2011年04月05日

これ以上の危険をなくすために

 この数週間というもの、私の頭の中のかなりの部分が東電原発事故のことで占められています。この事故が私たちの未来にきわめて重苦しい影を投げかけ、そして既に現実的な重荷を負わせているからです。少なく見積もっても福島原発の周囲数十キロは、これからかなりの期間、住んだり農業などを行うことはおろか、人間の立ち入りすらできなくなるでしょう。

 もしこれ以上事故が悪化することがあれば、最悪の場合には東京も含めて日本のかなりの部分に人が住むことができなくなってしまいます。そこまでいかなくても、5年後、10年後には、ガンの発生率が高くなったり、子どもの成長障害が起きるなど、深刻な健康被害が出てくるでしょう(つまり、「直ちには健康に被害があるわけではない」のです(苦笑))。

 事故がこれ以上深刻なものにならないように、そしてなるべく速やかに収束するように(それでも専門家は、廃炉の処理が終了するまでには数十年かかるであろうと予測していますが....)願いますが、私たちは専門家ではありませんし、現場で作業をしているわけでもありません。私たちができることは、残念ながら、ただ祈るだけです。

 では、私たちはできることは何もないのでしょうか? いえ、そんなことはありません。事故そのものについては何もできなくても、これから起きる被害を最小限度に食い留めるために、私たちにできることが少なくとも二種類あります。

 一つは、自分と家族の健康、安全を守ることです。正確な情報をもとに、避難や放射能に対する防御を行うことが重要なのは言うまでもないでしょう。ただ、正確な情報とそれをどう判断するかについてはかなり注意が必要です。

 もう一つは、これ以上、原発による危険性を社会の中で高めないこと。要は脱原発を進めることです。具体的には、相対的に危険性が高い原発は速やかに停止し、それ以外のものもなるべく早い時期、できれば数年以内、長くてもも10年ぐらいの間に停止することです。これは夢や絵空事ではなく、今の東京で行っているような省エネと、再生可能エネルギーへのシフトを全力で行えば実現できることです。

 私たちが原発のオペレーションの鍵を持っているわけではありませんが、消費者として、市民として、企業人として、原発の存在を許さない。それであれば私たちにもできますし、これ以上この危険や不安と同居しなくてもいいようにするためには、今このことをしなくてはいけないのです。

 そしてそれは決して難しいことではありません。本当は電力が自由に選べればいいのですが、今の日本の法律や制度ではそれが許されていないので、まずそこから変えていく必要があります。脱原発と電力自由化を明確に掲げる候補者を議会に送り込み、そうでない人は支持しなければいいのです。また、自宅で太陽光発電をしたり、自然エネルギーを使えるようであれば、そちらにシフトすることも考えられます。

 企業であれば、市民よりは若干自由に電力を選ぶことができます。まず何より自分たちで発電をすることができます。そのことは、震災などの大規模な事故や、今後しばらく続くであろう電力不足に対する備えにもなります。

 こういう話しをしたときに必ず出てくる質問は、原子力が使えなくなると、必要な電力が賄えなくなるのではないか、産業が止まってしまうのではないか、日々の生活が営めなくなるのではないかということです。しかし、それは誤解です。

原発がすべて止まっても、電力不足にはなりません。
 いま、大規模な電力不足が起きているのは、火力発電所もダメージを受けたり、休止中の火力発電所がすぐに再開できないからです

原発は安くもないし、持続可能でもありません。
 けっして未来永劫にわたって利用可能な夢のエネルギーではありません。

原発は安定的なエネルギーではありません。
 今回のような事故が起きれば、修復もバックアップも困難です。いえ、それだけではなく、そもそも普段から出力調整すら困難であり、そのために深夜に大きな電力需要を作り出さなくてはいけないなど、本末転倒のことすら引き起こしています。

原発は環境に優しくありません。
 発生する熱の1/3だけを発電に使い、残りの2/3は自然界に放出しています。たとえ事故が起きなくても、環境を破壊する発電方式と呼ぶべきでしょう。

原発は人に優しくありません。
 通常のメインテナンスや清掃作業のためだけでも、1基あたり毎年数千人以上の方々が被曝しながら働いています。日本全体では既に数十万人もの被曝労働者を産み出し、ガンや原因不明の病気で死亡したり、後遺症に悩んでいる人も多くいると言われています。

 私たちは原発に関してあまりにも正確な情報から遮断されており、「安全だ」「原発しかない」と信じ込まされています。しかし、安全であることが幻想であることが今回わかったように、原発しかないということも事実ではないことを今知る必要があります。

 実際、今すぐに原発を全面的に停止するというのは難しいにしても、危険なものから停止し、早急に安全なエネルギーへ、持続可能なエネルギーへシフトするのは十分に可能なことです。なにしろ、日本は毎年23兆円もの燃料費を払っています。石油、天然ガス、ウランなど、ほとんどが海外に対する支払いです。これを国内で作られる再生可能エネルギーにシフトすれば、日本国内に多くの産業と雇用が生まれ、むしろ私たちはもっと豊かになることすらできるでしょう。

 なぜそれができないのか? なぜ、原発は安全であり、それしかないと私たちは信じているのか? それは今の原発が巨大な利権構造になっており、そのおかげでおいしい思いをしている人が、様々なところにいるからでしょう。彼ら自分たちにとってメリットのあるこの仕組みを維持するために、マスコミまで取り込み、徹底的な情報隠蔽、情報操作をしてきたのです。もちろん今もそれは続いています。そのことによる圧倒的な情報不足が、市民はもちろん、企業人も判断ができなくなってしまっているのです。

 詳細については明日以降また書いていきますが、今日のところは、私たちにできる二つのこと、それだけもう一度確認しておきたいと思います。

1. 正確な情報を入手して、自分と家族の健康・安全を守る
2. これ以上の危険を高めないために、脱原発を進める

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2011年03月23日

原発事故にどう対応するか?

 東日本大震災によって引き起こされた福島原発の事故は、私たちの生活に大変な衝撃をもたらしました。ここ数日は原子炉そのものは落ち着いてるものの、福島県の一部の地域で取られた野菜や牛乳から放射性物質が検出されたのみならず、今日は東京でも、水道水から乳児向けの基準を越える放射性ヨウ素が検出されるなど、私たちの安全と健康への脅威は日増しに高まっていると言わざるをえません。
出典:「水道水に乳児の基準超えるヨウ素 東京都、金町浄水場」(47News、共同通信、2011年3月23日)

 東電、原子力安全・保安院、政府などの発表では、「直ちに健康に影響はない」という言葉が繰り返されますが、それでは長期的にはどうなるのだろうかと聞きたくなります。

 また、この後、冷却ポンプがうまく再稼働して、原子炉や燃料プールが低い温度で安定することを願うばかりですが、もし万が一にも悪化することがあれば、そのときには何が起き、私たちはどうしたらいいのか。そうしたことが不明確であるが故に、どうしても不安も高まります。

 ツイッターやUSTREAMなどのインターネット上のメディアでは、マスメディアには流れない情報が得られ大変に役立っていますが、原発の現場の情報について言えば「大本営発表」しかなく、遅い情報、少ない開示に、誰もがイライラしています。

 こうした中で、自分や家族の健康と安全、さらには生命を守るために、私たちはどうすればいいのか。結局は自分で考え、自分で判断し、自分で行動するしかないと思います。横並びで、「みんなが動いてから」では、とても間に合わないかもしれないからです。

 では、何を判断に、どう動けばいいのか? 私自身は原子力の専門家ではないので皆さんに具体的にアドバイスをすることは出来ないのですが、環境エネルギー政策研究所(ISEP)の飯田哲也さんからいくつか有用と思われる情報をいただきましたので、ご紹介します。

 まず一つは、3月20日における「最悪のシナリオ」についての文書です。副題にもあるように、「楽観はできないがチェルノブイリ級の破滅的事象はない見込み」というのがその時点での結論であり、「首都圏や仙台などの大都市の避難勧告のような事態は、おそらく避けるこ
とができるものと判断できるのではないか」としています。
■「「最悪シナリオ」はどこまで最悪か」(飯田哲也)(PDF)

 本当に、なんとかこのレベルで収まってくれることを願うばかりです。それでも万一の備えとして、今後どのような状況になったら危険と考えるべきか、つまり避難の準備を始めるべきかについては、スウェーデン国立スペース物理研究所の山内正敏さんの記事が役に立ちそうです。飯田さんによればこれは、「放射線被曝を考える上で、もっとも納得できる説明」だそうです。
■「放射能漏れに対する個人対策」(山内正敏)


 また、もう一つ注意すべきことは、放射線障害について考えるときには、外部被曝と内部被曝を分けて考える必要があるということです。テレビなどでは、意図的なのではないかと思えるぐらい外部被曝のことばかり説明して安全性を強調しますが、放射能雲によって運ばれた放射性物質を吸い込むことなどによる内部被曝のことはあまり触れないように思います。東京など、原発から離れた地域においては、むしろこの内部被曝について用心すべきだと思います。

 今回の事故が今後どうなるのか、それは専門家でも分かりません。しかし、それに対してどう対応するか。それは専門家ではなく、私たち一人ひとりの判断であり、行動です。今日の記事が、皆さん方の判断のためにお役に立つことを願っています。そしてもちろん、一刻も早く、事態が収集し、みんなが安心できることを。

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2011年03月06日

Not on our planet

 私たちが生きていくためには、特に現代文明の恩恵を受けながら生きていくためには、かなりのエネルギーが必要です。これから先も相当な量のエネルギーを使い続けるためには、どのようなエネルギー源を考えたらいいのでしょうか。

 原子力発電は、残念ながらまったく持続可能であるとは言えません。ざっと考えたただけでも、以下のような理由が挙げられます。

・ウランという燃料が有限であり、資源量的にもけっして潤沢ではないこと。
・高速増殖炉は技術的に完成にほど遠く、これで燃料の寿命を伸ばすのは難しいこと。
・使用済み燃料や放射能を帯びた廃棄物の安全な処理方法が確立されていないこと。
・廃炉の安全な処理方法が確立されていないこと。
・事故発生時にはきわめて広範囲で、不可逆的な大災害を起してしまう可能性が否定できないこと。
・たとえ運転は安全に行われたとしても、天災やテロにあう可能性もあること。
・定期点検や修理において、被害にあう人が出ること。
・建設時に生態系を大きく破壊し、また運転中にも生態系に大きな影響を与えること。
・発電時の廃熱や送電時のロスなど、エネルギー利用効率が決して高くないこと。
・ライフサイクル全体で考えると、とてつもなく巨額な費用がかかること。
・発電所を作る地域への負荷やリスクが非常に高く、効用とコストが社会全体で公平に負担されていないこと。
・一度作ってしまうとその影響がほぼ半永久的に残り、効用とコストが世代間でまったく不公平であること。

 つまり、技術的な問題だけでなく、あまりに人にも、他の生物にも優しくなさすぎるのです。もちろん持続も不可能です。それをなぜ今さら無理やり作ろうとするのか、理解に苦しみます。

 他に方法がないというのは、言い訳にはなりません。もし本当に他にまったく選択枝がないのであれば別ですが、持続可能な自然エネルギーがいくつも存在しているのですから。それにも関わらず、原子力を選択することは、肯定することは、倫理的にとても許されることではありません。僕は、そんなに負担をかけて作ったエネルギーを使いたいとは思いません。使うエネルギーを減らすこと、そして再生可能エネルギーへのシフトを、できるだけ実行しようと思います。


 いま、中国電力の上関原発の開発をめぐって、大きなうねりが出来つつあります。30年続いた反対運動を無視して、中国電力が無理やり開発を強行しようということに関して、各界から大きな批判がされています。国の原子力政策のためか、産業界の意向に過剰に配慮するためか、マスメディアはこの問題をほとんど報じていません。

 しかし、個人、生活者、生きもの、未来世代、そして国際社会、そうした視点で見ていると、ものすごく大きな動きが起きています。ぜひ皆さんも自分自身のアンテナを伸ばして、自分と子どもたちの未来を考えたときに、いま私たちがどのような選択をすべきなのか、考えていただければと思います。マスメディアの情報を信じているだけでは、私たちは未来と自然に対して、取り返しのつかない大変な罪を犯すことの共犯者になってしまうかもしれません。 

 環境問題においてよく、”NIMBY: Not in my back yard”ということが言われます。つまり、「自分の家の裏庭には嫌だよ」というわけです。しかし、原発反対は、NIMBYではないのです。それはNot on our planet、私たちの星には要らない存在だと思います。

《関連リンク》
■「今だからみんなで考えたいこと。」(いしだ壱成オフィシャルブログ)
祝島島民の会blog 
上関からの中継(ustrema)
映画「ミツバチの羽音と地球の回転」オフィシャルサイト
■「ミツバチは地球を動かすか?」(サステナ・ラボ)

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2010年12月27日

なぜ原油価格は90ドルを超えたのか?

 先週22日、2年2ヶ月ぶりに原油価格の終値が90ドルを超えたそうです。今年は次第に価格が上昇していましたので、90ドル超えも時間の問題とは思っていましたが、原油在庫が市場の予想以上に減ったこと受け、90ドルを突破したようです。
出典:「原油、2年2カ月ぶり90ドル台 NY市場、在庫減少で」(47NEWS、2010年12月23日)

 報道では「米原油在庫の減少や欧米の寒波を受けて」とサラリと原因を分析していますが、それではなぜ在庫が減少しているのか。それが問題ですね。もしかしたら、オイルピークの影響が既に出始めたということなのかもしれません。

国際エネルギー機関(IEA)は11月にWorld Energy Outlook 2010を発行し、その中で「従来型」の石油は2006年にその生産量がピークに達したようだと結論づけています。オイルピークはもう来ていたのです。
《参考》
■「World Energy Outlook 2010日本語要約(PDF)」(IEA)

 不思議なことにこのニュースは日本ではほとんど報道されていませんので、もしかしたら原油価格が90ドル突破というのはやや驚きをもって受け止められたかもしれません。もっとも、原油価格は今年に入ってから徐々に上昇していますので、その価格をフォローしている市場関係者にとっては当然だったのかもしれませんが...

 ちなみに、OPECの一部加盟国は、まもなく100ドル台に乗せるであろうと予測しているようですので、そう考える国々からすれば、90ドルというのはまだ通過点に過ぎないのでしょう。
出典:「原油100ドルに上昇、OPEC一部加盟国が予想−石油消費国は警戒」(Bloomberg、2010年12月27日)

 ここでも問題は、90ドルか100ドルかではなく、なんでこのような価格上昇が起きるのか、この先はの展開はどうなるかでしょう。オイルピークは既に過ぎ、私たちは好むと好まざるとにかかわらず脱石油の時代に突入したという認識が重要なのではないでしょうか。

 なぜか日本では私たちはそのような時代の大きな流れを知らされないのです。もちろん、それではこれにどう備えるかということについても知らされませんし、事実が知らされなければ考えることもできません。

 石油に代わるエネルギーとして、日本では原子力発電が推進されていますが、これには安全上の様々な問題があるだけでなく、そもそも原子力そのものも持続不可能である、オイルピークと同様にウランピークもありますし、もうそれは来ているのだという説すらあります。
■「石油ピークって何?」(もったいない学会)

 そう考えると、原子力はとても化石燃料の代替にはなりえません。化石燃料や原子力に頼らなくても、自然エネルギーはかなり潤沢にあります。特に日本では、地熱エネルギーが莫大なポテンシャルを持っているのですが、そのこともあまり知られていませんし、もちろん活用もされていません。詳細は、例えばWikipediaの「地熱発電」の項をご参照ください。

 それ以外にも様々な自然エネルギー、再生エネルギーがあります。それぞれに一長一短がありますので、どれをどう使っていくかは議論すればいいのですが、少なくとも石油時代の終わりが始まったことや、次の時代を担うエネルギーとして、原子力ありきで進めるのではなく、多くの選択枝についてきちんとデータを開示した上で、是々非々の議論をする必要があるのではないでしょうか。

 大きく時代が動き始めたのです。ここできちんと持続可能な社会のビジョンを描き、そちらへシフトすれば、新しい地平が開けます。反対に、時代が変わりつつあることに気付かなかったり、気付いても見なかったふりをしたのでは自分だけ変化から取り残されてしまいます。私たちは大きな分岐点に立っているのです。

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2010年08月11日

石油って大丈夫なんだろうか?

 石油があと何年持つのか? タイトルを見てそういう話かと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら今回はそういう話ではありません。あるいは、気候変動の話でもありません。もちろんそれらも重要な問題ではあるのですが、最近それ以外にも本当に石油はまずくなって来たのではないかと思うことが続くのです。

 一つは言うまでもなく、メキシコ湾におけるBPの原油流出事故です。最近の報道では、BPの被害額は61億ドルにも上るとの予測が出ていますし、この油田に10%の権益を持つ石油開発会社には4億8千万ドル、つまり412億円あまりの請求が届いたとのことです。実はこの会社、三井物産が70%出資する三井石油開発の米子会社です。BPの今回の処理コストは61億ドルに達するという別の報道もありますので、この請求書はさらに膨れ上がるかもしれません。

 1600mという水深で起きた油漏れが完全に止められたかはまだわからないようですが、その影響はこれまでだけでも非常に深刻なものです。油による影響だけでなく、その被害を食い止めるために大量に使われた化学分散剤が海洋生態系に深刻な影響を与えているのではないかという疑いです。

 そもそもなぜ水深1600mなどという危険な場所で操業をすることになったのか。もちろんそれは、もっと浅い、より簡単に採掘できる油井が底をつきつつあるからです。今回の事故はなんとか収束したとしても、今後さらに深海での採掘現場が増えれば、同様の事故の可能性がないとは限りません。本当にそこまでのリスクを追って開発する必要があるのでしょうか。

 では、既存の陸上の油井であれば、問題はないのでしょうか。いえ、それとはまったく別のリスクが顕在化しています。商船三井のタンカーが、ホルムズ海峡でテロにあったというのがそれです。

 今回は船体が傷つく程度でしかなかったことは幸いでしたが、民間のタンカーがテロのターゲットになるというのはやはり衝撃的です。運んでいるものがものだけに、当たりどころが悪ければ大惨事につながるところです。

 ホルムズ海峡と言えば、世界の原油の4割(!)が通るという大動脈です。たとえ航行不能とまではいかなくても、夜間の航行が出来なくなったり、保険料上がったりするなどすれば、経済への影響も甚大です。

 問題はそれだけではありません。実はこれは既に長い間問題になってきたのですが、ナイジェリアのニジェールデルタではこれまで数十年にわたって、少なくとも150万トンの原油が流出したと言います。これは、エクソンバルディーズ号が座礁した際に流失した量の50倍であり、BPのメキシコ湾事故の数倍にもなる量です。

 日本ではほとんど報道さえされませんが、それほどの流出が50年近くも続いているのです。これほどの環境破壊を起し、リスクを孕んでいるのです。石油が有限で持続可能性がないことは言うまでもありませんが、石油を使い続けることが、私たちの持続可能性を危うくしているのです。気候変動対策としてはもちろんですが、一刻も早く卒業しなければいけないのは明らかでしょう。

 なぜそれが出来ないのか。そもそもなぜこの国ではこのような大切な問題が議論されないのか。不思議ではありませんか?

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2009年11月05日

なぜ原子力推進なのか?

 鳩山政権になり、2020年25%削減に向けて大きく舵が切られたのはいいのですが... いくつかどうしても気になることがあります。最大の懸念は、CO2削減のために原子力発電を容認していることです。

 それを受けたというわけではないのでしょうが、今日ついに国内初のプルサーマル発電に向け玄海原発(九電)が稼働し、先ほど午後11時過ぎに臨界状態に到達。9日には試験的に発電を開始し、12月2日から営業運転を始めるとのことです。

 原子力発電はCO2の排出量が少ないと言われますが、核廃棄物や原子炉の解体処理等まで考えたとき、その何万年にもなるライフサイクルで本当に排出量が少ないと言えるのか? もしそうだとしても、どうやってそんな長期間の安全性を担保するのか? 当然、誰一人として関係者はそんな「長生き」はできないわけで、明らかに将来の世代にお荷物を残すことになります。こんな無責任な先送りが、とても「持続可能」なわけがありません。

 もっと短い間で考えても、これだけ地震の多い国で、あるいはテロリストの多い時代に、果たして本当に安全に一つの大事故もなく運転できるのか?(一つでも大事故があれば、大変なことになってしまいますからね...)

 CO2削減だけでなく、有限の化石燃料の代替としてウランを使うのだという主張もありますが、ウランももちろん有限な資源であり、しかもその寿命は化石燃料より短いのではという指摘もあります。

 だからプルサーマルで再利用なのだという主張なのですが、これも資源量のメリットはないという専門家の指摘もあります。(例えば、「プルサーマルはエネルギー支出を正当化できるのか」(温暖化いろいろ)参照)

 そしてそれ以上に、プルトニウムを使うことから、安全性に対しての疑問も強く持たれています。

 話は飛びますが、今日たまたま、東北自動車道で核燃料低レベル濃縮廃液を積んだワゴン車にライトバンが追突するという事故が発生しています。「廃液は青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場でサンプルとして採取されたもので、微量のウランを含む400CC入りの容器が2本積まれていた。ワゴン車は六ケ所村から神奈川県に向かう途中だった」そうですが、こういう事故だって、当然ある確率で起きるわけです。
出典:「<核廃棄物輸送車>東北道で追突事故 放射能漏れなし 岩手」(毎日新聞、2009年11月5日)

 つまり、取り返しのつかない重大な事故につながる可能性がある、資源は有限、廃棄物の処理方法は確立されていないし、放射能がなくなるまでにはきわめて長い時間がかかる、費用も莫大にかかる... (全省庁に渡る「事業仕分け」で税金の無駄の削減を試みながら、例えば高速増殖炉サイクル技術だけでも37億円増の384億円を配分)こんな厄介なものをなんでさらに進めようとするのか、理解に苦しみます。

 電力会社にしても、原発を作ることは、地元を説得するのも大変だし、運用するのも大変、本当に気を使うことばかりです。しかも日本のエネルギー総需要はそろそろ頭打ち、10年以内にはピークに達するであろうときに、わざわざ何を好き好のんで、将来確実に厄介な遺産になるものを抱えこもうとするのか... 

 とても合理的な判断とは思えないのです。もしかすると、こうしたデメリットをカバーして有り余る、僕が見落としている大きな理由があるのかもしれません。だとしたら、ぜひそれを知りたいなと思うのですが...

 もしそんな理由がないのであれば、原子力にかけるお金と労力を、本当に再生可能な自然エネルギーの普及に使う方が、はるかに意味があるのではないかと。その方が、政策全体として首尾一貫したものになりますし... ぜひ本当のところを知りたいものです。教えてください、鳩山さん!

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2009年09月15日

エネループで光を

 今日の夜はちょっとおもしろいイベントに参加して来ました。三洋電機の主催による「エネループ・ミーティング」です。正式な名前はとっても長くて、「さぁ、eneloopの輪に入ろう 〜無電化地域に"あかり"を贈る〜 社会貢献をあなたと考える、エネループ・ミーティング」なのだそうですが...(^^;)

 ブロガーのための集まりで、三洋電機の充電池eneloop(エネループ)を活用した社会貢献活動を紹介し、それについて参加者でディスカッションをするというものです。ブロガーを対象にした、ステークホルダダイアログと言ってもいいかもしれません。

 皆さんご存じのようにeneloopは、放電しにくいという、これまでの充電池の欠点を補った環境性能に優れた充電池です。性能に加えてデザインもシンプルで美しく、僕も愛用しています(家中の電池をできるかぎりeneloopに置き換え計画進行中です)。

 ビックリしたのは、eneloopの技術を使った関連製品のユニバース製品というのが、実に多彩なこと。カイロとか、ソーラーパネルの充電池などは知っていましたが、小型空気清浄機や自転車まであるんですね! どれもデザインも洗練されていて、なんでもっと売れないのか、不思議なほどです。

 僕の参加していたチームは、最後のプレゼンテーションで1位になって、賞品としてeneloopyをいただきました。イヌの形をした、充電池チェッカーです。こんなのもなかなか遊び心があっていいですね。

 前置きが長くなってしまいましたが、今日のダイアログの主役は、ウガンダの学校に寄付された、太陽光で充電して光るeneloop lanternです。
■「太陽の力で光る「エネループ ランタン」をウガンダへ寄贈」(三洋電機)

 世界人口の約1/4が無電化地域に暮らしているといいます。そういう地域の方々に、太陽の光で充電できるLEDランタンを贈るという同社の社会貢献事業で、昨日9月14日にウガンダ共和国の中学校に250台が贈られ、その発表が今日行われたのです。贈呈式には担当役員も参加なさったそうで、気合いが入っています。

 似たようなプロジェクトとして、世界銀行グループが実施している"Lighting Africa"というものがありますが、三洋電機の活動はこれとは全く独立に同社が単独で行っている社会貢献活動で、ウガンダの大臣から寄せられた一通の手紙がきっかけとなり始まったものだそうです。
《参考記事》
世界銀行とIFC、アフリカのオフグリッド照明へ投資誘致(全訳記事)」(JanJan、2008年6月4日)

 このプロジェクトの良いところは、まずeneloop lanternが商品として魅力的であること。LEDを使っているので、6時間の充電で8Wのランプが5時間点灯するそうで、これなら十分実用になります。光を1Wに落とせば、20時間ももつそうです。

 8Wというと随分暗く思われるかもしれませんが、途上国の真っ暗な夜の中では、十分に利用価値がある明るさなのだそうです(@whynotnoticeさん撮影の写真)。会場でも体験しましたが、このランプをつけると、まわりの人の顔はちゃんとわかりますし、ランプに近づければ文字も読めます。ちなみに1Wというのは、ロウソクの明りと大体同じなのだそうです。

 実際にウガンダを訪れた映画監督の井上春生さんからのお話もあったのですが、ウガンダの電化率は都市部で20%、地方は4%。停電は日常茶飯事。というか、そもそも計画停電せざるを得ない状況なのだそうです。そしてそうかと気付かされたのは、「明りがないといことは、一日の中で使える時間が短い、一日が短いというのと同じ」という言葉でした。明りがないために十分な教育を受けられない子どももたくさんいるのです。

 というのも、ウガンダはエイズが初めて出た国で、エイズ孤児も多い。生産年齢がいないために、子供たちも働かざるを得ない。昼間働いている子供たちは、真っ暗な夜が来るの寝るだけ。勉強はできないのです。

 驚くのはそれだけではありません。友だちなどとの横のつながりもほとんどないというのです。ところが、そこに明りがあれば... あっという間に子供たちが集まってくるそうです。つまり、「明りの周りに、人間の輪ができる」のです。

 途上国援助として明りをというのはもちろん理解できるのですが、明りがもつここまでの意味は、やはり先進国に住んでいる私たちにはなかなか想像できないのではないでしょうか。

 また、井上監督の話で非常に印象に残っているのは、「ドイツの援助は衛星回線を使っているので必ずつながる。日本の援助は現地プロバイダを使うので、使えなくなり、結局埃をかぶっている」というのや、「日本は立派なハコモノを援助するが、例えばアフガンでは、病院を作るより、モバイル・ドクター(ホンダのカブに乗って医者が走り回る)方がよっぽど役に立つ」などという話です。援助をするのはいいのですが、効果的な援助をするためにはどうしたらいいのか。まだまだ考えるべきことはありそうです。

 さて、今回のeneloop meetingですが、単に三洋電機がこんなイイコトをしていますという宣伝ではありません。今回のeneloop lanternの贈呈もそうなのですが、三洋電機は「eneloopの輪」というSNSのようなものをやっていて、ここで参加者が行なったアクションがエネジー・ポイントとなり、その総計が10万ポイントになる毎に、三洋電機が250台のeneloop lanternとソーラー充電器のセットを寄付するのです。つまり、単に企業が寄付をするというのではなく、一人ひとりの参加者のアクションが寄付につながるというところがミソなのです。
■「『世界の無電化地域に”あかり”を贈る。』プロジェクト」(三洋電機)

 なかなかおもしろいプロジェクトでしたので、三洋電機に敬意を表して、そしてブロガー向けイベントってことは当然それを期待しているのでしょうから(笑)、早速今日の話題にしてみました。さらに今日のミーティングの様子は英語でも若干つぶやいてみましたが、こうした日本企業の真摯な取組が、もっと世界に知られるといいですね。企業にも、その辺はぜひもっと積極的かつ戦略的にと、お願いしたいと思います。

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2009年09月02日

白熱灯、蛍光灯そしてLEDへ

 この9月から、EUはいよいよ白熱電球の販売規制を始めました。最初は100Wの電球から始まり、2012年にはすべての白熱電球の販売を禁止するとのことです。

 日本でも既に2008年の4月に、2012年までに白熱電球の生産を中止するように経産省がメーカーに要請するこを決めていますが(「白熱灯は禁止?」参照)、これはあくまで要請で、禁止令ではありません。これまでのところ、東芝ライテックが2010年度を目処に生産を原則中止、パナソニックも生産を大幅縮小することを決めています。
《参考リンク》
■「白熱電球」(Wikipedia)
■「電球型蛍光灯」(Wikipedia)

 白熱電球の代替としては今のところ電球型蛍光灯が主流ですが、性能等の問題で代替するのが難しい場合があることと、頻繁に点滅を繰り返す場所には不向きであること(寿命が短くなる)、水銀を含んでいること、などが問題になっています。

 一方、電球型LEDは電球型蛍光灯以上に省電力、長寿命で、また蛍光灯の持つ問題もクリアしており、さらには調光や調色が出来るなど、大変魅力的です。一番の問題は価格だったのですが... 今年になってシャープが戦略価格の電球型LEDを発表。一気に現実的な選択肢となりました。
《参考リンク》
■「シャープ、実売3千円台からの“戦略価格”LED電球」(家電Watch)

 我が家でも、寿命が来た白熱灯から順次電球型蛍光灯への切り替えを進めてきたのですが、今後は一部この電球型LEDも導入しようと考えています。寿命が40000時間もありますので、設置場所によっては一生交換不要かもしれません(笑)

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2009年08月02日

"NO COAL"

 石炭火力発電には反対、風力発電に! 実にわかりやすいアピール方法ですね。
 日本では麻生さんが、「2020年に太陽光発電を20倍へ」と威勢のいいことを言いはじめました。自民党のマニフェストにも含まれています。

 しかし、そもそも日本の太陽光発電の割合は小さいので、20倍になったとしても全体の4%程度と予想されます。いえ、原子力も増やして「CO2排出量を削減する」そうですから(^^;)、割合としてはもっと小さくなってしまうのかもしれません。

 もちろん太陽光発電を増やそうというのは結構なことなのですが、それだけでなく、再生可能エネルギーの割合をどうやって増やすのか、また全体の量をどう減らすか、その辺もきちんと目標と道筋を示して欲しいですよね。

 日本では、"NO COAL"だけでなく、"NO NUKE"も付け加え、原発が増えないように注意する必要がありそうです。

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2009年03月29日

アースアワーで3.5%削減

 土曜日28日の夜8:30からの1時間は、世界的に「アースアワー」でした。電気を消して地球のことを考えようという、日本でいうところのキャンドルナイトです。


 WWFが呼びかけて始まったこのイベントは、今年で3年目。世界60カ国、240都市以上が参加を表明、時差の関係で世界で最も早くアースアワーを迎えたニュージーランドでは、電力消費が3.5%も減ったそうです。

 日本ではキャンドルナイトが普及し過ぎているのか(笑)、アースアワーの認知度は今一つですが、恵比寿ガーデンプレイスにあるウェスティンホテル東京がライトダウン。レストランでは照明を落としただけではなく、「ロマンティック キャンドル ナイト ディナー」を用意するなど、しっかり商売にもつなげたようです(笑)
出典:「ウェスティンホテルがライトダウン−消灯で「アース・アワー」に賛同」(シブヤ経済新聞、2009年3月17日)

 僕も夜型をやめて、省エネに協力したいのですが...(^^;)

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2009年03月24日

一人年間8リットル

 私たちが生きている限り、毎日食物を体内に取り込み、そして不要なものを体外に排出します。食べ物を必要とするのはまぁしかたありませんが、排出したものの処理にエネルギーとお金をかけるのは、いかにも無駄です。

 ところがこの「排出物」も発酵させてメタンにすれば、エネルギー源になります。その量は、なんと一人あたり年間で8リットルのディーゼル燃料に等しい燃料を生み出すのに相当するそうです。エネルギーになるものを、エネルギーをかけて捨てているなんて、なんとモッタイナイ!

 そのことに気づいた(?)ノルウェーの首都オスロは、来年から、し尿由来のバイオ燃料で市バスを走らす計画だそうです。

 でも実はこの話、熱心なサスラボの読者の方にはもはや目新しいニュースではないかもしれませんね。スウェーデンの首都ストックホルムでは、既に10年以上も前から同じことを考え、実行していることは紹介済みです(「下水処理場はエネルギー工場」参照)。

 実は日本でも、神戸市営バスの一部は「バイオ天然ガス」を燃料にしています。
《参考リンク》
■「バイオ天然ガスを燃料にしたバス試乗会開催」(神鋼環境ソリューション)
■「バイオ天然ガス化設備」(神鋼環境ソリューション)

 メタンガスは都市ガスの成分と同じですから、都市ガスのインフラがほぼそのまま使えます。メタンはCO2の21倍の温室効果を持ちますが、燃料として燃やしてしまえばCO2になりますし、そもそも下水由来であればカーボンニュートラルです。

 コストも今やそれほど割高ではありませんし、技術も確立されていると言っていいでしょう。そして、「穀物などの植物から精製される第1世代のバイオエタノールとは異なり、し尿によるバイオメタンは食料価格の高騰を招かない、肥料が要らない、貴重な水資源を枯渇させることがないといった利点も」あります(同上)。

 オスロや神戸だけでなく、もっと多くの都市がなぜ下水を燃料と考えないのでしょうか? 何十年か後の時代の人が今の私たちのことを知ったら、「エネルギーを捨てるために、なぜ余計なエネルギーを使っていたのか?」と不思議がるでしょうね。私たちはいつ、下水は燃料だと気付き、そちらにシフトするのでしょうか。

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2009年03月09日

替えエコは賢く

 省エネ製品に買い換えるべきなのかといういわゆる「替えエコ」問題はなかなか微妙です。環境省は買い換え前後での消費電力量、電気代、CO2排出量などを比較できる「省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」」を今年の2月6日に正式運用を開始し、買い換えを促しています。
■「しんきゅうさん

 齊藤環境大臣が自ら参加したキックオフ・イベントが秋葉原で行われたあたりからして、エコロジーよりは、エコノミー優先っぽい気もするのですが... 「しんきゅうさん」では電気代がどのぐらい節約できるかはわかりますから、何年ぐらいで元が取れるかはわかります。しかし、むしろ重要なのはLCAで考えて果たしてそれが意味があることなのか。つまり、本当にエコなのかどうかです。

 ちなみに昨年来のT自動車の「エコ替え」のCMについては... 「まだ乗れるけど、燃費のいい方に替えよう」というのでは、経済的にもなかなか元は取れそうにありません(^^;)。ネットで検索してみたら、非難轟々だったようです。「エコ替え」で検索すると、ご丁寧に以下のようなビデオを作っている方までいらっしゃいます。


 10年前に比べると格段に省エネが進展している電機製品の場合でも、実際には「状況によりけり」ということで一般的な回答はもちろん、個別のケースでも判断するのはなかなか難しそうです。それでも、ひとまずは安井至先生の「市民のための環境学ガイド」にある「替えエコの具体的お奨め策」などが参考にななるのではないでしょうか。ご参考のため、以下に結論部分のみ引用させていただきます。
「替えエコ」:以下のような結論。
(1)白熱電球→電球型蛍光灯
「1日30分以上点灯される場所なら白熱電球よりも電球型蛍光灯。それ以下なら白熱電球を継続して使用」
(2)普通エンジン車→ハイブリッド車
「ハイブリッド車と普通車との価格差、その車を何キロ運転するか、そのときのガソリン代が車保有期間内にいくらになるか、を考えて、価格的に見合えば買う」。
(3)ヒートポンプ機器 旧式→新製品
 *冷蔵庫
 一度、消費電力を測ることが必要だが、測ったからといって判断は難しい。
 *エアコン
 1995年以前の製品かどうかで、大体の判断は可能。1994年製までなら、まだ動くようでも替えることを検討。
(4)トイレ便座 普通型→センサー型
 おそらく替える意義はあるのだが、まだ、今後の検討対象か。もう少々多様な製品が出てくることが望ましい。
出典:「替えエコの具体的お奨め策」(市民のための環境学ガイド)

 かく言う我が家では最近、冷蔵庫を替えました。まだ不具合はなかったのですが、既に13年目に突入しており、補修用性能部品の保有期間も過ぎていますし、夏暑くなってからでも壊れたら困るなぁと思い、買い換えを決断しました。電力消費量も半分以下に下がっているようですから、その点でもまぁ意味はありそうです。(それでも元を取るためには軽く10年以上かかる計算ですが...)

 新しい製品を選ぶときにもちろん省エネ性能を第一に考えました。ちょっとびっくりしたのは、大体同じぐらいの容量でも、メーカーによって商品電力はかなり違うのですね。もっとメーカー間の差はないと思っていたのですが... 同じ省エネ性能の製品が2社からどちらにするかちょっと迷いましたが、最終的にはP社に決定。同社の環境関係の部署に勤める知人のAさんの顔がチラチラと頭に浮かんだからでした(笑)

 その後、別の環境関係の方々と話をしていたら、「電機製品を買うときに、原発を作っているT社、H社、M社の製品は買わない」と言っている方がいて、「そーか、そういう見方もあったな」とちょっと納得。その意味でも、P社にしたのは正解だったようです。

 「しんきゅうさん」では、冷蔵庫の他にも照明器具、エアコン、テレビが比較できるようになっていますが、我が家では照明はおおよそ交換済み、エアコンは賃貸のためえに自分では交換できず、テレビはほとんど見ません。なので、当座はこれで「替えエコ」は終わりです。

 ともかく「替えエコ」だと言うつもりはまったくありませんので、買い換えるタイミングも含めて、賢い「替えエコ」でいきましょう。

今日も読んでくださって、ありがとうございます。
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2009年02月25日

太陽電池に光!

 日本で太陽光発電が伸び悩んでしまったのは、せっかく人気が出始めたところで補助金を一時止めてしまったことに加え、余剰電力の買い取り価格が低いためと言われています。一方、太陽光発電が大躍進のドイツでは、電力会社が長期間にわたって余剰電力を高く買い取ることを定めているため、一般の方々が安心して家庭に太陽電池を導入できたのだと言われています。

 ところがこの度、買い取り価格の値上げを求める声が与野党から強まったのを受け、経産省が方向転換、2010年から買い取り価格を現在の2倍(!)にすることを決めたとのことです。

solar090225.jpg
図出典:「太陽光電力 買い値2倍に 電力会社、来年から10年間」(東京新聞、2009年2月25日)

 その分の費用は電力の利用者全体で負担することになるのですが(これもドイツと同じ仕組み)、追加負担は標準家庭で月100円以下に抑えるということですから、それだったらまったくノープロブレム、大歓迎です。

 我が家は賃貸なのですぐに太陽電池を導入することは出来ないのですが、その程度の負担増で再生可能エネルギーが増えるのであれば、喜んで協力させていただきます。
出典:「電力会社に買い取り義務付け 太陽光発電の余剰電力、価格2倍に」(中日新聞、2009年2月25日)

 太陽電池関係の産業にとってもビジネスチャンスですし、再生可能エネルギーの導入が加速すれば、日本の持続可能性にとっても大きなプラスです。久々の明るく、嬉しニュースですね!

今日もお立ち寄りよりいただき、ありがとうございました。
皆さんは100円の負担、どうですか?
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2008年11月11日

減るわけがない

 今日はちょっとショッキングなニュースを紹介しなければいけません。
 日本の07年度の温室効果ガス排出量(速報値)は、二酸化炭素(CO2)換算で13億7100万トンと、90年度以降で最悪だったことが11日、環境省のまとめで分かった。京都議定書の削減目標を約15%上回っている。昨年7月の新潟県中越沖地震以降、東京電力柏崎刈羽原発が運転を停止していることなどが原因という。原発依存の温暖化対策が露呈した格好で、議定書の目標達成は極めて厳しい状況だ。

 (中略)

 07年度の排出実績は議定書の目標達成に直接影響しない。だが、同原発は現在も運転停止中で、議定書の約束期間に入った今年度も改善の見通しは立っていない。オフィスや家庭での省エネも期待通りに進んでいない。
出典:「<温室効果ガス>日本の07年度の排出量、過去最悪に」(毎日.jp、2008年11月11日)

 ただ、正直を言えば、「やっぱりな」という気がしないでもありません。構造的な変革を行わなければ、「国民の意識」ぐらいで減らせるものではないからです。火力や原子力だけに頼っているようでは、大勢が変わるわけはないのです。

 一方、次期合衆国大統領になることが決まったオバマは、再生可能エネルギーへのシフトを政策の一つに盛り込んでおり、積極的な2050年目標を掲げ(2050年に1990年比80%削減!)、そのために連邦レベルでキャップ&トレードも行うとしています。もちろん、京都議定書へも復帰です。

 さらにゴア元副大統領は、10年間で全米を100%再生可能エネルギーへと、きわめてチャレンジングな政策を提言しています。"Repower America"と名付けられたこの計画は、しかし、単なる精神論ではありません。再生可能エネルギーへシフトすることで、アメリカ国内に投資を行い、再生エネルギーという新しい産業を興そうという経済復興の意味もあり(つまり、"Repower America"は「アメリカをもう一度元気づけよう」という意味も兼ねているのです)、チャーミングなものにもなっています。

 ゴアのスピーチを聞いていると、ケネディがアポロ計画で10年で人類を月に送り込んだように、オバマとゴアは10年で本当にアメリカを再生可能エネルギー100%の国にしてしまうのではないか、そう信じられる気持ちになってきます。

 一方、日本はと言えば、再生エネルギーのシフトを始めとする抜本的なエネルギー改革の政策はまったく打ち出せていません。むしろ、いかに現状を変えずにいようかと汲々としているように見えます。

 このまま行くと、気がついたら一人だけ、世界の落ちこぼれになってしまっているかもしれません。もちろん、そんんことにはならないように、日本のリーダーにも頑張ってもらいたいと思います。ね、麻生首相に、.... あれ、今の環境大臣ってどなたでしたっけ!?

今日もご訪問、ありがとうございます。
皆さんの周りでは、CO2減ってそうですか?
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2008年10月26日

私たちが増やせるグリーン電力

 グリーン電力、すなわち太陽光や風力、バイオマスなどの自然エネルギーによる電力のことは、サスラボの熱心な読者であれば何度も聞いたことがあると思います。それではグリーン電力を購入する仕組み、グリーン電力証書の仕組みはきちんと説明できますか?

 先日も、岡山のシンポジウムで環境エネルギー政策研究所(ISEP)の飯田哲也さんにご一緒したときに、飯田さんがグリーン電力証書の仕組みや現状について講演をなさっていたのですが、その仕組みについてはちょっとわかりにくいという声もありました。そこで、今日はこのグリーン電力証書の仕組みについて復習してみましょう。

 グリーン電力を使いたいと思ったとき、皆さんだったらどうしますか? 家の屋根に太陽光パネルを設置するのもいいのですが、かなりの元手が必要になりますし、そもそもマンションや借家ですと、自分の意志だけで設置するわけにもいきません。

 だったら、どこか他で発電しているグリーン電力を買って来れば良さそうな気もしますが... これも実際にそう簡単ではありません。どこで誰が発電しているのかわかりませんし、第一そこから電線を引くなんて、考えただけで気が遠くなります。

 そこで役立つのが、グリーン電力証書です。グリーン電力を発電した際に、電気そのものの価値(電力)とその電気がグリーンであるという価値(環境付加価値といいます)を分けてしまうのです。そして、電力はそのまま電力会社に売却し、環境付加価値を示す証書を、グリーン電力を使いたいユーザーに買ってもらうのです。

 グリーン電力を使いたいユーザーは、電力そのものは今までどおりに電力会社から購入するのですが、同時にグリーン電力証書を購入します。このことにより、そのユーザーは電力+環境付加価値の両方を購入しますので、グリーン電力を購入したのと同じことになるのです。
《参国リンク》
■「グリーン電力証書システム」(日本自然エネルギー株式会社)

 別の説明の仕方をすると、グリーン電力証書を購入することで、購入者は、グリーン電力の発電にかかったコスト分を実際に負担し、その証しとして証書が発行されたという言い方をすることもできます。

 そしてもちろん、グリーン電力証書の発行や売買などは、きちんと登録して管理され、信頼性と透明性を保った形で行われます。この方式の最大のメリットは、証書をきちんと管理するだけですので、グリーン電力を直接売買するのに比べると、圧倒的にコストが低くて済むということです。

 このようにグリーン電力証書を購入することでグリーン電力の推進を支援することはできますが、これは誰か他の方がリスクを取って投資したお蔭で発電できたグリーン電力を購入しているということです。もちろんそうした方が増えればグリーン電力の発電所も増えるのですが、もっと直接的にグリーン電力を増やす方法はないのでしょうか?

 もしグリーン電力を使いたいという方が増えれば、そうした方からの出資をまとめて、グリーン電力の発電所を増やすことも出来るのです。市民風車ファンドなどに代表される、市民によるグリーン電力開発を行えばいいのです。
《参国リンク》
自然エネルギー市民ファンド

 日本は諸外国に比べてグリーン電力の導入は圧倒的に遅れていますし、国の将来目標も非常に低い値です。しかし、これは飯田さんも強調していたことですが、再生可能エネルギーの導入が進んでいるドイツに比べて、日本は国土面積、人口、経済規模のすべてにおいて大きいのですから、ポテンシャルは十分にあるのです。ないのは政治のやる気と指導力だけでしょう。

 だったら、私たちユーザーが自ら再生可能エネルギーを選ぶこと、それが一番の近道であり、現実的な方法かもしれません。そのために、自分たちでグリーン電力を増やす、あるいはそのグリーン電力を購入すればいいのです。グリーン電力証書に加えて、グリーン電力ファンドがあれば、政府が考えを変えるのを待たずとも、私たちの力で現状を変えていくことができます。

 今回はそうしたファンドの一つとして「温暖化防止おひさまファンド」が紹介されました。おひさまファンドへの投資は1口10万円から可能です。気軽にとはいかないかもしれませんが、個人にもまったく手が出ない金額ではありません。わが家でも現在出資を検討中です。今後またいつ暴落するかわからない電力会社の株を買うよりは、再生可能エネルギーの推進に出資してみてはどうでしょうか? 経済的リターンのみならず、私たちの持続可能な未来に投資するという意味で、とてもカタイ投資と言えると思います。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
私たちに出来ること、いろいろありますね。
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2008年09月08日

台所で太陽電池作り?

 インフラが整備されていない途上国で電気を使うには、大型の発電所を作ったりするより太陽光発電を使う方が現実的です。その方が環境負荷も少なくてすみますしね。

 とは言っても、問題は価格。いくら太陽電池が安くなったとは言っても、途上国の人々からした高嶺の花。寄付しようとしても、値段がネックになり、配布できる量が限定されてしまいます。

 そんな現状を打破するかもしれない画期的な発明「iJET」が、今年の「オーストラリア博物館エウレカ賞(Australian Museum Eureka Prizes)」に選ばれました。受賞者は弱冠23歳の大学院生ニコル・ケッパー(Nicole Kuepper)さんです。
ケッパー氏によれば、アイジェットは「インクジェット方式のプリンターとマニキュアの除光液、ピザの焼けるオーブンがあれば作れる」太陽光発電機。従来の工程と違い、クリーンルームを備えた工場や熟練した技術者を必要としないため、約半分の費用で製造できる。同氏は今年、この技術で、同国の優れた科学者に贈られる「オーストラリア博物館エウレカ賞」を受賞した。「工程を簡素化し、分かりやすくすることが、太陽光発電を途上国に普及させるカギだと考えたのです」と、同氏は語る。
出典:「太陽光発電を簡素化、途上国への普及目指す 豪研究者」(CNN、2008年9月6日)


 
 インクジェットプリンターは実は今や電子部品の製造プロセスにも使われており、言われてみればなるほど、まさに「エウレカ!」な着眼点です。それにマニキュア液とピザオーブンを組み合わせたところは、いかにも女子学生!?

 比較的ローテクを組み合わせても、自由な発想があれば、革新的な技術というのは生まれるものなですね。途上国の人々の生活に貢献するだけでなく、製造時のコスト(=環境負荷)の低減や、途上国での新たな産業育成にもなるかもしれません。

 あと2〜3年で実用化を目指すそうですが、今後の進展が楽しみですね。こうした技術やニュース、もっと増えて欲しいですね。

《参考リンク》
■"Nicole has a Eureka moment - twice"(The Australian、2008年8月19日)

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2008年08月15日

再生可能エネルギーの現状と目標

 持続可能な社会を作るために必ず必要なものが再生可能エネルギーです。ところが残念なことに、日本では再生可能エネルギー(自然エネルギー)の導入が非常に遅れています。

 例えばドイツでは既に12%が自然エネルギーであり、2030年には45%を目指しています。デンマークは2020年に30%、イギリスは20%を目指していますが、日本の目標はなんと2014年に1.63%です(^^;) 現状の0.96%というのもきわめて小さな値ですが、6年後に倍にもならない目標なのです。ちょっと悲しくなりませんか?

 だったらこの1.63%=160億kWhを自分たちの力で一気に達成してしまおうというプロジェクト、それが「1億人のグリーンパワー。」であり、そのためのアクションが「+グリーン」です。

 詳しくは「1億人のグリーンパワー。」のWebサイトをご覧いただきたいのですが、私たち一人ひとりが毎月1日だけ、10kWhのグリーン電力を選択すれば、これは達成可能な数字なのです。

 そして日本のグリーン電力の現状については、「1okunin:see-it」のページをご覧ください。興味深い数値満載です。

 例えば、都道府県のうち、もっとも自然エネルギーの導入目標が高いところはどこでしょうか? ちょっと意外なところかもしれません。

 あるいは、グリーン電力をもっとも多く購入している企業は?

 インタラクティブな画面をみながら、世界と日本の現状を知ることができます。

 そして自分もアクションしたいなと思ったら、「+グリーン宣言」をぜひどうぞ。

今日も訪問してくださって、ありがとうございます。
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2008年08月09日

単純には喜べない電気自動車

 昨日の日経朝刊のトップは、「東電、首都圏に充電拠点網」と題して、東京電力が2009年度に最大200ヶ所、3年度で約千ヶ所の電気自動車用の急速充電設備を整備するというものでした。
 東京電力は首都圏で電気自動車の充電拠点網整備に乗り出す。ショッピングセンターや大学などの公共施設に協力を求め、急速充電ができる専用設備を設置。 2009年度に最大200カ所、3年程度で約1000カ所に増やす。電気自動車は三菱自動車などが来夏以降に販売を始める。ガソリン価格の高騰で電気自動車のコスト競争力は高まっており、普及の鍵を握る充電インフラの整備が進むことでハイブリッド車などと並ぶ有力な環境対応車に浮上しそうだ。
■「東電、首都圏に充電拠点網 電気自動車」(NIKKEI NET、2008年8月8日)

 ただし、これは日経の早トチリのようで(^^;)、当の東京電力は早速以下のようなリリースを発表しています。
 現在、当社は、電気自動車用の急速充電器について実証試験を行っており、電気自動車の普及促進に向けて取り組んでいるところですが、今後の急速充電器の具体的な整備方針については未定となっております。
 ただし、基本的には、当社が主体的に急速充電器を設置・整備するのではなく、設置箇所の事業者のみなさまが設置するものと考えております。
 したがって、記事中にある「充電拠点網整備に乗り出す」、「2009年度に最大200箇所、三年程度で約1,000箇所に増やす」といったことを決定した事実はありません。
■「8月8日付日経新聞「東電、首都圏に充電拠点網」について」(東京電力)

 なぜこれほどまでに温度差がある記事になってしまったのかはわかりませんが、電力会社としては、自ら積極的な投資はしたくないというところなのでしょうか。誰が投資をするかはともかく、日経の記事によれば「東電が営業用軽自動車五千台のうち三千台をガソリン車から切り替える」そうですから、先に報道されている日本郵政グループの郵便事業会社の大量導入の方針と加え、これから数年のうちに電気自動車へのシフトが一気に進みそうです。

 エネルギー効率で考えると自動車の動力源としては電気モーターがもっとも効率が良いそうですし、走行時に排気ガスはもちろんCO2も発生しないという意味でも電気自動車は環境負荷の少ない交通手段と言えます。したがって、電気自動車の普及に加速がつくのは万々歳と思えますが...

 問題はその電気をどうやって作るかです。この記事の中でも、安い夜間電力を使えば燃費(コスト)がガソリンより大幅に安くなるとか、大型の発電所はエネルギーを生み出す効率が高く、よってCO2の発生量が少なくて済むとか、要は原発に依存することが見え見えです。

 さらに日経は東電の本音が、「長期的に電力需要の高い伸びが期待できないなか、巨大な自動車用エネルギー市場を取り込む狙いもある」と見抜いています。日本の電力需要は間もなくピークを迎えると予測されていますが、その後もエネルギーを電力にシフトさせることで、自分たちの市場や原発の存在意義を確保しようということなのです。

 ここまで考えると、もし本当に東電が充電拠点を整備するのだとしても、とても手放しでは喜べません。電気自動車自体はガソリン車などに比べて走行時の環境負荷は少なくても、今の計画ではその電気を作る時点で、環境や社会の負荷がきわめて大きいからです。これでは、持続可能な交通手段にはなり得ません。一方、もし再生可能エネルギーの発電量を増やした上での電気自動車へのシフトであれば、もちろん歓迎です。 

 急速に高騰する石油価格を背景に、いよいよエネルギー業界の再編成が始まりつつあるということなのかもしれません。これを機にガソリン市場を奪おうと電力会社が自動車へ触手を伸ばし始めたのです。石油会社はこれを座視するのではなく、むしろ再生可能エネルギーの開発を進め、逆に電力市場への食い込みに挑戦をしてもらいたいところです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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2008年07月02日

脱石油始まる?

 今日はグッドニュースです。

 日経の一面トップにあるように、石油元売りの昭和シェルが、2011年に1000億円強の投資を行い、世界最大級の太陽光発電パネル工場を建設すると発表しました。

 年産1000メガワット希望は原子力発電所1基分に総投資、現在世界最大級のシャープの葛城工場の710メガワットを凌ぐ規模です。

 また、この工場で製造するのは、シリコンを使わずに、製造コストも安い、銅やインジウムなどの金属化合物を使う新世代太陽光パネルとのこと。

 経産省も太陽光発電導入のための補助金制度の復活の検討に入ったそうですし(額はちょっと小さ過ぎる気がしますが...)、まだ3年先とはいえ、大きな流れを作るかもしれません。
 昭和シェル石油は2011年に1000億円強を投じて世界最大級の太陽光発電パネル工場を建設する。年間に生産するパネルの総発電量は原子力発電所1基分に当たる1000メガ(メガは100万)ワット規模。従来型より製造コストが安い新世代型を量産し、シャープなどに次ぐ世界大手に浮上する。住宅向け太陽光パネルは政府が補助金創設の方針を打ち出し、市場拡大が見込まれる。ガソリン販売が減少する中、昭シェルは太陽光パネル事業を新たな収益の柱に育てる。
出典:「太陽光パネル、昭和シェルが最大級工場 投資1000億円」(日経、2008年7月2日)

 この大きな流れを、石油会社が自ら作ったというのも象徴的であり、インパクトがあります。他の石油元売り各社やエネルギー会社がどう動くかも要注目ですね。

 そしてもう一つすごかったのは、このニュースにマーケットがすぐに反応したことです。

 昭和シェルの株価は「大幅に続伸。1月4日の1235円を上回り、約半年ぶりに年初来高値を更新した。一時は前日比80円高の1259円まで上げた」のです。
出典:「<東証>昭和シェルが年初来高値 「太陽光パネル工場」に高評価」(NIKKEI NET、2008年7月2日)

 石油価格の高騰は困ったことではあるのですが、そのお蔭で、時代が大きく動き始めたことを感じます。現状やこれから来るであろうより厳しい状況で思考停止してしまうのではなく、積極的かつ前向きに対応する企業が増えるといいですね。

 そういえば今日、どちらかというとコンサーバティブな業界に所属するある大企業の方々とダイアログをしました。その中で、その企業の方が「持続可能な社会のあり方を描き、それを前提に自分たちの会社をどうするかを考えている」とおっしゃっていたのが印象的でした。やはり時代は動き始めたののでしょう。

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2008年06月24日

オール電化はエコ?

 「オール電化はエコじゃない!?」という、電力会社には大変シゲキ的な記事がサイゾー2008年6月号に掲載されており、全文(たぶん)がネット上でも読めます。
■「オール電化はエコじゃない!? 東京電力「企業優遇」の商魂」(日刊サイゾー)

 電力会社はオール電化がエコだと宣伝していますが(昨年、地震で原発が止まってからはCMは自粛しているようですが...)、これは原子力発電による夜間電力を前提にしたシステムで、見かけのCO2排出量は少なくてもエコではない(持続可能ではない)というのは、環境に詳しい方の間では常識でしょう。

 この記事でちょっと目を引くのは、「すでにどの時間帯でも、電力需要は原子力発電の発電量を上回っているので、オール電化で増えた分の夜間の需要は、火力発電によって賄われることになる」との指摘です。まぁすべて火力発電によると言い切ってしまっていいかどうかは微妙ですが、夜間電力だからと言ってすべて原子力としてCO2排出量を計算するのはもちろん問題です。

 また、電力消費を削減すべきは企業であって、家庭に押しつけるな、ライフスタイルのせいにするなというのはその通りだと思います。「家庭では、使用した量が多ければ多いほど、単価が上がり、割高になる。このため、消費者は省エネ家電を導入するメリットがある。企業に対しても同じことをすればいいのだ。」という指摘は非常に重要です。省エネにインセンティブが働く価格体系にすれば省エネは進むはずですが、それでは売上が大幅に下がって困るのでしょうか?(^^;)

 オール電化は、CO2の排出量は減らさなくとも、家計には優しい価格体系になっています。ですから、必ずしもエコ(環境に優しく)ではなくても、エコ(経済的)ではあるのです(笑)

 夜間電力需要を増やすようなインセンティブのある価格体系を作れるのであれば、電力需要全体が減るような、発電所の数も少なくて済むような、誘導的な価格体系も作れるのでは?と思ってしまいます。

 個人的には電磁波、特に電磁調理器の問題が気持ち悪いこともあって、オール電化はどうも気が進みません。エコキュートもいいのですが、ガスだってガスヒーポンエコジョーズのようなエネルギー効率の良い機器が開発されています。ガス会社さんにも、もうちょっと頑張っていただきたいところですね。(もちろん、電力会社の方の反論もお待ちしています!)

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