2005年11月18日

買い物は投票だ

 一昨日は物価が下がることの裏に潜む罠とも言うべきことについて書きましたが、かようにモノを買うことには影響力があります。企業が環境経営やCSRを考えるもっとも大きな理由の一つは、究極的には消費者からのプレッシャーであると言っても過言ではないでしょう。

 もうすっかりお馴染になった『世界を変えるお金の使い方』の中には、「あなたがお金を使う瞬間、それはあなたが世界を動かしている瞬間でもあります」という一文があります。あなたの持っている100円は、パームオイルを原料とするアイスクリームを買うこともできますし(もしかしたら、それがオイルパームの畑を増やしているのかも!)、バングラディッシュのストリートチルドレン20人にコップ1杯の牛乳を飲ませることもできるのです。
  
 お金の使い方が世の中を変えるのは、何もこうした特別な場合だけではありません。実は、私たちが毎日何を買うのか、何に対してお金を払っているのか、そうした日々の買い物も世の中を変えていきます。なぜなら、ある企業の製品やサービスを買うということは、私たちはその製品やサービスの価値を認め、それに投票しているのと同じことだからです。私たちは自分で「これがいい」と選び、その選ん製品やサービスに対して、お金を払っているからです。

 それでは製品やサービスを選ぶ際には、その品質、デザイン、価格などだけで決めればいいのでしょうか? それとも、その製品が作られる過程で何がおきているのか、その製品を作るお蔭で環境が破壊されていないか、誰かの不幸を引き起こしてはいないか、そういうことも考えて日々の買い物をすれば、世の中は確実に変わるはずです。

 そう考えたアリス・テッパー・マーリーンさんは、"Shopping for a Better World"(より良い世界をつくるための買い物を)という小さな本を出しました。1988年のことでした。この本はアメリカ市民に圧倒的に受け入れられ、100万部以上売れるベストセラーとなりました。

 残念ながら日本にはまだこのような本はありませんし、また本家アメリカでも財政難のため数年前から発行が止まってしまいました。しかし、私たちが毎日の買い物で何を選ぶか。何を買って、何を買わないか。そのことが、企業を、そして世の中を動かしているという事実は変わりません。

 買い物をするときには、その品物がどこから来たのかどのような影響を与えているのか、そんなことを想像しながら商品を選んでみませんか。買い物は、投票なのですから。
 

参考リンク
アリス・テッパー・マーリーンさんについてもっと詳しく知りたい方は、以下のページから「あなたの買物がよりよい世界をつくる」 をご覧ください。
http://www.ipr-research.org/kurashi/index.htm


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皆さんのご意見、お待ちしています。


posted by あだなお。 at 23:48| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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