2009年01月02日

サバイバビリティ!?

 昨晩、日本に戻る飛行機の中で久しぶりに日本の新聞を読みました。そして日経の1面を読んで、ちょっと違和感を感じるところがありました。

 お読みになった方も多いと思うのですが、「危機がひらく未来へ」という一面トップの記事は、「サバイバビリティ(生き残る力)」がテーマでした。
《参考リンク》
世界 この先 危機がひらく未来へ、トヨタ、太陽電池車で挑む、多極化時」(日経ナビ2009、2009年1月1日)

 「世界秩序は米一極集中から多極化とでもいる方向に向かう。」というのはなるほどその通りです。「すべてが生き残るわけではない。日本のみならずどの国も、企業も、個人も、多様化した価値観もふるいにかけられる。」まぁ、国や企業はそうでしょうね。個人や価値観はあまりふるいにかけられたくはない気もしますが...

 そして、「何に生き残る力=サバイバビリティがあるのか。サステナビリティ(持続可能性)よりサバイバビリティが問われる時代へ。二十一世紀の今、パラダイムは変わった。」というのですが、本当でしょうか?

 サバイバビリティが問われるのは当然であるし、パラダイムも変わりつつあると思います。そしてだからこそ、そのサバイバビリティの中味も大きく問われているのです。これまで通りのやり方や競争力ではサバイバルできないのは明らかです。

 しかし、サステナビリティよりサバイバビリティというのは、ちょっとおかしくないでしょうかね。むしろ、サステナビリティを達成できた国、企業、個人、価値観がサバイバルできるのではないかと思うのですが... 

 サステナビリティよりサバイバビリティというのでは、環境や社会への配慮よりも生き残り競争を正当化しているように思え、なんで日経が1月1日のトップにこんな主張をするのか、首をひねってしまいました。

 そしてさらに3面を見ると、「世界この先 サバイバビリティ」というコラムがあり、京大総長の松本紘氏の意見が紹介されていました。松本氏は「地球の気温も確実に上昇するだろう。持続可能性(サステナビリティ)を目指すといっても、成立しないのは明らかだ。だから私はサバイバビリティと言っている。地球だけの閉じた経済圏では、少なくとも百年以内に生存が厳しくなる。個人、会社、地域、国、世界のレベルで生存大競争の時代が始まっている」と考えているそうです。

 だから、「地球から宇宙に飛び出し」て、「宇宙で空間やエネルギー、資源の利用を競い合う時代」に備えよと主張されています。でも、そちらの方がむしろ成立しないのは明らかな気がするのですが... 

 1面の日経の主張は、おそらくこの松本氏の意見を参考にしたものであるのでしょうが、うーん、どうなんでしょうね。

 もしかしたら百年後、二百年後にはそういう世界が来るのかもしれませんが(僕はエネルギーや資源の制約を考えれば、そうはならないと思いますが)、たとえそうだとしても、まずは地球という閉鎖系の中で、いかに持続可能性に近づくかが目標であると思うのですが... はじめから「宇宙」というワイルドカードに頼るのは正直どうかなと感じます。

 おそらく今回の特集は、これまでのやり方はもはや通用しない。今はとても辛い時期ではあるが、この逆境を新しいやり方で乗り越える、そういうサバイバビリティが求められている。そういう励ましのメッセージなのだとは思います。

 しかし、個人にとっても、会社、地域、国、社会にとっても、サステナビリティが大前提であることは変わらないはずです。サステナビリティを前提に、そのためにどのような新しいやり方を生み出すのか、そういう方向に進むべきだと思うのですが、いかがでしょうか?

今日も読んでいただき、ありがとうございます。
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posted by あだなお。 at 23:59| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | 持続可能性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
拙ブログの方にコメントを頂きありがとうございました。私が感じた違和感と全く同じことを私より的確に表されていてなんだか嬉しかったです。
サステイナビリティを達成した者がサバイバビリティも達成できる、という考察、本当にその通りだと思います。
また、私はサバイバビリティ社会の到来にも違和感を感じます。競争はあって当然ですが、知恵ある人間なのであれば、そして基本的人権を重んじるのであれば、機会格差を最小化する社会システムの構築が必要だと思います。
Posted by Ekojin at 2009年01月03日 10:48
自分も同じことを感じました。ようやく全人的な治療に取り組めそうだったのに、大騒動が起こって慌てて外科手術に切り替えちゃった感じがします。
Posted by kosukekato at 2009年01月05日 17:37
あだなおさん、こんにちは。

ecojinさんのエントリーとコメントも拝見し、
とてもとても共感しました。
次の時代は「調和」とか、これまでにない組み合わせの「融合」が重要ではないかと思います。

記事にリンクさせていただきましたので、ご一読いただけますととてもうれしいです。
http://mayumignon.seesaa.net/article/112205872.html
Posted by mayumignon at 2009年01月05日 23:38
私は以前から、我が国社会が「自立国家としての持続性」の確立を目指すべきことを主張してきました。
http://foss-stock.org/
地球社会に暮らす67億人の内、10億人は飢餓にあえぎ16億人は貧困から脱却できないでいると言われています。地球社会として見る限り、この地球が「サバイバル」な状態であることは今に始まった話ではありません。
そこで、我が国の基本戦略としては、国際的には可能な限りグローバルな持続をめざし一方で我が国社会の自立的持続を図るといった政策を体系的に展開する必要があるでしょう。
Posted by hirarin at 2009年01月09日 18:34
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