2008年11月04日

子どもにだって出来る

 最近は子どもに大人の世界を体験させるような施設もあるようですが、それにしてもやはりあくまでニセモノ、大人の世界のマネッコに過ぎません。おそらく子どもたちも、すぐにそのウソっぽさに気がついてしまうのではないでしょうか。携帯電話をイタズラする子どもに、オモチャのケータイを与えても、すぐに見抜いてしまうのと同じです。

 子どもたちは大人が考える以上に本物を見抜く力を持っているようですが、大人たちは相変らず、子どもにはオモチャしか与えようとしません。子どもたちにホンモノを手渡すことはできない、そんなことをしたらどうなるかわからないと思っているからでしょう。本当は信じていないのです。そして、子どもたちも大人のそんな気持ちを見抜いているのでしょう。

 今回タイで訪問したプロジェクトの中で、僕がもっとも印象的だったのは「若者による潅漑プロジェクト」と呼ばれるものです。村の12〜18歳までの若者、いや、子どもたちを集めて、彼らに村の潅漑計画を立てさせるというものです。もちろんその潅漑は、畑や家に水を供給するための、ホンモノの潅漑です。

 最初にGPSを使って子どもたちで村の地図を作るのですが、それに参加するのはなんと7歳からです。GPSというのはカーナビにも使われている装置で、人工衛星の電波を捉えて現在地の正確な場所を調べることができるという器械です。今や最新鋭のGPSを使えば、子どもにだって地図が作れる時代なのです。

 そうやって自分たちで作った地図に、Google Earthなどを使って集めた衛星画像を重ね合わせ、村の周囲の詳しい地図を作ることが出来るのです。

 さらに村の家々を訪問し、どのぐらいの水が必要なのかを調査し、また、過去の気候データから、どのぐらいの降雨が期待できるかを調べます。

 こうした需給データを組み合わせて、どんな潅漑をすればいいかを、どのように水路を作ればいいかを考え、計画を作るのです。このプロジェクトに先立って、村の子どもたちにIT教育が行われたのですが、その成果がこういうのところに役立つのです。

 作られた計画は、最後は専門家によって検証、修正されますが、子どもたちの提案はそう悪くはないそうです。そしてその計画に従って第一期の工事が行われ、現在は第二期が進行中と言います。

 さまざまな技術の手助けがあるとはいえ、子どもたちの力は大したものです。ちゃんと訓練すれば、中学生や高校生にでも、自分たちの村の計画を立てる能力があるのです。

 おそらくこのプロジェクトで自信をつけた子どもたちは、これからもっと自分たちの手で村を改革していくことでしょう。早い段階からホンモノの事業に子どもたちを参加させることには、様々なメリットが期待できそうです。

 開発の世界ではよく、empowermentという言葉が使われます。日本語では「権限委譲」と訳されることが多いのですが、今回この事例を見て、empowermentの意味を実感することが出来ました。

 子どもたちにマネッコでもちょっとやらせてみようということではなく、ホンモノをちゃんと任せてしまう。そのことで、任せられた子どもたちは、本来持っている能力をきちんと発揮するのですね。子どもたちもスゴイのですが、大人が子どもを信頼して任せることが、さらにスゴイと思いました。

今日も読んでくださって、ありがとうございました。
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posted by あだなお。 at 23:59| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ヒント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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