それにしても、今回の地震で一番心配だったのは、柏崎原発のことではないでしょうか? 被災者の皆さんも、そのことが心配でしかたがなかったのではないかと思います。
僕も地震の発生を知ったとき、最初に思ったのは原発は大丈夫かということでした。火災が発生しているというニュースを聞いた時には、これはもうダメかと思ったのですが、放射能漏れは発生していないとの発表があったのでひとまず胸をなで下ろしたのですが...
実際には放射能漏れが発生しており、しかもその量も当初の量よりも多かったことが後日発覚したのは皆さんご存じの通りです。さらには3年前の新潟県中越地震でも発電所内部で放射能漏れが起きていたことが突然発表されたり... もはや何を信じていいかわからないというのが正直な感想です。
日本のメディアでは当初、柏崎原発のことはあまり報道されませんでしたし、報道されたのも変圧器の火災のことばかりでした。しかし実際には、海外のメディアは中越沖地震をトップで報道し、その注目は原発に集まっていました。
以下は、Mさんの日記に掲載されていたメディア報道例です。
■"Japan quake stirs nuclear fears, displaces thousands"(Reuters, 2007/07/17)

■"Earthquake triggers nuclear safety fears"(Times Online, 2007/07/18)写真も
■"Nuke Waste Drums Tipped in Japan Quake"(Guardian Unlimited, 2007/07/17)
■"Japan quake stirs nuclear fears, displaces thousands"(Canada.com 2007/07/17)
■"Japan's nuke spill bigger than first reported"(USA TODAY, 2007/07/17)
■"Japan Nuclear-Site Damage Worse Than Reported"(New York Times, 2007/07/19)
Times Onlineのように、海外のメディアでは変圧器の黒煙だけでなく、白煙が立ち上る発電所全景をしっかりと紹介しています。より問題にすべきはこちらだったのに、日本国内ではなぜか黒煙ばかりなのですね。そんなわけでと言うのは言い訳ですが、僕も「放射能漏れはありません」という発表を信じてしまいました。いや、誰だって信じたくなりますよね?
後から思えば、もし本当に重大な事故が起きても、それがきちんと報道されるかどうかはわからないのです。自分の目でしっかり確認する必要があったなと深く反省です。
以下、ご参考ですが... まさにこの通りだったのですね。
東海地震が起きてハマオカの爆発事故が起こっても、テレビやラジオではすぐに報道されないでしょうから、震災現場からのテレビ中継でハマオカから「きのこ雲」や「大きな煙」が立ちのぼっていたら、すぐに放射能から身を守るために行動してください。出典:「6.これであなたも生きのびれる」(10分でわかる原発震災のお話/ストップ浜岡原発)
こうした事態をかの有名な「きっこのブログ」は、「恐怖の柏崎原発」と「原発事故は人災です」の中で、これは政府によるインペイであり、東電は政府の情報操作の片棒を担いでいると糾弾しています。
「きっこのブログ」の内容がどこまで正確なのかはわかりませんが(そもそもそんなもの信じるなと怒られそうですが(^^;))、それでも、
・柏崎原発が設計時の想定外の地震に見舞われたこと
・放射能漏れを起こしたこと
・火災が発生しても1時間も(!)手がつけられなかったこと
・放射能漏れが公表されるまでに長時間かかったこと
はいずれも事実です。
たとえインペイはなかったにしても、現実に起きた災害に対して、きちんと対応できる体制が出来ていなかったのは明らかです。そして、時間を経るにつれて次々に明るみに出るネガティブ情報。こんな状況で、「安全だから信頼してください」とか、「情報はきちん公開していますから」といくら言われても、信じろという方が無理です。しかも、インペイ体質は今回に始まったことではありませんから...
これだから原発は、電力会社はとも思ったのですが... よくよく考えてみたら、東電が可愛そうになって来ました。東電に限らず、電力会社はいつも「電力の安定供給が自分たち社会的責任であり、そのためには原発がもっとも望ましい」というような主張をしています。しかし、原発にどのようなリスクがあるのかは、おそらく電力会社自身が一番よく理解しているでしょう。
それでも「安定供給」のためには、この地震大国の中で原発を建設しなければいけないのです。それが、政府の方針なのですから。
信頼性を高めるためには、放射能漏れのデータだってすぐに公表したいのかもしれません。でも、政府がそんなことはダメだ、軽々しく発表するなと指導しているのだとしたら... さぞかし辛い立場でしょう。
今回はなんとか原発による人的災害は回避することができました。しかしもし最悪の事態が起きてしまった場合、何百万、場合によっては何千万という人が原発事故の被害に遭い、生命や健康を失うことがあったとしたら... 社長が陳謝したり、辞任したぐらいで「責任を取った」ことにはならないのはもちろんですし、経済的被害だけでも一社で負担することは不可能です。
それでも、原発は止められないのです。そんなリスクを抱えながらも、電力の安定供給の義務を果たすために、地震の巣の上で原発を動かし続けなければならないのです。いつ事故が起きるかもしれないという不安を抱えながら、その廃棄物を将来何億年(!)にわたって安全に保管し続けなくてはいけないのです。
なんとも割に合わない、因果なお仕事だと思います。つくづくお気の毒にと思います。
そしてさらに気の毒に思えてならないのは、私たち日本人です。今回の地震で柏崎原発にどんなことが起きたのか、また地震の多いこの国で55基もの原発を抱え、依存しているというのはどんなリスクなのか、ほとんどと言っていいぐらいに知らされていないのですから。
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