2009年01月28日

景観は誰のもの?

 今日、とても対照的にニュースがありました。一つは漫画家楳図かずおさんが新築した自宅の外観が景観破壊かどうかが争われた裁判で、東京地裁は「周囲の目を引くが、景観の調和を乱すとまでは認められない」とし、外壁を撤去するよう求めた原告の請求を棄却したというものです。
《参考リンク》
■「楳図さん宅景観乱さずと東京地裁 赤白ボーダー壁撤去不要」(47news、2009年1月28日)

 どこかの遊園地の中であれば良かったかもしれませんが、隣家と互いに密接するような住宅地の中で、この外観はないでしょう。個人的には今回の判決にはかなりがっかりしました。

 自分の土地、自分の建物であれば、どんなデザインにしても自由だろう。そんな利己的な考え方が、日本の住宅地のそこかしこに感じられるように思うのです。たとえ一つひとつはどんなに美しく、凝ったデザインであったとしても、周囲との調和や、地域での統一性がなければ、その美しさも半減どころか、下手をするとゴミ溜めのようにすら見えてきます。もったいないことです。

 一方、統一感のある街並みは、かなり年季が入って古びたものであっても、美しいですし、様々な負担をしても、残して欲しいと思えます。建物そのものは私的財であっても、その外観は公共財と言っていいのではないでしょうか。だとすれば、その扱いについても、個人の趣味や自由が無制限に適用できてはいけないのではないかと思います。

 
 他方、今日は景観に関して良いニュースも見かけました。日経新聞によれば、「東京都新宿区は4月から、区内を72の地域に分け、それぞれの地域の景観づくりの目標と方針を定めて建物のデザインや形、色を規制する」のだそうです。
■「新宿区、全地区に景観指針 建物のデザインや色規制」(日経新聞、2009年1月28日)

 景観に関するルールはこれまでも多くの場所でありましたが、その多くは古い街並みの残っているエリアや、駅周辺など、地域を限定したものでした。住宅地も含めて区内全域にルールを作るというのは、かなり画期的なことではないでしょうか。

 現在提案されている「新宿区景観形成ガイドライン(素案)」を見ると本当にすべての地区について詳細に記載されていて、力の入れようが想像されます。おそらくこれからもまだ議論は出てくるでしょうし、特にこれまで住んでいらっしゃった方からは「今さらそんなルールを押し付けられても」という声も出てくるのかもしれません。

 しかし、住民参加でみんなが納得できるルールを作り、美しい景観が出来れば、今まで以上に自分たちの住む街に愛着も湧くでしょうし、資産価値だって高まるはずです。そういう効果がもたされることを考えると、僕は持続可能な街には、景観ガイドラインが欠かせないと考えています。ですから、ぜひこの動きを、新宿から各地に広げてもらいたいと思います。
《参考リンク》
■「新宿区景観まちづくり条例」(新宿区)

 自分たちで話し合って、自分たちのルールを作って、他の地域にも、後世にも誇れるような、そんな街造りが日本中に広がることを願っています。古い街並みが残っている町があることを考えれば、日本にだって美しい街並みは作れるし、それを残すことにどれだけ意味があるのか、きっと理解できるはずだと思うのです。

いつもご声援、ありがとうございます。
皆さんはどんな街に住みたいですか?
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posted by あだなお。 at 23:59| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 暮らし・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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