しかし不思議なことに、私たちは「タダ」だったり、「安かったり」すると、ムダにしてしまったり、時に価値がないように勘違いしてしまうこともあります。たとえば樹や水を無駄遣いしてしまうのは、それが一つの原因なのではないでしょうか。
あるいは本来は私たちが負担すべきコストをきちんと払わずに、自然にそのツケを押しつけていることもよくあります。いわゆる外部不経済の問題です。
ですから、自然の恵みに値札を付けることは、役に立つこともあるのです。もちろん値段を決めることには技術的な難しさもありますし、逆にその価格が独り歩きして、本来の価値のごく一部しか評価されない、過小評価の問題が出て来る場合もあります。
そもそもそんなことをお金で評価するのが間違っている! そうおっしゃる方も多いでしょう。もちろんその通りです。しかし世の中には、値札を付けてあげないとその価値を認識できないワカランチンもいるので、値札を付けることもムダとは言えないと思うのです。
前置きが長くなりましたが、以下の写真が、イギリスで最も高い樹だそうです。背が高いのではなく、値段がです。その価格はというと.... なんと75万ポンド、つまり1億5千万円です。
見るからに立派なプラタナスですが、CAVAT(Capital Asset Value for Amenity Trees)という評価手法にそって、大きさ、健康状態、歴史的重要性、この樹を楽しむことができる近隣住民の数を勘案すると、このお値段になるのだそうです。
今イギリスでは、樹齢100年以上の、しかし健康な樹が切り倒されることが問題になっているそうです。ロンドンだけでこの5年に4000本もの樹が切られたというのですから、驚きです。
この評価システムを全国の自治体が導入することで、健康な樹がこれ以上切り倒されることがないようになるのだと期待されているのだとか。「値札」がいい方向に作用することを期待したいと思います。
《参考》
■"Britain's most expensive tree is worth a whopping £750,000"(Mirror.co.uk 2008年4月22日)
読んでくださって、ありがとうございます!
この樹の値段、あなたはどう思いますか?
