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■「黒川清のブログ」
「イノベーション」はしばしば技術革新と訳されますが、この本で意味しているのはそういう単純なことではなく、経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが提言した「創造的破壊」のことです。企業や社会が成熟すると、組織の必然として保守的になってしまう。これを中から破壊しなければ、組織は健康的に継続しない。だから創造的破壊が必要だという説(イノベーション・セオリー)です。
つまりイノベーション=技術革新ではなく、市場と人々の価値観や生活を変えるような社会的仕組みの変革まであって、はじめてイノベーションと呼べるということです。当然、旧来の仕組みに依存する既得権益者からは強い抵抗にあいます。
そうした抵抗をどう克服するのか。これまでの日本はいかにそうしたイノベーションが起きにくい環境にあるのか。そうした解説はなるほどと思いますし、また第5章の「イノベーションを起こすための20の心得」なども非常に役立ちます。
もっともこの辺は黒川先生のお得意の分野ですから、こうした指摘はそれほど驚くべきものではないのでしょう。むしろちょっと意外だったのは、グラミン銀行を例に挙げ、「社会不安を取り除く試みも、イノベーションの大事な使命の一つ」と指摘したり、会社は「新しい価値を提供して社会に貢献」するべきで、そうした努力や態度が、社会に責任を果たそうとしているという評価につながると喝破していることです。まさしく慧眼で、見える方にはなんでも本質が見えるのだなと感心しました。
さらに企業を取り巻く状況や、進むべき方向については、以下のように指摘されていますが、いずれも的を得たものだと思います。
「エネルギーや環境問題といった危機感を共有するいまの世界では、目に見えないこれらの価値が、大衆の無意識の要請(wisdom of crowds)に応え、企業の社会的責任を果たすために欠かせない」(p.135)
「人材への投資や社会的活動への多寡などが、企業価値の大きな比重を占めるようになってきている」(p.136)
「どのようなビジョンで何をしている企業なのかが問われている」(p.136)
イノベーションを進める理由、またそこで解決すべき課題としては、以下のように述べていらっしゃいます。
「イノベーションが一国の国際競争力の源泉であり、豊かな将来を約束する」。しかし、それは「従来型の閉じた豊かさだけではなく、地球環境破壊や気候変動、さらには資源獲得競争といった、人類共通の課題に対する対処が大きな命題として含まれる」。(p.104)
日本のより個別の課題について言えば、食料よりむしろエネルギーの自給率が重要で、気候変動だけでなく、再生可能エネルギー、食料政策を一つにまとめて国家ビジョンとして示すべき(p.147)であると。
おそらくこうした指摘は学術会議や内閣府総合科学技術会議などでも繰り返しなさって来たと思うのですが、それが政策としてなかなか実現しないところに、日本の抵抗勢力の大きさを感じてしまいます。
私たち一人ひとりについても、考えたり、行動したりする際のヒントになるような記述も多くありますし、「おわりに」に記されたグローバリゼーションの発展段階に関する整理も、現在の社会の発展を理解するために役立ちます。
出てからもう1年近く立ちますので、読んでいる方も多いかも知れませんが、もしまだの方がいらっしゃれば... これからの日本や私たち一人ひとりが進むべき道を考えるために、そしてうまく抵抗勢力の力をかわすためにも(笑)、ぜひご一読をお勧めします。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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今年の日本はひどい状況が続きそう。世界も極めて大変です。
日本が一方的に運命共同体的と思い込んでいるような存在のアメリカは、私が年の初めのblogでも書いてるように、オバマさんを選んだことで変わりはじめますね、時間はかかっても。これがアメリカの強さでしょう、内部から変われる強さを持っているのです。
当面は金融、経済、雇用などの国内の巨大な難題を抱えながら、アフガン -パキスタン、ガザ、中東など大きなグローバル課題へ多方面協調へ転換しつつ、一定の政策を打ち出すでしょう。国内では「グリーンニューデイール」を基本にエネルギー、環境問題へ大きく舵をとるでしょう。そのとき日本はどう対応していくのでしょうか。
日本はイノベーションを世界のリーダーとして作り出せるでしょうか、産業構造の転換が起こるでしょうか。
それにしても、世界の動き、変動は早い、大きいですね。世界にも、日本にも大転換期が来たように感じられます。
不勉強で「イノベーション」にピンと来ていませんでした。
あだなお。さんの内容紹介で急激に読んでみたくなりました。
読みます!
ブログは拝読したいたのですが。
この本、すごく、面白そうです。
ぜひ、読みます。