でも、よく考えてみたら、これはちょっと変です。「戦争」はほぼ終わったはずなのに、アメリカが全土を制圧(?)しているはずなのに、なぜこんなにテロが続いたり、イラク人もアメリカ兵も殺され続けるのか? なぜ一向に治安は良くならないのか?
たしかにメディアは死者の数こそ報道しているかもしれないけれど、その数の向こうにある、何がそこで起きているのかとか、なぜそうしたことが続くかということを全然伝えていないのではないのではないでしょうか?
シバレイこと志葉玲さんの「たたかう!ジャーナリスト宣言―ボクの観た本当の戦争
もちろんそこに書かれているのは、実際に起きていることのごく一部、断片的な情報でしかないでしょう。それが一面的な見方に過ぎないと言う方もいるかもしれません。しかし少なくとも僕には、新聞が報道する死者数だけではわからなかったことが、頭の中で立体的につながったように感じられました。「なるほど、そういうことだったのか」と。
この戦争がアメリカの一部の権力者たちが自分たちの権益のために仕組んだものだとはよく言われますが、酷いのはそれだけではありません。いかにこの戦争で、多くの民間人が無駄に殺されたか、いわれなく酷い目にあわされたか... 目を覆いたくなるような記述が続きます。
イラク人同士、あるいは周辺諸国の人々を互いに憎しみ合わせ、殺し合いをさせたり、同盟国の日本のジャーナリストですら、「捕虜」として不当に拘束したり(シバレイさんは米軍に不当拘束され、8日間拘禁されています)... 少なくともイラクで行っている行為からは、アメリカが「正義」という価値観からはもっとも遠いところにあることがわかります。
しかし、これはアメリカだけがしていることではありません。日本はそれをしっかり支援しているのです。しかも、再生復興支援のために派遣されたはずの自衛隊は、地元には何もしていない。月にい1〜2回しか給水がない村の近くで、自衛隊は毎日風呂浴びだそうです。もしこれが本当だとすれば、まったく恥ずかしい限りです。
イラクだけではありません。シバレイさんの怒りは、レバノンでも続きます。死者の数だけでは語りつくせない、とても想像できないような酷い世界がそこには広がっていたのです。
また、日本の無責任さは、こうしたアメリカの支援に留まりません。大地震で壊滅的な非難を受けたインドネシアのアチェ、あるいは日本国内での難民の扱い。こうしたあらゆることころに、無責任で、他人の痛みに鈍感な、日本人の姿があぶり出されています。
なぜ彼がこの本を書かねばならなかったのか、なぜ命の危険を冒してまで戦地に赴かねばならなかったのか。その気持ちが伝わってきます。
新聞やテレビの報道を観ている限りでは、それは遠くの国で起きている理解不可能な殺し合いに過ぎないかもしれません。しかし、それには私たちも間接的ながら確実に関係しているし、そこで起きていることも、その場所の人々の立場になれば理解できる、いやそれ以上にその理不尽さを一緒に嘆きたくなる、そんな本です。
皆さんにもぜひお読みいただきたいと思います。ただしこれを読んでしまったら、イラクにも、アメリカのやっていることにも、日本の無責任な態度にも、もはや無関心ではいられなくなることに覚悟が必要です。
今日もお読みいただき、ありがとうございます。
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著者の方からのコメント、ありがとうございます!(笑)
本当に面白かったですよ。
これからもまた鋭い報告を期待しています。