2007年07月06日

してはいけないことを決める

 昨日のエントリー(「クラスター爆弾を支持する国、銀行」)で書いたように、日本のメガバンクはいずれも、故意なのか結果的になのかわかりませんが、60〜120億円もの大金を非人道的なクラスター爆弾を製造する兵器メーカーに投融資しています。なんでこんなことになってしまうのでしょうか?

 社会的責任投資(SRI: Socially Responseible Investment)という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。SRIにおいて重要な手法の一つにスクリーニング、つまり投資先の「選抜」があります。

 環境を保全している、社会に貢献しているなど、自分の価値感にあった投資先を選抜することを「ポジティブ・スクリーニング」と言います。日本で発売されているエコファンドやCSRファンドなど、ほとんどのSRIファンドがこれに相当します。
《参考リンク》
SRIファンドの種類(SIF-J)

 一方、自分の価値観に合わない投資先には、いくら儲かりそうでも投資しないという「ネガティブ・スクリーニング」という方法もあります。日本ではおそらくそのような手法を取り入れたファンドはほとんどないと思うのですが、アメリカでSRIが始まったのは、まさにこのネガティブ・スクリーニングからでした。

 教会がお金を金融機関に預けるときに、自分たちの価値観に反するような企業にはそのお金を投資しないでくれと条件をつけたのです。具体的には、兵器メーカーを含む軍需産業、ギャンブル、ポルノ産業、そしてアルコールやタバコ会社もダメだという場合もあるそうです。

 平和な社会を築くことが教義や目的である宗教団体のお金が、軍需産業に投資され、武器を作り、戦争を引き起こしたら、皮肉どころの話ではありません。お金の持つ影響力の大きさを考えれば、当然注意すべきことです。

 ところが、日本ではなぜかこのネガティブ・スクリーニングが発達しないようです。日本人はお金が儲かれば手段は問わないと考える人ばかりだとは思いませんが、金融機関に預けたお金がどう運用されるかは無関心な人が多いようです。しかし、利息がついて戻ってくるということは、そのお金は必ずどこかに貸し出されたり、投資されたりして、利息を稼いでいるはずです。それがもしかしたら、軍需産業かもしれないのです。というか、まさにそういうことが起きているのです。

 これは何もクラスター爆弾に限ったことではありません。皆さんが銀行に預けたお金は、手堅く米国債で運用されていることは大いにあり得ることです。その米国債で得たお金の一部を使って、アメリカはイラクで戦争をしているのです。つまり、私たちの銀行預金が、イラク戦争を続けさせていると言えるかもしれません。

 こういう可能性を考えれば、実はネガティブ・スクリーニングというのは非常に重要だと思うのですが、どうでしょうか。自分の預金も、年金も、きちんと運用して欲しいけれど、でも、人殺しをしてまで、他人を傷つけたり苦しめたりまでして、高いリターンを出す必要はない。そんなことはしないと約束をしてくれれば、そこそこのリターンで十分だ。そう考える人の方が多いのではないかと思うのですが、どうでしょうか。

 すべきことの長〜いリストを作るよりも、これだけはしてはいけないという短いリストを作る方が有効なことがよくあります。投資先選びもそうなのかもしれません。こんなところがいい、あんなところがいいというのもいいのですが、それ以上に、「これだけは絶対にしてくれるな」、その基準を明確にすることが大切なのではないでしょうか。

 しかし残念ながら、現在のところ「これだけ(例えば軍需産業への投資)は絶対にしません」と約束してくれる金融商品はほとんどありません。信頼できる会社を自分の眼で選んで株や債権を買うか、apバンクのような団体に投資するか、ごく限られた選択肢しかないのです。大してお金は持っていませんが(^^;)、僕も困っています。

 自分たちのお金を責任ある投資先に投資したり、責任ある金融機関に預けることができるように、受け皿も増えて欲しいですし、一人ひとりが責任ある投資家、預金者になれるように、自分たちのお金の持つ影響力をもっと意識していきませんか? そうすれば、きっと私たちの願う社会が作れるはずです。

読んでくださって、ありがとうございます。
あなたのお金は大丈夫ですか?
banner_04.gif応援してくださる方は、Click me!


posted by あだなお。 at 06:00| 東京 ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あだなお株の創設希望(笑)!!

確かに、SRIはポジティブ・スクリーニングだけでは片手落ちですね(褒めて伸ばすこともとても意義深いのですが)。
あだなおさんのような方々の目でネガティブ/ポジティブ両スクリーニング済みの銘柄を発表していただければ一番ありがたいですね。
Posted by Monticola at 2007年07月07日 01:58
サステイナビリティを真剣に考えていらっしゃる方の記事に出会えて嬉しいです。
ちょうど私も“お金のこと”について思いをめぐらせていたところなので勉強になります!
http://app.blog.livedoor.jp/ary/tb.cgi/50353632
よろしければ私のブログにも遊びにいらしてくださいませ。
Posted by Anne at 2007年07月13日 23:42
SRIがその名のとおりほんとうに社会の役に立っているのかは検証されていません。また、そういう評価もありません。SRIファンドに限っていうと、ほとんど気分とパフォーマンスの世界です。これは変えていかなくてはなりません。SRIは評価軸が違うのです。
Posted by hataboh_dayo at 2007年07月26日 04:02
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
Google
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。