2009年12月31日

今年もお世話になりました!

 また、しばらく更新が滞ってしまいました。実は先週末から、日本を離れて、暖かいところに来ています。寒いの苦手なんです(^^;) ネット環境があまり良くないこともあるのですが、暖かい気候ですっかり身も心も緩んでしまい、真面目に更新できてません(^^;)

 あ、でも今回は、静かな環境に籠もって、一気に原稿を仕上げるのが目的なのです。お正月休みが終わるまでになんとか原稿を完成させなければ...

 昨日からは、この島の中でも少し奥地にある、観光客などほとんど来ない海辺に来ています。何しろ、今泊まっているリゾート以外に、周囲にはお店すらないのです。リゾートもビラが10棟あるだけ。本当に静かです。

 眼の前に広がる海もいいのですが、もっと素晴らしいのは、その海を望むライステラス(棚田)の中にリゾートがあることです。熱帯では一年中適当な時期に稲作をするので、ある一枚ではちょうどいま苗を植えたところだったり、隣の一枚ではもう随分と大きく育っていたり、これも一つの豊かさだと思います。

 これからイネを植えようとしている田んぼには真っ白なサギが集まり、ときおり空を舞っているのも見えます。また、あぜ道をクイナが走り回り、小鳥たちの鳴き声も一日中聞こえます。田んぼって生きものが豊富なんだなと、つくづく思います。

 夜になると、昼間よりもさらににぎやかさは増します。カエルや虫たちが、一斉に鳴き出すからです。おまけに天井からは何やらゴソゴソ音も聞こえて来ますし...(^^;) そして波の音も昼間よりずっと大きく感じられます。地球のリズムというよりは、轟きのように思えます。太陽の光を受け、月の引力を感じながら、地球はこうやって動いているんだと主張しているかのようです。

 日中あんなに強かった陽射しも、今はもうかなり穏やかになって来ました。海からの風が涼しく、好い気持ちです。日本ではもう陽が暮れていますね。こちらはあと1時間もすれば、今年最後の夕陽と、真っ赤な夕焼けが見えることでしょう。

 この静かで平和な場所から、来年も地球が今までと同じように太陽の周りを巡り、私たちの社会がより良くなることを願いたいと思います。

 この一年間、サステナ・ラボにお付き合いいただき、ありがとうございました。来る2010年が、皆様方にとって素晴らしいものであることをお祈りしています。
 どうぞ良い年をお迎えください。

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2009年12月25日

生物多様性オフセット?

 そろそろ来年のことを言っても鬼に笑われることはないと思いますので、来年の予告(?)です。

 今年は生物多様性に対する企業の関心はかなり高まって来ました。しかし、まだまだ関心が高いだけに留まっている企業さんが多いようです。来年はそろそろ実践の年です。そして、その中でも特に注目を集めそうなのが、「生物多様性オフセット」です。

 生物多様性オフセットについては、「サステナブルCSRレター」の最新号、71号で説明していますので、そちらをご参照いただきたいと思いますが、世界の約40カ国で制度化されており、今後、生物多様性の保全の手法として、間違いなく主流になるであろうものの一つで、海外では企業も積極的に活用しています。
■「企業と生物多様性(11) 生物多様性オフセット」(サステナブルCSRレター71号)

 ただ、日本では制度そのものが導入されていないこともあり、馴染みが薄いことに加え、「オフセット」という言葉から表面的に理解され、「開発の免罪符」などと誤解されているのが現状です。

 そうした日本の現状に応え、生物多様性オフセットの各国の制度を実務者が紹介し、日本の専門家と議論をするシンポジウムが新年1月18日に東北大学の主催で開催されます。
    生態適応シンポジウム2010
   「生物多様性オフセットと生態適応」

近 年、生物多様性喪失に対する経済的手法の1つとして、開発に伴う生息地破壊を代償するための仕組みである「生物多様性オフセット」が注目され、海外ではす でに40カ国で制度化されています。一方、「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」のホスト国となる日本では、環境アセスメント制度やその他 の野生生物種保全制度において、失われたハビタット(生息地)に対する代償が義務づけられていないため、自然の消失が続いているといわれています。 今回のシンポジウムはCOP10に向けて、日本においてはなかなか討議される場の少ない「生物多様性オフセット」の現状認識と課題について、日本の実情を 鑑みると同時に、海外の第一人者による法制化にいたる事例紹介や企業の関わり等のお話を頂きます。後半のパネルディスカッションは産学、NGOのそれぞれ の立場より、今後、生物多様性オフセットが生態系管理や環境保全対策に有効か、制度設計のあるべき姿を探ります。奮ってご参加ください。
 僕もパネルディスカッションのファシリテーターとして参加しますが、各国の実務家、専門家から直接話しを聞けるのは大変楽しみです。参加無料ですので、ご興味のある方はぜひ以下のリンクからお申し込みください。
■「生物多様性オフセットと生態適応」(東北大学GCOE)

 また、生物多様性オフセットだけでなく、生物多様性と経済の関係を考えるコラムも、今週からNIKKEI NETで連載を開始しました。月イチの予定です。こちらもご興味のある方はぜひお読みください。
■「第1回 生物多様性は実は経済の問題だった!」(NIKKEI NET 特集:問われる生物多様性)

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イブの夜に

 クリスマスイブの今晩、皆さんはどのようにお過ごしでしょうか? 家族と一緒にゆったりとした時間を過ごされた方、本当に良かったですね。不本意ながら一人で過ごされたという方、長い人生、まぁそういうこともあるでしょう。え、僕ですか? 結局、夜中まで仕事をしていました(^^;) サンタクロースには、「もっと時間を下さい」とお願いしたのですが...

 さて、サスラボではこれまで2年、この時期にはワールド・ビジョンをご紹介して来ました。途上国のチャイルド・スポンサーを増やすキャンペーンをしているからです。スポンサーになると、その子どもから手紙が届いたりして、支援をしている方も幸せになれるのでとてもオススメです。

 僕は今年は3人目のスポンサーに申し込もうかなと思ったいたのですが... 悩んだ末に今年は止めました。いえ、けっしてワールド・ビジョンのプログラムに不満があるわけではないのです。一人増やしたいのはやまやまなのです。ただ、それ以上に今年は日本国内のことが気になってしまったのです。

 この長引く不況下にあって、特に母子家庭や父子家庭の方などで、進学や卒業を断念せざるを得ないという話を以前より多く聞くようになりました。でも、教育は人を作る、さらには国を作る一番の基本ですから、経済的な理由で勉強することを諦めなくてはいけない方が出てしまうことは、なんとしても減らしたいと思うのです。

 それで今年は、交通遺児等の支援をしているあしなが育英会の継続支援である「あしながさん奨学金支援」に参加しようかと考えています。以前は国内の支援というのはあまり考えていなかったのですが、最近はこうした奨学金を必要としている遺児の方々が急増し、希望者全員に貸与できなくなっているのだそうです。

 もちろん僕一人で出来る支援はたかがしれていて、一人分の奨学金にすらならないのですが、それでも少しでも役に立てればと思って、今年は海外ではなく国内の支援に参加したいと思うようになったのです。

 もちろん途上国も同じように状況は厳しいはずですので、少ない予算をどちらに振り向けようかと迷うところなのですが.... そこで、ワールド・ビジョンの方は、クリスマス募金という、スポットの募金に少しだけ参加することにしました。

 もちろん上記の二団体以外にも、支援を必要としている団体は山ほどあります。例えばチャリティー・プラットフォームでは、「こどもの笑顔100万コPROJECT」と題して、国内外のこどもを支援するNGOへの募金の窓口になっています。

 毎月の継続的な支援はちょっと荷が重いということであれば、スポットでも構わないと思います。もちろんお金ではなくて、ボランティアのような活動でもいいのです。あるいは、こういう活動があることを、ブログやSNS、ツイッターなどで友だちに伝えるというやり方もあります。

 大切な家族と一緒に過ごす晩、どうかその温もりを他の子どもたちにおすそ分けすることを、ちょっぴり考えてもらえないでしょうか。
《参考リンク》
■「≪転載≫【お願い】貧困の連鎖を食い止めるために、今、30秒だけ、自分に何ができるか考えてみてもらえませんか?」(It's a Wonderful Journey)
 
 ワールド・ビジョンも、「クリスマスまでに6500人キャンペーン」として、6500人のチャイルド・スポンサーを募集しているのですが、今年はまだ5129人しか応募がないそうです。あと1位日で1000人以上というのは難しいのかもしれませんが、一人でも多くのスポンサーの方が現れることを、切に願っています。

 そうそう、今日は最後にグッドニュースを一つ。カンボジアでは、先月11月、全国で地雷被害者が一人も出なかったそうです。(「月間地雷被害者ゼロ達成、戦争以来初」)これはベトナム戦争以来初めての快挙だそうです! スゴイ! 頑張れば、必ず状態は良くなるのですね。世界中の子どもたちが笑顔で、元気に走り回れる日が一日も早く来ることを願いたいと思います。

 サンタさん、それまでは僕は少しぐらい忙しくてもいいので、どうかその日が来ることを優先してください!

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2009年12月24日

COP15から学ぶこと

 前回のエントリーでも書いたように、COP15では削減量についての数値目標に合意することはできず、特にNGOからは「大失敗」であるとか、あるいは「期待を裏切る犯罪的結果」という手厳しい批判もされています。
<参考リンク>
■「COP15 (コペンハーゲン会合) 世界の最貧困層の人々にとって最悪の結果に」(FoE Japan、2009年12月21日)
■「COP15:コペンハーゲン会議終了!」(WWF Japan、2009年12月21日)
■「コペンハーゲン会議、歴史的な合意ならず ――期待を裏切る犯罪的結果と、グリーンピース国際事務局長」(Greenpeace Japan、2009年12月19日)

 COPでは全締約国が合意しなければ、決議とはなりません。にも関わらず、アメリカをはじめとする先進諸国の首脳は、自分たちで決議文だけを用意し、他の国々がこれに合意するのを確認することなく、帰国してしまいました。

 残された国々は、その決議文をのむか、あるいは決議を流すかしかなかったわけです。ちょっと乱暴というか、小国を馬鹿にしたような態度にも思えます。

 「いや、他にも重要な、一刻を争うような問題がたくさんあるのだ」とおっしゃるのかもしれませんが、これからの地球全体の運命を決める問題以上に重要な問題などあるのでしょうか?無責任と言われてもしかたないでしょう。

 ところで先進国は、途上国支援として、2012年までに300億ドル、2020年までには最大1000億ドルの資金提供を今回約束しました。これは一応、歓迎すべきことではあります。

 一方、海面上昇で国家消滅の危機にさらされているツバルの代表は、「our future is not for saleと公然と拒絶の姿勢を見せた」そうです。眼の前のニンジンなどには騙されないぞというわけです。

 前回も紹介したように、多くの途上国が大変な切実感をもってこの問題の解決を考えているのに、先進国のリーダーたちは本当にその切実感を受け止めて、自分たちに出来得る限りの努力をしたと言えるのでしょうか。

 @ks91020さんが、「私が選ぶ声明 暫定3位 」として、オーストラリア首相の言葉を紹介しています。「世界のリーダーたちに問いかけたい。今週末、家庭に戻ったとき、自分が持てるすべての力を発揮して、気候変動の危険に立ち向かったと、自分のこどもの目を見て言い切れますか

 この言葉を、今一度、私たち全員が深く噛みしめる必要があるのではないでしょうか。

 それにしても、これだけ多くの国が、異なった利害や思惑を抱える中で、全員一致しなくては前に進めないというのは、制度的に無理があるのではないかとも思えます。今回、数値目標について合意がなくても日本政府が25%削減の目標を取り下げなかったのは不幸中の幸いでした。

 一方、数値目標について国際合意に至らなかったことを歓迎しているかのような発言をしている企業もあるようですが、気候変動は自然科学の法則に従って起きる物理現象であって、政治で決まる問題ではないのだということを今一度思い起こしていただきたいと思います。

 政治的には合意に至らなくとも、気候変動の進行が足踏みしたり、ましてや止まるわけではないのです。近い将来、必ず対処しなければいけない問題なのですから、それこそ「自主的に」、どんどんと先手を打っていくことこそ、企業経営上も望ましい方策であるはずです。

 私たちには、悠長に次のCOPを待っている時間はありません。国際合意も重要ですが、完全な合意を待たずに、自主的に動いていくことの重要性、必要性を、今回の教訓にすべきなのではないでしょうか。合意の有無に関係なく、今こそ前進すべきときだと思います。

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2009年12月19日

COP15に集まった声

COP15は、削減目標は先送りという残念な結果に終わったようです。
「気温上昇を2度以内に抑える」という長期的な目標と途上国への資金支援額については一致。だが、最大の焦点だった温室効果ガス排出の削減目標の義務づけは、交渉決裂を回避するため、来年以降に先送りされる。
出典:「削減義務づけ先送り、途上国支援は合意へ COP15」(asahi.com 2009年12月19日)

 巨大な会議で、でこで何がどのように議論されているのか、なかなか見えにくいのですが、今回はTwitterの中継で、実に多くのプロセスをほぼリアルタイムに知ることが出来、非常にリアルな臨場感をもってこの会議を体験した気分です。

 そのことを可能にしてくれたのは、一つにはインターネットやTwitterという情報メディア、インフラであるのはもちろんですが、もう一つはその情報を発信しつづけた「人」の存在です。

 Saito Kenji(@ks91020)さんという方が、まったく個人的に行なったTwitterによる中継が素晴らしいものでした。本会議の様子を、日本語にして、伝えてくださったのです。以下のリンクから、そのタイムラインを見ていただくことができます。
@ks91020さんの発言

 あるいは、以下のリンクからは、Saitoさん以外の方々の分も含め、COP15関係の日本語のリンクを読むことができます。
#COP15ja

 なるほど、こういうプロセスで議論されているのかということがよくわかりました。少なくとも、本会議場で公開で行われているプロセスは民主的であったように思います。

 そして特に印象的であったのは、ふだん意見を聞く機会がほとんどない、途上国の代表の方々の声です。今回は120近い国や地域の首脳が集ったので、実に多彩であるのに加え、特に途上国においては、気候変動が既に本当に切実な脅威になっているということです。

 日本でもよく気候変動のことを「喫緊の課題」などと言いますが、本当に切実に受け止めている人たちはどのぐらいいるのでしょうか。しかし、途上国の方々の切実な声は、本当に胸にグサリと来ます。こうした国々の代表者の意見が聞けることだけでも、COP15はやはり意味があったのだと思います。

 以下ちょっと長めですが、悲鳴にも似た、各国の声明をお読み下さい。(これでも一部の抜粋です)
イギリス「環境に関する最も大きな国際会議で、最も高い目標を掲げるために来ました。富める者と貧しい者が戦うのではなく、協調するのです。科学はごまかせません。極端な気候は、新たな貧者を生みます」

ガボン「産業革命の始まりには、この工 業化の道が、こんな未来を用意しているとは誰も想像できませんでした。人類全体の野心的な決断のときです。人類の 5/6 以上が気候変動による被害に苦しんでいます。人間的でない生活を暮らさなければならないような状況を回避したい」

ガボン「わが国のような国がコミットし ているのに、他の国がコミットできないなどということは理解に苦しみます。コストがかかる?今、対策しなければ、20年後には、もっと大きなコストがかか るのですよ。気候変動は、オプションではありません。立ち向かわなければならない」

キリバチ「我々を襲う脅威の真の意味を考えてください。 消極的な意見を聞くこともあります。しかし、この2日間での我々の行動がすべてを決めます。生存のために決断しましょう。気候変動の科学は明確です。時間は残されていません。今、行動しなければなりません」

モンゴル「海面レベル上昇、気候変動の様々な例が起きています。四季が分からなくなってきています。気候変動は、生活様式を変え、自然との調和を乱しています。気候変動は、気候による虐殺になろうとしています。この問題を友に解決したい」

ナミビア「洪水が毎年起きています。インフラストラクチャの整備が必要とされています。国際的な協調パートナーによる確約された資金援助と技術支援を欲しています。災害により貧者が生まれるのを阻止するブログラムの実行が必要です」

モーリシャス「気候変動は、ほぼ富める国により生み出され、ほぼ、貧しい国を襲っています。イギリス首相の資金援助の提案を歓迎します。しかしその少なくとも 10% は小さな島々のために使ってください。火星探査機の映像を見ましたか?地球と火星を比べてください」

モーリシャス「火星は、荒れた砂漠の星だ。だが、火星にも水があったと言われています。だから、火星は、私たちの未来なのかも知れませんよ。再生可能エネルギーに向かいましょう。化石燃料に代わる燃料を我々は作れるかも知れない。それには技術が必要です」

モーリシャス「わが国に、自然資源のない、国民だけが資源の、小さな、わが国に、化石燃料への依存をやめられるなら、他の国にできないわけがない。将来の人類の文明を、リエンジニアリングしましょう」

ボリビア「地球がなければ、人類は生きられません。母なる地球を守らなければ、人類は守れないのですよ。地球は母です。聖なる存在です。売り飛ばすことはできない。西側の世界とは大きな違いがあります。資本主義から、母なる地球を解放しましょう」

ボリビア「母なる地球の権利を守り、母への負債を返さなければならない。母なる地球の権利を認識しないのであれば、我々全員が罪を犯すことになる。工業国が温室効果ガスで占拠した空間を戻さなければならない。途上国には、その空間が必要なのです」

ボリビア「人類の、半分ではなく、全員 を救う必要があります。生き方に大きな違いがあるから、ここでは合意が得られないという話を聞いた。アメリカと自由貿易の条約を結んだが、自由貿易ではな い。自由植民化だ。資本主義を倒すことでしか合意はない。首長ではなく人々の声を聴け

イラン「資本主義と自由経済。それを支えるエネルギー資源の独占は戦争の原因です。アメリカは、世界の人口の 5% しか占めていないのに莫大なエネルギーを使っている。先進国が 85% のエネルギーを使っており、それが環境問題を生んでいる」

イラン「このまま続ければ、人類が地球上から消えるのは目に見えています。人道主義に戻りましょう。神は差別を許しません。我々にはチャンスがあります。森林を、水を、他の資源を持続可能に使いましょう。世界によりよい環境を。幸福と福祉のための WG を作りましょう」

イラン「人間の尊厳に基づいた新しい経済を定義しましょう。アフガニスタンで、イラクで、莫大なドルが戦争のために使われています。それよりずっと少ない資金で、環境問題に取り組むための新しい技術を開発できるのではないですか」

ブラジル「温暖化への対策は、集合的な活動でなければなりません。50% の削減を 2050年までに。ここコペンハーゲンには、より野心的なターゲットを狙う必要があります。この会議はゲームではありません。カードを隠すゲームではない」

ブラジル「途上国も緩和のための努力を払わなければなりません。エネルギー生産方法の転換をわが国も図ります。駆け引きをするために言っているのではない。私たちのコミットメントなのです。適応は、アンフェアなことに、特に小さな島々にとって、大きなチャレンジです。」

フランス「科学者は、我々に、何をすべきかを教えました。そして、我々が、それができる最後の世代だということも。失敗は許されません。これは温暖化のシンポジウムではありません。我々は、ここに、決断を下しに来たのでしょう。真摯に交渉しましょう」

セントキッツ・ネイビス「わが国は世界で最も小さな国のひとつです。温室効果ガスの過剰な排出により、国々の国土が消えようとしています。温暖化がわが国のような小国に与える経済的影響は破壊的です。公正に、技術的支援を要請します。法的に拘束力のある合意を」

ガーナ「気候変動が脅威であるか、議論をしにここに来ているのではありません。もはやそれは事実です。政治リーダーとして、その状況下で、今、生きている世代、そして次の世代が、生き続けられる世界を作るための選択をしに来ているのです。この惑星に予備はありません」

パプアニューギニア「広大な自然が維持されるなら、我々の文明は1,000年も持続して行けるでしょう。しかし、今は次の世代にさえ大きな脅威があります。国際的な努力。REDD+ が必要です」

キューバ「ベネズエラとボリビアの大統領が、気候変動の真の原因と、その対策について述べました。1992年、リオデジャネイロでの会議でカストロは言いました。生態系の破壊は過剰消費文化が原因であり、変化が必要である。それから20年、気温は上昇し続けています」

ガンビア「緩和と適応の目的で、特に貧しい国々、脆弱な国々、小さな島々がアクセスできやすい、確約された基金を。海面上昇により我々の首都は沈むと予測されています。生存の危機が我々にもあります。明日、平等で包括的な、資金の約束を含む条約に締結しましょう」

リベリア「わが国は小さな国です。気候変動にはほとんど何の影響も与えていませんが、破壊的事象により大きな打撃を受けています。海面の上昇が、我々が利用できる水資源を減らしていますし、領土が少なくなっています。無くなる土地には 50% の人民が住んでいます」

スイス「同じことを何度、言うのでしょうか。今が発言ではなく行動の時であることを、みなが合意しています。しかし、我々は発言を続けています。ここは国連なのか、それとも語り場ですか。存在意義の質問です。食料と水、戦争と平和、生と死に係わる問いです」

ジャマイカ「コペンハーゲンを歴史的なターニングポイントにするために来ました。国家には多様な問題があることを理解しています。しかし気候変動は、国境を気にはしませんし、経済状況も気にしません。無関係に無差別に破壊的な影響を与えます」

エクアドル「途上国は、受動的喫煙者のようなもので、他者の行為によって被害を受けています。先進国には、歴史的な環境的な負債があるのです。平等をもたらす判断をしましょう。1.5℃以下の上昇に抑えましょう」

ニカラグア「強欲に基づく消費活動を助長する資本主義が過剰な温室効果ガスのの排出の原因です。元々政治・経済的な問題なのです。現在の取り組みは、炭素バブルを作り出し、利益を出すかも知れませんが、ちっとも地球のためにはなりません」

パキスタン「これだけのリーダたちが集まり、合意もなしにコペンハーゲンを去ったとしたら、なんと落胆すべきことでしょう。世界はそんなことは望んでいないはずです。気候変動は生存の危機であり、わが国でも第一の問題です。食料の問題があります」

レソト「わが国の食料とエネルギーの生産性が落ちています。利用できる水も少なくなってきている。植林を続けています。大規模な対応には資金と能力育成が必要です。京都議定書の維持が必要です。COP15は貧困対策と持続的開発に向けた公平な結論を出さなければならない」

ナイジェリア「この会議は失敗するには大きくなり過ぎました。過去200年間の人類の開発の歴史を問い直すときです。汚染する者は支払わなければならない。すべての国がそれぞれの責任を負います。大きな外的干渉がなければ、アフリカの飢餓と貧困は永遠に続きます」

デンマーク「化石燃料からの 100% の離脱を宣言します。それはロケット科学を必要とするような難しいことではありません。来年、その方法を発表しますが、政治的な決定はすでに下されています。デンマーク国民にとって、この夜は、記憶に残るでしょう」

ブータン「わが国の自然を保つために、大規模な観光や農業における化学物質の利用を避けてきました。そのために経済的な機会が失われてきました。この世代は、後に続く世代のための決断を行う責任を持っています」 (輻輳ひどいです)

ベルギー「科学者は警告しています。我々の文明もまた、命に限りがあることを。現実の世界は有限です。単一の法的な道具をもって、長期的な環境的な適応を、2050年までに少なくとも 50% の排出削減を」

パナマ「過去数日間、非常に重要な気候 変動の問題について議論してきました。次の世代が、なんと素晴らしい判断をしたのだろうとこの会議を振り返るようになることを望みます。生態系が破壊され ています。キャンペーンではありません。本当の脅威です。過去10年間が最悪なのです」

イエメン「気候変動は、もはや予測では ありません。現実です。強烈なサイクロン、雨、途上国の方が、資源と能力の不足により、大きな影響を受けます。洪水が、人々の家を、学校を失わせました。 山の多い土地ですが、これほどの洪水は経験したことがありません。同時に干ばつも」

キルギス「率直に申し上げましょう。この惑星の未来を決める会議が今、行われているのです。気温が上昇し、氷河が溶けています。利用できる水資源が減っています。長年、交渉してきました。ネパール政府とも一緒にです。能力開発、適応と緩和、技術移転が必要です」

そして最後に、Saitoさんご自身が選んだベストの声明2つを。
私が選ぶベスト声明2位: モルディブ「私にはふたりの娘がいます。私は、孫を見たい。見られなくなるかも知れないのですよ。これは、お金の問題ではない。お金の問題だと思うのは思い上がりもはなはだしい」

私が選ぶベスト声明1位: パプアニューギニア「温暖化の影響を反転するために、森林の価値を高めましょう。Google は今、大きな価値があるようですが、明日、消えたところで、人類のほとんどは気づきもしません。森林は違います」
 Saitoさん、中継、本当にありがとうございました。そして、お疲れ様でした!

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2009年12月14日

エコプロで見つけた、こんなもの

 先週後半はエコプロにいらっしゃったという方も多いかもしれませんね。僕は金、土と出かけたのですが、特に金曜日は雨にも関わらず、ものすごい人混みでビックリしました。着実に「エコ」への関心が高まっているのを感じます。

 ただ肝心の中味はどうなんでしょうね。特に大企業、有名企業は、マンネリ化している企画も多いようで、あまり驚きを感じるような展示には出会いませんでした。

 生物多様性についての展示がある企業もぐっと増え、関心が高まっていることは感じられましたが、こちらも中味については... どうも本質的な取り組みとは言えないものの方が多いように思います。

 生物多様性に関連があるレインフォレスト・アライアンスの認証農産物を原料とする製品などをアピールしている企業も目立ちましたが、それでは全製品のうち何%が認証を受けた原料を使っているのでしょうか? おそらく数%程度、下手をしたらコンマ以下というところもありそうです。やらないよりはマシという考え方もあるかもしれませんが、どうも羊頭狗肉のような気もします。

 そんな中でおもしろかったのは中小企業です。この機会に自社の製品を知ってもらおうと必死ですし、大企業が考えつかないようなユニークな発想のものも多くあるように思います。大企業はどちらかというと会社そのものののアピールを考えているのに対して、中小企業はこれを商機にと考えているのですね。

 例えば「電気の要らない自動ドア」の「オードドアゼロ」。扉の前に立つと、人の重さで扉が開くというものです。馬鹿らしいぐらいに簡単な原理ですが(笑)、今までなかったのですから、コロンブスの卵です。CO2の排出量も25%削減どころか、一気にゼロです。いいですねぇ、こういうの。

 あるいは日本の森に生える樹木から採った、日本産アロマオイルの「yuica」や、脱石油を謳い文句に様々な植物素材から繊維を取り、服に仕立てているECOMACOなど。おもしろい発想の製品やブランドがたくさんありました。

 ま、小さな企業の中には、ちょっと怪しげなところもあったりするので(^^;)注意も必要ですが、それでも丁寧に探してみると、いろいろと掘り出しものはありそうです。今度からは大企業はさっと飛ばして、小さな企業専門で行こうかななんて思ったりもしています(笑)

 皆さんもエコプロでおもしろい製品や会社を発見したようでしたら、ぜひ教えてくださいね!

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posted by あだなお。 at 23:59| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

キャップなしに削減させる方法

 どのような結論になるかまだまだ予断を許しませんが、コペンハーゲンではCOP15の熱い議論が続いてます。この会議の結果が地球の未来を決めると言っても過言ではありませんから、さらに注意深く見守りたいと思います。

 さて、COP15で前向きな目標が出来たとして、日本もそれにコミットすれば、排出権取引を導入するのも時間の問題でしょう。キャップを被せるのは不公平、自由な経済の発展を阻害するとの一部企業による反対論は、どうも身勝手な都合の言い訳のように聞こえます。ただ、仕組み作りをうまくしないと不公平が生じてしまう怖れはたしかにあります。

 例えば、どこをベースラインにするかによって、先進的に対応を進めてきた企業が不利になり、ギリギリまで対応を後延ばしにしてきた企業が有利になってしまうという可能性はあります。

 あるいは、排出権が高くなることを見越した投機的な業者などによって、排出権の価格が吊り上げられてしまう可能性もあり得るでしょう。

 このようなことでは、排出権取引が導入されても、大幅な削減は出来ないかもしれません。それでは、どうしたら各社の排出量に応じてもっと公平な負担を実現し、実質的に排出量の削減をできるのでしょうか? 

 この難問について先日、麗澤大学の高巌先生から非常に興味深い提言をお聞きしました。キャップを被せずに、自主的な排出権の購入としながら、不公正も防げる方法です。

 その方法では、政府が企業に排出権を有償で割り当てることが基本になっています。というか、企業は一定価格で排出権を政府から買うのです。排出量が多い企業はたくさん、少ない企業はそれに応じた排出量を買います。

 余った排出権は翌年に繰り越すことは出来るのですが、3年後には失効します。ここが最大のミソです。したがって、将来排出権が高値になることを見越した投機的な購入は避けられ、企業は本当に必要な分だけを購入することになります。

 もちろん排出権を買う量が少ないほど負担は少ないので、排出量を削減する企業の取り組みも進みます。実質的に排出量が削減されるのです。

 この方法ではキャップを被せる必要がありませんので、企業は自らが必要な量の排出権を購入し、必要量を継続的に削減しようとするはずです。

 全量購入となると経済に対する負担が大き過ぎるという意見もあるかと思いますが、当初は使用した排出権については、その9割程度を年度末に還付金として払い戻すので、実質的な負担はそれほど大きくはありません。ただしこの還付率はだんだん下げていきますので、なるべく早い時期に排出量を削減する方が有利になります。

 この方法が素晴らしい点は、既にこれまで自主的に削減してきた企業や、これから頑張って急速に削減を進めようという企業が報われるということです。頑張った企業に有利な仕組みになっており、いつまでもグズグズしている企業や、排出権で一儲けしてやろうという組織が有利にはならないのです。

 オークションでもいいのではないかと思いましたが、一定価格にした方が、価格が吊り上げられて体力のない企業等が困ることがないだろうとの配慮だとのことです。この点もなるほどです。

 なかなか理想的な方法に思えますが、いかがでしょうか? 日本国内でこの制度を試行し、うまく行くことを確認して国際的に提案しましょうというのが高先生の考えです。

 この方式に関して僕が唯一心配なのは、排出権の価格です。高先生は現在の市場価格に一定のデフォルト率を加えたものにすればいいというお考えなのですが、現在の市場価格は、日本国内での削減コストよりははるかに低いものになっています。したがって、自分で削減するより排出権を買い続けた方がいいやという考え方をする企業が出ることが予想されます(特に還付率が高い最初のうちは)。

 こうしたモラルハザートを防ぐためには、やはり実際の削減コストを勘案した絶妙な価格設定をする必要があるのではないかと思います。このことついても、今後さらに研究が進むことを期待したいと思います。

 このノン・キャップ方式にご興味のある方は、まずは以下の麗澤大学のプレスリリースをご覧ください。研究成果の概要と、関連する2つの論文へのリンクがあります。論文はリンク先から、PDFでダウンロードできます。
■「麗澤大学経済学部長の高巖教授らが「温室効果ガス25%削減」に向けた提案を発表」(麗澤大学)

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2009年12月10日

頼りの情報源

 皆さんは日頃どんなメディアから情報を仕入れていらっしゃいますか? もちろん新聞、テレビ、雑誌という方が今だ多いと思います。インターネットからという方も増えていらっしゃるとは思いますが、それでも、新聞やテレビなど、既存の大メディアのネット版でニュースなどを読んでいる方がまだ大部分なのではないかと思います。

 僕にとっては最近、ツイッターが非常に重要な情報源になってきました。いま120人ほどの方々をフォローしているのですが、そうした方々の「つぶやき」、いえ発言には、自分の興味とピッタリのものに加えて、自分とは微妙に違った興味や視点の発言もあり、自分の興味を中心に、ちょうど良い広がりをもった範囲の情報が、実にうまく入手できるのです。

 もう一つ良いのは、既存の大メディア発の情報に加え、マイナーなメディアや、個人の発信する情報をソースとする発言も多く、これが実に役に立つのです。というのは、そうした情報の多くは、既存の大メディアではまったく報道されないか、報道されたとしてもかなり違った角度からになっている場合が多いからです。

 ハッキリに言えば、現在の大メディアの多くは、多かれ少なかれ、体制寄りの「大本営発表」に成り下がっているように感じることも多く、それだけではどんどん自分の視点が狭く、偏ったものになりそうな気がします。

 もちろん逆にマイナーなメディアや、個人発の情報も、別の方向に偏向していたり、間違っている場合もあるでしょう。しかし、その両面を知っておくことが大切でしょうし、どうも大メディア以外のものの方が、真実に近い気がすることも多いのです。

 例えば、今日こんなことを教えてもらいました。日本のエネルギー用途の化石燃料の輸入額は、「10年前までは毎年5兆円程度だったのが、23兆円にも増えている。主因は価格の上昇。実に4倍以上になっている。」のだそうです。
importedfuel.gif
こんなに増えてたら、国内の暮らしもきつくなって当たり前でしょ。
排出量の削減費用で騒いでる人達(特に、石油に縁の深い某研究所)が居られるけど、その方々には
たった一年で国の金を18兆円も余計に流出させて何を言ってますか
と問いたい。
出典:「ゆでガエル」(壊れたら直そう日記、2009年12月9日)

 本当にその指摘の通りです。これは財務省の貿易統計という公開情報から作られたグラフなのですが、なぜこんな公開情報を大メディアは報道しないのか、議論しないのか。気付かなかったのか、作為なのか。いずれにしろ、ひどい話です。

 メディアの中にも、いくつかは骨のある、ジャーナリスティックなものもありますが、残念ながら必ずしも財政的には安定しているわけではないようです。毎号目を背けたくなる思いを感じながらも読むようにしているDAYS JAPANもそんな雑誌の一つです。

 ですが、この雑誌もまた、存続の危機に曝されています。この秋から「DAYS存続キャンペーン」を実施しており、12月31日までであれば定期講読料が1000円割引になるそうです。
DAYSJAPAN.JPG
 あと500人定期講読者がいればDAYSは存続でき、あと1500人増えれば安定するそうです。いまの日本に絶対に必要な雑誌です。こういう雑誌はぜひ大切にしてあげてください。

 僕もDAYS JAPANを定期購読しているのですが、その割に、このキャンペーンのことは、やはりツイッターで気付きました(^^;) ネットの口コミメディア、侮り難しです(笑)

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2009年12月08日

失業率を決めるもの

 ここ数ヶ月で失業率が若干改善されたというニュースを聞きますが、世の中の様子を見ていると、本当にそうなのかと思いますよね。実際、改善されたとは言っても、10月の完全失業者数は344万人と1年前に比べ89万人増加完全失業率(季節調整値)は5.1%と今だ5%を超えています。やはり大変な就職難が続いていることには変化はないのです。

 それでも5%というと、海外よりはいいのかなと思えますし、あるいは実際に、そんなもので済んでいるのかなという疑問も湧いてきます。どうやらこれにはいろいろとカラクリがあるようで、総数でいくと5.2%(季節調整値では5.1%)でも、15〜24歳の若年層に限って言えば9.3%に跳ね上がるのです。この年齢層の男性については、なんと10.2%というから、ビックリです。これはOECD諸国の中でもっとも悪い部類の数値のようです。

 そして実はこの失業者数に、非労働力人口のうちの就職希望者、週1〜4時間のバイトも失業者として加えると失業率は12.7%に、また雇用調整助成金対象者も含めれば、15.6%にもなるのだそうです。雇用調整助成金対象者の方々は仕事はないので潜在的失業状況になるわけですが、こうした方々が199万人もいるからです。

 統計局の労働者調査を見ていると、こうした雇用の大変な状況が浮かび上がってきます。

 一方、今日もう一つ紹介したいのは、フランスの場合です。以下の図をちょっとご覧ください。
FrenchUnemploymentrate.jpg
 これは、LICRA(人種差別と反ユダヤ主義に反対する国際連盟)というフランスのNGOが作ったポスターなのですが、ここに掲げられ数値が失業率。そして、その横のタイルの意味は... 実はこれ、肌の色なのだそうです。

 つまり、白人は失業率が6%なのですが、肌の色が濃くなるにつれ失業率はどんどん高くなり、黒人はなんと25%! これでは暴動も起きるはずです。

 日本ではさすがにこんな露骨な差別はありませんが、それでも若い方々、特に男性の失業率が高いということは、十分に問題です。本人にとって大変なばかりでなく、社会にとっての損失も大変なものです。

 日本の失業率は5%、他の国々に比べればまだマシとは、とても言ってはいられません。セクターを区切ったり、集計する範囲を変えれば、かなり酷くて、しかも偏った状況が既に生まれているのです。平均値だけではなく、細部の変化にも目を凝らす必要がありそうです。

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2009年12月02日

CBDビジネス会議終了

生物多様性とビジネス

 3日間にわたる生物多様性条約(CBD)のビジネス会議が終了しました。今回は僕は話しを聞くだけだったのですが、それでも連日朝から晩までの濃い話に加え、会議の後はホテルの部屋で日本の仕事の二本立で、なかなかハードでした(^^;) 

 会議については上のリンクからCBDのWebを見ていただくとプログラムが入手できますが、プログラムの構成を見ていただくだけでも大体察しがつくのではないかと思います。
「生物多様性条約 第三回ビジネスと2010年生物多様性への挑戦会議
 UNEPビジネスと産業のグローバル対話との共催」

<1日目>
セッション1 世界経済の復活に際して生物多様性のチャレンジ
セッション2 生物多様性に関するビジネス・ケース:業界ごとの最新動向
セッション3 産業ごとの詳細な議論
       A: 旅行業
       B: ラグジャリー&ファッション業界
       C: エネルギー
       D: 金融
<2日目>
民間企業の観点からの基調講演
昨日の分科会からのフィードバック
セッション4.1 ビジネスにおける生物多様性リスクを管理する
セッション4.2 生物多様性と生態系サービスについてのビジネスの影響、
       依存を測定し、評価し、報告する
セッション4.3 生物多様性ビジネスの創造
セッション5 生物多様性とコア・ビジネスに結びつける管理ツール
       A: 生物多様性オフセットとバンキング
       B: 基準と認証
       C: より良いビジネスに向けて:生物多様性ツールとその応用
       D: パートナーシップ

<3日目>
市民社会の観点からの基調講演
昨日の分科会からのフィードバック
セッション6 活動をスケールアップする
セッション7 課題を前進させる:ポスト2010
ジャカルタ宣言の採択
閉会


 このプログラムを見ていただければお分かりのように、企業が生物多様性の保全のためにこんな活動をやっていますよという報告ではなく、企業が生物多様性の保全にもっと取り組むための仕組み作りについての議論が中心でした。

 具体的には、サプライチェーンも含めて日々の業務の中で生物多様性への配慮を行う、生物多様性の保全そのものをビジネスにする、経済的メカニズムで生物多様性の保全を推進する、それを測定・管理・報告する手法など、いずれも一歩も二歩も突っ込んだ議論が行われました。

 日本ではまだ誤解の多い「生物多様性オフセット」はもはや当り前のことのように議論され、GDM(グリーン開発メカニズム)についてのサイドイベントもあり、COP10に向けての今後議論を深めていくスケジュールが確認されました。

 TEEBは先般発表になった政策者向けツールについて解説がありましたが、COP10以降、TEEBの研究結果を積極的に参考にしていくことが確認されました。

 日頃日本の企業の活動を中心に見ている目からすると、え、いきなりそんなとこまで行っちゃうんですか?と驚くこともしばしばでした。もちろんこれが世界の企業の平均点ではなく、あくまで先進企業のレベルであり、企業に対する期待の大きさの現れではあるのですが、そうしたレベルはかなり進んでいることは確かです。

 今回は日本からは経団連の自然保護協議会も参加し、この春に制定した「日本経団連生物多様性宣言」を紹介するなどしたのですが、参加者の方々は正直、ちょっと面食らっていたようです。自然保護協議会が設立された1992年の段階にこの宣言を出していたのであれば世界の最先端だったのに、残念ですね。

 また、スマトラ島のリアウでの泥炭林の開発で悪名高いAPRIL社が、「私たちはこんなに生物多様性に配慮している」と実に堂々とした発表をしたのにもびっくりです。グリンピースなどのNGOが問題点を指摘していましたが、そもそもこういう会議で基調講演をさせることがどうかと思ってしまいます。

 一方、誰もが素晴らしいと絶賛したのが、今日の朝一番で行われた、ZERIのグンタ・パウリさんの基調講演でした。バイオミミクリの実例をいくつも挙げ、生物に学ぶ新しい産業や製品を提案する、実に元気の出る話でした。話の内容だけではなく、メリハリのある、力のこもった話し方が会場の聴衆全員を惹きつけていました。実に惚れ惚れする講演でした。

 またその中で嬉しかったのは、日本の技術や企業のことがしばしば取り上げられたことです。グンタさんは日本にも何度もいらっしゃっていることは知っていましたが、こんなに日本びいきだったとは!です。講演の最後も、本田宗一郎さんの言葉を引用していました。

 ただこれには後日談(?)があります。グンタさんは日本のいろいろな企業で同じような講演をして「ぜひこういう研究を進めて製品化を」と提案して来たそうなのですが、いつも「話としてはおもしろいですけれど...」となかなか乗って来てもらえないのだそうです。もったいない話ですね。

 その他にも、世界中の「仲間」と再会し、お互いの仕事の進展や、これからの計画について話しをするのも、とても楽しく、また刺激に満ちています。ちょっと疲れましたが、非常に充実した3日間でした。明日は生態系サービスレビュー(ESR)の会議に出て、夜帰国の途に付きます。

 そうそう、今回の会議の成果の一つとして「ジャカルタ宣言(憲章)(Jakarta Charter)」が採択されました。最終版は今日の議論を反映させたものを現在事務局で作成中のようですが、草案はこの会議のWeb、あるいは以下のリンクからダウンロード出来ます(ただし、草案と最終版では、かなり内容は異なります)。
■"Draft Jakarta Charter on Business and Biodiversity"

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posted by あだなお。 at 23:59| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 生物多様性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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