2008年01月07日

物騒な挨拶

 東京都知事の石原慎太郎氏が「新年早々、物騒な話」(本人談)をしています。物騒な話とは言っても、極右的な失言ではありません(^^;) 「都民のみなさんへ」と題した、今年の年始の挨拶です。

 気候変動への危機感と、それに対して東京都としては断固たる対策を取るという決意に満ちています。以下にその一部をご紹介しましょう。

 みなさん、明けましておめでとうございます。

 新年早々ですね、ちょっと物騒なことを言うみたいですけども、私たち、よほど今年本気になってこの問題に取り組まないと、私たちが生きている舞台である地球そのものが、今年とは言いませんよ、しかし、恐らくこの世紀の半ばも満たずですね、もたないんじゃないかという気が強くします。

 (略)

 まあ、例えばね、私も去年の9月に、沈みつつあるツバルという小さな島国に行きました。

 あれは非常に象徴的な存在でしょうけども、しかし、もっと大きな顕著な問題が起こっているんですね。あれは、小さな国ですから、国そのものが沈んでしまうということになって、えらいこったというけど、誰も本気でそんなもの信じていないし、関心もさしてあるわけじゃない。とにかく、中国は、チベットという全く文化も民族も違う国をめちゃくちゃに併合してしまった。ダライ・ラマは国外へ逃れて、とにかく世界に訴えたけど、ほとんど誰も耳をかさなかった。あの問題について本気になって取り組んだのは、ハリウッドの俳優のギアぐらいじゃないですか。

 ことほどさようにね、ツバルあたりが沈もうが、あまり世界は関心がないんですよ。
ところがね、あちこちでいろんな問題が起こっているんです。

 (略)

 この間も新聞で見まして、なるほどなと思ったけど。私が行ったことがありますヒマラヤの大きな氷河湖があるんです。その南の方にですね、バングラディッシュという国があるんだけど、その一つ前にヒマラヤの山腹にひっかかった形で小さなブータンという王国があります。非常に伝統豊かな小さな国ですけどね。その国はね、最近もその被害にあったんですけど、その間近にある氷河湖がですね、決壊しますとね、まさに地元の人の言葉でいうと、上から津波が降ってくるんです。空から津波が降ってくるんですよ。それはそのままブータンを押し流してね、どこへ行くかっていうと、バングラディッシュ、これは非常に平地の多いデルタ地帯ですよ、世界一の。これがたちまち水没する。

 そうなると世界もちょっと愕然とするんでしょうが、それでもやっぱり他人事でしょうね。

 (略)

 これが進んでいくと、私はNASAのですね、ジェームズ・ハンセンという有名な学者が言っているように、今世紀末には地球の海水というのは5メートル高くなる。5メートルというのは大変なことですよ、これ。その前の2メートル半でもね、どうなるかっていうと、東京とか上海とかロンドンとかね、ニューヨークもそうですね、海に近い、海に接している、そういう大都市というのは水没します。東京は、まだ三多摩に山がありますからね。しかし、埋め立ての地帯とか海抜ゼロメートルの地帯が結構ありますからね、こういったものは完全に水没する。

 それが起こらないとね、なかなかみんな本気にならないんでしょうけども。ということで、東京都は今度とにかく先んじてもやろうということで、節電を呼びかけてこれを義務化してね、そういう条例を作ろうと思っているんですが。これは恐らく会社という会社は全部反対するでしょう。何といったって、企業は目先の利益を追うのが当たり前ですからね。

(略)

 これは、恐らくね、東京都がそういう条例を作ると、非常に摩擦が起こって裁判が起こるかも知れません。しかし、それでも私たち、今、やりませんとね、まあ、みんな、自分が生きている間は大丈夫だと、当分大丈夫だというけど、当分大丈夫でしょうけども、皆さんが死んじゃった後ね、皆さんのお子さんやそのお孫さんやそのお孫さんたちが結婚したら子どもが出来る、そのあたりの世代の頃には、こんなことはわかりきっているのに、なんで先祖は努力しなかったんだという罪を問われることになりかねないという、前代未聞の問題に私たちがまさに直面しているということを、みんな、もうちょっと一緒に考えようじゃないですか。


 恐らくこれは、事務方が用意した原稿を読み上げたのではなく、ご自分の言葉で語っているのでしょう。数値や表現にはちょっとオカシイところもあって(^^;)、こういうところが誤解を招くのだろうなと変に納得したりしますが...

 まぁ、そういうことは置いといて(笑)、この挨拶を聞くと、石原都知事が気候変動に危機感をもっており、企業からどんなに反対を受けようとも、将来の世代への責任として、この問題に本気で取り組むのだという決意は伝わってきます。

 国が能天気であるのに、東京都がこれだけ熱心であるというのは嬉しいことです。石原氏が言うように今後いろいろな摩擦が起き、裁判沙汰にもなるかもしれませんが、ここはぜひ踏ん張ってもらいたいですね。

 正直言えば、石原氏の考え方や態度は好きではないのですが、この件については全面的に応援したいと思います。ちなみに東京都は再生エネルギーの導入についても、日本の中で圧倒的に先進的です。(「やるなぁ、東京都」参照)

 石原氏はこの挨拶を以下の言葉で結んでいます。

 新年早々、物騒な話をしてごめんなさい。

 でもこれは、私たちの子供のため孫のため、その後の私たちの子孫のために、私たちこそが今本気で考えなきゃいけない問題だと思いますよ。

 まったく同感です。ガンバレ、慎太郎!

 なお、この挨拶の全文、および動画は以下からご覧いただけます。
■「都民のみなさんへ」(知事の部屋/東京都)

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posted by あだなお。 at 23:11| 東京 🌁| Comment(6) | TrackBack(0) | 気候変動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 NASAのハンセン氏の「100年間で5メートル」発言自体は、正月に放送されたNHKの「未来への提言」の中でそう語っていました。
http://www.janjanblog.jp/user/stopglobalwarming/stopglobalwarming/12475.html

 それでハンセン氏は350ppm目標も言い始めているようです。
http://www.janjanblog.jp/user/stopglobalwarming/stopglobalwarming/12357.html
Posted by SGW at 2008年01月08日 01:43
SGWさん

こんにちは。コメントというか、解説ありがとうございます。
なるほど、「100年間で5メートル」に関しては、そういう背景があったのですね。
Posted by あだなお。 at 2008年01月08日 22:52
すみません、じっくり読んでみると訂正です、実際には14000年前の急速な海水面上昇の速度が100年間に5mであるとナレーションが言っていて、ハンセン自身はそれと同じになると言っているわけではないようですね。
「100年間で1メートル以上、数メートル」というのがハンセンの発言でした。
 かつて崩壊したのは比較的温暖な地域であるカナダ全土を覆っていた氷床でしょうから、速度自体は南極の氷床の方が遅くても不思議はありません。
Posted by SGW at 2008年01月09日 01:33
SGWさん

またまたフォローをありがとうございます。

それにしても、「100年間で1m以上、数m」というのは、IPCCの予測をはるかに上回る驚くべき数値ですし...

昨日書き忘れましたが、350ppmも強烈ですね。なにせ、今もうその数値を通り越してしまっているのですから... うーむ。
Posted by あだなお。 at 2008年01月10日 00:15

あだなおさん、いつもステキな情報を

ありがとうございます☆


さっそく、「都民のみなさんへ」のページへ飛び、

石原さんのメッセージを、ぜんぶ聞きました。


「クルマから出るCO2は、たかが知れてる」

と言っておられ、「そんなコトはないよ〜」と

思いましたが(^^;)、

石原さんのメッセージは、とっても力強く感じました!


わたしも応援します!ガンバレ慎太郎!!
Posted by マチコ at 2008年01月10日 11:23
マチコさん

こんにちは! コメントありがとうございます。

はい、自動車からのCO2はまったく馬鹿にならないと思います(^^;) 日本全体で運輸部門からの排出は約2割、家庭ではガソリン由来が27%になっていますから...

でも、慎太郎氏が本気なのは歓迎ですよね。やる気(闘志?(笑))が感じられますよね。

この一年で東京都がどう変わるか楽しみだし、応援したいと思います。
Posted by あだなお。 at 2008年01月12日 11:07
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