この数週間というもの、私の頭の中のかなりの部分が東電原発事故のことで占められています。この事故が私たちの未来にきわめて重苦しい影を投げかけ、そして既に現実的な重荷を負わせているからです。少なく見積もっても福島原発の周囲数十キロは、これからかなりの期間、住んだり農業などを行うことはおろか、
人間の立ち入りすらできなくなるでしょう。
もしこれ以上事故が悪化することがあれば、最悪の場合には東京も含めて日本のかなりの部分に人が住むことができなくなってしまいます。そこまでいかなくても、5年後、10年後には、ガンの発生率が高くなったり、子どもの成長障害が起きるなど、
深刻な健康被害が出てくるでしょう(つまり、「
直ちには健康に被害があるわけではない」のです(苦笑))。
事故がこれ以上深刻なものにならないように、そしてなるべく速やかに収束するように(それでも専門家は、廃炉の処理が終了するまでには数十年かかるであろうと予測していますが....)願いますが、私たちは専門家ではありませんし、現場で作業をしているわけでもありません。私たちができることは、残念ながら、
ただ祈るだけです。
では、私たちはできることは何もないのでしょうか? いえ、そんなことはありません。事故そのものについては何もできなくても、これから起きる被害を最小限度に食い留めるために、私たちにできることが
少なくとも二種類あります。
一つは、
自分と家族の健康、安全を守ることです。正確な情報をもとに、避難や放射能に対する防御を行うことが重要なのは言うまでもないでしょう。ただ、正確な情報とそれをどう判断するかについてはかなり注意が必要です。
もう一つは、これ以上、原発による危険性を社会の中で高めないこと。要は
脱原発を進めることです。具体的には、相対的に危険性が高い原発は速やかに停止し、それ以外のものもなるべく早い時期、できれば数年以内、長くてもも10年ぐらいの間に停止することです。これは夢や絵空事ではなく、今の東京で行っているような省エネと、再生可能エネルギーへのシフトを全力で行えば実現できることです。
私たちが原発のオペレーションの鍵を持っているわけではありませんが、消費者として、市民として、企業人として、原発の存在を許さない。それであれば私たちにもできますし、これ以上この危険や不安と同居しなくてもいいようにするためには、今このことをしなくてはいけないのです。
そしてそれは決して難しいことではありません。本当は電力が自由に選べればいいのですが、今の日本の法律や制度ではそれが許されていないので、まずそこから変えていく必要があります。
脱原発と電力自由化を明確に掲げる候補者を議会に送り込み、そうでない人は支持しなければいいのです。また、自宅で太陽光発電をしたり、自然エネルギーを使えるようであれば、そちらにシフトすることも考えられます。
企業であれば、市民よりは若干自由に電力を選ぶことができます。まず何より自分たちで発電をすることができます。そのことは、震災などの大規模な事故や、今後しばらく続くであろう電力不足に対する備えにもなります。
こういう話しをしたときに必ず出てくる質問は、原子力が使えなくなると、必要な電力が賄えなくなるのではないか、産業が止まってしまうのではないか、日々の生活が営めなくなるのではないかということです。しかし、それは
誤解です。
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原発がすべて止まっても、電力不足にはなりません。 いま、大規模な電力不足が起きているのは、火力発電所もダメージを受けたり、休止中の火力発電所がすぐに再開できないからです
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原発は安くもないし、持続可能でもありません。 けっして未来永劫にわたって利用可能な夢のエネルギーではありません。
・
原発は安定的なエネルギーではありません。 今回のような事故が起きれば、修復もバックアップも困難です。いえ、それだけではなく、そもそも普段から出力調整すら困難であり、そのために深夜に大きな電力需要を作り出さなくてはいけないなど、本末転倒のことすら引き起こしています。
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原発は環境に優しくありません。 発生する熱の1/3だけを発電に使い、残りの2/3は自然界に放出しています。たとえ事故が起きなくても、環境を破壊する発電方式と呼ぶべきでしょう。
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原発は人に優しくありません。 通常のメインテナンスや清掃作業のためだけでも、1基あたり毎年数千人以上の方々が被曝しながら働いています。日本全体では既に数十万人もの被曝労働者を産み出し、ガンや原因不明の病気で死亡したり、後遺症に悩んでいる人も多くいると言われています。
私たちは原発に関してあまりにも正確な情報から遮断されており、「安全だ」「原発しかない」と信じ込まされています。しかし、
安全であることが幻想であることが今回わかったように、
原発しかないということも事実ではないことを今知る必要があります。
実際、今すぐに原発を全面的に停止するというのは難しいにしても、危険なものから停止し、早急に安全なエネルギーへ、持続可能なエネルギーへシフトするのは十分に可能なことです。なにしろ、
日本は毎年23兆円もの燃料費を払っています。石油、天然ガス、ウランなど、ほとんどが海外に対する支払いです。これを国内で作られる再生可能エネルギーにシフトすれば、日本国内に多くの産業と雇用が生まれ、むしろ私たちはもっと豊かになることすらできるでしょう。
なぜそれができないのか? なぜ、原発は安全であり、それしかないと私たちは信じているのか? それは今の原発が
巨大な利権構造になっており、そのおかげでおいしい思いをしている人が、様々なところにいるからでしょう。彼ら自分たちにとってメリットのあるこの仕組みを維持するために、
マスコミまで取り込み、徹底的な情報隠蔽、情報操作をしてきたのです。もちろん今もそれは続いています。そのことによる圧倒的な情報不足が、市民はもちろん、企業人も判断ができなくなってしまっているのです。
詳細については明日以降また書いていきますが、今日のところは、私たちにできる二つのこと、それだけもう一度確認しておきたいと思います。
1. 正確な情報を入手して、自分と家族の健康・安全を守る
2. これ以上の危険を高めないために、脱原発を進める
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