日本だとお偉方のスピーチというのは形式的で面白くないのがあたり前になっていますが、Balakrishnan大臣は世界経済が危機的な今だからこそ、社会から信頼される企業、信頼される政府を、長期的な視野で考える必要があることを、原稿の棒読みではなく、ご自分の言葉で淡々と話していたのが印象的でした。政治家にありがちな情熱的な勢いのある(しばしば勢いだけの(^^;))話ではなく、むしろ静かに優しく語りかけるような話し方で、逆にちょっと新鮮でした。
それ以外にもいろいろと興味深い講演や発表がありましたが、今日は僕も自分の発表をしたので、手前味噌のようですが、その内容をちょっとご紹介したいと思います。僕が話をしたのは、「CSR活動を伝えるために新しい手法(インターネット、ブログなど)をどう使うか」というセッションです。一緒のセッションでEdelmanのBob Grove氏はメディアについてのステークホルダーの好みの変化を示し、それに戦略的にどう対応するかというコミュニケーション論を展開したのですが、僕は日本企業が実際にどうCSR活動を伝えているかを報告しました。
日本はCSR報告書(環境報告書なども含む)の発行社数でも、発行している会社の割合でも、世界でトップなのですが、それがどのように発展してきたのか、そして今どう変化しつつあるかということを、先月行なった調査の速報値などを元に分析してお話ししました。このアンケート調査の結果は近日中に正式版を発表する予定ですので、そのときにまた詳しくお知らせしますね。
そして後半では、最近の日本企業のグッドプラクティスとしていくつかの具体的な事例を示しました。ここではそれを簡単にご紹介しましょう。
味の素さんは2006年からCSRレポートと環境報告書を分離し、一般にはCSRレポートを、どちらかというと専門家向けに環境報告書を発行しています。もちろんその分手間はかかるのですが、専門家や詳しい情報を求めるステークホルダーにはきちんと対応したいという考えです。
■過年度報告書ダウンロード(味の素)
キユーピーさんでは、社会・環境推進室のスタッフの方(Sさんが中心ですね)が更新している「社会と環境について語るブログ」や、同社の「社会・環境報告書」が、従業員の家族の方をもっともプライオリティの高い読者と考えていることをご紹介しました。これは、案外ありそうで、珍しいことなのです。
そして富士ゼロックスさんは、なるべくたくさんの方に同社のCSRの考え方を知ってもらうためにサステナビリティレポートは薄くしたい。でも、そうすると一部のステークホルダーの方が求める詳しい情報は掲載できない。そのジレンマを解決するために、Webで詳細なデータを公開するという方法を使っています。今ではWebの情報量はA4換算で300ページ分と莫大です。その分コストもかかっているのですが、読者からは好評で、十分にコスト以上の効果が得られているとのことです。
別の意味でWebの活用が徹底しているのはNECさんです。「報告書を発行することが目的ではなく、きちんとした情報をきちんとしたタイミングで開示することが目的。ITによる効率化で、情報収集と集計にかかる手間を減らし、その分コミュニケーションに力を入れたい」という考え方で、同社のIT技術を使ってなるべく自動的に情報を収集し、印刷版のフルレポートは廃止してWebでデータを公開することで、四半期ごと(!)のデータ更新を行っているのです。今はまだ担当者がいらっしゃるのですが、将来的には完全自動化を目指すというのですから、徹底しています。
■「環境アニュアルレポート2008」(NEC)
本業の特性をうまく生かしている例としては、バンダイナムコグループでは、2006年からいくつかの製品(おもちゃ)に同社のCSRレポートの子供向けダイジェスト版「バンダイのエコ こんなエコ」を同封しており、3年目となることしは、なんと200万部を同封する予定だそうです。子どもたちへの環境教育の効果も大きそうです。
さらには、こうした企業のCSR活動のコミュニケーションの支援を手がけている社会起業としては、クリック募金でお馴染のdffがあり、例えば「CSRモニター」など、ユニークなチャンネルを提供しています。
必ずしも最新のデジタル技術を駆使しているというわけではないのですが、さまざまステークホルダーのさまざなニーズに応えるべく、日本企業は地道に頑張っていると思います。こうした日本企業の真摯な姿勢が、今日の講演で少しは伝わったようだといいのですが... 皆さんは日本企業のこのようなグッドプラクティスを、ご存じでしたか?
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