり、そのために深夜に大きな電力需要を作り出さなくてはいけないなど、本末転倒のことすら引き起こしています。

原発は環境に優しくありません。
 発生する熱の1/3だけを発電に使い、残りの2/3は自然界に放出しています。たとえ事故が起きなくても、環境を破壊する発電方式と呼ぶべきでしょう。

原発は人に優しくありません。
 通常のメインテナンスや清掃作業のためだけでも、1基あたり毎年数千人以上の方々が被曝しながら働いています。日本全体では既に数十万人もの被曝労働者を産み出し、ガンや原因不明の病気で死亡したり、後遺症に悩んでいる人も多くいると言われています。

 私たちは原発に関してあまりにも正確な情報から遮断されており、「安全だ」「原発しかない」と信じ込まされています。しかし、安全であることが幻想であることが今回わかったように、原発しかないということも事実ではないことを今知る必要があります。

 実際、今すぐに原発を全面的に停止するというのは難しいにしても、危険なものから停止し、早急に安全なエネルギーへ、持続可能なエネルギーへシフトするのは十分に可能なことです。なにしろ、日本は毎年23兆円もの燃料費を払っています。石油、天然ガス、ウランなど、ほとんどが海外に対する支払いです。これを国内で作られる再生可能エネルギーにシフトすれば、日本国内に多くの産業と雇用が生まれ、むしろ私たちはもっと豊かになることすらできるでしょう。

 なぜそれができないのか? なぜ、原発は安全であり、それしかないと私たちは信じているのか? それは今の原発が巨大な利権構造になっており、そのおかげでおいしい思いをしている人が、様々なところにいるからでしょう。彼ら自分たちにとってメリットのあるこの仕組みを維持するために、マスコミまで取り込み、徹底的な情報隠蔽、情報操作をしてきたのです。もちろん今もそれは続いています。そのことによる圧倒的な情報不足が、市民はもちろん、企業人も判断ができなくなってしまっているのです。

 詳細については明日以降また書いていきますが、今日のところは、私たちにできる二つのこと、それだけもう一度確認しておきたいと思います。

1. 正確な情報を入手して、自分と家族の健康・安全を守る
2. これ以上の危険を高めないために、脱原発を進める

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2011年03月23日

原発事故にどう対応するか?

 東日本大震災によって引き起こされた福島原発の事故は、私たちの生活に大変な衝撃をもたらしました。ここ数日は原子炉そのものは落ち着いてるものの、福島県の一部の地域で取られた野菜や牛乳から放射性物質が検出されたのみならず、今日は東京でも、水道水から乳児向けの基準を越える放射性ヨウ素が検出されるなど、私たちの安全と健康への脅威は日増しに高まっていると言わざるをえません。
出典:「水道水に乳児の基準超えるヨウ素 東京都、金町浄水場」(47News、共同通信、2011年3月23日)

 東電、原子力安全・保安院、政府などの発表では、「直ちに健康に影響はない」という言葉が繰り返されますが、それでは長期的にはどうなるのだろうかと聞きたくなります。

 また、この後、冷却ポンプがうまく再稼働して、原子炉や燃料プールが低い温度で安定することを願うばかりですが、もし万が一にも悪化することがあれば、そのときには何が起き、私たちはどうしたらいいのか。そうしたことが不明確であるが故に、どうしても不安も高まります。

 ツイッターやUSTREAMなどのインターネット上のメディアでは、マスメディアには流れない情報が得られ大変に役立っていますが、原発の現場の情報について言えば「大本営発表」しかなく、遅い情報、少ない開示に、誰もがイライラしています。

 こうした中で、自分や家族の健康と安全、さらには生命を守るために、私たちはどうすればいいのか。結局は自分で考え、自分で判断し、自分で行動するしかないと思います。横並びで、「みんなが動いてから」では、とても間に合わないかもしれないからです。

 では、何を判断に、どう動けばいいのか? 私自身は原子力の専門家ではないので皆さんに具体的にアドバイスをすることは出来ないのですが、環境エネルギー政策研究所(ISEP)の飯田哲也さんからいくつか有用と思われる情報をいただきましたので、ご紹介します。

 まず一つは、3月20日における「最悪のシナリオ」についての文書です。副題にもあるように、「楽観はできないがチェルノブイリ級の破滅的事象はない見込み」というのがその時点での結論であり、「首都圏や仙台などの大都市の避難勧告のような事態は、おそらく避けるこ
とができるものと判断できるのではないか」としています。
■「「最悪シナリオ」はどこまで最悪か」(飯田哲也)(PDF)

 本当に、なんとかこのレベルで収まってくれることを願うばかりです。それでも万一の備えとして、今後どのような状況になったら危険と考えるべきか、つまり避難の準備を始めるべきかについては、スウェーデン国立スペース物理研究所の山内正敏さんの記事が役に立ちそうです。飯田さんによればこれは、「放射線被曝を考える上で、もっとも納得できる説明」だそうです。
■「放射能漏れに対する個人対策」(山内正敏)


 また、もう一つ注意すべきことは、放射線障害について考えるときには、外部被曝と内部被曝を分けて考える必要があるということです。テレビなどでは、意図的なのではないかと思えるぐらい外部被曝のことばかり説明して安全性を強調しますが、放射能雲によって運ばれた放射性物質を吸い込むことなどによる内部被曝のことはあまり触れないように思います。東京など、原発から離れた地域においては、むしろこの内部被曝について用心すべきだと思います。

 今回の事故が今後どうなるのか、それは専門家でも分かりません。しかし、それに対してどう対応するか。それは専門家ではなく、私たち一人ひとりの判断であり、行動です。今日の記事が、皆さん方の判断のためにお役に立つことを願っています。そしてもちろん、一刻も早く、事態が収集し、みんなが安心できることを。

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2011年03月07日

田んぼには5668種!

 里山は生物多様性が豊か。そう言われても、どのぐらい豊かなのか、あまりピンと来ない方も多いと思います。正直に白状すれば、僕自身も里山は奥山などの自然生態系に比べて、実際にどのぐらい豊かなのか、あるいはそこまでは豊かではないのか、定量的な調査結果を見たことはありませんでした。

 ところが「田んぼの生物多様性指標・企画委員会」の調査結果によれば、田んぼには5668種もの生きものがいるというのです。特に多かったのは植物の2075種、そして昆虫の1726種です。いずれもすごい数ですが、もちろんこれはすべてを網羅したものではなく、実際にはもっともっと、いろいろな生きものがいるはずです。例えば、昆虫が植物より少なくてすむはずがありませんから(笑)

 この話は先日、調査にも参加したNPO法人田んぼの理事長である岩淵成紀さんからお聞きしましたのですが、そもそもこれまで、田んぼの生物の徹底的な調査は行われたことがなかったのだそうです。案外、盲点だったのです。そしてさらに面白いのは、今回の調査もプロの研究者だけがしたものではなく、虫好き、植物好きの市民を巻き込んで、大勢の方々の手で調査したということです。農家のおいじいちゃんやおばあちゃんだけでなく、家庭の主婦や普通の会社員が、みんなで力を合わせて調査したのです。分類学者のことをタクソノミスト(taxonomist)と呼びますが、こういう玄人はだしの協力者をパラタクソノミスト(parataxonomist)、略称パラタクと岩淵さんは呼びます。

 田んぼをはじめとする里山は、少なくともかつては、私たちの生活の場でした。そこにはイネ以外にどんな生きものが暮らすのか。そこで暮らす人々は、みんなそれを知っていたのです。もちろんそれは農家の方々だけではありません。田んぼで見かける代表的な植物の葉を図案化したポスターを見せてもらいましたが、どれも馴染みがあるものばかりでした。一つひとつの名前まではわからなくても、皆さんもきっとその形に見覚えがあることでしょう。

 私たちは本来、実に多様な生きものに囲まれていたということを如実に語る数値であり、事実です。こういうことを数値で見せつけられると、私も里山に対する評価を上げずにはいられなくなりました。

 そしてさらに面白いのは、NPO法人田んぼでは、単にそこに棲む生物種の数だけではなく、「田んぼの底力」と呼ぶ農家の工夫、農家の方の土を作る努力(土力)を数値化した「土壌活性数値」の3つの指標を使って、多くの生きものと共生する田んぼの独自の新しい活動評価システム「田んぼのいきものとの約束」を作ったのです。この指標は、生きものと共生するために「農薬を使ってはいけない」というようなこれまでのような減点方式ではなく、役に立つことをすればどんどん点数が上がっていく、加点方式。点数も100点が満点というわけではなく、青天井です(笑) 実に前向きで、楽しくなる指標ですね。

 この「田んぼのいきものとの約束」のことも含めて、詳しくはぜひ以下の記事をご覧いただきたいと思いますが、こうした自由な発想と活動から、田んぼの価値が再評価され、単なる「お米製造工場」ではなく、イネ以外の5667種の生きものを育む環境としての田んぼが増えることに期待したいと思います。
■「おいしいお米と生物多様性を両立させる「ふゆみずたんぼ」の底力」(地球リポート)

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2011年03月06日

Not on our planet

 私たちが生きていくためには、特に現代文明の恩恵を受けながら生きていくためには、かなりのエネルギーが必要です。これから先も相当な量のエネルギーを使い続けるためには、どのようなエネルギー源を考えたらいいのでしょうか。

 原子力発電は、残念ながらまったく持続可能であるとは言えません。ざっと考えたただけでも、以下のような理由が挙げられます。

・ウランという燃料が有限であり、資源量的にもけっして潤沢ではないこと。
・高速増殖炉は技術的に完成にほど遠く、これで燃料の寿命を伸ばすのは難しいこと。
・使用済み燃料や放射能を帯びた廃棄物の安全な処理方法が確立されていないこと。
・廃炉の安全な処理方法が確立されていないこと。
・事故発生時にはきわめて広範囲で、不可逆的な大災害を起してしまう可能性が否定できないこと。
・たとえ運転は安全に行われたとしても、天災やテロにあう可能性もあること。
・定期点検や修理において、被害にあう人が出ること。
・建設時に生態系を大きく破壊し、また運転中にも生態系に大きな影響を与えること。
・発電時の廃熱や送電時のロスなど、エネルギー利用効率が決して高くないこと。
・ライフサイクル全体で考えると、とてつもなく巨額な費用がかかること。
・発電所を作る地域への負荷やリスクが非常に高く、効用とコストが社会全体で公平に負担されていないこと。
・一度作ってしまうとその影響がほぼ半永久的に残り、効用とコストが世代間でまったく不公平であること。

 つまり、技術的な問題だけでなく、あまりに人にも、他の生物にも優しくなさすぎるのです。もちろん持続も不可能です。それをなぜ今さら無理やり作ろうとするのか、理解に苦しみます。

 他に方法がないというのは、言い訳にはなりません。もし本当に他にまったく選択枝がないのであれば別ですが、持続可能な自然エネルギーがいくつも存在しているのですから。それにも関わらず、原子力を選択することは、肯定することは、倫理的にとても許されることではありません。僕は、そんなに負担をかけて作ったエネルギーを使いたいとは思いません。使うエネルギーを減らすこと、そして再生可能エネルギーへのシフトを、できるだけ実行しようと思います。


 いま、中国電力の上関原発の開発をめぐって、大きなうねりが出来つつあります。30年続いた反対運動を無視して、中国電力が無理やり開発を強行しようということに関して、各界から大きな批判がされています。国の原子力政策のためか、産業界の意向に過剰に配慮するためか、マスメディアはこの問題をほとんど報じていません。

 しかし、個人、生活者、生きもの、未来世代、そして国際社会、そうした視点で見ていると、ものすごく大きな動きが起きています。ぜひ皆さんも自分自身のアンテナを伸ばして、自分と子どもたちの未来を考えたときに、いま私たちがどのような選択をすべきなのか、考えていただければと思います。マスメディアの情報を信じているだけでは、私たちは未来と自然に対して、取り返しのつかない大変な罪を犯すことの共犯者になってしまうかもしれません。 

 環境問題においてよく、”NIMBY: Not in my back yard”ということが言われます。つまり、「自分の家の裏庭には嫌だよ」というわけです。しかし、原発反対は、NIMBYではないのです。それはNot on our planet、私たちの星には要らない存在だと思います。

《関連リンク》
■「今だからみんなで考えたいこと。」(いしだ壱成オフィシャルブログ)
祝島島民の会blog 
上関からの中継(ustrema)
映画「ミツバチの羽音と地球の回転」オフィシャルサイト
■「ミツバチは地球を動かすか?」(サステナ・ラボ)

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posted by あだなお。 at 17:07| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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