偽装再生紙ははがきだけではありませんでした。ほとんどすべてのコピー用紙も偽装だったというのですから、皆さん開いた口が塞がらなかったことと思います。
配合率の数値が高ければいい。古紙100%であるのが、もっとも環境に優しい。そういう安易な考えが問題の背景にあったのも事実で(※)、環境省はグリーン購入法の基準の見直しを行う中で、コピー用紙の基準を、再生紙の配合率だけによるものから、総合評価指標に切り替えることにしました。その基準案が固まり、今週からパブリックコメントの募集が始まっています。
(※)とは言え、偽装は決して許されることではありませんし、製紙会社はそのことに対する責任を取ったとは思えません。
《参考リンク》
■「グリーン購入法に係る特定調達品目及びその判断の基準等の見直しの概要(案)に対する意見の募集について(お知らせ)」(環境省)
詳しくは、環境省のお知らせにある「特定調達品目及び判断の基準等(案) (変更箇所抜粋)」などを参照していただきたいと思いますが、要点は以下の図がわかりやすいと思います。
出典:「コピー用紙基準に総合評価指標 間伐材利用入るも課題は山積み」(NBonline、2008年12月11日)古紙配合率の適合範囲が100%から70%になったことをもって「後退」とする向きもあるようですが、僕はむしろ総合評価の方が好ましいと思いますし、古紙配合率100%というだけで「適合」としてしまうのが本当にいいのかとも思います。
むしろ問題だと思うのは、間伐材パルプの配合です。間伐材の有効活用はたしかにいいことだと思うのですが、トレーサビリティをどう確保するのかとか、間伐材だったらなんでもいいのかとか、その辺はかなり気になります。
現在の総合評価指標は加点式で、プラスになる点を加えていって合計が80点以上になればいいという方式ですが、むしろかけ算にして、5つの条件すべてをある範囲で満たすようにするぐらいの方がいいのではないかとも思います。
最終的にどういう紙の利用を推奨するのかを明確にイメージして、それにあった指標になるようにしてもらいたいものです。パブコメは年明け6日まで可能ですので、皆さんも冬休みにじっくり考えてみてはどうでしょうか? 紙以外にも様々な製品やサービスの基準が含まれているので、それぞれの「持続可能な条件」を考えてみるといいと思います。
おっと、その前にまずは年賀状の準備をしなくては...(^^;)
今日もお付き合いいただき、ありがとうございました。
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そもそも、製紙会社などが主張している古紙の環境負荷が高いということの根拠に、バイオマスエネルギーとしての黒液はカーボンニュートラルなので考慮しなくていいというものがあります。そこから化石燃料由来の炭素排出のみを考慮しようとしていますが、この考え方は誤っています。というのも、バイオマスエネルギーであっても、温暖化の議論では、木質系バイオマスについては炭素排出としてカウントすることになっています。一般に、黒液を炭素排出としてカウントしていないのは、現在の気候変動枠組み条約の規定では、便宜的に、木材伐採したときにカウントすることにしていて、黒液での利用時にカウントするとダブルカウントになるからです。カーボンニュートラルだからではありません。実際、CO2として空中に出て、温暖化ガスとして排出されるのは伐採時ではなく、むしろ黒液を燃料として利用している時点なので、こちらでカウントする方が適切ですし、ライフサイクルアセスメントとしても、カウントしないのは、木材伐採すらもカウントしないということになってしまいます。森林などはバイオマスエネルギーであっても、温暖化対策上重要なものであることは、IPCCなどでも広く認められています。だからこそ、現在、森林保護の議論を気候変動枠組条約の会議などで議論しているわけです。
つまり、化石燃料由来のみを考えようという考え方自体が、おかしなものだということです。よって、少なくとも木質系バイオマスの部分については考慮すべきですし、温暖化対策としては排出自体を問題と考えることも可能です。よって、30%程度バージンパルプ利用すると(100%バージンの場合だと16%程度の差)、古紙パルプ100%の場合よりも、約5%程度、CO2排出量が増加すると推計できます。
もちろん、もともとの古紙が白くないものを利用する場合には、白色度の高さを求めると問題ですので、白色度は70以下とすべきです。
さらに問題なのは、森林認証材については、原生林や絶滅危惧種の生息地でも伐採可能となるようなPEFC/AFS(オーストラリア林業規格)といった認証材も利用可能となっています。例えば、タスマニアの天然林木材チップもPEFC/AFS認証材で、タスマニアでは皆伐後に、原生林として蓄積していた残材の山焼きを行うので、これを考慮すれば、古紙100%に比較して、44%のCO2排出量増加となってしまいます。絶滅危惧種の生息地の伐採では生物多様性の観点でも大きな問題です。またAFS認証の対象地には世界遺産委員会から「顕著な普遍的価値」が存在する可能性があると指摘された地域も含まれており、IUCNは伐採凍結を豪州政府に対して求めています。さらには、バージンパルプとして利用可能な「持続可能性を目指した原料」というのは、定義が不明で、どのように検証できるのかわかりません。
間伐材についても、ご指摘のような課題があり、どうせグリーン購入法の改定を行うというのであれば、むしろ木材分野での改定、強化が有効だと思います。