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ただ、こうしたことを文字だけで読んでもなかなか理解しにくかったり、具体的なイメージがわきにくいと思われる方も多いと思います。特に認証制度は、ちょっと仕組みが複雑だったりもします。
そういう場合、マンガ(いやコミックと呼ぶべきなのかもしれませんが)にすると、画がストーリーがあるのでずっとわかりやすくなりそうですね。
実は、そんなコミックがあるのです。現在発売中のビッグコミック5月10日号に掲載の「築地魚河岸三代目」の「Fish167:海を守るロゴマーク(後編)」がそれです。実はこれ4月10日号から始まった3回シリーズの完結編です。
3回かけてたっぷりと、このままでは近い将来魚が獲れなくなってしまうこと、その原因は持続不可能な漁法にあることにはじまり、それを変える方法としてMSCがあること、MSCが日本でも広がりつつあることがわかりやすく描かれています。
今回このコミックが掲載されているのは、日本で最初にMSCのCoC認証を取得された築地市場水産仲卸(株)亀和商店の和田社長から教えていただきました。和田さんは、このコミックの中では、海和商店の和久井さんとして登場します(笑)
このコミックを読んで、僕もいくつか新しく知ったことがあります。日本ではまだあまり認知されていないMSCですが、世界では確実にその存在感が高まっています。2006年にMSC認証を受けた漁業の水揚げは350万トン、なんと世界中の天然魚の既に7%にまでなっているのです。しかも、魚種を限れば、天然サケでは42%、主要な白身魚の32%、伊勢エビの18%もがMSC認証を受けた漁業によるものだというのです。既にこんなに多いとは! また、世界最大のスーパーのウォールマートは、5年以内に鮮魚・冷凍魚のすべてをMSC認証漁業から調達すると発表しているのだそうです!
それに比べると日本では去年やっと亀和商店さんがMSC認証のラベルをついたサケを売りだし、暮れになってイオンさんがいくつかの品目について取り扱いを始めたばかり... と思っていたら、実はなんと、こうしたMSC認証で獲られた魚の最大の輸入国が日本なのだそうです。既に僕たちは、知らないうちにMSC認証の魚を口にしていたのですね。
ところがです。日本ではMSC認証を受けた漁業で水揚げされたものでも、それをMSCとして区別して流通させる制度が整っていないために、そのことがアピールできていないという状況なのです。ですからまずは、流通業者(中卸業者、小売業者)がMSCの魚をきちんと区別して扱っているというCoC(Chain of Custody)認証を取得して、MSCのチェーンを作らなければいけないのですね。
そしてもちろん、そうした動きを加速するためには、消費者もMSC認証のマークがついた魚を求め、選ぶ必要があることは言うまでもありません。「持続可能な漁法で獲られた魚を食べたい」と声を上げることが、水産資源を持続可能にし、僕たちやその次の世代が魚料理を楽しむことを可能にしてくれるのです。ここでも、未来を決めるのは消費者の判断です。
ですから、大量に流通している一般のコミック誌にMSCのことが取り上げられた意義は非常に大きいことです。読者からの反応もかなり大きいということですが、サスラボの読者なら、きっとさらに大きな反応をしてくださるものと期待しています(^_^)/。
※知らなかったのですが、最近は雑誌もバックナンバーがインターネットで買えるんですね。ちょっとびっくり。
■ビッグコミック バックナンバー(小学館ネット)
長文をお読みいただき、ありがとうございました。
MSCも、サスラボも、応援をお願いしますね。
役に立ったら、Click me!
少し気恥ずかしい思いをしながら買ってきました。(笑)
持続可能な定置網漁法の氷見の魚しか食べたことがない私にとって、MSCラベルがいまひとつピンとこなかったのですが、作品中同じような考えの「雅」さんが出てきたときには笑ってしまいました。登場人物の紹介で、雅さんが、「イキはいいが根は単純。
直情径行型。」に、またまた大笑い、当たっています(^_^;)。
日本の消費者の意識の問題、環境保護に対する意識改革のハードルの高さ、などなど単に「MSC」の問題だけではなく考えることの多いコミックでした。
『MSC』とか、健康・安全とかいう概念も大切なのですが、それ以上に漁業従事者など、担い手との絆、風土・漁場とのつながりをひとつずつ丁寧に紡いでいくことのなかにこそ、答えがあるような気がしています。
それでは、また(^.^)/~~~。
わざわざ買って読んでくださったのですね。ありがとうございます。
日本の消費者にはぜひもっと敏感になって欲しいものですが、そのためにこんな形で情報が広がっていくのは歓迎すべきことですよね。
そして、きっとこのコミックの登場人物のように、自分の仕事や、その伝統を誇りに思い、愛している方々がたくさんいるのでしょうね。