2009年01月13日

他給率アップを目指しますか?

 東海道・山陽新幹線の車内誌「WEDGE」は、他のメディアとはちょっと違った視点で、問題にクサビ(wedge)のように深く切り込んだ記事が掲載されるので、いつも楽しみにしています。昨日読んだ1月号にも、なかなか刺激的な記事が掲載されていました。

 タイトルは「自給率UPだけで大丈夫? 農地争奪に出遅れる日本」です。どういうことかというと、地下水を汲み上げ灌漑し一時は小麦の自給率100%を達成していたサウジアラビアが、昨年1月に急遽方針転換を行い、これから小麦の買いつけ量を毎年12.5%ずつ減らし、8年後には自給率0%にするという政策を発表したのです。

 地下水が石油より先に枯渇する怖れが出てきたことと、原油価格が過去最高の今こそ方針転換の好機と捉えたのだそうです。判断の正否はわかりませんが、実に大胆な政策転換です。

 そして海外農業への投資拡大を行う決定をし、中東諸国はもちろん、タイなどアジア諸国の米作農地にまで手を伸ばしているというのです。周辺諸国がこれを黙って見逃すわけはなく、今や中東産油国は「オイル(油)をソイル(土)に」を合い言葉に、世界中の農地を争奪しているといいます。そしてついにこの動きは、中国にも飛び火したのだそうです。

 今後の食料事情を考えれば当然の戦略的行動とも言えますが、こうした動きが行き過ぎれば金で他国の主権や命を買い漁り、脅かすことにもなりかねません。日本の農林水産省は食料安全保障のためにはまず自給率を上げるのが先決との考えだそうで、公平性の観点から僕もそれでいいとは思いますが、WEDGEの記事はそれでは甘いとばかりに、「自給率を1%高めるには37万トンの米を余計に消費し、肉なら国産飼料の生産を370万トンも増やさなければならない。苦労して達成しても、食料輸入はいくらも減らない。未来の食を途絶させないためには、「他給率」のアップも同時に考えなければならない時代が来ているのではないか。」と指摘しています。

 なるほど「他給率」を高めるのも一つの戦略ですし、少なくとも食料を安定的に供給してくれる海外産地との信頼を強めることは必要なことです。しかしそれ以上に、食生活の無駄を省く、風土にあった合理的な食生活に回帰する、そういう本質的な努力が先だと思うのですが、どうでしょうか? そして何より農という生業を重視することが、虚業から実業へと方向転換するためにも欠かせない視点の一つなのではないかと思うのですが...

 やり方はいろいろと考えられますが、WEDGEが指摘するように、日本の政治や行政が長期的な食料戦略を描くことは難しそうです。明日の食をどう確保するか、この問題についても、各国の情勢も睨みながら、私たち自身が考え、決断し、行動することが求められているようです。

今日も読んでくださって、ありがとうございます。
皆さんは自給率、他給率、どちらを優先させますか?
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posted by あだなお。 at 23:59| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 食べ物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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