2005年08月20日

バルサムの香り

 モミの林の香りってわかりますか? モミの林に入ると、なんとも言えない柔らかい甘さの香りに包まれます。特に僕が思い起こすのは、ちょっと薄曇りの晩秋などに、朝露で湿った、あるいはまだ薄い霞がかかっているようなモミの林の景色です。その林の中をゆっくりと歩くと、ざっざっという足音、ときどき落ちていた小枝を踏むポキンという音。それがひんやりとした白い林の空気に吸い込まれていく、静寂の世界です。そして、林全体にただようモミの甘い香り。思わず立ち止まって深呼吸すると、その香りと一緒にひんやりとした空気がすーっと肺の中にしみ込んでくる。そんな光景です。

 長らくすっかり忘れていたモミの林のそんな楽しみを、コロラドの山を歩いていてふと思い出しました。この香りを持って帰りたい。そう言えば、アメリカではよくモミをたっぷりと詰めた小さなクッションを見かけます。それをお土産にしようと思って、いくつかお店を探して廻りました。

 そのクッションをなんて呼んだらいいのかわからなかったりしてちょっと手間取りましたが、幸い何件か目にして発見。香りの元はbalsam fir(バルサムモミ)でした。そうそう、ロッキーによく生えているポンデローザマツ(ponderosa pine)という大きな松がありますが、この樹皮はバニラのような香りがします。幹に顔をつけて嗅がないとわからないような仄かな香りですが、たしかにバニラの香りでした。

 というわけで、いま我が家のベッドの枕元に、バルサムのたっぷり詰まった小さなクッションが置いてあります。寝室に入るとモミの香りがするのは、これはかなり幸せです。
posted by あだなお。 at 06:18| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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