2011年04月05日

これ以上の危険をなくすために

 この数週間というもの、私の頭の中のかなりの部分が東電原発事故のことで占められています。この事故が私たちの未来にきわめて重苦しい影を投げかけ、そして既に現実的な重荷を負わせているからです。少なく見積もっても福島原発の周囲数十キロは、これからかなりの期間、住んだり農業などを行うことはおろか、人間の立ち入りすらできなくなるでしょう。

 もしこれ以上事故が悪化することがあれば、最悪の場合には東京も含めて日本のかなりの部分に人が住むことができなくなってしまいます。そこまでいかなくても、5年後、10年後には、ガンの発生率が高くなったり、子どもの成長障害が起きるなど、深刻な健康被害が出てくるでしょう(つまり、「直ちには健康に被害があるわけではない」のです(苦笑))。

 事故がこれ以上深刻なものにならないように、そしてなるべく速やかに収束するように(それでも専門家は、廃炉の処理が終了するまでには数十年かかるであろうと予測していますが....)願いますが、私たちは専門家ではありませんし、現場で作業をしているわけでもありません。私たちができることは、残念ながら、ただ祈るだけです。

 では、私たちはできることは何もないのでしょうか? いえ、そんなことはありません。事故そのものについては何もできなくても、これから起きる被害を最小限度に食い留めるために、私たちにできることが少なくとも二種類あります。

 一つは、自分と家族の健康、安全を守ることです。正確な情報をもとに、避難や放射能に対する防御を行うことが重要なのは言うまでもないでしょう。ただ、正確な情報とそれをどう判断するかについてはかなり注意が必要です。

 もう一つは、これ以上、原発による危険性を社会の中で高めないこと。要は脱原発を進めることです。具体的には、相対的に危険性が高い原発は速やかに停止し、それ以外のものもなるべく早い時期、できれば数年以内、長くてもも10年ぐらいの間に停止することです。これは夢や絵空事ではなく、今の東京で行っているような省エネと、再生可能エネルギーへのシフトを全力で行えば実現できることです。

 私たちが原発のオペレーションの鍵を持っているわけではありませんが、消費者として、市民として、企業人として、原発の存在を許さない。それであれば私たちにもできますし、これ以上この危険や不安と同居しなくてもいいようにするためには、今このことをしなくてはいけないのです。

 そしてそれは決して難しいことではありません。本当は電力が自由に選べればいいのですが、今の日本の法律や制度ではそれが許されていないので、まずそこから変えていく必要があります。脱原発と電力自由化を明確に掲げる候補者を議会に送り込み、そうでない人は支持しなければいいのです。また、自宅で太陽光発電をしたり、自然エネルギーを使えるようであれば、そちらにシフトすることも考えられます。

 企業であれば、市民よりは若干自由に電力を選ぶことができます。まず何より自分たちで発電をすることができます。そのことは、震災などの大規模な事故や、今後しばらく続くであろう電力不足に対する備えにもなります。

 こういう話しをしたときに必ず出てくる質問は、原子力が使えなくなると、必要な電力が賄えなくなるのではないか、産業が止まってしまうのではないか、日々の生活が営めなくなるのではないかということです。しかし、それは誤解です。

原発がすべて止まっても、電力不足にはなりません。
 いま、大規模な電力不足が起きているのは、火力発電所もダメージを受けたり、休止中の火力発電所がすぐに再開できないからです

原発は安くもないし、持続可能でもありません。
 けっして未来永劫にわたって利用可能な夢のエネルギーではありません。

原発は安定的なエネルギーではありません。
 今回のような事故が起きれば、修復もバックアップも困難です。いえ、それだけではなく、そもそも普段から出力調整すら困難であり、そのために深夜に大きな電力需要を作り出さなくてはいけないなど、本末転倒のことすら引き起こしています。

原発は環境に優しくありません。
 発生する熱の1/3だけを発電に使い、残りの2/3は自然界に放出しています。たとえ事故が起きなくても、環境を破壊する発電方式と呼ぶべきでしょう。

原発は人に優しくありません。
 通常のメインテナンスや清掃作業のためだけでも、1基あたり毎年数千人以上の方々が被曝しながら働いています。日本全体では既に数十万人もの被曝労働者を産み出し、ガンや原因不明の病気で死亡したり、後遺症に悩んでいる人も多くいると言われています。

 私たちは原発に関してあまりにも正確な情報から遮断されており、「安全だ」「原発しかない」と信じ込まされています。しかし、安全であることが幻想であることが今回わかったように、原発しかないということも事実ではないことを今知る必要があります。

 実際、今すぐに原発を全面的に停止するというのは難しいにしても、危険なものから停止し、早急に安全なエネルギーへ、持続可能なエネルギーへシフトするのは十分に可能なことです。なにしろ、日本は毎年23兆円もの燃料費を払っています。石油、天然ガス、ウランなど、ほとんどが海外に対する支払いです。これを国内で作られる再生可能エネルギーにシフトすれば、日本国内に多くの産業と雇用が生まれ、むしろ私たちはもっと豊かになることすらできるでしょう。

 なぜそれができないのか? なぜ、原発は安全であり、それしかないと私たちは信じているのか? それは今の原発が巨大な利権構造になっており、そのおかげでおいしい思いをしている人が、様々なところにいるからでしょう。彼ら自分たちにとってメリットのあるこの仕組みを維持するために、マスコミまで取り込み、徹底的な情報隠蔽、情報操作をしてきたのです。もちろん今もそれは続いています。そのことによる圧倒的な情報不足が、市民はもちろん、企業人も判断ができなくなってしまっているのです。

 詳細については明日以降また書いていきますが、今日のところは、私たちにできる二つのこと、それだけもう一度確認しておきたいと思います。

1. 正確な情報を入手して、自分と家族の健康・安全を守る
2. これ以上の危険を高めないために、脱原発を進める

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posted by あだなお。 at 11:49| 東京 ☀| Comment(5) | TrackBack(1) | エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも、貴重な情報をありがとうございます。総意にまったく異論はありません。
しかしながら冒頭の

少なく見積もっても福島原発の周囲数十キロは、これからかなりの期間、住んだり農業などを行うことはおろか、人間の立ち入りすらできなくなるでしょう。

最悪の場合には東京も含めて日本のかなりの部分に人が住むことができなくなってしまいます。そこまでいかなくても、5年後、10年後には、ガンの発生率が高くなったり、子どもの成長障害が起きるなど、深刻な健康被害が出てくるでしょう(つまり、「直ちには健康に被害があるわけではない」のです(苦笑))。

というくだりはかなり誇張されていませんか?ここ数週間、御用学者の言うことは信用ならないという話もたくさん耳にしますが、最も危惧するような状態になったら、「日本のかなりの部分に人が住むことができなくなってしまいます」というのは、どういう最悪を想定しているのでしょうか?何かお調べになった上での発言でしょうか。そうであれば、ソースを教えていただけないでしょうか。

多くの方が不安に思っていることについては、科学的な裏付けをいただきたいです。福島の退避地域は早急に長期化に対する対応をすべきとは考えます。それは多くの研究者たちもそういい始めています。

下記にはグリーンピースや原子力と関係ない学術団体の投稿も紹介していましたし、今中教授のような慎重派の論文など、多くの方の分析、状況報告がでています。
http://smc-japan.sakura.ne.jp/?category_name=rru
http://www.scj.go.jp/
反対派のデータもチェックしていますし、説得力ある批判もあると思っています。

私自身、原子力には反対ですが、絶望のあまり妊娠や結婚を諦めたという福島の退避以外の地域にいる女性の声をきき、過度な心配はさらに不幸を生むと思いました。いつも愛読しているメールマガジンであるからこそ、お願いしたいと思いました。
Posted by やまざきれいこ at 2011年04月05日 17:32
やまざきさんに付け足して言えば、がんが増えるという根拠は何でしょうか? 日本全体で今後何人が原発により発癌するとお考えでしょうか。私は具体的な数字をあげられませんが、チェルノブイリでさえも癌患者がたいして増えず、多くの被害は風評被害だったことを考えると、根拠のない恐怖の煽動こそが、原発事故の最悪の害であるような気がしています。

 また、原発がとまっても電力不足にならない根拠も数字で教えていただけませんか。(私は知らなかったので純粋に興味があります)。
 
Posted by いしだ at 2011年04月13日 04:53
人間以外の生きものは「高熱・高圧・有害物質を使用排出しない作法」で私たち人類が地球上に登場する基盤を準備し、今もそのようにしてくれています。

このことはバイオミミクリーの提唱者であるジャニン・ベニュスさんから教えられたのですが、原子力発電は、上記3原則に真っ向から逆らう生きものとしての「禁じ手」に手をつけてしまったという意味で、生きものの世界では犯罪とも言える代物です。

「企業と生物多様性イニシャティブ」を主催される足立さんがの4月5日付のブログで表明されたことを、私は足立さん自らのミッションに基づくマニフェストとして受け止めました。

原子力発電の欺瞞とその犯罪性に触れることもせず3.11を単なる大地震・大津波の被災への哀悼だけで済ませる言説は、決して許されるべきではないと、私は思います。

先にコメントを書かれた いしだ さんのご意見は、チェルノブイリ原発事故の真相を全くご存じない楽観論に過ぎないと、私は思います。
Posted by 額田 隆義 at 2011年05月17日 04:53
人間以外の生きものは「高熱・高圧・有害物質・を使用排出しない作法」で私たち人類が地球上に登場する基盤を準備し、今もそのようにしてくれています。

このことはバイオミミクリーの提唱者であるジャニン・ベニュスさんから教えられたのですが、原子力発電は、上記3原則に真っ向から逆らう、生きものとしての「禁じ手」に手をつけてしまったという意味で、生きものの世界では犯罪とも言える代物ではないかと私は考えます。

「企業と生物多様性イニシャティブ」を主宰される足立さんがの4月5日付のブログで表明されたことを、私は足立さん自らのミッションに基づくマニフェストとして重く受け止めました。

先ににコメントを書かれた いしだ さんのご意見は、チェルノブイリ原発事故の真相を全くご存じない楽観論に過ぎないのではないかと思います。

原子力発電の欺瞞とその犯罪性に触れることもせず3.11を大地震・大津波の被災への哀悼だけで済ませようとすることだけは私はしたくありません。


Posted by 額田 隆義 at 2011年05月17日 05:15
いしだ 様へ

4月13日から1ケ月も経っていますので、おそらく既にご存じかとは思うのですが、他の方々にも知っておいていただきたいので、とりあえず以下のサイトだけご紹介しておきます。
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-10851020441.html

ここで引用されている小出裕章さん以外にも多くの方が同様の意見を述べておられます。

そして何より東京電力自身が、電力不足の予測を当初の発表よりは余裕のある方へ修正してきています。


http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-10851020441.html
Posted by 額田 隆義 at 2011年05月17日 13:13
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