漢字が並んで、ちょっと取っ付き難い印象かもしれませんが、表紙は鮮やかなモルフォ蝶。平積みしてあれば、すぐにわかります(笑)。なぜモルフォ蝶が表紙なのかは.... 本書を読んでいただければきっとご理解いただけるでしょう。
目次をざっとご紹介すると...
序章 「石油」から「生物」へとなっています。
第1章 自然にタダ乗りする「裸のサル」
第2章 自然生態系を壊す5つの企業活動
第3章 経済のルールが変わり始めた
第4章 生物多様性は経済条約ー名古屋COP10の意味
第5章 生物を救う3つの経済メカニズム
第6章 今、企業に求められていること
第7章 21世紀の「生物多様性経営」
終章 「自然の法則」に学ぶビジネスモデル
もともとあまりそういうつもりではなかったのですが、出来上がってみると、企業と生物多様性に関わるトピックスはおおよそ漏れなくカバーされているので、これ一冊で企業と生物多様性についてほぼ理解することも出来ると思いますし、逆に仕事の現場で関わっている方にも目新しトピックスも、いくつかあるはずです。
しかし、そんなことよりこの本の一番の特徴は、なぜ企業が生物多様性に取り組まなければいけないのかという問いに、正面からストレートに答えようとしたところと言っていいかと想います。
僕が企業にとって生物多様性が重要である理由は、生物が資源として今後ますます重要になるということです。食料はもちろん、バイオ燃料、バイオプラスチック、医薬品..... 石油が今のように自由に使えなくなったとき、生物がそれに取って代わるはずです。なぜなら、生物資源は持続可能だからです。
しかも生物資源には、私たちがまだ知らないような優れた性質もたくさんあります。これからそうした性質はどんどん発見されるでしょうし、私たちはそれを直接利用したり、真似ることで、環境負荷を削減することも可能になるはずです。
しかし、そのためにはもちろん、クリアしなくてはいけない課題もあります。どこから生物資源を確保するのか? どうやって生物資源を持続させるか? そうした問題を今から考えておく必要があります。
生物資源を確保することは、生物の生息地を確保すること。つまり、生息地を保全する必要があります。また、より多くの多様な特性を持つ生物資源を活用するためには、そうした性質を持つ多様な生物を保全しなくてはいけません。つまり、生物種の多様性を保全する必要があるのです。
ここまで来れば、もう結論はおわかりでしょう。多様な生物の生息地を守ること、多様な生物種を守ること。これこそポスト石油時代に企業が成功する鍵であり、そのような「生物多様性経営」こそが、これからの企業のあるべき姿になるはずです。
生物多様性を保全するために様々な手を打つことは、企業活動に足かせを課すのではありません。より持続可能な企業へと脱皮するために必要な準備をするということです。
その先にどんな未来があるのか。そこに辿りつくために今企業は何をしなくてはいけないのか。僕の考えをすべてこの一冊に詰め込みました。ぜひお読みいただき、ご感想をお聞かせください。
今日も最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
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追記(2010/09/29)
一つ重要なことを自慢するのを忘れてました(笑)。実はこの本、表紙も本文もすべてFSC認証紙を使っています。日本ではまだ珍しいと思うのですが、そうすることが生物多様性を本流化することにとって重要と思い、編集者の方が頑張ってくださいました。FSC認証紙の手触りも、ぜひ実物でご確認ください。