2006年06月21日

石油を食べる現代人

「世界がもし100人の村だったら 3 たべもの編」 池田香代子+マガジンハウス編 マガジンハウス 952円+税

 食べることは、生きることの基本。その人がどんな人かは、その人がなにを食べているかを見ればわかるとも言います。それでは、現在の日本人は、いったいどんな「人」なのでしょうか? この本に取り上げられた数字を見れば、私たちの異常な食生活、つまりは異常な生活が浮かび上がってきます。

 たとえば、日本の食料自給率が40%と、先進国の中では圧倒的に低いことはご存じの方も多いでしょう。しかし、戦後しばらくは、自給率はまだ80%ぐらいあったことをご存じでしょうか? 和食中心の質素な食事であれば、ほぼ自給可能だったのです。ちなみに現在、日本の穀物自給率は28%ですが、これはサウジアラビアの29%とほぼ同じです。

 このように、私たちはたくさんの食べ物を外国から買っています。私たちがどんな食品を買っているのかと言えば...
日本のわたしたちは、食費のうち
8%を生鮮食品に
30%を外食に
62%を加工食品につかっています。
加工食品は
日本が世界一たくさん輸入しています。
(p.46より)

 つまり、食べるというもっとも基本的な行為まで徹底的に経済化されているのが、今の日本人ということなのでしょう。さらに言えば、日本人は、少なくとも間接的な意味では、農薬を食べています。

村の水田のうち、日本の水田は
1.6%です。でも
村の、稲作のための農薬のうち
半分以上は、日本がつかっています。
(p.32より)

 その他にも、日本人が一年に「食べている」食品添加物の量は1人あたり24キロ(p.46)です。

 しかし、日本人は同時に、食べ物を食べていない国民でもあるのです。世界の食料援助は年間1000万トンですが、日本人の食べ残しは年間2000万トン以上(p.49)なのです。あぁ、なんと罪深いことか...

 でも、安心してください。狂っているのは、日本だけではありません。

アメリカの4人家族は
1年にたべる牛肉のために
1000リットルの石油を使います。
アメリカでは、石油の
15%を、たべもののためにつかっています
(p.28より)


 このアメリカ人は、「砂糖にすると、一人が一日にティースプーン50杯分の糖分をとって」いて、その結果、成人の6割が肥満、14%は超肥満。子どもだって25%が肥満です。どうです、日本人なんて可愛いものでしょう?

 この本には、私たちが何を出来るかも書いてあります。私たちが世界中で作られた穀物を平等に分ければ、一人当たり2800キロカロリー。十分に食べて、お釣りが来るのです。おっと、ただし、みんなが肉を食べるのは無理ですけれどね。

 先進国の住民である私たちが、肉、牛乳、バター、ビタミン剤、健康食品の摂取を減らし、コーヒーはフェアトレードのものにして、放牧されて育った国産牛の肉と乳しか取らない。つまり、昔の食事のスタイルにもどせば、世界は十分にやっていけるのです。

 そうそう、この本がこれまでの「世界がもし100人の村だったら」シリーズと大きく違うのは、最後にフォトストーリーが掲載されていることです。

 フォトストーリー「ネパールの少女ランマヤの給食ものがたり」を読めば、食べ物を見れば、その人がわかるという言葉も納得できるでしょう。

 また、子どもたち、特に女の子が学校に通うことができるようにとWFP(世界食糧計画)が進めている「学校給食プログラム」は、なかなかのすぐれものです。うまいことを考えたものです。

今日も読んでくださって、ありがとうございました。
今日のエントリーはいかがでしたか? この本を読んで見たくなったら、人気blogランキングへ投票してくださいね。
banner_04.gif応援してくださる方は、Click me!


posted by あだなお。 at 23:59| 東京 🌁| Comment(4) | TrackBack(0) | 本・映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しみに拝見しています。
人気ブログにもクリックしました!

日本人の食べる食品添加物の多さにはびっくりですね。
あまりにたくさんの防腐剤を食べているから、死体が腐らないなんてブラック・ジョークもありますね。

肉食の非効率やら、食品添加物・農薬も含めて、私たちは何をどのように食べるかということを、もっとよく考えないといけないですね。
Posted by atsukero at 2006年06月22日 13:17
atsukeroさん

こんにちは、コメントありがとうございます。
クリックもありがとうございます!! 皆さんにそうやってクリックしていただけると、すごく嬉しくなります(笑)

死体が腐らないという話は僕も聞いたことがあります。

スマトラ沖地震のとき、プーケットで見つかった日本人の遺体だけ、腐敗が遅かったとか...
葬儀屋さんが、最近はドライアイスの量が少なくて済むようになったとか...

かなりブラックです。
Posted by あだなお。 at 2006年06月23日 00:40
こんにちは。
食料自給率が低いことが食の安全性に対する不感症の一因である気がしますね。身近に生産地があり、それを意識できる環境が望ましいと思うのですが。。
しかしそういう意味で、政府の農業株式会社規制緩和はどう考えますか?企業化された農業は自給率を引き上げる可能性があると思います。実際「食品会社の中国での農業事業」は結局企業化ですからねえ。
Posted by 黒糖焼酎 at 2006年06月24日 13:08
黒糖焼酎さん

こんにちは、はじめまして。コメントありがとうございます。

そうですね、食料が遠いところで作られているということは、消費者も生産者も不感症になりますよね。

農業株式会社の規制緩和は基本的には賛成です。日本の農業の担い手はあと数年で激減します。これ以上の自給率低下を防ぎ、また生産性を上げるには、法人の参入しか道はないでしょう。ただし、です。農業は人間の生活の基礎の基礎である食べ物を作る仕事です。利益優先の事業になってしまっては困ります。

ですから、参入には賛成ですが、事業を進める上でのルールや、チェックは必要だと思います。後は、農協をどうするかですね。農業株式会社が増えて、農協以外の農家を支援する仕組みが自然と出来るといいんですけれどね。

黒糖焼酎さんはどのようにお考えでしょうか?
Posted by あだなお。 at 2006年06月24日 23:27
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
Google
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。