2006年01月21日

暗さの中で見えたもの

 熱帯の夜は突然に訪れます。ついさっきまで高かった太陽は、急にすとんと水平線に沈み、その後は一気に暗闇が広がってくるのです。西の空いっぱいを茜色に染めるような美しい夕焼けは、残念ながら熱帯では稀です。

 これは熱帯では太陽高度が高く、太陽は地平線に対してほぼ垂直に沈むからなのですが、もう一つの理由は、やはり人工の明かりが少なく、空が暗いからなのではないでしょうか。

 今週の月曜日、16日には、マングローブの中を流れる川で夕暮れを迎えました。ちょっと前まではギラギラと真夏の太陽が照りつけていたのに、気がつくと辺りは薄暗く、そしてひんやりとしてきました。

 ボートから川に飛び込むと、川の水の方が暖かく感じられます。そして仰向けになって天を仰げば、紺色に変わったそらには、既にいくつか惑星が輝いていました。

 その後、近くの川べりに浮かべた大きな筏の上で夕食。明かりはガスランタンのみで、その明かりが届かないところは真っ暗です。筏の淵にランタンを置いておくと、その明かりに誘われてイカが集まってきます。網ですくって、炭火で焼けば、おかずが一品増えました。小さなイカでしたが、その味の力強いこと。ハラワタごとがぶりと噛めば、口の中いっぱいに濃厚な甘味が広がります。
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真っ暗やみの中、ランタンの明かりにイカが集まります。

 さて、この日は十六夜。日没後、50分ほどすると月が出てきます。夕食を食べてお腹もいっぱいになって来たなと思っていると、次第に山の端が白んで来ました。そう、日の出ではなく、月の出なのに、明らかに空が白んで来るのです。今まで輝いていた星々も、どんどんと薄れてしまいます。

 そして、ついに真ん丸な月が出て来ると、その明るいこと、明るいこと。銀色に光り輝く大きな円盤のように見えました。月ってこんなに明るかったんですね。背後の山の輪郭はおろか、そこに生えている木の形までしっかりと見えるようになりました。ほかに何の明かりもない自然の中だからこそ感じられる、月夜の明るさです。

 暗くなると、川辺で見えてくるものがもう一つあります。水の中に手をいれて動かすと、一斉にキラキラと光るものがあります。夜光虫です。ここは川とは言っても海がすぐ近くにあり、かなり塩分濃度も高いので、夜光虫がたくさん生息しているのです。

 この夜は月が出るとかなり明るくなってしまいましたが、それでも水の中で手を動かすと、水中に鋭く青い光が一斉に煌めくのです。つい意味もなく、パシャパシャと手を動かしてしまいます。

 帰路、船着き場までのボートの中でも、波しぶきをじっと見ていると、その中をキラキラと輝く夜光虫が飛んで行きます。前に月のない夜に同じコースを辿った時には、波しぶき全体が白く輝くように見えましたが、今回はしぶきの中に、キラリ、キラリといくつか宝石が交じっているかのようです。

 こんな儚い明るさを楽しむことができるのも、暗さがあるが故なのですね。

今日も最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
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posted by あだなお。 at 22:21| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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自然の恵みと生態系
Excerpt: 到着翌日の夕方3時、僕らは「カヤックでマングローブ」ツアーに出かけた。中途半端な時間だなぁとも思ったが、良く考えるとここは熱帯、昼間の行動は慎むべきなのです。
Weblog: サステイナ
Tracked: 2006-02-17 01:01
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