今日15日から
エコポイントがスタートしました。これで省エネ家電の普及にはずみ...と褒めたいところですが、今回の制度については疑問に思うことがいろいろあります。まだ制度すら確定していないのに「実施」なのだそうです。こんな杜撰な制度って、ちょっと珍しいのではないでしょうか?
とにかくあらゆる点で拙速なので、本当に実行できるのか疑問ですが、もしこれが本当に動いたとしても、その内容や効果については以下のような心配があります。
まずは
本当にエコに役立つかです。環境性能が良い新製品に買い換えることで、電力消費が下がることは期待できます。しかし、それ以外の環境負荷も考慮すれば、
なるべく長く使って、買い換えなくてはいけない時期になったら環境効率の良いものに買い換えるというのが良いはずです。エコポイントが付与される間に慌てて「替えエコ」を促すようなことになっては、むしろ環境負荷を高くすることになってしまうかもしれません。
製品寿命を短くするような誘導が本当にエコと呼ぶのに値するのか、かなり疑問です。
さらに、消費時の消費電力にしても、総量はどこまで減るのでしょうか? エアコンはまぁいいとしても、冷蔵庫やテレビは、買い換えの際にサイズアップすることがあります。特に大型テレビの場合にはその傾向が顕著でしょう。同じサイズであれば消費電力は削減できても、
より大型のものに買い換えてしまったら... 期待していたほどの省エネ効果はないかもしれません。
とここまで書いてネットを検索してみたら... やはり同じような疑問が上がっていました。具体的な数値も示されているので、ご紹介しておきますね。
■「
エコポイント:これって本当にエコ? 買い替えで消費電力増も 経済効果も疑問」(毎日新聞、2009年5月15日)
そうは言って、今はとにかく景気浮上が重要なんだ。これは経済対策、特に家電メーカーや販売店の支援策なのだという声もありそうです。しかし、量販店は既にエコポイント実施前から買い控え防止のために、値引やポイントの上乗せをしています。エコポイントが始まったからといって、この上乗せを撤回するわけにはいかないようで、結局上乗せも継続です。たしかにお客さんにとってはメリットありますから売上は増えるのでしょうが、
利益率は大幅減少。たとえ売上高は伸びても、下手をすると利益は減ってしまうなんてこともあるかもしれません。
さらに、制度が終わるときにはどうするのでしょうか? エコポイントがもらえるのは来年3月末まで。最後には駆け込み需要は期待できるかもしれませんが、4月以降は確実に売上ダウンか、さらに値下げを強いられるかもしれません。
結局、消耗戦です。というより、その消耗戦を加速しているのです。
価格は下落したものの、エコポイントの制度がわかりにくく、あるいはメリットを感じにくく、なかなか
売上にはつながらないのではという懸念も既に囁かれています。そうしたことを考えると、果たしてこれがメーカーや販売店にとって、どこまでメリットがあるのかもかなり疑問です。体力のない企業にとってかえって致命傷にならないかと心配なぐらいです。
むしろ本当に産業支援をするのなら、こうした支援なしでは動きにくい流れを後押しするような、
日本の産業にとって長期的にメリットがある流れを開始させるような、そんなサポートの方がいいでしょう。
例えば、電球型蛍光灯。例えば1個に数百円の補助金をつけて白熱電灯とあまり変わらない値段にすれば、一気に移行が進むはずです。テレビはそうしょっちゅう買い換えるものではありませんが(というか、買い替えられたら困るのです)、電球は消耗品です。しかも一軒の家の中で何個も使います。すべてを取り変えれば、少ない費用で省エネ効果も大きいはずです。
このような補助金で電球型蛍光灯の需要が一気に増えれば、大量に生産する効果で、価格を安くすることができるでしょう。また、安心して設備投資もすることが出来ます。電球型蛍光灯を安く大量に作ることができるようになれば、それは企業にとって大きな競争力になるはずです。これこそ「投資」ではないでしょうか。
テレビ、冷蔵庫、エアコンという、放っておいても今後省エネが加速し、徐々に買い換えもされるであろう製品に補助金を出すのではなく、放っておいたらなかなか動かないものが動く誘い水を差すことが、良い誘導政策なのだと思います。
さらに気になるのは、このエコポイントの原資です。結局これって、
全部税金で賄われるのです。この期間中に、テレビ、冷蔵庫、エアコンを買い換えた人にだけ税金が還付されるのが、果たして公平な政策と言えるのか?
また、今後どんな制度になるかにもよりますが、かなり複雑な手続きになりそうなことを考えると、それに一体いくら経費がかかるのやら... いろいろ経費がかかるということは、補助金としてはそれだけ効率が悪いということになります。100円の税金を使って、150円、200円の効果があれば効率良い政策と言えるでしょうが、どうも今回は100円使ってそれ以下の効果しかないような気がします(直感ですが)。税金を使うのなら、
効果的な使い方をお願いしたいものです。
そう考えると、エコポイントも結局は、「
環境を騙った」人気取りのバラマキ政策でしかないように思えてなりません。気候変動防止に逆行する「1000円高速」や、これまた極めて効率が悪そうな「定額給付金」に並ぶ、麻生政権の
超近視眼的三大バラマキと言えるのではないでしょうか。知性を感じさせろとは言いませんが、もう少しは頭を使って欲しいですね。
《参考リンク》
■「
エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業の実施について」(環境省)
■「
15日スタート、知っておきたい「エコポイント」の基礎知識」(ITmedia + D LifeStyle)
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posted by あだなお。 at 23:59| 東京 ☀|
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