2010年02月28日

至福のバスタオル

 以前にも書いたことがあると思いますが、コットン(綿)は自然素材のようではあるのですが、綿花栽培は世界の農薬使用量の25%を占めています。オーガニック・コットン情報室によれば、綿花栽培の盛んなインドにおいては、「コットンは全耕地面積の5%にすぎないが、国内年間全農薬使用量の54%を占める」ほどです。

 さらに同情報室には、こんな衝撃的なファクトがいくつも紹介されています。
・多くの国で、コットン生産者の50〜90%が合成化学物質による何らかの症状に苦しんでいる (Organic Exchange:2007)
・国連食糧農業機関(FAO)、国連環境計画(UNEP)、世界保健機関(WHO)の合同報告によると、世界の農業労働者の1〜3%が急性農薬中毒にかかり、入院を要する人数は毎年最低でも100万人におよぶ(PAN:2007)
・インドでは98年から03年の6年間で全国で約10万人の農民が自殺 (ヒンドゥスタン・タイムズ:2006)
 出典:同上

 あるいは以前も紹介しましたように、児童労働の問題もあります。
《参考リンク》
・「綿花畑で起きていること」(サステナ・ラボ、2007年11月28日)
・「国ぐるみの児童労働、強制労働」(サステナ・ラボ、2007年11月29日)

 こんなことを知ってしまうと、なるべく得体の知れないコットンは使いたくないなと思うのですが、日本ではまだオーガニック・コットンを使った製品というのは決して多くはありません。

 それでもタオルはわりと多く、環境系のネットショップなどでは定番となっているので、自分でバスタオルなどを買うときには、いつもオーガニック・コットンにしています。やや値段は高めですが、精神的にだけではなく、実際に使用すると明らかに風合いが良く、快適なのです。肌触りが柔らかいだけではなく、繊維の処理の仕方が違うのか、心なしか吸水性も良いような気がします(あくまで感覚ですが...)。

 ただエコ系のお店でしか見かけないので、バラエティが少なく、また最近は価格を少しでも安くして手軽に使ってもらおうということなのか、薄めの生地のものが多く、実は内心ちょっと不満に感じていました。

 ところがラッキーなことに、ちょっと前にプレゼントに分厚いバスタオルをいただいたのですが、これがオーガニック・コットンだったのです。MARKS&WEBというお店のもので、そう言えば以前何度かお店をのぞいたこともあった気がしますが、オーガニック・コットンを扱っているとは知りませんでした。

 オーガニック・コットンのタオルにありがちな生成りではなく、濃い色に染めてあるので珍しいなと思ったら、eko-Texという安全規格のクラス1(もっとも高いレベル)の染料で染めてあるのだそうです。ちなみに、オーガニック・コットンはスゥエーデンのKRAVが認証したもので、パイル地だけではなく、縦糸も100%オーガニックなのだそうです。
出典:「オーガニックコットンについて」(MARKS&WEB)

 なるほど、こういうおしゃれなお店(だと思うのですが)も、さりげにオーガニック・コットンを使うようになったのですね。欧州では、「エシカル・ファッション」という言葉も出来て、オーガニックであることがオシャレの前提になりつつあるようですが、日本もだんだん進化しているのかもしれませんね。嬉しいことです。

 あ、で肝心のこのMARKS&WEBのオーガニック・コットンのタオルの使い心地ですが、厚地なのでとてもいい感じです。何度か洗うとコットンに含まれているオイルが自然に抜けるので、吸水性が高まり、さらに良くなるそうで、楽しみです(笑)。

 オーガニック・コットンは高くてと思われる方もいらっしゃると思いますが、タオルはそんなにベラボウな値段ではありませんし、長持ちしますからね、大事に使えばいい買い物だと思います。なんといっても使い心地がいいので、毎回使うたびに幸せな気分になれますし、そこまで考えたら案外安い買い物かもしれません(笑)。僕は別に上記のお店の回し者ではありませんが(^^;)、良さそうなオーガニック・コットンのタオルを見かけたら、ぜひ一度試してみてくださいね。

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posted by あだなお。 at 22:39| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

偽りの楽園

 前回も書いたように、今週の前半はインドネシアのバリ島でした。生物多様性のGDM(Green Development Mechanism)に関する会合です。自然も文化も多様なバリは、まさにこうした会合の舞台にうってつけ...という気がするかもしれませんが、実際にはそう単純ではなくなっています。

 まず今回の会合が行われたのは、バリの中のヌサドゥアと呼ばれる地区にあるリゾートホテル。2007年末に気候変動枠組条約会議のCOP13が開催された場所として記憶されている方も多いかもしれませんが、インドネシア政府が外国人観光客用に開発した特別地域で、がっちりとした門と高い塀で外から隔離された場所なのです。住宅の場合にはこういうのを"gated community"と言いますが、さしずめこれは"gated resort community"でしょうか。

 トランクはもちろん、車の下側もビデオカメラでしっかりと監視する検問ゲートから先は、用のない人は入ることは出来ません。私たちのような外国人はまったく問題ありませんが、現地の方々は、リゾートで働いているとか、そういう理由がなければ入れないのです。安全と静寂を守るためではあるのですが、ちょっとなんだかな、です。(もちろん他の場所でも、高級リゾートは、たいてい自前のゲートを持ってはいますが、ここは地区全体がそうなのです)

 そして中に入れば、それまでの雑然としたインドネシアらしい景色とはうって変わり、手入れの行き届いた緑の植栽の中にきれいな車道だけが続きます。生活臭はまったくなく、ゴルフ場の中のような雰囲気です。

 さらに、各リゾートに入るには、またリゾートの検問。もちろんその中に入れば、24時間安全な空間!(笑) ホテルと無関係の人はまず入って来ないわけですから...

 で、リゾートの中ですが、こちらも南国らしく、ひたすら緑に溢れています。今回泊まったところは、部屋が広いのはいいのですが、建物はマンション風で、個人的にはあまり魅力は感じませんが、それでもまぁ快適です。広いベランダに出れば、緑の景色を長めながら、ソファで寛いだりできます。あ、そんな時間は残念ながらありませんでしたが...(^^;)

 レストランはプールサイドにあって、外からの光と気温が、熱帯にいることを実感させてくれます。Yシャツと長ズボンより、ポロシャツに短パンでいるのが、圧倒的に自然なシチュエーションです。ただ、会議室の中は例によって冷房がよーく効いているので、当然Yシャツと長ズボン、そして僕は上着も持ち込みです(^^;)

 で、この辺まではまぁいいのです。ジトッと蒸し暑い空気と、刺すような陽の光は、大好きですから。個人的には、寒いのより、暑い方が圧倒的に好きなのです。ところが今回あれっと思ったのは... これだけ緑が多いのに、花も咲いているのに、鳥の声や姿をまった見かけないのです。正確には、一度だけハトの仲間を見かけましたが、それ以外にはほとんど見ませんでした。これはかなり異常なことです。

 そういえば虫もまったく見かけませんでした。一度だけ、蚊がブーンと飛んで来ましたが、それも三泊の間に一度だけです。これって、変じゃないですか?

 とういことは、これはかなり徹底的にpest control、つまり「害虫駆除」をしているということです。滞在中、緑地の下草を植え替える作業をしているところを見かけましたが、もしかしたら植物もしょっちゅう入れ換えないと続かないのかもしれません。

 このホテルチェーンは環境や社会問題について結構熱心なところなのですが、「生物多様性」についてはあまり関心がないのか、お客様商売である以上、やはり害虫管理は徹底せざるを得ないんでしょうかねぇ...

 そんなことを考えていると、たしかに快適ではあるけれど、やはりこれは人工的に作り上げられた「偽りの楽園」なのだなぁと感ぜずにはいられませんでした。

 たしかにまったく管理をしなければ、熱帯では虫は大発生するし、それを追いかけて部屋の内外をヤモリはかけずり廻るし... 都会から来たお客さんからはクレーム続出しそうですらね。都会の常識を持つ人間と、生きものの共存は、なかなか難しそうです。

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2010年02月22日

インドネシアの大進化!

 今週は、会議のためインドネシアのバリに来ています。前にも書いたかもしれませんが、インドネシアは短期でも入国にビザが必要。ただし、事前に大使館に申請しなくても、空港に到着したときにVisa on Arrival(VOA)と言って、その場で発行してくれます。というか、要は入国税みたいなものです(^^;)

 問題は、そのビザを取得するために列に加わって待たなければいけないことです。そしてやっとビザを取った(買った?)かと思うと、今度はイミグレーションの長い列が... そんなわけで、飛行機を降りてから、空港を出るまでにかなりの時間を要し、それだけですっかり疲れてしまうのです。

 やれやれ今回もまたそれをしなくてはいけないのかと思ったら、なんと「2月から機内でビザが取れます」とのこと! つまり、今度はVisa on Boardというわけです。

 今のところガルーダだけのサービスのようですが(というか、ガルーダに乗ってもらうための国策かもしれませんが...(^^;))、成田空港でチェックイン後、VOAの代金を支払い、レシートを受け取ります。そして機内での食事が終わった頃、日系の飛行機だったらCAが機内販売のカートをゴロゴロと押して来る頃に、制服を来たインドネシア人の男性係官がカートを押して来て、一人ひとりのパスポートとレシートを確認して、ビザの発給をその場で行うのです。

 小さなシール状のビザをパスポートに貼ってくれて、機内で手続きをしたことを示す青いカードを渡されます。一応パスポートは機械で読み取りますが、何も質問もされないし、機械はオフラインでしょうから、なんのチェックもできないと思います。

 で、インドネシアに到着後ですが、空港ではVOAのカウンターの前は素通りして、そのままイミグレーションへと進みます。これだけでもずいぶんと早いなぁと思ったら、なんとイミグレーションでも件の青いカードを渡すだけなのです! つまり、入国審査までが、機内で済んでしまっているのです。つまり、Visa on Boardではなく、Immigration and Visa on Boardなのでした。

 そんなわけで、飛行機を降りてからほとんど並ぶこともなく、あっという間に荷物受け取りのターンテーブルまで進むことができました。以前はそこまで最低30分、下手をすると1時間以上かかることもありましたから、大進化です!

 ただちょっと気になるのは、先にも書いたようにパスポートを機械で読み取っただけなので、これで本当に入国審査が出来ているのかなぁというのと、以前は7日間までのビザは10ドル、30日間までが25ドルだったのが、一律25ドルになったことです。日本人はたいてい7日間以内に帰国することが多いでしょうから、実質値上げです。

 それでも、長時間並ばなくて済むようになったのは素晴らしいことで、インドネシアも結構頑張っているなぁと感心しました(本当は短期の訪問はビザ不要になれば一番いいのですけれどね...)。
《参考リンク》
■「機内入国サービス(到着ビザ・機内取得プログラム)」(ガルーダ・インドネシア航空)

 でも、世の中にはもっと頑張っている国もあります。僕が今まで一番感心したのは、カンボジアです。カンボジアは何年も前からe-Visaと言って、インターネットでビザが申請できるようになっているのです。

 webページで必要な項目を記入し、写真をアップロートし、クレジットカードで費用を支払うと、メールで受領書とe-Visaが送られてくるのです。これを印刷してイミグレーションに提出すると、その場で本物のビザをすぐに印刷してくれるというシステムです。

 さらに感激するのは、その申請が英語だけでなく、世界25カ国語で出来ることです。もちろん日本語も含まれています。これにはさすがに舌を巻きました。さすが、慣行に力を入れている国だけのことはあります。
《参考リンク》
■「Cambodia e-Visa」(カンボジア政府)

 翻って、日本はどうでしょうか? 観光庁の英語サイトを見てみたら、ビザはトップ画面に記載がなく、Visit Japan Campaignのページの一番下に「ビザの必要性について」という項目があり、「外務省の以下の公式サイトを参照してください」と書いてあり、リンクはなくて、URLの文字列が記入してあるだけです。これを自分でコピペしないといけないのです! いくら何でも、これはないでしょう。本気で観光客を増やしたいと思っているのか、疑問になってしまいます。

 「お役所だからこの程度」なのではなくて、役所だって工夫次第でいろんなことが出来るのです。やる気のあるなしは、いろんなところで見えてしまうものですね。

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2010年02月18日

世界のCEO27%の認識

 少し前に世界経済フォーラム(World Economic Forum)から、"Global Risk Report 2010"が発表されました。その中で新しいリスクとして、生物多様性喪失のリスクが上げられています。このリスクは被害額は100億ドル強、出現確率は10%弱と評価されています。まだちょっと過小評価かなという気もしますが...

 今年は特に、生物多様性喪失がビジネスに与える影響について"Biodiversity and Business Risk"という独立したレポートも発行されています。

 この中で注目したいのは、生物多様性リスクが食料などに影響を与えるのはもちろん、様々な経済、環境、社会リスクとリンクしていることを示したのが一つ。

 そして、世界のビジネスリーダー(CEO)の27%が、自分たちのビジネスの成長にとって脅威であると認識していることです。この割合はかなり地域差があり、もっとも低かったのは中央・東ヨーロッパの11%、それに続く北米も14%なのですが、ラテンアメリカでは53%、アフリカでは45%ものCEOが脅威と感じていることです。それだけ速い速度で自然が失われ、影響が出てきているということでしょう。

 西ヨーロッパも18%と案外低いのに比べ、アジア大平洋は34%とかなり高くなっています。これは東南アジアあたりの影響なんでしょうか。

 いずれにしろ、世界のビジネスリーダーも、生物多様性に注目しはじめたということを如実に語る結果で、非常に興味深いと思います。

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2010年02月13日

それって、どのCOP?

 前回に引き続き、生物多様性に関する基礎知識です。

 ご存じのように今年は生物多様性条約のCOP10があります。という話をすると、「え、この前はCOP15がありましたよね!?」という声を聞くことがあります。

 はい、確かに昨年の12月には気候変動枠組み条約(UNFCCC)の第15回締約国会議(COP15)がありました。そして今年の10月にあるのは生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)があるのです。

 そうなんです、COPとは条約の「締約国会議(Conference of the Parties)」という意味なので、それぞれの条約についてCOPがあるのです。ですから、生物多様性条約のCOP10の場合には、他のものと混乱しないようにCBD-COP10と書くこともあります。CBDは生物多様性条約の英名、Convention of Biological Diversityの略称です。(ちなみにUNFCCCのCOP10は、2004年にブエノスアイレスで開かれています)

 もう一つ、似ていてよくわからないというのがMOPです。こちらはMeeting of the Partiesの略で、議定書の締約国の会合のことです。議定書(protocol)というのは、既存の条約と密接な関係があって、それを補完する性格の約束のことをいいます(厳密にはそう決まっているわけではないのですが、そのように使われることが多いようです)。

 つまり、メインの条約(Convention)の締約国会議がCOPで、それに付随する議定書の締約国の会合がMOPというわけです。

 UNFCCCに付随する議定書としては、お馴染の京都議定書がありますし、生物多様性条約にもカルタヘナ議定書という遺伝子組換え生物についての議定書があります。どちらの条約でも、COPがMOPを兼ねることになっており、そのことを明示するためにCOP/MOPと書かれることがあるのです。

 ということで、今年COP10と言えば、おそらくそれはCBD-COP10のことです。どうぞお間違えなく!

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2010年02月12日

保護と保全は違うんです

 昨日、「明日(つまり今日ですが)は珍しくスケジュールが空いているなぁ」と思ったら、今日は休日なのでした(^^;) そんなわけで今日は静かなオフィスで仕事をしていましたが(笑)、最近はCOP10が近づいて来たためか、よくメディアの方から取材を受けるのです。

 生物多様性とは今までまったく関係がなかったであろう方が取材にいらっしゃることも多いのですが、そんな場合、やはり誤解というか、基本的なところを勘違いしている場合も多いようです。

 よくあるのが、「生物多様性と言えば自然保護の問題ですよね」というパターン。もちろんそういう側面もあります。絶滅が心配される動植物や、その場所にしかいない生きものを守るために、「保護」が必要な場合もあります。

 「ただ、特に企業がいま考えなければいけないのは、そういう自然「保護」ではなくて、生物多様性の「保全」の方です。保護と保全って違うんですよ」と言うと、たいていの方がキョトンとした表情をなさいます。

 「保護」というのは、基本的にまったく手をつけないこと。自然があるがままの状態にあるように、人為的な影響を徹底的に避けることで実現されます。

 一方「保全」の方は、ある程度人間が利用することを許しながら、長い目で見て現状が維持されることを指します。持続可能な範囲であれば、生態系を利用しながら保全するということはあり得ますし、また自然が回復したり復元するよう、人間が手を加えて管理するということもあり得ます。

 もちろん「保護」と「保全」はどちらがいいとか、優れているということではありません。保護の方が厳格だから、保全より常に良いというわけではないのです。そもそも、もしすべての生物や生態系を保護しなければいけないとしたら、私たちの日常生活すら成り立たなくなってしまいます。

 というわけで、いま企業が主に求められているのは生物多様性の保全の方なのです。一切手をつけずに「保護」する必要はないけれど、その生物や生態系がこの先も存続できるように、持続可能な形で管理する。使う場合には、持続可能な範囲、つまり生物が再生する範囲で利用し、場合によってはその回復を手助けする。そういうことが求められているのです。

 生物多様性に何も配慮しないのは言語道断ですが、逆にまったく手を付けてはいけなわけでもありません。適切な範囲で使いましょうということですから、これは本来、とても合理的なことなのです。そしてそのような使い方、付き合い方をすることは、企業や人間にとってもメリットがあるのです。

 もちろん既に述べたように、絶滅危惧種や固有種などについては、厳密な保護が必要な場合もありますので、そういうときには保全では不十分であることは言うまでもありません。

 逆に、里山とか雑木林(これも里山の景観の一部ですが)の場合には、保護するというのはナンセンスであることはわかりますよね? こうした生態系は、人間の手が入ることによって維持されてきたものだからです。

 ちなみに英語では「保護」はpreservation、「保全」はconservationが対応します。生物多様性条約の目的の第一は"the conservation of biological diversity(生物学的多様性の保全)"で、第二が"the sustainable us of the components of biological diversity(生物学的多様性の構成要素の持続可能な利用)"ですので、ここでも「保全」により重きが置かれていることがわかります。もちろん保護も重要なのですが、何でもかんでも「保護」というのではなく、現実的な議論が必要だということですね。

 「保護」と「保全」、この場面ではどちらの言葉がより適切かなと考えながら、上手に使い分けてみてくださいね。

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posted by あだなお。 at 00:35| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 生物多様性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月02日

施政方針演説を読みましたか?

 先日29日の第174回国会での鳩山首相の施政方針演説を、皆さんはお聞きになったでしょうか? 僕はドイツにいたので、後からWebで全文をダウンロードしてボンからの岐路に読みました。

 正直言ってちょっとびっくりしました。目頭がちょっと熱くなって、そして嬉しくなりました。サスラボでも以前にご紹介したガンジーの「七つの社会的大罪」を引用しながら、「人間が人間らしく幸福に生きていくために、どのような経済が、政治が、社会が、教育が望ましいのか」と問いかけています。まさに今必要な問いです。そして、残念ながら今の世の中は、ガンジーが指摘した大罪が溢れています。
参考:「7つの社会的罪」(サステナ・ラボ)

 自民党の議員や、口さがない人たちは、「労働なき富」とは首相自身のことだろうと揶揄していますが、僕はとりあえずそれは置いておいてもいいと思います。お金持ちの家に生まれたのは自分で選んだわけでもないでしょうし(笑)、これまでも不労所得を増やすことに血道を上げて来たわけではなさそうですし、むしろノーブレス・オブリージュを果たす覚悟があるのであれば、そのことを評価したいと思います。

 実際、その言葉を盛り込むことに心配した他の閣僚たちに、鳩山首相は「自分のことを言われるのはわかっている。だからと言って(ガンジーの言葉が)間違っているんですか?」と反問したと言います。自分が批判されることよりも、何を目指すべきかを優先したのです。
出典:「鳩山演説「労働なき富」にヤジ、「それはあんただ」」(読売新聞、2009年1月30日)

 あるいは、「聞く方が気恥ずかしくなるほどの理想を語り続けた」という社説もありました。(「鳩山政権―演説の美辞に酔う暇なし」朝日新聞、2010年1月30日)しかし「気恥ずかしく」感じるのは、それを書いている人が、そんなことを大真面目に考えたことがないからなのではないか、と聞いてもみたくなります。

 もちろん、これを美辞麗句に終わらせては困ります。きちんと有言実行してもらわなくてはいけません。それでもこの施政方針演説を最後まで読めば、一貫としていのちを守ることにこだわっていることがわかり、その思いと意志は伝わってきます。これまでの首相の無味乾燥なものとは大違いです。

 また、「はじめに」の中で、今年はCBDのCOP10が日本で開催され、議長国を務めることや、「私たちの叡智を総動員し、地球というシステムと調和した「人間圏」はいかにあるべきか、具体策を講じていく」必要性についてきちんと述べていただいたことは、生物多様性に関わるものとしてとても嬉しく思いました。

 僕自身は別に民主党を全面的に支持しているというわけではありません。自民党よりは民主党の方がマシ、というのが正直なところです。政策について、不満な点もいくつもあります。

 それでも、今回の鳩山首相の施政方針演説には、賛同する点が多くありました。いくつかの点を除けば、基本的には同じ方向の志向だと思いました。今回の姿勢方針演説で述べられた目指す社会は、しっかりした日本の将来ビジョンだと思います。目指すべきビジョンをこのように明確に示していることも素晴らしいと思います。

 あとはこれを何時までに、どう実現するかです。その点がまたマスコミなどに批判されているところですが、それは今からみんなで一緒に考えていけばいいのだと思います。リーダーが明確なゴールを示してくれたのです。後はそれをどう実現するか、みんなで知恵を出せばいいのです。僕もこの社会を目指すだめだったら、出来ることはなんでも協力したいと思います。あ、別に頼まれないでしょうけど...(^^;)

 海外から日本に帰国するときには、いつも日本のネガティブな面ばかりが目立って感じ、なんどか気が滅入ることが多いのですが、今回はこの演説を読んだお蔭で、「日本もまだこれからだ。いよいよ流れは変わり始めたんだ」というポジティブな気持ちで、帰国することが出来ました。

 というわけで、この姿勢演説の全文をご自分で聴いたり、読んでいない方は、ぜひ以下でご覧になってみてください。内容に賛成するかどうかはともかく、私たちの国のリーダーがどこを目指しているのか。それを知るだけでも読む価値はあります。批判だけするメディアに惑わされず、どこは評価できて、何が足りないのか。どうぞご自分で判断してみてください。

■「第174回国会における鳩山内閣総理大臣施政方針演説」(首相官邸)

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posted by あだなお。 at 01:28| 東京 🌁| Comment(1) | TrackBack(0) | 政治・政策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月01日

新しい本が出ます!

 今夜、ようやく帰国しました。ところで、土曜日(30日)の満月はご覧になりましたか? 1月1日も満月でしたから、今月2度目の満月。このような月を英語ではブルームーンと呼び、滅多にないことの喩えに使うそうです。一方、北米先住民、つまりネイティブアメリカンは、1月の月を「狼の月」と呼ぶのだとか。真冬の食料不足を嘆いて遠吠えする狼にちなんだ呼び名だそうです。そしてもう一つ今回の満月が特別だったのは、これは今年、月が最も地球に近づく満月で、14%大きく、30%明るく見えるのだそうです。

 こんな話をきくと俄然見てみたくなりますが、僕は残念ながら... ドイツの曇り空に阻まれ、きちんと見ることができませんでした。残念。でも代わりに、ボンからフランクフルトへ列車で移動する道中は、ライン川沿いの古く、美しい町並みの雪景色を見ることができたので、良かったことにしましょう。

 明日からまた東京での仕事が始まるのですが、今週はちょっとスペシャルな週です。というのも、今週の後半ぐらいから、新しい著書が書店に並ぶ予定なのです(正式には2月8日発売なのですが、都内などでは今週末には入手可能になるようです)。 タイトルは「2025年 あなたの欲望が地球を滅ぼす~「激安・便利・快適」の大きすぎる代償~ 」(ワニブックスPLUS新書)とちょっとオドロオドロシイのですが(^^;)、私たち一人ひとりの生活と、社会の持続可能性の関係をわかりやすく書いたつもりです。

 気候変動はもちろん、生物多様性や、途上国の開発と人権、サプライチェーンやCSRなどなど。そう、要はふだんサステナ・ラボで書いているようなことを、一続きのお話しとして読めるように、コンパクトにまとめたものです。さまざまな問題も指摘していますが、最後には解決方法の提案もありますので、あまりドンヨリとした読後感にはならないと思います(笑)

 おそらく、サスラボの読者の皆さんにとっては、聞いたことのある話が多いと思うのですが、この本のメインターゲットは、ふだんは環境や持続可能性のことなんて考えたことがないという、ごくごく一般の方々です。モノは安い方がいいし、便利で快適な生活大好き! そんなフツーの方々に、実は世の中こんな仕組みなんですよとお伝えするのが目的です。

 ですから、ぜひ周囲のお友だちや同僚の方に、「こんな本あるよ〜」、「けっこう面白かったよ〜」(あ、もし本当に面白いと感じたらで結構ですが(^^;))とオススメいただくと、とっても嬉しく思います。もちろん、皆さん方にもよろしければ復習用にお読みいただいて、ぜひご感想をお聞かせください。

 それから、昨年の春に出版した「たべものがたり―食と環境 7の話」ですが、大変嬉しいことにこの度、「FOOD ACTION NIPPON アワード2009」の【コミュニケーション・啓発部門】で優秀賞をいただいたそうです。こちらは本当に楽しい本ですので、まだの方はぜひお読にになってみてください。

《参考リンク》
■「『たべものがたり』学校寄贈プロジェクト、優秀賞受賞!」(未来図書室.jp)
■「生きることは、食べること」(サステナ・ラボ、2009年3月6日)

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posted by あだなお。 at 00:32| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 本・映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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