単なる子供の教育プログラムというより、人間として必要な知恵がたくさん詰まっているように思いましたので、簡単にご紹介したいと思います。
ワークショップは大きく3部から構成されます。まず最初は自分たちで何かを創る。一万個もの積み木があるので、きっといろいろなものができるはずです。当然子供たちは夢中になります。そして完成した作品を、みんなで鑑賞し、誉める。優劣をつけ、優秀だった子だけが誉められるのではなく、すべての作品について、良いところを見つけて、誉める。ふだんはなかなか経験できないことです。
そして、次には、これを崩すのです。せっかく創った作品ですが、さらにその次の創造のために崩す。手放すことの意味を、子供たちは学ぶのではないでしょうか。
すごいなと思ったのは、「座って『積み木さん、ありがとう』とあいさつしてから、やさしく抱き抱えて崩す」ことです。破壊ではなく、感謝し、慈しみながら崩す。結果として、積み木の作品がなくなってしまうことは同じでも、暴力的に破壊するのと、感謝して崩すのでは、そこに生まれるものがまったく違ってくることは、容易に想像できます。
それは消滅させるための破壊と、創造するための破壊の違いです。私たちが毎日、他の生き物の生命をいただいて自分たちの生命を生き長らえさせていることを思い起こさせました。創るために積極的に崩す、手放すことも必要なのだということを、子供たちは言葉ではなく、実感とし理解するのではないでしょうか。
そして二回目の作品は、一度目より複雑で、高度になる場合が多いそうです。たった一時間ぐらいの間に、子供は成長するのですね。
さらに素晴らしいことは、この高度な作品を創る際に、今度は一人で自分の作品を創るのではなく、共同作業が自然生まれてくるそうなのです。積み木を集める子、手渡す子、積でいく子、そうした「役割分担と協力体制が自然に生まれる」のだそうです。
この2時間ほどのワークショップは、子供にきっと多くの気付きを与えているのだと思います。その証拠に、これをキッカケに急に集中力がついたり、兄弟ケンカをしなくなったりと、さまざまな変化が生じるのだそうです。そして、親や教師も、これまで想像しなかった子供たちの別の一面や能力を発見することになるのです。もっと詳しい効果については、ぜひ原文をご参照ください。
「大切なことはみんな積み木に教わった」、将来そんなタイトルで本を書く子供が出てきそうです(笑) 子供たちは、わずか2時間の積み木のワークショップでこんなにも多くのことに気付き、変わります。創造とは程遠い、殲滅のための破壊を繰り返す大人たちには、この本が出来たら読んでもらいたいものです。
このワークショップは海外でも効果を上げているそうですから、ユニバーサルに効果があるのだと思います。さらに良いことには、積み木はヒノキの間伐材で、森林の手入れにも役立つ可能性があります。このワークショップは、ただの「児童教育」の一手法ではなく、私たちが創造的に生きるための本質を体得させるための、とても良くまとめられた方法論と言えるのではないでしょうか。「知恵」と呼んでもいいと思います。こうした知恵を積み重ねていけば、私たちはより成熟した人間からなる世代を育てることができるでしょうし、もちろんそれは持続可能な社会にとっても好ましいことのように思います。
※もし他にも、このような素晴らしい体験型ワークショップをご存じの方がいらっしゃいましたら、ジャンルにはこだわりませんので、ぜひ教えてください。
今日も長文を読んでくださって、ありがとうございました。
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一万個の積み木は無理だけど・・・やり方だけをママさんサークルで真似してやってみるのも良いかしら。
コメントありがとうございます。そうですよね、お子さんをお持ちの方でしたら、ぜひ参加したくなりますよね? ついでに、大人の僕も参加したかったりします(笑)
と思っていたら、知人が関わっていることが発覚しました(笑) 今度開催するときには、見学させてもらおうと思います。
http://www.oisca.org/topic/0512.htm
公式webはこちら。
http://www.kirakusha.jp/
詳細情報の紹介、本当にありがとうございましたm(_ _)m
素晴らしいプロジェクトに参加なさったのですね。ぜひもっと詳しい話しをお聞きしたいと思います。
「価値あるものにはその対価を払えるような経済環境がほしい」とは、その通りです。外部不経済が内部化され、あらゆる価値にきちんとした対価が払われるようになれば、環境問題は解決し、公平な社会が実現すると思います。ぜひそうなって欲しいと思います。そしてその第一歩として、まずは僕自身が、価値あるものにその対価を払いたいと思います。
>あいかさん
どうしたしまして!