このところCSR業界(?)で話題のニュースと言えば、ファーストリテイリング、つまり
ユニクロがバングラディッシュで10月からソーシャルビジネスを行うことを決めたというものです。しかも合弁先はかのグラミン銀行。これはたしかにアッと驚かされます。
ファーストリテイリングが、いや柳井さんがどう考えたのか聞いてみたいところですが、会見で述べたという「(バングラデシュは)将来大きな市場になる可能性がある。生活がよくなり、経済的に自立できる一助になれば、ビジネスとしてもやりがいがある」というセリフはかなりのところ本音だと思います。
出典:「
ファストリ バングラデシュに衣料合 弁設立へ 脱貧困貢献・市場成長両にらみ」(サンケイビズ、2010年7月14日)
そして何より興味深いのは、おそらくはビジネスで勝つことになによりも真剣なファーストリテイリングが、バングラディッシュという途上国で、ソーシャルビジネスを行うことに目をつけ、動き始めたということです。
しばらく前からBOP(Bottom of the Pyramid=貧困層)を対象としたBOPビジネスが、CSRとビジネスを両立させるものとして喧伝されながら、日本企業のほとんどは、有効なモデルを実行できずにいます。そこに、CSRとあまり騒ぐことはないファーストリテイリングがやって来て、なるほどと思うようなモデルをさっと登場させたのです。多くの企業が「そう来たか!」と唸ったのではないでしょうか。
僕もこのニュースを知ったときにはそう思いました。そして次の瞬間、ファーストリテイリングは
グローバルなビジネス展開に本気なのだなと感じました。
というのも、メルマガに書いているエッセーで、ちょうどユニクロのグローバルな人事戦略について紹介した直後のことだったからです。
《参考リンク》
■「
本当のグローバル化が始まった(2)」(サステナブルCSRレター 84号)
多くの日本企業が、グローバルにビジネスをしながら、意識はまったくドメスティックであるのに対して、「ファーストリテイリングは、2012年3月から社内の公用語を英語にし、外国人の採用を順次拡大し、幹部社員の賃金体系も世界で統一する」など、
ビジネスの舞台はグローバル(地球全体)だと実質的に宣言したからです。
CSRの課題は、地域ごとに異なります。CSRとは、企業の力を使って、社会の課題を解決する活動だからです。ですから、CSR「=企業の社会に対する責任」を果たすために、
それぞれの社会の課題を理解し、それを解決する自分たちなりのやり方を考え、実行する必要があります。しかも、社会はものすごい勢いで変化しています。課題も、やり方も、どんどん変化させる必要があります。
ファーストリテイリングは、そのことをしっかり理解しているのだと思います。だから常にアンテナを伸ばし、そのとき、その場所で必要とされることに挑戦しようとしているのでしょう。
と思って同社のWebを見てみたら、「
世界を良い方向に変えていくために、ユニクロができること ユニクロでは、衣料の製造・販売だけでなく、企業としての社会的責任を果たすために、地域に根ざしたCSR活動をおこなっています。世界を良い方向に変えていくために。ユニクロのCSR活動はグローバルに展開していきます。」とありました!(
CSR - UNIQLO) なるほど、よーくわかっていらっしゃる!
サスラボでは、以前、同社の障害者雇用率が非常に高いことを紹介したことがあります。しかもユニクロはそれをCSRとして行っているのではありません。「
きれい事を言う気はない。障害者を雇うのはその方が顧客サービスが向上するからだ」と言い切っています。最初は法定雇用率を達成するために始まったそうですが、その意外な効用に気付くと、今度はそのことを積極的に活かすようにしたのです。こういう
レスポンスの良さが、同社の成功の要因なのかもしれませんね。
■「
それでも お荷物ですか?」(サステナ・ラボ)
バングラディッシュでの新ビジネスは、簡単ではないかもしれません。しかしもしそこで多少の失敗はしても、同社であれば、きっとそれを成功のための大きなヒントにするのではないでしょうか。ファーストリテイリングからは今後ますます目が放せません。
それにしても、今までのやり方、今までの考え方に固執している企業は... 一体どうなってしまうのでしょうね? そちらはかなり心配です(^^;)
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posted by あだなお。 at 00:55| 東京 ☀|
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