2007年01月11日

甘いばかりではない話

 海水がしょっぱいのは常識です。普通の海水の塩分濃度は3.5%(1リットルに35gの塩分が含まれている)ぐらいです。海で泳いでいる時に誤って海水を飲んでしまったことがある方はよくご存じのように(^^;)、人間にとってはかなり塩辛く感じる濃度です。

 自然界では、海水の濃度がもう少し薄くなることがあります。川からの水が流入する河口付近や、氷山が解けている場所などです。海洋科学者たちは、このちょっと薄めの海水のことを「甘い」と称します。もちろん本当に甘く感じるわけではないのですが、辛さが弱いことをそう表現するのです。

 そして最近、極北の海水がわずかに「甘く」なったことがわかったそうです。
 北極に近い北大西洋などの海水中の塩分が、20世紀後半の50年足らずの間に約0.2%減っていることが、米海洋大気局(NOAA)の研究でわかった。ここは、地球規模の海水循環(熱塩循環)で沈み込みが起きている重要な海域で、「塩分濃度低下は、循環の乱れを引き起こして気候に影響を及ぼす恐れもある」と専門家はみている。
出典:「極北の海水「甘く」なった 温暖化影響?」(Asahi.com 2007年1月4日)

 海の水はおよそ1000年という長い時間をかけて地球を循環していると言われます。これが熱塩循環と呼ばれる海洋大循環です。北大西洋のグリーンランド沖で、大気から強い冷却を受けた表層水の密度が増加し、これが深層まで沈降し、その後まるでコンベアーベルトのようにゆっくりと地球を循環するという壮大な話です。
img_23.jpg
図:「海洋大循環」(東大・地球惑星物理学科Webサイト)より

 しかし、このコンベアベルトの原動力となる北大西洋で、地球温暖化の影響で、極域の降雨量が増えたり、陸氷が溶けたりして、塩分濃度が0.2%下がったというのです。もしかすると、この塩分濃度の変化が、熱塩循環を弱めるかもしれません。もしそんなことが起きたら、まさに映画「デイ・アフター・トゥモロー」の世界です。

 そして今日11日、昨年12月の世界の平均気温が、統計を取り始めた1891年以降最も高かったと気象庁は発表しました。また一週間前の4日には、英国気象庁が2007年は世界的に観測史上最も気温が高くなるとの見通しを示しています。海水は甘くなっても、人間社会にとってはまったくもって甘くない話です。
出典:平成18(2006)年12月の世界の月平均気温について(速報)(気象庁)

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posted by あだなお。 at 23:59| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 気候変動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは、米国(北東部)在住の主婦です。
この冬は例年にない暖冬で、もう1月も半ばになるというのに、まだ一度も積雪がありません。どころか、先週は20℃近い日もあり、半袖Tシャツの人も。
ワシントンでは桜が咲いたとか・・・

今回のお話では、自分の身の回りで「あれ、変だゾ!?」と思った時に、それが地球規模でどうなっているのかを解説していただいて、"温暖化"をより自分の問題として強く意識することができました。

この国の暮らしぶりを見ていると、環境問題の解決は果てしなく遠いように思えます。私のような主婦や一般人が、如何にして地球の環境変化について情報を共有化し、「自分の問題」として捉えるかが鍵なのかなぁ、と感じました。

素人にも分かりやすい解説を、いつもありがとうございます。今年も期待してます。




Posted by くるみ at 2007年01月13日 00:13
くるみさん

アメリカからありがとうございます! NYやワシントンで春のような陽気だというのは、日本でも随分報道されていました。さすがに変ですよね。

しかし、それを単に「変だ」で片づけてしまっていいのでしょうか。「変だぞ」という素直な気持ちにもっとこだわってもらいたい。たくさんの人がそういう気持ちを持つようになれば、状況も好転するのではないかと期待しています。

今年もどうぞよろしくお願いします!
Posted by あだなお。 at 2007年01月14日 01:39
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