2008年06月01日

誰のための経済か

 日本ではほとんど無名といっていいと思いますが、チリの経済学者でマンフレッド・マックスニーフ(Manfred A. Max-neef)という方がいます。僕がマックスニーフの名前を知ったのは、ナチュラルステップのシステム条件4を聞いたときです。

 ナチュラルステップ4つのシステム条件については以前もご紹介したので詳細は省きますが(詳しく知りたい方はサスラボの「4つのシステム条件」もご参照ください)、その4番目の条件は「人々が自からの基本的ニーズを満たそうとする行動を妨げる状況を作り出してはならない」というものです。

 それではその基本的なニーズとは何かなのですが、ナチュラルステップでは、マックスニーフが唱える9つの基本的ニーズを採用しているのです。

 そのマックスニーフの講演を、スウェーデンで参加した会議で聞く機会に恵まれました。「Transdisciplinary Economics for Sustainablity(持続可能性のための学際的経済学)」という講演は、その厳めしいタイトルは裏腹に、実に人間味に溢れる素晴らしいものでした。

 そしてその中で僕がまず心を打たれたのは、「持続可能性のための学際的経済学の公準(postulates)」という6つの条件です。

Postulates for a Transdisciplinary Economics for Sustainability
1. The economy is to serve the people and not the people to serve the economy.
2. Development is about people and not about objects.
3. Growth is not the same as development and development does not necessarily require growth.
4. No economy is possible in the absence of the ecosystems services.
5. The economy is a subsystem of a larger and finite system, the biosphere, hence permanent growth is impossible.
6. Under no circumstances whatsoever can an economic process, or interest, be above the reverence of life.


 ちょっと訳してみると、こんな感じになると思います。

「持続可能性のための学際的経済学の公準」
1. 経済は人々に奉仕するものであり、人々が経済に奉仕するのではない。
2. 発展は人々に関してであって、モノに関してではない。
3. 成長と発展は同じではない。発展は必ずしも成長を必要としない。
4.生態系サービスなしに、いかなる経済もあり得ない。
5. 経済はより大きな、有限なシステム、すなわち生物圏のサブシステムである。したがって、永遠の成長は不可能である。
6. いかなる状況のもとでも、経済のプロセスまたは関心は、生命の威厳の上になることはない。


 どうでしょう、既存の経済学とはまったく違いますね。しかし、直感的に、これこそ私たちが従うべき公準()であるように思います。人間愛に加えて、生態学の真理も含まれています。

 こう言ってはなんですが、ほとんど役に立っているとは思われないフツーの経済学ではなく、こういう経済学にこそ社会の基礎として広がってもらいたいと思いました。

※公準(postulate)とは、「公理のように自明ではないが、証明不可能な命題で、学問上または実践上、原理として承認されているもの。」(広辞苑第五版)のことです。

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posted by あだなお。 at 23:59| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(1) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私も次のサイトで知り、全く同様の感想、感動を抱きました。

http://democracynow.jp/

日本語訳を添えてくださり、感謝します。
Posted by 金子敏彦 at 2010年11月27日 17:51
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