イギリスは既に2050年までに1990年比60%削減という方針を掲げていますが、IPCCの第四次報告書の影響でしょうか、これをさらに「80%まで引き上げたい」と述べ、実現方法を検討するように専門家に指示したそうです。
ブラウン英首相は19日、ロンドンの外国特派員協会で環境問題について講演し、政府の温暖化ガス削減目標を引き上げる方針を明らかにした。英政府は地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)などの排出を2050年までに1990年比で60%削減する方針を打ち出したが、首相は「これを80%に引き上げたい」と言明、実現への取り組みを専門家らに指示するとした。■「温暖化ガス排出、2050年までに80%削減・英首相が目標引き上げ」(NIKKEI BIZ PLUS、2007年11月20日)
おそらく12月にバリ島で開かれるCOP13で主導権を取ろうという政治的な思惑もあるのでしょう。しかし、一国の首相がこれだけチャレンジングな目標をサラリと言ってしまうところに、気候変動に対する緊迫感、そしてリーダーシップの強さなど、日本とはまったく違う感覚が感じられます。
また、実際イギリスでは1990年比で確実に排出削減の取り組みが順調に進んでおり、既に約15%削減という実績を上げています。
いや、それはもともとの基準が緩いからだ、日本は既に1990年段階で省エネが進んでいたからそれ以上減らすのは大変だという声もありそうですが、一人当たりの二酸化炭素排出量は日本が10.0トン/人に対して、イギリスは9.7トン/人とほとんど同じです(2004年)。そんなに省エネの進行状況が違いそうには思えません。

図表:「世界の二酸化炭素排出量に占める主要国の排出割合と各国の一人当たりの排出量の比較」(出典:EDMC/エネルギー・経済統計要覧2007年版、全国地球温暖化防止活動推進センター)
ちょっと横道にそれますが、このグラフを見ていると、国土面積の違いがあるとはいえ、アメリカがいかにノホホンと無駄遣いをしているかもよくわかります。そして、一人当たりだとまだ日本の約1/3しか二酸化炭素を出していない中国が、総量では既にアメリカに追いつこうとしています(どうも最近もう抜いたようですが...)。今後の中国の影響の急成長を考えると、恐ろしくなりますね。
さてさて、80%削減目標を掲げたイギリスと比べて日本はどうなのでしょうか? しばらく前のエントリー「何%削減しますか?」でも書いたように、本来であれば日本も1990年比で80%、いや90%の削減が必要です。しかし、現状では日本のリーダーはとてもそこまで踏み込めそうにありません。COP13だけでなく洞爺湖サミットでも、リーダーシップを発揮できるのでしょうか。
もちろんイギリスにしたって、80%削減というのはきわめてチャレンジングな目標のはずです。これから「環境(グリーン)ホットライン」を設けて国民に情報を提供するのだそうですが、その程度で達成できるような目標でないことは明らかです。
しかし、これから40年かけてこんなにチャレンジングな目標を達成するのだというコミットメントがあるとないとでは、実際の進展も大きく違ってくるのではないでしょうか。いま大切なのはそれが出来るか出来ないかではなく、明確な目標を示して、必ず達成するんだと信じて、行動を開始することだと思います。
COP13以降、洞爺湖サミットまで、世界中で次々に大きな動きが出てきそうな予感がします。
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