2005年12月10日

大問題!

 昨日はバンコクの路上生活者の話を書きました。バンコクとはかなり状況は違うものの、日本でも、特に東京のような都会では、路上で生活している方の姿を見かけます。一時より少し減ったように思えるのは、少しは景気が回復したからなのか、私たちの目が慣れてしまったのか、あるいは人目につきにくいところに追いやられているのでしょうか...

 タイの路上生活者には子供も多く、これは田舎では食べられない人たちが都会に出てきて、親子で物乞いをしているという社会状況を反映しています。一方、日本の路上生活者の多くは中高年の男性が圧倒的で、リストラや勤めていた会社の倒産がきっかけになることが多いのだと言います。これも、日本という国の社会状況を見事に反映しています。

 もともと貧しいのと、ある日突然収入が断たれてしまうのと、どちらがより大変であるのかは難しい問題ですし、そもそも無意味な問いかもしれません。しかし、昨日までは普通に働いていた人たちが、ある日突然、路上生活をせざるを得ない状況に追い込まれているという日本の現状は、本当はすべての人をもっと深刻にさせてしかるべき大問題!のように思います。明日はわが身かもしれないのですから。

 ホームレスの人たちは、たまたま何らかの理由で職を失い、住むところを失ってしまいました。その原因は様々でしょうが、まったく自分のせいではないことだってあるのです。しかし、どのような理由にせよ、一度ホームレスになり、職を失ってしまうと、そこから這い上がるのは大変です。定職に就こうにも、住所がなければ雇ってもらえない。定職に就けなければ、家も借りられない。どうにも抜け出せない無限ループに陥ってしまうのです。これも、大問題!

 おそらく日本のホームレスで、物乞いをして暮らしている人はごく少数でしょう。ただ職がないことだけが問題であって、働きたくないわけではないのですから。そうしたホームレスが再び自分の力で生活できるようになるためには、最初のきっかけとなる職がどうしても必要です。しかし、彼らを受け入れてくれる職場はなかなかありません。

 この悪循環を断つビジネスを作ったのが、英国のジョン・バード氏でした。誰もが読みたくなるような雑誌「ビッグイシュー(大問題)」をロンドンで創刊し、ホームレスの人たちにその販売に携わってもらったのです。チャリティではなく、仕事を作ること、それがたまたま今ホームレスである方々が、再び自分の家と仕事を持つことを可能にするのです。そしてこのような仕組みが機能することは、社会をより安定させたものにしてくれるはずです。

 ※詳しい創刊の経緯はこちら↓
 ■英国のストーリー
 http://www.bigissuejapan.com/about/background2.htm

 ビッグイシューは現在世界24ヶ国、50都市で販売されています。日本版ビッグイシューは2003年9月に大阪で創刊されました。その後、徐々に東京などでも販売員が増え、今では主要なターミナル駅周辺で販売しているのを見かけます。交差点の前などで売っているのを見かけたことがある方もいるのではにないでしょうか。

 雑誌は1部200円。仕入値は90円で、代金のうち110円が販売員の収入となります。雑誌を販売員できるのは、行動規範に同意したホームレスの方だけです。ですから身分証をつけた販売員の方から、私たちも安心して買うことが出来ますし、彼らもビッグイシューの信頼を傷つけないように背筋を伸ばして仕事をしています。実際、その礼儀正しさは、こちらが恐縮するぐらいです。買ってくれた一人ひとりに丁寧にお礼を言うのはもちろん、商品を奇麗に保つようにプラスチックのホルダーに入れたり、何もそこまで気を使わなくてもいいのにと思ってしまうこともあります。

 そんなわけで、街角でそんな販売員の方を見かけると、僕はビッグイシューを買っています。ただそれは、売っている販売員の方を応援しようという気持ちだけからではありません。それ以上に、内容が魅力的なのです。例えば今手元にある39号を見てみると、オランウータンの保護が地球温暖化を防ぐ話、日本の若い夫婦が直面している経済危機の話、非正規雇用の問題など、気になる、そしてタメになる記事満載なのです。もちろんこういうちょっとカタメの記事の他にも、世界的な有名人のインタビュー(39号はポール・マッカートニー)や、ちょっとした雑学系の話など、肩の凝らないものも載っています。

 硬軟いずれも他のメディアでは読めないような記事が多く、200円の価値は十分にあります。それに加えて、この雑誌を買うことが、ホームレスの自立を支援し、私たちの社会を変える力を持っているのです。もしまだ手に取ったことがなければ、今度ビッグイシューを売っている人を見かけたら、ぜひ一冊買ってみてください。私たちの社会も、あなたの気持ちも、少しだけ変化するはずです。

 ■ビッグイシュー日本版
 http://www.bigissuejapan.com/


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posted by あだなお。 at 02:55| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | ヒント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ビッグイシュー、買ったことありますよ。
好きな俳優のインタヴュー記事目当てでしたが、他の記事もなかなか面白かったです。AERAとか、見出しばかり大仰な雑誌を買うより満足度は高かったと思いました。
正直、買う前はちょっと緊張したんですが、販売員さんも、とっても感じよかったですよ。
Posted by あつこ at 2005年12月11日 00:58
なるほど、表紙と巻頭インタビューにはやはり意味はあるのですね(笑)

たしかに、最初に買う時にちょっと勇気がいるとおっしゃる方がいますが、実際には感じのいいというか、実に腰の低い販売員の方ばかりですよね。本当はいつも同じ方から買えると少し話もできそうなのですが、僕はいつどこ通るか読めないもので...(^^;)
Posted by あだなお at 2005年12月12日 00:55
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