全労連の坂内議長は「差別と貧困の格差社会をつくり出そうとする新自由主義が世界でも日本でも牙をむいている。労働者の統一闘争によって格差と貧困を解消させよう」と訴えたそうですが、今年は例年以上に切実感のある言葉だったのではないでしょうか。
出典:「『格差と貧困の解消を』 全労連がメーデーで訴え」(毎日新聞、2007年5月1日)
そんな全国的なメーデーの前日の4月30日、派遣労働者やフリーターの若者らによる「自由と生存のメーデー'07」が新宿で開催されました。今年で4回目なのだそうですが、参加者は約420名、「非正社員を使い捨てにするな」「残業代を支払え」「まともに暮らせる賃金を」「派遣会社はピンハネするな」と、訴えの内容もさらに深刻です。
出典:「格差社会に『使い捨てやめろ』 フリーターらメーデー集会」(東京新聞、2007年4月30日)
参考:「メーデー:フリーターの若者たちが「自由と生存」求めデモ」(毎日新聞、2007年4月30日)
「新宿“プレカリアートの反攻”デモ!」(岩本太郎ブログ(私の退屈な日常))
このデモは、職場の労組には入れない、入らないフリーターのためのメーデーということで、地域労組「フリーター全般労組」が企画したものだそうです。
やっと声を上げるようになったかと言うべきなのか、ついにここまで来たと言うべきなのか。なんとも複雑な思いです。実際、ここ一週間ぐらいのニュースだけでも、家賃を手当できずネットカフェを宿代わりにする若者が増えている中、企業はと言えば、東証一部上場などの大企業ですら、非正規労働者の賃金水準の上昇に懸念を抱く企業が半数に上っていたりと、気になるものが続きます。
しかし、フリーターのメーデーは、なんで5月1日ではなく、4月30日だったのでしょうか。もしかして、フリーターは5月1日という「平日」には、仕事を休むことがむずかしい? というのは考え過ぎかなとも思うのですが... まさか、そこまで深刻ではないことを祈るばかりです。
働く意志のある人が定職につけない。毎日8時間働いても、暮らしていけない。そんな社会は不安定で、とても持続可能とは言えません。人件費で浮かしたコストは、必ず最後にまた社会の「コスト」として跳ね返って来るのです。雇用形態や非正規労働者の処遇は、日本企業いま一番取り組むべきCSRの課題であるように思えます。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
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介護保険も、傷害者保険もほんとうにひどいのです。どうやって生きていけというのかと思います。憲法違反ではないかとさえ思います。
東京都は特にひどいとか。
そうすると、人々の気持ちもぎすぎすしてきて、悪循環するのですよね。美濃部さんの時はよかったけれど、それで、東京都は経済破綻してしまったし。もう少し優しい社会に住みたいです。
ほんとに「日本企業がいま一番取り組むべきCSRの課題」ですよね。
パート、派遣、請負といった“細切れ”の雇用契約...雇用形態の多様化といえば「美しい」ですが、現実としては低所得層の固定化に過ぎず、これによっていろいろな社会問題が生じているわけです。低所得だから、とてもじゃないが結婚できない、結婚できないから子供もできない。低所得層の固定化が少子化を助長させている面もあります。自分の老後はどうなるか見通しさえ立たない、そういう不安でいっぱいの労働者をひたすら増やし続けている。犯罪だって増えるに決まっている。既に、非典型雇用は1700万人近くになっている。そういう家庭に生まれた子供たちからは、塾に行ける子供と行けない子供の格差「希望格差」が生じ、将来の希望さえも奪っている。
企業が生み出した付加価値から、社員、役員、株主がどれだけの配分を受けたかの統計によれば、役員や株主への価値配分はべらぼうに上がっているのに、社員だけは落ち込んでいる。社員、労働者の取り分が増えるどころか減るというのは、一体どういうことなのか。新自由主義って、アメリカンスタンドードではあるけれども、グローバルスタンダードではない。ことを政治家、経団連の方々には分かって欲しいと思います。
脱アメリカです。それでは、また(^.^)/~~~。
お返事が大変遅くなり、失礼しました。コメントも復活します(笑)
社会の中で格差が広がっていくことがいいことだとは思えません。頑張っている人が成功しやすくなることは良いとしても、困窮する人が増えるのは防がなければいけないですよね。
美濃部さんは行き過ぎだったようですが、少なくとも何がおきても支えられるセーフティーネットは整備する必要がありますよね。それなしに、自由に競争しろ、あとは自己責任だというのは、あまりに無責任というものです。政治と行政の役割を放棄しているようにすら思えます。
どこにバランスの取れた点を見つけるかは容易ではありませんが、それを考えるためのヒントをこれからも模索していきたいと思います。
>空っぽの皿さん
デザインは季節感があるように、原則、毎月変えているんですよ。
ご指摘、すべてごもっともです。役員、株主への配分が増えて、従業員への配分が減るというのは、まさにアメリカ型の会社に移行しつつあるわけですね。
ただこれに反対と言ってもそれだけで状況を変えるのは難しいので、私たちは社員に優しい企業をきちんと選ぶようにしたいですね。