2009年09月19日

未来の食卓は給食から

 遅ればせながら「未来の食卓」を見ました。とてもいい映画でした。メッセージが素晴らしいのみならず、南フランスの映像と音楽が美しい。しかし、その一見美しい景色の背景にある農家の方々を取り巻く現実には目を背けたくなりましたが...

映画『未来の食卓』

 2006年9月の新学期から、南フランスにあるガール県のバルジャック村で、学校給食をすべて有機食品(bio、ビオ)、そしてなるだけ地元産の食材に切り替えることが決まります。公立校3校、私立校1 校、200食の小さな試みです。

 しかしその後わずか一年で、子どもたちが、親たちが、そして村人たちが変わります。在来農法を続けている農家の方がまだ圧倒的に多いものの、有機農家と在来農家の対話も始まりました。

 映画の中の印象的なセリフをいくつかご紹介しましょう。
「オーガニックには費用がかかる、というが、人の命と健康の代償は一体いくらだ? 費用の事は心配しないでいい。相談相手は自分の良心、それしかない」エドゥワール・ショーレ村長

「今は消費システムの外にいるわ。前は、食べるのと買うのの繰り返しだったもの。今の世の中は食べ過ぎだわ。少し減らしても害にはならないわ」村の母親

「値段は少し高いわね。いつも行く店では種類が少なく選ぶ程量がないから、必要な分だけ買うわ。大きなスーパーに行くと必要以上に買っちゃうから、出費は変わらないわ。」村の主婦

「死んだ土で育った植物は不健康だから、農薬がいる。すべてはそこから始まっている」オーガニック農家

「食料関連の二酸化炭素を減らすには2つの方法があるといいます。一つは持続可能な農業に転換すること。有機農業はその最良のモデルです。もう一つは、肉の消費量を世界規模で削減すること。世界で生産される植物性タンパク質の55%は、家畜に与えられる。もしその55%の3分の1が我々の皿に盛られれば、世界の飢餓は克服できるだろう。飢餓のための遺伝子組換え食品は必要なくなる」環境問題専門医

「1年前は自然食に興味がなかったが、"協力してやろう"という気持ちで始めた。今の食事に何の問題もないよ。子供たちは"味"を覚え始めている。すべて自然食は難しいが、まずは気付くことだ」村人

「昔食べていたエスカロップは本物ではないんだ。...もうここでは出さないよ。オーガニックを続けると決めたからには、もう買わない食品があるんだ。個人的には後戻りしたくない」給食センター料理長

「ビオ(有機)とは?」村のおじさん 「自然のまま!」子ども

 それにしても羨ましかったのは、この村の小学校の給食の風景。大きなお皿に盛られたおしいそうな料理を、シェフのような白衣をまとった給食センターの料理係のお兄さんやおじさんが、子どもたちの皿によそいます。高価ではないけれど、ちゃんとした食器にカトラリー。もしかしたらフランスでも特別な風景なのかもしれませんが、いかにも「きちんとした食事」の風景なのです。
映画『未来の食卓』

 さらに圧巻は遠足のお昼。世界遺産の美しいポン・デュ・ガール(古代ローマ時代の水道橋)を背景、焚き火をたき、有機のパン、果物、茹で卵などを子どもたちに一つひとつ手渡す校長先生は、古代人がいかに水を大切にしていたかを切々と説き、水を尊敬することを忘れないようにと話します。この子どもたちはきっと、何が大切かを間違えない大人に育つことでしょう。

 日本語の題「未来の食卓」は希望に満ちていますが、フランス語の原題は"Nos enfants nous accuseront(子どもたちは私たちを告発するでしょう)"と不気味です。

 ジャン=ポール・ジョー監督は、「世界を変えていくには、子供達とそして、母親の役割が大きいと思います。母親というのは守る人だと考えています。父親はそれを助ける人で、実際生活を作るのは母親です。」と言います。しかしもちろん、母親だけでなく、子どもたちの未来を気にかけるすべての人に見ていただきたい映画です。

 ところで、日本も「オーガニック」や「有機」より、「ビオ」って言葉を使った方がもっと簡単に受け入れられるかもしれませんね。可愛いですもんね。

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映画『未来の食卓』


posted by あだなお。 at 23:40| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 本・映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あだなおさん、いつも興味深い記事をありがとうございます。久々に書き込ませていただきます。
いつでも「体に近いもの」の怖さは、大きな問題を考える時に心に直接訴える力がありますね。(これ、NGOキャンペーンの基本として教えられました)。フランスでのビオ食品の浸透には、ほんとにびっくりです。さすが食べることに情熱を持っているフランス人です! 最近日本とアメリカを行き来して気づいたのは、ヨーロッパの人たちは、「不便さ」(と多くの人が思っているもの)と引き換えに手に入るものをちゃんと評価して、自分の立ち位置やライフスタイルを守っている人が比較的多いように思いました。電車が時間通りに来ないということは、遅刻したときに言い訳としてしょっちゅう使える、とか(笑)。 たしかに、「ビオ」っていう方が、かわいいですし、理にかなってますね。オーガニック食品については、「何を持ってオーガニックとするか」ということがしきりに議論されますが、「ビオ」なら、感覚的にもわかる感じですね。
Posted by もみい at 2009年09月21日 13:40
もみいさん

こんにちは! フランス人って、たぶん味だけでなく、その味を作っている文化にもこだわりがあるんでしょうね。そういうこだわり、大好きです。

電車が遅れることが、そういう役立ち方をするのはちょっと予想外ですが...(^^;) そういえば、東南アジアでは、「渋滞で...」、「急に雨が降り出して...」というのをよく聞きます。これも不便さの効用?(笑)

さて、それでは日本で「ビオ」を流行らせましょうかね?
Posted by あだなお。 at 2009年09月25日 00:26
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