2009年12月19日

COP15に集まった声

COP15は、削減目標は先送りという残念な結果に終わったようです。
「気温上昇を2度以内に抑える」という長期的な目標と途上国への資金支援額については一致。だが、最大の焦点だった温室効果ガス排出の削減目標の義務づけは、交渉決裂を回避するため、来年以降に先送りされる。
出典:「削減義務づけ先送り、途上国支援は合意へ COP15」(asahi.com 2009年12月19日)

 巨大な会議で、でこで何がどのように議論されているのか、なかなか見えにくいのですが、今回はTwitterの中継で、実に多くのプロセスをほぼリアルタイムに知ることが出来、非常にリアルな臨場感をもってこの会議を体験した気分です。

 そのことを可能にしてくれたのは、一つにはインターネットやTwitterという情報メディア、インフラであるのはもちろんですが、もう一つはその情報を発信しつづけた「人」の存在です。

 Saito Kenji(@ks91020)さんという方が、まったく個人的に行なったTwitterによる中継が素晴らしいものでした。本会議の様子を、日本語にして、伝えてくださったのです。以下のリンクから、そのタイムラインを見ていただくことができます。
@ks91020さんの発言

 あるいは、以下のリンクからは、Saitoさん以外の方々の分も含め、COP15関係の日本語のリンクを読むことができます。
#COP15ja

 なるほど、こういうプロセスで議論されているのかということがよくわかりました。少なくとも、本会議場で公開で行われているプロセスは民主的であったように思います。

 そして特に印象的であったのは、ふだん意見を聞く機会がほとんどない、途上国の代表の方々の声です。今回は120近い国や地域の首脳が集ったので、実に多彩であるのに加え、特に途上国においては、気候変動が既に本当に切実な脅威になっているということです。

 日本でもよく気候変動のことを「喫緊の課題」などと言いますが、本当に切実に受け止めている人たちはどのぐらいいるのでしょうか。しかし、途上国の方々の切実な声は、本当に胸にグサリと来ます。こうした国々の代表者の意見が聞けることだけでも、COP15はやはり意味があったのだと思います。

 以下ちょっと長めですが、悲鳴にも似た、各国の声明をお読み下さい。(これでも一部の抜粋です)
イギリス「環境に関する最も大きな国際会議で、最も高い目標を掲げるために来ました。富める者と貧しい者が戦うのではなく、協調するのです。科学はごまかせません。極端な気候は、新たな貧者を生みます」

ガボン「産業革命の始まりには、この工 業化の道が、こんな未来を用意しているとは誰も想像できませんでした。人類全体の野心的な決断のときです。人類の 5/6 以上が気候変動による被害に苦しんでいます。人間的でない生活を暮らさなければならないような状況を回避したい」

ガボン「わが国のような国がコミットし ているのに、他の国がコミットできないなどということは理解に苦しみます。コストがかかる?今、対策しなければ、20年後には、もっと大きなコストがかか るのですよ。気候変動は、オプションではありません。立ち向かわなければならない」

キリバチ「我々を襲う脅威の真の意味を考えてください。 消極的な意見を聞くこともあります。しかし、この2日間での我々の行動がすべてを決めます。生存のために決断しましょう。気候変動の科学は明確です。時間は残されていません。今、行動しなければなりません」

モンゴル「海面レベル上昇、気候変動の様々な例が起きています。四季が分からなくなってきています。気候変動は、生活様式を変え、自然との調和を乱しています。気候変動は、気候による虐殺になろうとしています。この問題を友に解決したい」

ナミビア「洪水が毎年起きています。インフラストラクチャの整備が必要とされています。国際的な協調パートナーによる確約された資金援助と技術支援を欲しています。災害により貧者が生まれるのを阻止するブログラムの実行が必要です」

モーリシャス「気候変動は、ほぼ富める国により生み出され、ほぼ、貧しい国を襲っています。イギリス首相の資金援助の提案を歓迎します。しかしその少なくとも 10% は小さな島々のために使ってください。火星探査機の映像を見ましたか?地球と火星を比べてください」

モーリシャス「火星は、荒れた砂漠の星だ。だが、火星にも水があったと言われています。だから、火星は、私たちの未来なのかも知れませんよ。再生可能エネルギーに向かいましょう。化石燃料に代わる燃料を我々は作れるかも知れない。それには技術が必要です」

モーリシャス「わが国に、自然資源のない、国民だけが資源の、小さな、わが国に、化石燃料への依存をやめられるなら、他の国にできないわけがない。将来の人類の文明を、リエンジニアリングしましょう」

ボリビア「地球がなければ、人類は生きられません。母なる地球を守らなければ、人類は守れないのですよ。地球は母です。聖なる存在です。売り飛ばすことはできない。西側の世界とは大きな違いがあります。資本主義から、母なる地球を解放しましょう」

ボリビア「母なる地球の権利を守り、母への負債を返さなければならない。母なる地球の権利を認識しないのであれば、我々全員が罪を犯すことになる。工業国が温室効果ガスで占拠した空間を戻さなければならない。途上国には、その空間が必要なのです」

ボリビア「人類の、半分ではなく、全員 を救う必要があります。生き方に大きな違いがあるから、ここでは合意が得られないという話を聞いた。アメリカと自由貿易の条約を結んだが、自由貿易ではな い。自由植民化だ。資本主義を倒すことでしか合意はない。首長ではなく人々の声を聴け

イラン「資本主義と自由経済。それを支えるエネルギー資源の独占は戦争の原因です。アメリカは、世界の人口の 5% しか占めていないのに莫大なエネルギーを使っている。先進国が 85% のエネルギーを使っており、それが環境問題を生んでいる」

イラン「このまま続ければ、人類が地球上から消えるのは目に見えています。人道主義に戻りましょう。神は差別を許しません。我々にはチャンスがあります。森林を、水を、他の資源を持続可能に使いましょう。世界によりよい環境を。幸福と福祉のための WG を作りましょう」

イラン「人間の尊厳に基づいた新しい経済を定義しましょう。アフガニスタンで、イラクで、莫大なドルが戦争のために使われています。それよりずっと少ない資金で、環境問題に取り組むための新しい技術を開発できるのではないですか」

ブラジル「温暖化への対策は、集合的な活動でなければなりません。50% の削減を 2050年までに。ここコペンハーゲンには、より野心的なターゲットを狙う必要があります。この会議はゲームではありません。カードを隠すゲームではない」

ブラジル「途上国も緩和のための努力を払わなければなりません。エネルギー生産方法の転換をわが国も図ります。駆け引きをするために言っているのではない。私たちのコミットメントなのです。適応は、アンフェアなことに、特に小さな島々にとって、大きなチャレンジです。」

フランス「科学者は、我々に、何をすべきかを教えました。そして、我々が、それができる最後の世代だということも。失敗は許されません。これは温暖化のシンポジウムではありません。我々は、ここに、決断を下しに来たのでしょう。真摯に交渉しましょう」

セントキッツ・ネイビス「わが国は世界で最も小さな国のひとつです。温室効果ガスの過剰な排出により、国々の国土が消えようとしています。温暖化がわが国のような小国に与える経済的影響は破壊的です。公正に、技術的支援を要請します。法的に拘束力のある合意を」

ガーナ「気候変動が脅威であるか、議論をしにここに来ているのではありません。もはやそれは事実です。政治リーダーとして、その状況下で、今、生きている世代、そして次の世代が、生き続けられる世界を作るための選択をしに来ているのです。この惑星に予備はありません」

パプアニューギニア「広大な自然が維持されるなら、我々の文明は1,000年も持続して行けるでしょう。しかし、今は次の世代にさえ大きな脅威があります。国際的な努力。REDD+ が必要です」

キューバ「ベネズエラとボリビアの大統領が、気候変動の真の原因と、その対策について述べました。1992年、リオデジャネイロでの会議でカストロは言いました。生態系の破壊は過剰消費文化が原因であり、変化が必要である。それから20年、気温は上昇し続けています」

ガンビア「緩和と適応の目的で、特に貧しい国々、脆弱な国々、小さな島々がアクセスできやすい、確約された基金を。海面上昇により我々の首都は沈むと予測されています。生存の危機が我々にもあります。明日、平等で包括的な、資金の約束を含む条約に締結しましょう」

リベリア「わが国は小さな国です。気候変動にはほとんど何の影響も与えていませんが、破壊的事象により大きな打撃を受けています。海面の上昇が、我々が利用できる水資源を減らしていますし、領土が少なくなっています。無くなる土地には 50% の人民が住んでいます」

スイス「同じことを何度、言うのでしょうか。今が発言ではなく行動の時であることを、みなが合意しています。しかし、我々は発言を続けています。ここは国連なのか、それとも語り場ですか。存在意義の質問です。食料と水、戦争と平和、生と死に係わる問いです」

ジャマイカ「コペンハーゲンを歴史的なターニングポイントにするために来ました。国家には多様な問題があることを理解しています。しかし気候変動は、国境を気にはしませんし、経済状況も気にしません。無関係に無差別に破壊的な影響を与えます」

エクアドル「途上国は、受動的喫煙者のようなもので、他者の行為によって被害を受けています。先進国には、歴史的な環境的な負債があるのです。平等をもたらす判断をしましょう。1.5℃以下の上昇に抑えましょう」

ニカラグア「強欲に基づく消費活動を助長する資本主義が過剰な温室効果ガスのの排出の原因です。元々政治・経済的な問題なのです。現在の取り組みは、炭素バブルを作り出し、利益を出すかも知れませんが、ちっとも地球のためにはなりません」

パキスタン「これだけのリーダたちが集まり、合意もなしにコペンハーゲンを去ったとしたら、なんと落胆すべきことでしょう。世界はそんなことは望んでいないはずです。気候変動は生存の危機であり、わが国でも第一の問題です。食料の問題があります」

レソト「わが国の食料とエネルギーの生産性が落ちています。利用できる水も少なくなってきている。植林を続けています。大規模な対応には資金と能力育成が必要です。京都議定書の維持が必要です。COP15は貧困対策と持続的開発に向けた公平な結論を出さなければならない」

ナイジェリア「この会議は失敗するには大きくなり過ぎました。過去200年間の人類の開発の歴史を問い直すときです。汚染する者は支払わなければならない。すべての国がそれぞれの責任を負います。大きな外的干渉がなければ、アフリカの飢餓と貧困は永遠に続きます」

デンマーク「化石燃料からの 100% の離脱を宣言します。それはロケット科学を必要とするような難しいことではありません。来年、その方法を発表しますが、政治的な決定はすでに下されています。デンマーク国民にとって、この夜は、記憶に残るでしょう」

ブータン「わが国の自然を保つために、大規模な観光や農業における化学物質の利用を避けてきました。そのために経済的な機会が失われてきました。この世代は、後に続く世代のための決断を行う責任を持っています」 (輻輳ひどいです)

ベルギー「科学者は警告しています。我々の文明もまた、命に限りがあることを。現実の世界は有限です。単一の法的な道具をもって、長期的な環境的な適応を、2050年までに少なくとも 50% の排出削減を」

パナマ「過去数日間、非常に重要な気候 変動の問題について議論してきました。次の世代が、なんと素晴らしい判断をしたのだろうとこの会議を振り返るようになることを望みます。生態系が破壊され ています。キャンペーンではありません。本当の脅威です。過去10年間が最悪なのです」

イエメン「気候変動は、もはや予測では ありません。現実です。強烈なサイクロン、雨、途上国の方が、資源と能力の不足により、大きな影響を受けます。洪水が、人々の家を、学校を失わせました。 山の多い土地ですが、これほどの洪水は経験したことがありません。同時に干ばつも」

キルギス「率直に申し上げましょう。この惑星の未来を決める会議が今、行われているのです。気温が上昇し、氷河が溶けています。利用できる水資源が減っています。長年、交渉してきました。ネパール政府とも一緒にです。能力開発、適応と緩和、技術移転が必要です」

そして最後に、Saitoさんご自身が選んだベストの声明2つを。
私が選ぶベスト声明2位: モルディブ「私にはふたりの娘がいます。私は、孫を見たい。見られなくなるかも知れないのですよ。これは、お金の問題ではない。お金の問題だと思うのは思い上がりもはなはだしい」

私が選ぶベスト声明1位: パプアニューギニア「温暖化の影響を反転するために、森林の価値を高めましょう。Google は今、大きな価値があるようですが、明日、消えたところで、人類のほとんどは気づきもしません。森林は違います」
 Saitoさん、中継、本当にありがとうございました。そして、お疲れ様でした!

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posted by あだなお。 at 02:43| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 心に響く言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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