CDMならぬ、GDMをご存じでしょうか? これはGreen Development Mechanism、すなわちグリーン開発メカニズムの略です。今月号の日経エコロジーの記事をお読みいただいた方もいらっしゃるかもしれませんが、そのGDMについて、いよいよ具体的な議論が進みつつあります。
背景を簡単に説明すると、生物多様性は特に熱帯域で豊かであることが知られていますが、そこは同時に経済的に今後ますます開発される場所です。しかし、資金や技術など様々な点で保全体制が十分とは言えません。特に資金不足は決定的です。
一方、生物多様性の恩恵は世界中で、いえ、むしろ先進国の方が多く利益を得ているかもしれません。だとすれば、先進国から途上国へと保全のための資金が継続的に流れる仕組みを作ればいい。そういう資金メカニズムがGDMです。具体的な方法については、日経エコロジー7月号の「生物多様性版『CDM』」(p.100)で紹介してありますので、そちらをご参照ください。
今日問題にしたいのは、その個々の方法についてではなく、資金メカニズムそのものについてです。実は生物多様性の保全のための資金メカニズムは、もうかなり前から必要性が叫ばれて来ました。「革新的資金メカニズム」とか、「市場メカニズムの導入」とか、呼び方はいろいろですが、いずれも考え方としては同じです。寄付やODAによる税金投入程度ではとても間に合わないので、便益を受ける人がきとんと保全コストも負担しよう。また、市場メカニズムを使った方が、保全が進展し、しかも経済合理的であろうというのがその理由です。
この考え方自体には僕も賛成です。市場メカニズムの導入と聞くと、ちょっと眉をひそめる方もいらっしゃる方もいるかもしれませんが、きちんとしたルールの下で市場メカニズムを使うのであれば、保全を推進する強力なインセンティブになるでしょうし、またそれが経済合理的に行われるようになるであろうことも魅力的です。
しかしここで気を付けなければいけないのは、そのルールがきちんとしていること。すなわち、本当に生物多様性が保全されるようなルールであること。また、特にその生物多様性を抱える国や地域、そしてそこに住む方々の生活も守り、メリットが確保されることです。これらが担保されない、まやかしのメカニズムではお話しにななりませんから。
そしてもう一つは具体的なメカニズムの制度設計が公平であることです。例えばこれまでのところ、GDMの制度に日本はほとんど参加していません。主にイギリスやオランダがリードしながら議論が進められていて、来年のCOP10のときにはかなり具体的な提案をする予定と聞きます。おそらくGDMの内容が具体的に決まるまではかなり時間がかかるでしょうから、COP10で決まるということはまずないと思います。ただ、既に議論が始まっている以上、なるべく早い段階でこれに参加する方が有利であることは当然です。
振りかえってみると、CDMの時には、いつの間にか仕組みが出来ていました。政治的な駆け引きで数値目標も決まり、その何年も後になって「そんなのは不公平だ」、「日本の経済を破壊する気か」と文句を言ってみても、それは後の祭りです。そうならないように、GDMはなるべく早い段階から、制度設計の段階から、きちんと議論に参加することが必要だと思います。日本にとって有利とまではいかなくとも、少なくとも不利にはならないように、公平で実効性の高い制度を目指す必要があると思います。
《関連リンク》
■「経済と生物多様性」(サステナブルCSRレター56号、2009年5月11日)
余談ですが、日経エコロジーへの寄稿は、編集部の方が「生物多様性版『CDM』/早めの議論参加で温暖化の轍踏むな」というタイトルを付けて下さいました。この2行にポイントが凝縮されていますし、読者へのアピール度もあります。さすがプロは上手いなと唸りました。
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2009年06月13日
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