■"A Global Surge in Tiny Loans Spurs Credit Bubble in a Slum" (13 Aug, 2009. The Wall Street Journal)
■"Microfinance Bubble Traps Poor in Debt"(13 Aug, 2009. newser)
このところのマイクロクレジットのブームで、次々にマイクロクレジットで借金を重ね、そこから抜け出せなくなる。最初の借金を返すために、次の借金をする。そんな多重債務がマイクロファイナンスの分野でも起きており、まさに「信用危機」が起きようとしているというのです。
たしかにこのところのマイクロファイナンスの急成長ぶりは、ちょっと異常なのかもしれません。この記事によれば、2007年度のインドのマイクロファイナンスの成長率はなんと年72%! インドの平均的な家庭のマイクロファイナンスからの負債額は、2004年の27ドルから2009年には135ドルへと5倍に膨れ上がったといいます。
135ドルなんて大した金額ではないと思うかもしれませんが、インドの貧しい方々は週数ドルで暮らしているのです。100ドルというのは、それに比べれば相当に大きな金額ですし、もともとマイクロクレジットの金利は実質年利24〜39%と高いのです。パンクするのは時間の問題です。
なんでこんなことになってしまったのかと言えば、「マイクロファイナンスは儲かる」と見た企業がこのビジネスに次々に参入し、緩い審査でどんどん貸し付け始めたからです。
借りる方も、当初は新しいビジネスを始めるための事業資金だったはずが、いつの間にかカラーテレビを買うのに使ったり、果ては前のローンを返すために、あるいは食費のためにと... 結局どこにでもある「普通の」の多重債務になってしまったのです。そしてここでも、信用危機は「作られた」ものでした。
「マイクロファイナンスなんてもう要らない。村から金輪際出ていって欲しい」という声も今や聞かれるのだとか... 当り前のことですが、安易な貸し付けが悲劇を生むのですね。せっかく「貧困をなくし、社会を変える」手段として成功しかけたモデルなのですから、当初の目的から外れないように、厳格なルールを適用して欲しいものです。
なお、この記事を書くためにちょっとネットを検索してみたら、そもそもマイクロファイナンスが貧困改善を裏づけるデータは存在しないという指摘もあるのですね。そして7月に出たこのNewsweekの記事の懸念、マイクロファイナンス・バブルは既に一部の地域では現実のものとなっているようです。
■「危ういマイクロファイナンス・バブル」(ニューズウィーク、2009年7月1日)
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グラミン銀行の成功例をテレビで見て、素晴らしいなと思っていましたが、結局のところ、また、バブルが・・・なんて、経済ってなんなのでしょう?「エコノミクス」の語源は、「共同体の在り方」という意味を持つギリシャ語の「オイコノミコス」にあるそうですが、人間の欲望とよく育った大脳によって、変節したまま、どこにいくのやら・・・といった気持ちになります。
お金が沢山なくても幸せな社会というのは、夢物語なのでしょうか。
コメントありがとうございます。
そうなんです。僕もビックリしたというより、ちょっとショックでした。
「自由主義経済」の方のバブルもそうでしたが、やはりルールが必要なのでしょう。自主性や市場に任せるというのは、言葉はカッコイイけれど、難しいことなのかもしれません。
でも、そうした最低限のルールがあれば、その中で、お金をたくさん持っていなくても幸せになれる社会というのは可能だと思いますよ。すべてが「経済化」されてしまうことが、問題なのだと思います。