2010年11月23日

各国は名古屋議定書をどう見たのか?

 名古屋議定書が採択されたことやその中身について、日本以外の国はどう見ているのでしょうか? 予定より随分と遅くなってしまいましたが(^^;)、ご紹介しましょう。

 インド第二の英字紙であるThe Hinduは、「名古屋議定書はインドの大勝利」という大きな見出しを掲げました。インドは次のCOP11の開催国であると同時に、生物多様性が特に豊かな世界で17のメガダイバーシティ国家の一つでもあります。そのインドのジャイラム・ラメシュ環境大臣は、派生物と病原体がABSの一部であることが認められたことはインドの大勝利だ語っています。そして世界最大の遺伝子資源の利用国である米国をこの枠組みに組み込むことが、2012年のCOP11の最大の目標だとしています。
出典:"Nagoya Protocol, a big victory for India"(The Hindu 2010/10/31)

 それでは、先進国はどうでしょうか? BBCは採択が行われた直後に配信された記事の中で、「ABSはEUにリードされ、いくつかの重大な譲歩の結果、解決された」と報じています。特に「専門的には派生物と呼ばれる遺伝子資源から得られたすべてもの(anything)をカバーする」ことになったことを強調し、これは以前よりずっと範囲が広がって合意されたと報じています。
出典:"Biodiversity talks end with call for 'urgent' action"(BBC 2010/10/29)

 もっといろいろとバラエティのある意見を紹介しようと思ったのですが、実は名古屋議定書について詳細に報じている海外メディアは案外限られていました。そこで、COP10の間、毎日議論の進展を報じてきた"Earth Negotiations Bulletin"のCOP10 Final号の記事をご紹介しましょう。
 ENBでは、名古屋議定書は「創造的曖昧さの傑作」(“masterpiece in creative ambiguity)であると評し、様々な問題を解決するのではなく、バランスの取れた妥協を提案してどうにでも解釈できる短くて一般的な提案を行ったので、実施が難しいだろうとしています。そして、派生物の問題については、途上国が提案してきたように広い解釈ができる一方、それが利益配分の義務の対象であると明示していないことを懸念しています。時間をかければもっと良い成果は出来たかも知れないが、時間がかかりすぎることで議定書が完成できなくなってしまうリスクを避けたのであろうという分析です。後は暫定委員と各国による実施時の問題になるが、それはかなり困難なものになるであろうと予測しています。

 そのようなわけで、やはりかなり解釈の幅のある議定書と言えそうです。僕なりの解釈は近々ECO JAPANの「COP10の歩き方」に番外編として掲載予定ですので詳しくはそちらをご覧いただきたいと思います。

 そして最後に一言だけ付け加えておきたいのは、一部のメディアが報道したように「(広義の)派生物が含まれない」ということはあり得ないということです。むしろ合意の曖昧さを盾に、資源提供国はこれもあれもみんな利益配分の対象だと今後さらに主張してくる可能性が増えると考えられます。結局は個別交渉でどう合意するか次第ですので無闇に警戒する必要はありませんが、自分たちにとって都合のいい解釈だけをしていると痛い目にあうかもしれません。その点だけは、十分に注意した方が良さそうです。

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posted by あだなお。 at 20:34| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 生物多様性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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