しかし、そんな切羽詰まった状況に追い込まれなくても、日本の非正規雇用労働者がそもそもとても不安定で弱い立場に立たされていることが、問題なのです。非正規雇用が日本では本質的に低賃金労働であることは「「労働ダンピング」を食い止める」で紹介しましたし、実際にそれがいかに「安い」労働であるかは、「同じ仕事でも...」で具体的に紹介しました。
そして先週、厚生労働省が公表した「21世紀成年者縦断調査」の結果は、低賃金ということがいかに非人間的であるかを具体的示していて、ショックでした。この調査によれば、「結婚適齢期の男性で2007年までの5年間に結婚した非正規社員の割合は、正規社員の半分にすぎず、出産した女性の割合も非正規と正規社員では2倍近い差」があったというのです。
出典:「「非正規」男性、結婚難しく=出産も正社員の半分−厚労省」(時事通信、2009年3月11日)
■「第4回21世紀成年者縦断調査(国民の生活に関する継続調査)結果の概況」(厚生労働省)
給料が安くて結婚できないとはよく聞く言葉ではあるのですが、それがこうした具体的な数値となって示され、しかもその結果がこれだけハッキリしていると、改めてこの問題の大きさを感じます。
「食べるものに困る」状況になれば誰もが事の重大さに気づくのでしょうが、食べるものは何とかなるにしても、非正規雇用であるために結婚できない、子供ができないのであれば、これも十分に重大な問題です。ちょっとキツイ表現をすれば、人権問題であると言うべきかもしれません。
このように、少なくとも非正規雇用が日本社会の抱える大きな問題の一つであることは間違いありません。それではこのことについて雇用者である企業は、どのように答えるのか、説明するのか。今年の各社のCSR報告書の中味にはとくと注目したいと思います。
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