2006年04月05日

誰がゾウを殺したのか?

 インドネシアのスマトラ島では、住み処を奪われたゾウと住民の衝突が多発しています。WWFの報告によれば、リアウ州に生息するゾウは今や350頭、わずか7年前に比べて半減したと言います。森を奪われたゾウは村に出没し、農作物を荒らし、ときには民家を破壊します。住民たちは生活の基盤が失われることはもちろん、生命さえ脅かされ、ついにゾウを殺傷するという悲しい例も報告されています。

elephants.jpg
スマトラ島リアウ州で先ごろ発見されたスマトラゾウの死体。6頭が毒殺された。
出典:http://www.wwf.or.id/index.php?fuseaction=news.detail&id=NWS1141377494&language=e

 なぜこのようなことが生じたのかと言えば、未だに熱帯林の伐採が止まらないからです。2004年から2005年のわずか一年で、リアウ州では20万ヘクタールもの森林が伐採されたと言います。その原因は、紙の原料となるアカシアやパームオイルを採るためのアブラヤシなどを植林するためなどに、天然林がモノカルチャーに転換されるのです。

 このように生物多様性の豊かな熱帯林が伐採されているにも関わらず、製紙会社の中には「持続可能な紙パルプ資源を得るために植林した」というところや、洗剤メーカーの中には「地球にやさしい植物性の原料を使用」と謳っているところもあります。

 この問題は以前にも「持続可能なパームオイルを目指して」の中でご紹介しました。私たちが日ごろ大量に使っているパームオイル(食品用の植物油や、石鹸の原料です)や紙の生産が原因でゾウが住み処を奪われているのだとすれば、私たちにも無縁の問題ではありません。私たちが使っている油や紙が原因で、ゾウが殺されたのかもしれません。

 以前ご紹介したボルネオ島の例では、この問題に気がついたサラヤさんなどは、ゾウを救出したり、さらにはもっと本質的な解決を目指して、保全地域作りなどを進めています。

 しかし、残念ながらそうした配慮はまだ一部の地域に限られています。何が本当に環境に優しいのか、持続可能なのかを判断するためには、原材料の調達課程まできちんと遡って考えることが必要です。

 《参考URL》
■多発するゾウと住民の衝突 〜インドネシア・スマトラ島より
http://www.wwf.or.jp/activity/forest/news/2006/20060328.htm

■Riau's Elephants: 2006 Tragedy
http://www.wwf.or.id/tessonilo/Default.php?ID=926

今日も読んでくださって、ありがとうございました。
今日の記事が役に立ったら、あるいは面白かったら、人気blogランキングへの投票をお願いします。
banner_04.gif応援してくださる方は、Click me!

posted by あだなお。 at 13:38| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(2) | 生物多様性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

獣害対策の差
Excerpt:  これって、インドネシアにおける獣害と言って間違いないと思いますが、その対策が毒殺というのは日本との大きな違い。
Weblog: 鯵、環境民俗学ヲ嗜ム
Tracked: 2006-04-05 21:11

ライオンの洗剤CM
Excerpt:  ライオンの洗剤「新トップ」のTVCMで、オイルパーム(アブラヤシ)プランテーションを大写しで、環境にやさしい原料と宣伝しているらしい。熱帯雨林を破壊して作られたプランテーションのオイルパームを原料と..
Weblog: 激弱ブログ
Tracked: 2006-04-09 00:18
Google
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。