2010年12月27日

なぜ原油価格は90ドルを超えたのか?

 先週22日、2年2ヶ月ぶりに原油価格の終値が90ドルを超えたそうです。今年は次第に価格が上昇していましたので、90ドル超えも時間の問題とは思っていましたが、原油在庫が市場の予想以上に減ったこと受け、90ドルを突破したようです。
出典:「原油、2年2カ月ぶり90ドル台 NY市場、在庫減少で」(47NEWS、2010年12月23日)

 報道では「米原油在庫の減少や欧米の寒波を受けて」とサラリと原因を分析していますが、それではなぜ在庫が減少しているのか。それが問題ですね。もしかしたら、オイルピークの影響が既に出始めたということなのかもしれません。

国際エネルギー機関(IEA)は11月にWorld Energy Outlook 2010を発行し、その中で「従来型」の石油は2006年にその生産量がピークに達したようだと結論づけています。オイルピークはもう来ていたのです。
《参考》
■「World Energy Outlook 2010日本語要約(PDF)」(IEA)

 不思議なことにこのニュースは日本ではほとんど報道されていませんので、もしかしたら原油価格が90ドル突破というのはやや驚きをもって受け止められたかもしれません。もっとも、原油価格は今年に入ってから徐々に上昇していますので、その価格をフォローしている市場関係者にとっては当然だったのかもしれませんが...

 ちなみに、OPECの一部加盟国は、まもなく100ドル台に乗せるであろうと予測しているようですので、そう考える国々からすれば、90ドルというのはまだ通過点に過ぎないのでしょう。
出典:「原油100ドルに上昇、OPEC一部加盟国が予想−石油消費国は警戒」(Bloomberg、2010年12月27日)

 ここでも問題は、90ドルか100ドルかではなく、なんでこのような価格上昇が起きるのか、この先はの展開はどうなるかでしょう。オイルピークは既に過ぎ、私たちは好むと好まざるとにかかわらず脱石油の時代に突入したという認識が重要なのではないでしょうか。

 なぜか日本では私たちはそのような時代の大きな流れを知らされないのです。もちろん、それではこれにどう備えるかということについても知らされませんし、事実が知らされなければ考えることもできません。

 石油に代わるエネルギーとして、日本では原子力発電が推進されていますが、これには安全上の様々な問題があるだけでなく、そもそも原子力そのものも持続不可能である、オイルピークと同様にウランピークもありますし、もうそれは来ているのだという説すらあります。
■「石油ピークって何?」(もったいない学会)

 そう考えると、原子力はとても化石燃料の代替にはなりえません。化石燃料や原子力に頼らなくても、自然エネルギーはかなり潤沢にあります。特に日本では、地熱エネルギーが莫大なポテンシャルを持っているのですが、そのこともあまり知られていませんし、もちろん活用もされていません。詳細は、例えばWikipediaの「地熱発電」の項をご参照ください。

 それ以外にも様々な自然エネルギー、再生エネルギーがあります。それぞれに一長一短がありますので、どれをどう使っていくかは議論すればいいのですが、少なくとも石油時代の終わりが始まったことや、次の時代を担うエネルギーとして、原子力ありきで進めるのではなく、多くの選択枝についてきちんとデータを開示した上で、是々非々の議論をする必要があるのではないでしょうか。

 大きく時代が動き始めたのです。ここできちんと持続可能な社会のビジョンを描き、そちらへシフトすれば、新しい地平が開けます。反対に、時代が変わりつつあることに気付かなかったり、気付いても見なかったふりをしたのでは自分だけ変化から取り残されてしまいます。私たちは大きな分岐点に立っているのです。

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posted by あだなお。 at 15:22| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月13日

もう走り出している企業

 カンクンでのCOP16は国際合意を得ることの難しさをまた一つ見せつけましたが、だからと言ってCOP17まで待っている必要はありません。世界の先進企業はもうとっくに走り始めています。そんな先進企業の動きが、今回のCOP16関連でもっとも衝撃を受けたニュースでした。(日本政府の「いかなる数値目標にも署名しない」発言も衝撃的でしたが(笑))

 カンクンでCOP16が始まった11月29日、パリでは消費財フォーラム(The Consumer Goods Forum(CGF))が気候変動防止のために、二つの重要なイニシアティブを発表しました。一つは、2020年までに開発による森林破壊をネットゼロにする誓約。もう一つは、温室効果の高い冷媒であるハイドロフルオロカーボン (HFC)の使用を段階的に廃止する誓約です。特に前半の森林破壊をネットゼロにすることは、生物多様性の保全のためにも大きな効果がありますので注目されます。

 CGFとは、2009年に結成された世界70ヶ国の小売業、消費財メーカー、サービスプロバイダーなど650社以上のCEOや経営層400名からなる企業人のネットワークです。全企業の売上を合計すると、2兆1千億ユーロにもなります。

 実は日本企業も多数名前を連ねているようで、メンバーリストを検索すると、40以上の有名企業などの名前がずらりと並んでいます。
《参国リンク》
会員リストの中の日本企業

これらの企業もこのイニシアティブに参加しているようであれば大変心強いのですが、今回のプレスリリース(PDF)には残念ながら日本企業の名前は一つも入っていません。リリースを読むと、今回の決議は理事会によるものですが、この活動は会員各社が個々のイニシアティブとして行い、また、政府やNGOとのパートナーシップについては一緒に活動するとしています。会員企業すべてが参加するというわけではなさそうです。

 ちなみに今回この両方のイニシアティブに参加することを宣言したのは以下の企業です。
共同議長 Unilever, Tesco
参加企業 Ahold, Barilla, Carrefour, Coca-Cola, Delhaize, General Mills, Henkel, Johnson & Johnson, Kellogg, Kraft, Kroger, L’Oréal, Metro, Nestlé, Pepsi Co, Procter & Gamble, Sara Lee, S.C. Johnson, Sobeys, Tesco, Unilever, Walmart

 いずれも錚々たるグローバル企業です。こうした大企業だからこそできるのだろうと思われる方もいるかもしれませんが、大企業だからこそ、身体も大きく、舵を取るのは大変なはずです。また、いくつかはの企業は日本でもビジネスをしていますので、当然日本市場へも影響を与えるでしょう。世界のどこかの地域のローカルな事件ではないのです。

 ちなみに気になる森林破壊のネットゼロについて、詳しい方法はリリースの中では述べられていませんが、関係がある(問題がある)事例としては、大豆、パームオイル、牛肉、紙、板となっています。こういう産業において、もうこれ以上はプランテーション等の開発をしないという決定は、大きなことだと思います。

 もう一つ気になるのは、そうした決定で原材料がコストアップになるのではないかという点ですが、それについてもCGFは、消費者に追加コストを負担してもらうことにはならないだろうと確信しているといいます。なぜなら、持続可能な生産を行うことで、収量が増加し、コストはむしろ低下するからだと述べています。大変な自信であり、また、大変な覚悟だと言えます。

 今回のCGFの決定は気候変動の防止のためにももちろん歓迎すべきことですが、先に述べたように生物多様性の保全の観点にも役立ちます。そしてこの決定をした企業は、先の生物多様性条約COP10で決定された愛知ターゲットの達成に、確実に一歩近づいたと言えるでしょう。

 愛知ターゲットをどう達成させるか。日本国内ではまだ本格的な検討は始まっていないようですが、くれぐれも日本企業が遅れをとって不利になったり、また安全な資源を入手することができなくなるなどといったことがないように、日本企業の自主性にも期待したいと思います。

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posted by あだなお。 at 18:02| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 気候変動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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