たしかに中学も卒業していないような子どもが毎日工場で働いているということは、おそらく日本ではないと思います。しかし、現実にはれっきとした児童労働が今の日本でも存在しています。
というのも、たとえ16歳以上であっても、18歳未満の年少者、すなわち未成年については、労働時間や深夜業の制限、さらには危険有害業務の就業制限などがあるのです(労働基準法 第6章)。
「あっ!」と思った方は、いらっしゃいませんか? 18歳未満の制限については、案外見落とされていることがあるので、注意が必要なのです。
そして18歳未満の年少者を危険な業務に使うことは、国際的には「最悪の形態の児童労働」と見なされています。(ILO第182号条約「最悪の形態の児童労働条約」(1999年))
ところがです、その最悪の形態の児童労働がつい先頃、東京電力と東北電力の原子力発電所で見つかりました。定期検査を請け負った東芝の三次下請け会社の臨時作業員に、18歳未満が8人いたのです。
8人は年齢を偽って放射線管理手帳を取得し、6人は実際に放射線管理区域内で作業をしていたといいます。立派な児童労働であり、サプライチェーンマネジメントの観点からすれば、親請けの東芝や発注元の電力会社の責任も重大です。出典:「18歳未満が原発作業 管理区域 東芝下請け、年齢偽り」(東京新聞、2008年6月4日)
東芝は、東京電力と東北電力から請け負った三カ所の原子力発電所の定期検査で、東芝の三次下請け会社の臨時作業員八人が十八歳未満なのに年齢を偽って放射線管理手帳を取得し、そのうち六人が労働基準法に反して放射線管理区域内の作業に従事していたことを公表した。放射線管理区域での就労は十八歳以上であることが労基法で定められており、就労に際しては、放射線管理手帳が必要とされている。各原発の地元の労働基準監督署は、労基法違反の可能性もあるとみて、それぞれ調査している。
東芝によると、三次下請け会社が八人を雇用しようとした際に仲介者が、改ざんした住民票などを管理手帳の認定発行業者に提出し不正に手帳を取得していた疑いがあるという。東芝は労基署と各電力会社に報告した。
しかしこれは決して初めてのケースではなく、過去においては高校生が関西電力の原発の定期検査に入り、被爆をしている例もあるそうです。(参考:「環境破壊の衝撃 1966-2007」樋口健二、新風社文庫)
若者たちが年齢を偽って原発の定期点検をしていた(させられていた)というのは衝撃的ですが、もっと気になるのは、それでは未成年には禁止されているその危険な作業を誰がしているかです。
原発は科学技術の粋を集めた超現代的な設備で、すべてコンピュータとロボットによる遠隔操作で運転されている.... ように思われているかもしれませんが、実際には定期点検や補修のために何十万もの下請け労働者が原発の中で作業を続けて来たのです。それが元で白血病などガンで死亡した方もたくさんいらっしゃるそうです。
何重もの下請けの最後に、社会的にもっとも弱い立場の方々が現場の日雇い労働者として存在し、今回はその何人かがたまたま18歳未満だったために明るみに出た。そういう構造なのではないかと思います。
原発労働者の問題については、日本のメディアではほとんど報道されるこはありません(本は出ています)。しかし例えば以下の記事のように、海外のメディアではもう何年も前に報道されています。日本人には知らされていない原発の影については、以下の記事でお読みください。
■「日本の原発奴隷」( El Mundo 2003年6月8日)
《参考リンク》
■「原発で働く人々」(よくわかる原子力 原子力教育を考える会)
「児童労働や強制労働で作られた商品など手にしたくない。」 そういう消費者の純粋な気持ちから始まったのが、サプライチェーンマネジメント(CSR調達)です。だとしたら、危険な作業をする方々の犠牲の上で作られた電気は.... どう考えたらいいのでしょうか。
最後までの読んでくださって、ありがとうございます。
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そういわれてみればそうですよね。
私たちが電気を使って便利な生活をするために、原発で働いてた方が犠牲になって、ガンで亡くなるというのは、つらいです。。
選択肢がもっと広がるといいのですが。
コメントありがとうございます!
僕も初めて知ったときには愕然としました。
残念ながら原発は、将来人間に危害を及ぼすかもしれないのではなく、出発時点から犠牲があることが前提になっているシステムのようです。とても持続可能なエネルギー源とは思えませんね。
日本は行政も、原発を主力エネルギー源と捉えています。このまま放っておくと、気候変動防止をいい口実に、どんどん原子力への依存度が高まってしまいます。
それ以外の道を、僕たちが求めていくしかなさそうですね。別の選択肢は、ちかぢかご紹介したいと思います。ご期待ください。