2008年09月20日

街は再生できる

 都市や街というのは、私たちの生活を具現化したものであり、また同時に都市や街の構造が私たちの生活を規定しているとも言えます。その街が持続できない、いや既に崩壊しているということは、私たちの生活自体が持続不可能に向かって突き進んでいることを示しているのではないでしょうか。

 以前に紹介した「ファスト風土化する日本―郊外化とその病理」(「ゾッとした景色」参照)を挙げるまでもなく、今や明らかに日本も街並はは崩れつつあります。単に景観の問題として美しくないだけではなく、その先にあるものを考え得ると本当に暗澹たる気持ちになってくるのですが...

 世の中まだそんなに捨てたものではない。まだ希望はあるぞと思わせてくれたのが、同じ三浦展さんの編著による「脱ファスト風土宣言―商店街を救え!」です。ファスト風土化する商店街を、地域を、どう再生するか。そのことをテーマに、8人の著者が、実際の体験に基づく実践的な提案をしています。多くの著者が同年代であるということも、嬉しく読みました。

 ファスト風土化の問題点についても序章で三浦さんが簡潔にまとめています。本当は「ファスト風土化する日本」から続けて読むとおもしろいと思いますが、これ一冊でも問題点とソリューションの双方を学ぶことができます。

 僕が特に面白いと思ったのは、やはり「自分のためのエコロジー」(「「つながり」を「仕立て直す」」参照)の甲斐徹郎さん。ファストフードとの関係では、アメリカのニューアーバニズムを中心とした考えを紹介する渡和由さん、そして東京の日本橋で都市再生の実験を行っている馬場正尊さんの話などです。

 また、建築家の隅研吾さんは20世紀から21世紀の100年という時間の中で建築の変遷を整理していらっしゃいますが、20世紀のグローバル(普遍的な)な建築の代表であるコンクリートの建築が、地域性を超越することを目指していたのに対し、これから「もう一度、場所の固有性というものを復活したい」という力強い提言をなさっています。そして、材料の点でも、また文明の点でも、日本に大きなアドバンテージがあることを示唆していらっしゃって、とても勇気づけられます。

 というわけで、多くの具体的な事例と示唆に富むグッド・テキストになる本だと思います。持続可能な社会や街の姿、作り方に興味のある方は必読の書と言っていいでしょう。

 ところで、この本の中で一つとても印象に残っているのは、日本橋地区で街の再生を試みている馬場正尊さんの言葉です。馬場さんご自身は佐賀のご出身なのだそうですが、大学入学をきっかけに故郷を離れています。そしてそのことを振りかえり、「生まれ育った街の消失に自分自身も加担してしまっていることに気がつ」き、胸を痛めています。しかし、いざ街を再生しようと思っても、「まずそこに住み、そこで働かねばならない」、「そうしない限り、あらゆる言動は説得力を持ちえない」と言い切り、だから佐賀ではなく、今住んでいる東京で実験的な活動を行っているのだそうです。

 街を再生するということは、街をそこに住んでいる人のサイズで、視点で、作り直すということです。そう考えればこれは当然の言明ではあるのですが、実際には非常に重い言葉です。

 自分たちの街を、自分たちの力で、自分たちのために再生しよう。そう思う人が出現する街には、まだまだチャンスはありそうです。

今日も読んでくださって、ありがとうございます。
ヒント満載の本です、オススメします!
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posted by あだなお。 at 23:59| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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