郊外の大きなスーパーやディスカウントショップに行くと、なぜこれがこんな値段でと驚くようなものがたくさんあります。コンビニやデパートに比べると一桁違いそうなものさえあります。最近はアジアに出かけても、これだったら日本で買った方が安いと思うことだってあります。日本の物価がなんでも高いというのは、もはや神話なのかもしれません。
同じ商品が、流通経路や販売時のコストを節約することで安くなっているのであれば、まだいいのでしょう。しかし、今の日本のデフレは明らかに、中国などで安く、大量に作られたモノがどんどん輸入されるようになったからです。消費者に1円でも安くモノを届けようと頑張った企業努力の賜物とも言えますが、その影では、日本で同じモノを作ったのでは食べていけなくなった人もいるでしょう。もちろん、この値段だからこそ、なんとかやっていけるという人も生まれています。
それとはまた別の、安さの代償がアメリカで問題になっています。昨日15日の日経新聞には、ウォールマートの安売り戦略に対するアメリカでの議論が紹介されていました。
ウォールマートは世界最大の小売チェーンで、セールではなく、Every Day Low Price(毎日低価格)戦略で有名です。その戦略に対して、労組は「従業員130万人の低賃金労働の犠牲のうえに成り立っている」と批判し、「ウォールマート・低価格の高い代償」というドキュメンタリー映画と連携して「反ウォールマート」キャンペーンを展開しているそうです。
また、地方自治体も、独自の労組を持たないウォールマートは、「十分な医療費を払っていないため、従業員が公的な医療保険に殺到し、財政を圧迫する」と懸念しているそうです。
これに対し、ウォールマートを擁護する調査会社は、ウォールマートは全米の物価引き下げ、消費者には節約と生活の向上をもたらしており、そもそも安売りの原動力は「低賃金や格安の輸入品ではなく、情報技術などへの集中的投資による生産性の工場にある」としています。
大型スーパーが地元商店街を壊滅状態にしてしまうことは、日本各地でも問題視されています。地元商店街と、国内産業を空洞化させるだけでなく、そのお店で働く人々にも犠牲を強い、また地域財政にも悪影響を投げかけているとしたら...
個人的には、けして財布の中にお金が余ってしかたがないわけではないけれど、こんなに安くていいのかと疑問に思うことがしばしばあります。安く買えるものはどうしても粗末に扱ってしまうし、愛着がわきにくいこともあります。ましてやそれが、他人の不幸の上に成り立つ安さだとしたら... ただ安いということを、とても手放しでは喜べません。
モノは安ければ安いほどいいのではなく、リーズナブルな値段がいいのではないでしょうか。それは、そのモノや、そのモノを作ってくれた人に対するリスペクトでもあると思います。そしてできれば、価格には環境や社会に与える負荷も反映してもらいたい。それができれば、消費者も今より簡単に責任ある買い物ができるはずです。そういう世界であれば、安いモノは、本当に問題が少ないはずなのですから。
![banner_04.gif](https://suslab.up.seesaa.net/image/banner_04-thumbnail2.gif)
皆さんのご意見、お待ちしています。
FPによる無料電話相談を実施しています!ぜひご利用ください。
ご来訪お待ちしております。
これからも頑張って下さい。