2010年09月23日

飽きない味、飽きない街

 これまで海外というと、仕事でもプライベートでも東南アジアが圧倒的に多かったのですが、去年、今年となぜかわりとフランスと縁があります。というわけで(?)、先週は一週間パリに出張してました。

 月曜日は、先ほど22:50までNHK BS1で放映されていたPROJECT WISDOMの「生き物を守る"コスト"は誰が払うのか 〜途上国 vs 先進国〜」にビデオ中継で出演。別に演出というわけではないのですが(笑)、たまたまスケジュール上、こうなってしまったのです。

 翌日火曜日から木曜日までは、ビジネスと生物多様性オフセットプログラム、通称BBOP(Business and Biodiversity Offsets Program)のアドバイザリーグループの会合でした。生物多様性オフセットの国際ルール作りのために、原則、判断基準(criteria)、指標(indicator)作りの作業と、途上国に制度を導入するためのコンサルテーションが中心でした。日本からは僕を入れて4人が参加。企業からの参加者も2社あり、日本の企業の間でも少しずつ関心が高まっているのだと思います。

 しかし、もっとすごいのは途上国で、今回はアフリカとアジアからそれぞれ3ヶ国、計6ヶ国が参加。いずれも関係省庁の担当責任者で、これらの国へ生物多様性オフセットのプログラムを導入するための準備が始まっているのです。このまま進めば、これらの国々では、日本より早く制度が導入されるでしょうね。
 
 さて、ホテルに終日缶詰めとは言え、パリで会議だと嬉しいのは、食事がおいしいこと(笑) 朝食のパンとカフェも、コーヒーブレークのプティフールも、いちいちおいしいので、ついつい食べ過ぎてしまいます。もちろん夜もゆっくり食事を楽しみ、最後はフロマージュにデゼール... かなりカロリー過剰です(^^;)

 しかし、おもしろいのは、食べ物はおいしいし、いつもたっぷりなのですが、その内容はおそろしく保守的であることです。朝食のパンだったら、クロワッサン、パン・オ・ショコラ(チョコ入りのパン)、バゲットなどといつでも、どこでも、ほぼ決まっています。街中にたくさんあるブーランジェリー(パン屋さん)の店頭にもおいしそうなパンやケーキがたくさん並んでいますが、どこのお店でもバリエーションはほぼ同じ。食事も店によって若干の違いはあるものの、メインの料理などはほぼ同じ。

 もちろん味つけやプレゼンテーションは店毎にまったく異なるので十分楽しいのですが、日本のように変に凝った、不思議な新メニューは、あまり登場しません。保守的、頑固、変化が嫌い。ネガティブに捉えることもできるかもしれませんが、奇を衒ったりしなくても、完成度が高く、時代を超えた価値(おいしさ)に対する自信があるのだとも言えるのではないかと思います。

 一つひとつがおいしいことや、毎回時間をかけてたっぷり食事を楽しむことを見ていれば、食に対する興味が高いことは間違いありません。しかし、求めるものの方向性が、新しいもの、変わったもの、ではなくて、今までと同じでいいので、変わらぬ良いもの、なのでしょう。そして実際、同じようなメニューでも、決して飽きを感じることはありません。

 これは食べ物だけでなく、町の景色についても同じことが言えるように思います。ご存じのように、パリの街の中心部は、この百年ぐらい、あまり変わっていません。もちろんガラス張りのモダンな建物もいくつかはありますが、建ててから二、三百年という建物も少なくありません。その間に、電気を使うようになり、今やインターネットや携帯電話のネットワークも張り巡らされているのですが、電信柱やアンテナの類はほとんど目に付きません。建物の中は大幅に手を入れてリノベートしてあっても、公共の財産である建物や街の景観は、新しくするよりも、完成された、古いものを守ることに意味があると考えているのでしょう。

 そしてそのことが、フランスの観光客数世界第一位を揺るがぬものにしている一因であることは間違いないでしょう。翻って、東京に戻ってきて見れば...  統一感のかけらも感じられない、色と形の不協和音だらけの街並みに、毎度のことながら溜息が出てきます。一つひとつの建物は随分立派なものや、凝ったデザインのものあります。そしてもちろん、建物の新しさという意味では、圧倒的に新しいものばかりです。なのに、美しさやアイデンティティがまったく感じられない街並み.... かたや時間を経るほどに価値が高まるのに、かたや生まれたときがもっとも輝いていて、あっという間に価値は低下。同じお金をかけているのに、もったいないことです。

 食べ物も、珍しいもの、新しいものはたくさんあっても、しみじみとおいしいものは案外限られているのではないでしょうか。安いもの、珍しいものは、はじめのうちこそ人を惹きつけられるかもしれませんが、すぐに飽きられてしまいます。しっかりとした中身のある、きちんとした食べ物は、用意するのに手間もかかりますので、それなりの費用もかかります。しかし、その普遍的な価値はなかなか色褪せることはありませんし、その中でさらに深めていくという愉しみもあります。本当は日本人は、決められた枠の中でとことん突き詰めていくということが得意だったのではないかと思うのですが...

 変わらないけれど、飽きさせない。そのためにはどうしたらいいのか? 持続可能性を考えるのに、そんなことがヒントになりそうな気がしました。

今日も最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
よろしかったら、応援のクリックをお願いします!
おもしろかったらクリックを! Click me!
posted by あだなお。 at 00:50| 東京 ☔| Comment(1) | TrackBack(0) | ヒント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
BS拝見しましたよ。
なかなか面白い番組でしたね。
驚いたのはThird World Networkの代表者の方が
割合落ち着いた、理路整然とした話をされていたことです。
ヴァンダナシバ氏のヒステリックなコメントとは
対照的でした。
Posted by アジケト at 2010年09月24日 11:44
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
Google
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。