2009年12月02日

CBDビジネス会議終了

生物多様性とビジネス

 3日間にわたる生物多様性条約(CBD)のビジネス会議が終了しました。今回は僕は話しを聞くだけだったのですが、それでも連日朝から晩までの濃い話に加え、会議の後はホテルの部屋で日本の仕事の二本立で、なかなかハードでした(^^;) 

 会議については上のリンクからCBDのWebを見ていただくとプログラムが入手できますが、プログラムの構成を見ていただくだけでも大体察しがつくのではないかと思います。
「生物多様性条約 第三回ビジネスと2010年生物多様性への挑戦会議
 UNEPビジネスと産業のグローバル対話との共催」

<1日目>
セッション1 世界経済の復活に際して生物多様性のチャレンジ
セッション2 生物多様性に関するビジネス・ケース:業界ごとの最新動向
セッション3 産業ごとの詳細な議論
       A: 旅行業
       B: ラグジャリー&ファッション業界
       C: エネルギー
       D: 金融
<2日目>
民間企業の観点からの基調講演
昨日の分科会からのフィードバック
セッション4.1 ビジネスにおける生物多様性リスクを管理する
セッション4.2 生物多様性と生態系サービスについてのビジネスの影響、
       依存を測定し、評価し、報告する
セッション4.3 生物多様性ビジネスの創造
セッション5 生物多様性とコア・ビジネスに結びつける管理ツール
       A: 生物多様性オフセットとバンキング
       B: 基準と認証
       C: より良いビジネスに向けて:生物多様性ツールとその応用
       D: パートナーシップ

<3日目>
市民社会の観点からの基調講演
昨日の分科会からのフィードバック
セッション6 活動をスケールアップする
セッション7 課題を前進させる:ポスト2010
ジャカルタ宣言の採択
閉会


 このプログラムを見ていただければお分かりのように、企業が生物多様性の保全のためにこんな活動をやっていますよという報告ではなく、企業が生物多様性の保全にもっと取り組むための仕組み作りについての議論が中心でした。

 具体的には、サプライチェーンも含めて日々の業務の中で生物多様性への配慮を行う、生物多様性の保全そのものをビジネスにする、経済的メカニズムで生物多様性の保全を推進する、それを測定・管理・報告する手法など、いずれも一歩も二歩も突っ込んだ議論が行われました。

 日本ではまだ誤解の多い「生物多様性オフセット」はもはや当り前のことのように議論され、GDM(グリーン開発メカニズム)についてのサイドイベントもあり、COP10に向けての今後議論を深めていくスケジュールが確認されました。

 TEEBは先般発表になった政策者向けツールについて解説がありましたが、COP10以降、TEEBの研究結果を積極的に参考にしていくことが確認されました。

 日頃日本の企業の活動を中心に見ている目からすると、え、いきなりそんなとこまで行っちゃうんですか?と驚くこともしばしばでした。もちろんこれが世界の企業の平均点ではなく、あくまで先進企業のレベルであり、企業に対する期待の大きさの現れではあるのですが、そうしたレベルはかなり進んでいることは確かです。

 今回は日本からは経団連の自然保護協議会も参加し、この春に制定した「日本経団連生物多様性宣言」を紹介するなどしたのですが、参加者の方々は正直、ちょっと面食らっていたようです。自然保護協議会が設立された1992年の段階にこの宣言を出していたのであれば世界の最先端だったのに、残念ですね。

 また、スマトラ島のリアウでの泥炭林の開発で悪名高いAPRIL社が、「私たちはこんなに生物多様性に配慮している」と実に堂々とした発表をしたのにもびっくりです。グリンピースなどのNGOが問題点を指摘していましたが、そもそもこういう会議で基調講演をさせることがどうかと思ってしまいます。

 一方、誰もが素晴らしいと絶賛したのが、今日の朝一番で行われた、ZERIのグンタ・パウリさんの基調講演でした。バイオミミクリの実例をいくつも挙げ、生物に学ぶ新しい産業や製品を提案する、実に元気の出る話でした。話の内容だけではなく、メリハリのある、力のこもった話し方が会場の聴衆全員を惹きつけていました。実に惚れ惚れする講演でした。

 またその中で嬉しかったのは、日本の技術や企業のことがしばしば取り上げられたことです。グンタさんは日本にも何度もいらっしゃっていることは知っていましたが、こんなに日本びいきだったとは!です。講演の最後も、本田宗一郎さんの言葉を引用していました。

 ただこれには後日談(?)があります。グンタさんは日本のいろいろな企業で同じような講演をして「ぜひこういう研究を進めて製品化を」と提案して来たそうなのですが、いつも「話としてはおもしろいですけれど...」となかなか乗って来てもらえないのだそうです。もったいない話ですね。

 その他にも、世界中の「仲間」と再会し、お互いの仕事の進展や、これからの計画について話しをするのも、とても楽しく、また刺激に満ちています。ちょっと疲れましたが、非常に充実した3日間でした。明日は生態系サービスレビュー(ESR)の会議に出て、夜帰国の途に付きます。

 そうそう、今回の会議の成果の一つとして「ジャカルタ宣言(憲章)(Jakarta Charter)」が採択されました。最終版は今日の議論を反映させたものを現在事務局で作成中のようですが、草案はこの会議のWeb、あるいは以下のリンクからダウンロード出来ます(ただし、草案と最終版では、かなり内容は異なります)。
■"Draft Jakarta Charter on Business and Biodiversity"

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posted by あだなお。 at 23:59| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 生物多様性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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