2011年02月02日

2011年に食料危機が起きる10の理由

 アース・ポリシー・インスティチュートのレスター・ブラウンの最近のリリースに、2011年に、いやこれから継続的に食料危機が生じる原因が要領よくまとめらていました。
出典:"The Great Food Crisis of 2011" (Earth Policy Institute, Plan B Update, 2011年1月14日)
 これを読むと、いま起きつつある食料危機がきわめて構造的なものであることがよくわかります。つまり、食料(穀物)の需要は増大を続けるのに対し、供給はむしろ減少気味であるので、両者のギャップは拡大し、これからこの危機的状況はますます厳しくなるからです。

 具体的に需要を押し上げる要因は以下の通りです。
・人口増加
・富裕層の増大(肉の消費の増加)
・バイオ燃料の使用増加

 一方、供給は以下の要因で制限ないし減少を始めています。
・土壌流失
・帯水層の枯渇
・耕地の農地以外への転用
・潅漑水の都市への転用
・農業の進歩による増収の限界
・気候変動(熱波、氷河融解)

 いずれもこれまでも言われてきたものばかりですが、こうして並べてみると改めて、これまでのトレンドがこれからも変わりようがない、いやむしろ強くなるということがよくわかります。

 興味深い数字をいくつか上げておくと、世界の人口速度は1970年代の毎年2%というピークからは減じており、1.2%に落ちています。しかしそれでも今なお年間8000万人、つまり、21万9千人の食いぶちが毎日増えているのです。毎日21万9千皿の食事を増やしていかなければならないと想像すると、クラクラしてきませんか?

 また農業技術の進歩について言えば、日本は農業生産性が高い国の一つですが、日本のコメの単位面積あたりの収量は、過去14年増えていない、つまりもう限界に達しているということです。もちろん途上国はまだ改善の余地はあります。しかし、日本のような農業は、大量のエネルギーと水を注ぎ込んだ集約的なものであり、エネルギー収支的にはむしろ悪いし、持続可能ではないことも忘れてはいけないでしょう。

 それ以外にも、 2008年の食料危機がそうであったように、世界的に余ったお金が投機的に穀物市場に流れ込んでくるリスクを指摘をする方もいます。投機が高値を作り、さらにそれが投機マネーを呼び込むという悪循環です。バブルがはじけて痛い目にあう投機家は自己責任でしょうが、それとはまったく無関係の普通の人がその影響で食料を買えなくなってしまうというのは大問題です。

 以上10の要因を考えれば、食料価格の高騰はけっして一時的なものではなく、もちろん多少のバラツキはあるにしても、長期的には確実に続いていくのがトレンドであることがわかります。

 エジプトの政治不安もあり、石油価格も再び急上昇し始めました。食料価格にはますます注意を払う必要がありそうです。

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2011年01月20日

食料危機がやって来る?

 今週は今年最初の海外出張で中国に来ています。移動の途中でニュースを読んでいて気になったのは、Financial Timesの"Indonesian crop failures add to food fears"(インドネシアの穀物不作が食料危機を加速)という記事です(2011年1月17日)。これによると、インドネシアでは主食の米の価格が、生産量の低下が原因で、過去一年で3割も上昇したそうです。また、食事の際にはサンバルという唐辛子ソースが「何はなくても」なのですが、その原料である唐辛子は、ここ数週間で5倍(!)にも値上がりしたというのです。両方とも庶民にとっては大打撃です。政府は「野菜を家で育てよう(Grow Your Own Vegetables)」キャンペーンを行っているそうですが、果たしてその程度でこの問題に対応できるかどうかは疑問です。

 なぜなら、そもそも主食の米はどうするのかという問題に加えて、これは今シーズンだけの一過的な、あるいはインドネシアだけの問題ではないからです。ロシア周辺諸国の干ばつに始まり、オーストラリアの洪水、そしてインドネシアやインドなどアジア各国の不作など、世界全体で食料生産が減少する傾向が連鎖しています。言うまでもなくその原因の一つは異常気象であり、おそらくそれは気候変動の影響でしょう。となると、こうした問題は今後も頻繁に、もしかしたらより規模を拡大して発生するかもしれません。

 実際、フィナンシャルタイムズの記事の中でも、インドネシアの農業副大臣は「これは食料危機ではなく、天候の危機だ」として、食料の価格高騰による暴動が起きないように警戒しているとありました。

 その後少し調べてみたら、少し前に国連食糧農業機関(FAO)が、世界の主要食料価格指数が上昇し、昨年末には世界各地で暴動が起きた2007〜2008年の食料危機時を上まわったことを発表したそうです。
出展:「世界の食料価格が高騰 異常気象、新興国の需要拡大で過去最高に」(MSN産経ニュース、2011年1月10日)

 今年は世界人口がついに70億に達する見込みです。まずは今年の不作が世界的な食料危機にならないことは祈るばかりですが、抜本的な対策についても真剣に考えなければならない時期だと思います。

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2010年05月16日

オーガニックにする?、しない?

 家族の健康を考えたら、あるいは地球の環境のことを考えたら、有機野菜の方がいいというのはわかっているけれど、近くに売っているお店がない。値段が高くて、なかなか手が出ない。季節の野菜しかない(いや、それが本来の姿なんですけどね(^^;))。そんな理由で、わかっていても、なかなか有機野菜に切り替えられないという方も多いと思います。

 しかし、私たちの身体は、私たちが食べたもので出来ていることを考えれば、やはりこれは重要です。少しずつでも、シフトしていきたいですよね。では、まずどういったものから始めるべきなのでしょうか? そして、どういったものなら、それほど神経質にオーガニックにこだわらなくてもいいのでしょうか?

 健康を考えた場合、特に気になるのは殺虫剤の使用です。殺虫剤は基本的には毒物。それをなるべく取らないように。そういう視点から、殺虫剤の多い、少ないで、どの野菜・果物はオーガニックを選ぶべきか作られたリストがあります。アメリカのEWG(Environmental Working Group)が作成した"EWG's 2010 Shopper's Guide to Pesticide"(EWG 殺虫剤に関する買い物ガイド2010年版)がそれです。

 これによると、殺虫剤により汚染されているので、オーガニックを買うべきワースト12の品目は以下の通りです(1が最悪です)。
1. セロリ
2. 桃
3. 苺
4. リンゴ
5. ブルーベリー
6. ネクタリン
7. ピーマン
8. ホウレンソウ
9. ケール
10. サクランボ
11. ジャガイモ
12. (輸入)ブドウ

 一方、殺虫剤はあまり使われていないので、無理してオーガニックでなくてもいいのではという品目は、以下の15です(1がベストです)。
1. 玉ネギ
2. アボカド
3. トウモロコシ
4. パイナップル
5. マンゴー
6. スイートピー
7. アスパラガス
8. キィウィー
9. キャベツ
10. 茄子
11. カンタロープメロン
12. スイカ
13. グレープフルーツ
14. サツマイモ
15. ハニーデューメロン

 これから買い物の時にぜひ参考になさってください。なお、EWGのサイトにはこの品目リストをお財布の中などに持っておけるように、小さく印刷できるリスト(英語)も掲載されています。
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2009年06月09日

未来の農園!?

 いかにも未来都市といった光景ですが、これはスウェーデンに出来た「高層グリーンハウス」です。ガラス製の球体の中で、ベルトコンベアのようなフロアに乗せられた苗が少しずつ螺旋状に上昇し、最上階に到着する30日後にはちょうど収穫時期というのですが...

 この高層グリーンハウスを作ったスウェーデンのプランタゴン社(直訳すると、「植物角形」なのでしょうか?)によれば、世界人口の大半が都市に暮らすようになる。今現在も、生鮮食料品のコストの70%は輸送費と保管費なので、都市で作れば安く、新鮮な野菜が提供可能。しかし、そのためには土地が必要。ところが土地は限られている。そこで、この球状の温室が登場ということになったそうです。


 以下のビデオは、この温室の構造をCGで案内してくれるものです。


プランタゴン社のWebを見ていると、なかなかユニークな会社のようで、"Business as usual is over(今までどおりのビジネスはもう終わった)"なんて、刺激的なメッセージが書いてあります。
■"The Plantagon Greenhouse"(plantagon)

 というわけで一見、なかなか良さそうにも見えるのですが... 僕にはどうも直感的に成り立たないように思えるのです。この「植物工場」を動かすために必要なエネルギーや資源を考えると、どうも「余計」なコストやエネルギーをかけているように思えてならないのです。

 もちろん今だって輸送や保管に莫大なエネルギーを使っているということなのでしょうが、農業はもっとシンプルにする方が、結局は「持続可能」な気がするのです。まったくの直感なのですが、どうでしょう?

 それともう一つ、たしかに世界人口の多くが今や都市に流入し、都市人口は増えているのですが... 例えば日本のように成熟し、人口が漸減していく国の場合にはどうなのでしょうか? もちろん都心を好む方々も一定数は存在し続けるでしょうが、むしろ少し郊外でゆったりと暮らすという生活が、もう一度好まれるようになるのではないかと思います。

 今まで以上に通信や交通が便利になれば、郊外でも、都心と同じように快適で、しかし環境にはより恵まれた暮らしができるようになるのではないかと思います。だとすれば、本当にこんな巨大な温室を作って、そこを植物工場にする意味があるのかなとも思うのです。

 もしかすると僕の頭が固いだけかもしれませんが、未来の農業、どうなるんでしょうね?

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2009年06月06日

太るのは貧しいから

 太っているのは余裕があるから? 一昔前まではそれが常識だったかもしれませんが、今では安くてカロリー過剰のファストフードの台頭で、むしろこうした「安い」食べ物を食べる金銭的に余裕のない人たちの方が太るようになってしまったのです。

 実際、健康的でバランスの取れた食事は、東京などの都市生活者にとってはどうしても高価になりがちです。

 アメリカでは、こうした状況に対する批判も多く、カロリーの高い食品を提供する企業の「社会的責任」すら問われています。そうした批判の声に反応して、例えば本家のディズニーランドも、2年前にはカロリー制限(脂肪分と糖分のカット)を発表しています。

 それでも経済的余裕がなくなれば、やはり安くてお腹いっぱいになるものに流れがちです。この不況でこうした傾向がさらに助長されるのではないかと懸念する声も上がっています。

 そして、こうした現象はアメリカなど先進国に限ったことではなく、途上国の貧困層でも同じだといいます。スラムで暮らすなどしてリアルなルポを書いているライターの石井光太氏は最新作「絶対貧困」の中でも、また、ブログの中でも以下のように書いています。
ちょっと状況は違うけど、途上国のスラムで暮らしていると、貧しい人たちが肉しか食べていないことに気が付く。
朝から晩までひたすら肉しか食わないのだ。野菜のビタミンなんかはビタミン剤でまかなってしまう。お金がないから、カロリーの高い肉だけ食べて、カロリーがあまりない野菜などは錠剤で補ってしまうという考え方なのだ。
それゆえ、スラムの住人といえども、ぶくぶくと太っていく。おかげで、アフリカのスラムには肥満の人ばかりで足の踏み場もない。
出典:「貧しいから太る」(石井光太 − 旅の物語、物語の旅 −)

 一瞬「えっ?」と思いますが、ちょっと考えると納得がいきます。貧しいからこそ、まずカロリーの摂取なのえす。栄養のバランスなんて言ってはいられないのです。

 そして、さらにじっくりと振り返って考えると、食事をお手軽るに済ませようという今の日本の風潮も、結果的に同じ方向に進んでいるのではないかとも思えます。

 地のもの、旬のものを、ゆっくりと楽しむ。やはりそれがあらゆる意味で理に適っていそうですね。持続可能な社会はきっと、スローフードがあたり前の社会だと思います。

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2009年06月01日

賞味期限は2時間!

 マルセイバターサンドやホワイトチョコレートで有名な六花亭は、実は帯広に本店があります。僕もバターサンドや「霜だたみ」が好きで、よくお土産にしたり、自家消費用(笑)に買って帰ります。ところが六花亭はこれだけ有名なのに、お店は北海道内にしかありません。ですからまた一段と有り難みが増すのかもしれませんが、そんなこともあって、北海道に出かけるとお土産は必ず... となるわけです。

 その六花亭のお菓子に(驚くほどのバリエーションがあります↓)、賞味期限2時間というものがあります。「雪こん・チーズ」と言うのですが、「雪やこんこ」にも使われているココアビスケットでクリーミーなベイクドチーズケーキをはさんだものです。
■「六花亭のお菓子」(六花亭ショップ)

 「サクサクパイ」という、コロネのような構造のパイもあるのですが、こちらもパイのサクサクとした触感を楽しめるのは3時間までということで、「賞味期限は3時間」です。僕は両方ともいただきましたが(^^;)、大変美味しゅうございました(笑)。

 普通だったら、「東京でも、全国各地でも販売すればもっと儲かる」と考えてしまうところですが、あえてそれをしないで北海道内に留める。さらには、帯広に来ないと楽しめない味まである。そういう姿勢に共感しますし、そういう企業をこそ応援したくなります。

 こういう話をすると、「でも、そんなことをやっていたら今の時代、競争に勝てない」という声も出てきそうですが、むしろその競争に巻き込まれないために、あえて「出て行かない」という戦略もあると思うのです。東京では、世界に出て広い市場の中でパイを広げることを目指すのでなく、眼の届く範囲で、地域のお客さんを第一に考えるというのが、かえって持続可能な企業経営のやり方になっているような気がしました。

 今回お会いした方の中に、「顔の見える商売というのは、製品に生産者の顔写真を張って消費者が生産者の顔を見えるようにすることではない。生産者が消費者を見ながら作れるこの人たちのために作るんだという気持ちを持ちながら作るのが、顔が見えるということなんだ」とおっしゃっていた方がいましたが、その通りだと思います。

 また、今回は六花亭が所有する中札内美術村六花の森も見せていただいたのですが、いずれもとても素晴らしい環境、活動でした。美術村では、カシワの林を歩くと、ようやく展開しかけた若葉の木漏れ日が差す林床には、スズラン、オオバナノエンレイソウなどの可憐な花が咲き誇り、本当にうっとりするような景色でした。100年前の帯広はこんなだったんだろうなと思い起こさせてくれます(まぁ、100年で林がすべて畑に変わってしまったというのも、別の感慨をもたらしますが(^^;))。

 六花の森からは雪のように真っ白な六花亭の工場が見えるのですが、ガラス張りの大きな部屋の中に白い制服を着た従業員の方の姿が見えました。ちょうどお昼時で、案内してくれた方は、「あそこが食堂なんですよ。500円で食べ放題で、案外おいしいんですよ。」と自慢気に説明してくださいました。東京から訪れた方々からは口々に、「私もあんなところで働きたい〜」という声が...

 そんなことを思い出していたら、六花亭は、「ことし、20年連続で全従業員の有給休暇100%取得を達成」ということが今朝のJ-Waveで紹介されたそうです。別に六花亭だけを持ち上げようというつもりはまったくないのですが、それでもやはりいろいろと見習うべき点は多いように思います。
■「ワークライフバランス」(J-Wave)

 そしておそらく一番重要なのは、実際に何をしているか、してきたかということだけではなく、経営者が何を考えているかだと思います。地域のお客様や従業員のことを第一に考えれば、きっといろいろな方策が出て来るだろうからです。そしてそのアイディアを次々に実現できることは、経営者にとっては大きな喜びであるに違いありません。

 ですから、何も帯広が特別なのではないと思うのです。思いを持った方々とその方々の行動が、帯広を特別にしたのだと思います。

 まだまだご紹介したいことはたくさんありますが、発見と気付き、そしておいしさに(笑)あふれた帯広訪問でした。
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2009年05月07日

豚インフルエンザはどこから?

 お久しぶりです。連休の間、ネットにほとんどアクセスすることができず、ブログを更新することができずにゴメンナサイ。もっともそのお蔭で(笑)、数日間残雪の残る山の中でゆっくり過ごし、一カ月遅れの春の息吹を感じることができました。長い冬を乗り越えた植物たちを見ていると、生命の力というものを実感します。

 ところでこの一週間、世界の話題はやはり豚インフルエンザでしたね。それほど毒性が強くはないというのが救いですが、それでも毎日感染者数は確実に増えていますし、亡くなる方もいらっしゃいます。胸が痛みますし、日本ではどうなるのかと若干不安にもなります。

 それではこの豚インフルエンザ、どこが発生源なのでしょうか? 公式な発表はないものの、メキシコ南部ベラクルス州の大規模養豚場が発生源なのではという説があります。メキシコ政府やこの養豚場を経営するアメリカの食品会社スミスフィールド・フーズは強く否定していますが、地元住民は以前からこの養豚場の衛生状態や汚染に抗議していたとのことです。
出典:「豚インフル発生源は南部養豚場? メキシコ政府否定」(イザ! 2009/04/28 配信元:産経新聞)

以下はいずれもこれに関連したブログのエントリーです。
■「「Smithfield工場が豚インフルエンザ発生元」との情報の出所は?」(Sasayama's Weblog)
■「豚インフルエンザ、メキシコの社会的危機を深める」(マスコミに載らない海外記事)
■「新型ウイルス、メキシコ感染者は発表の10倍以上で死者も出た、スミスフィールドフーズ社養豚場発生か、同国政府も問題、渡航制限を」(生きてるしるし)
■「《注目記事》 「豚インフルエンザ」の発生源は米国大手企業所 有の巨大な養豚場」(杉並からの情報発信です)
■「「豚インフルエンザ」の名称変更は米国政府への政治的配慮らしい 」(低気温のエクスタシーbyはなゆー)

 今回の豚インフルエンザの発生源がこのスミスフィールド社かどうかはまだ分からないのでしょうが、同社は世界最大の養豚業者なのですが(日本にも輸出しているそうです)、排泄物による環境汚染で1260万ドルの罰金刑に処せられていたり、別件でも連邦政府の捜査を受けるなど、必ずしも管理状況は良くなかったようです。

 小規模な個人農家から大規模な工業的な養豚へ急激に移行すると、伝染病の発生や伝染のリスクが高まることは、以前からFAOなどの専門家によって指摘されていたそうです。
■"Concentrated Animal Feeding Operations (CAFOs)"(CDC)

 Avaaz.orgはこうしたことを背景に、WHOとFAOに真相を究明することと、こうした大規模な工業的養豚についての規制を設けることを求めています。養豚場の周辺の地域住民の健康や経済についてだけ考えても当然のことと思いますが、世界がこれだけつながり、狭くなった現状では、その影響範囲は一気に地球全体へと拡大しています。これまで以上の慎重さが求められるのは当然のことでしょう。持続可能な食料生産のあり方を考えるためにも、重要な視点だと思います。
■"Swine flu: investigate and regulate"(Avaaz.org)

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2009年04月22日

お持ち帰り賛成!

 今日4月22日はアースデイ。地球のことを考えて行動する日です。
■「Earth Day Tokyo 2009
■「アースデイJP

 個人レベルでの取り組みでもっとも簡単なのは、やはり無駄をなくすこと。モッタイナイをなくすことですね。欲望を抑えるのはなかなか大変ですが、無駄なことならスリムにしても、痛みはありません。

 省エネについては今さらもう言うまでもないと思いますが、僕が気になるのは食べ物。外食時、ついついいろいろなものを注文したら食べ切れなくて、結局かなり残してしまった。そんな経験はありませんか?

 海外だと一人前のポーションが多くてどう頑張っても食べ切れないので、残ったものは「お持ち帰り」ということがようあります。実際、お願いするとよっぽどの高級レストランでもなければ、レストラン側も手慣れたものでササッと包んでくれます。東南アジアなどでは、何でもビニール袋に放り込まれてビックリすることもありますが...(^^;)

 一方、我が国では... 皆さんもご存じのように、「衛生上の理由で出来ないことになっています。ごにょごにょごにょ...」という返事が帰って来ることが多いですし、そもそも聞くことことが恥ずかしいという方も多いようです。(個人的な経験としては、中華料理、インド料理などは、比較的アクセプト率が高い気がしますが(笑))

 しかし実際には、食べ残しはもったいない、できれば持って帰りたいと考える方の方が、日本でも多いようです。
mottainai.gif出典:「「もったいない!」食べ残しの持ち帰り、定着するかも?」(rTYPE、20094月13日)

 もちろん欧米でも、残り物を持って帰りますということにまったく抵抗がないわけではないようで、それ故「ドギーバッグ」というエクスキューズが用意されています。つまり、「これは自分や家族用ではなくて、家でお留守番しているワンちゃん用です」というわけです。もっとも、あまりそんな言葉を使っているのは聞いたことがありませんが...

 で、最近になって、恥ずかしがり屋さんの日本人のために、オシャレなドギーバッグを普及させようという動きが出てきました。その名も、「ドギーバッグ普及委員会」です。

お店にも協力を求め、確認済みのお店は公開しているという念の入れぶりです。ちょっと過剰保護の気もしますが、恥ずかしい思いをすることを気にする日本人向けには、「断られない」仕組みを整えてあげるのも重要なことかもしれません(^^;)

 以下のマークが付いているお店であれば、生物(なまもの)など以外はお持ち帰りokだそうです。もちろん、衛生管理は自己責任で、です。商店街ごと参加している権之助坂商店街が近くにあるので、僕はそこを通りかかったときにこの活動を知りました。
doggy-bag-grinfo1.gif


 「ドギーバッグ普及委員会」では、オシャレなドギーバッグを持参しようというのも奨めているのですが、折り畳んでコンパクトになるとはいえ、これはどうかなぁ... 自分で容器を持参する人が増えるかどうかはちょっと疑問です。

 個人的にも、マイはし、マイバッグ、マイボトルと持ち歩くものがどんどん増えているので(^^;)、マイドギーバッグは勘弁させていただき、注文したものは何がなんでも食べ尽くす、いえ、適量を注文することを心がけたいと思います(笑)

《参考記事》
■「「ドギーバッグ」って知ってる? これでもう恥ずかしくありません
■「レストランからのお持ち帰りは“ドギーバッグ”で

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2009年04月19日

GMOは増産効果なし

 アグロビジネス会社は、GMO(遺伝子組み換え作物)によって収量を増やすことができる、あるいは既に収量は増加したと喧伝して来ましたが、これが間違いであったという研究が発表になりました。

 研究報告を出したのは、サスラボではお馴染の「憂慮する科学者連盟(Union of Concerned Scientists、UCS)」です。UCSが出した「Failure to Yield(収穫失敗)」というレポートによれば、過去13年にわたってGMOのトウモロコシや大豆で収量が増えたのは、遺伝子組換えのお蔭ではなく、伝統的な品種改良や農業慣行の改良によるものだとのことです。
※UCSのリリースは以下
"Genetic Engineering Has Failed to Significantly Boost U.S. Crop Yields Despite Biotech Industry Claims"(UCS, 2009/04/14)

 そしてGMOによって生産量が上昇する可能性は将来的にもほとんどないとしています。また、GMOは農家にとっては非常に「高くつく」技術であることから、特に途上国に技術支援のために導入するのは無意味であると断じています。

 もちろん途上国には技術支援は必要ですし、人口増加や気候変動に備えて世界中で生産性を上げる必要性はあるのですが、そのためには伝統的な品種改良に投資することの方が遥かに現実的であると指摘しています。

 安全性の観点からもそちらの方が賢い選択だと思いますので、UCSからこのような報告書が出されたことは非常に心強く感じました。おそらくアグリビジネス会社からは様々な反論が出されるのでしょうが、安全性、確実性、経済性、公平性、いずれの観点からもGMOを強行する意味はないように思えます。後は行政と消費者が、両者の主張をどう判断するかですね。

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2009年04月14日

2倍おいしい!?

 Table for Twoのことは以前「二人で食事を」という記事でご紹介しました。大変遅ればせながら、今日、はじめてそれを体験しました。

 とある企業さんで一日中会議があり(^^;)、昼食をそちらの社員食堂でいただいたのです。そちらの企業はTable for Twoに協力していることを以前から聞いていましたので、「もしや今日は試せるかな...」と思って食堂に行ってみたら、ちゃんとありました!

 数あるメニューの中から、もちろん迷わずTable for Twoを選びました。ちなみに今日の献立は... 肉ジャガかと思ったら、ジャガイモの代わりに大根が入った肉大根(?)が主菜で、ポテトサラダと水菜か何かのツナマヨネーズ和え、フルーツサラダ、麦入りご飯、みそ汁でした。

 ジャガイモと思ったものが大根だったのはビックリしましたが、よーく炊けていてなかなかのお味。全体的に上品な薄味で、なかなかイケました。Table for Twoは先進国においては肥満など食に起因する生活習慣病を予防することも目標にしているので、薄味、野菜中心なんでしょうね。社食のメニューは、ボリューム重視で味も濃い、若者向け(?)の内容であることが多い印象がありますが、今日の内容であれば味を目当てに参加できます。2倍おいしいTable for Twoです。

 今日は環境系の会合だったので、Table for Twoのことを知っている方も多く、私たちのグループのかなりの方がこのメニューを選んでいました。

 帰宅してから久しぶりにTable for TwoのWebページを覗いてみたら、参加企業数もかなり増えていますね。嬉しいことです。もしまだあなたの会社には導入されていないようであれば、是非提案してみてください。そして、どこの街にも、Table for Twoに参加するレストランが出来るといいですね。

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2009年03月30日

日本版ファストフード

 ファストフードというと、一般にあまり評判はよくないのですが(^^;)、日本の場合には、仕事の途中で、あるいは野良で、手軽に、しかし栄養のある食事を簡便に取ることができる日本版ファストフードがたくさんあります。

 すぐに思いつくのは「おにぎり」ですが、実はお鮨だって、蕎麦だって、もとはみんなファストフードだったと言っていいでしょう。

 さてそのおにぎりですが、最近はコンビニの工場で作られた画一的なおにぎりではなく、その場で人が「握って」作ってくれる、ホンモノのおにぎり屋さんも増えてきましたよね。温かくて、口の中でほろりと崩れるお握りをほおばり、熱い味噌汁をすすれば、簡単ですけれど、きちんとした食事をした気分になれます。

 ちなみに、この味噌汁だって、ものすごいファストフードですよね。味噌と鰹節のお蔭で、きちんと出汁を取った「スープ」があっという間に出来てしまうのです。西洋料理だったら何時間もかけて作るところを、わずか10分程度で準備が出来てしまうのですから! おそらく世界最古の「インスタント・スープ」(と言うと軽々しく聞こえますが(^^;))なのではないでしょうか?

 そんな最近のおにぎり屋さんの中には、食材や作り方に、こだわりを持っているところがたくさんあります。お米や塩はもちろん、具や水にまで凝っていたりしてびっくりします。

 そして今日ご紹介したいのは、NPO法人メダカのがっこうがやっている「おむすび茶屋」です。メダカのがっこうでは、不耕起の冬水田んぼ、つまり田んぼを耕さず、冬の間も水を張ったままの田んぼで、生きものたちに支えられた、生命力あふれるお米を作っています。つまり、作り方にこだわった自然耕米で作ったおにぎりを提供しているのが、神田神保町にある「おむすび茶屋」なのです。

 しかし、この「おむすび茶屋」のスゴイところは、単なるおにぎり屋さん=飲食店ではなく、もっと深〜い意味があるのです。これについては、メダカのがっこう理事長の中村陽子さんの説明を引用させていただきます。
メダカのがっこうは、思ったことを形にしていくのが特徴なので、人任せに出来ないことばかり、おむすび屋も飲食店のように見えますが実はそうではなく、すばらしい農家支援で、田んぼ環境を売っているので、飲食の人材は役に立ちません。計画から実行まで、全て自分と仲間でしなければならないため、米づくりから、 米売り、店の経営、店を舞台にした啓蒙、飯炊き、おむすびを握り、自給自足農場で野菜を作り、味噌を作り、醤油を作り、野草を勉強し、料理を作るまで、1人の人間(私と店長たち)が、全てマスターしなければ、理想の形が出来ないので、本当に自分の生きる力アップが毎日の課題です。
また、それが、私にとって、最高に面白いゲームです。

 どうですか、行ってみたくなりませんか? お店は平日朝7時から営業と、朝ご飯にもバッチリ対応しているのですが、夕方は5時までと健康的。なおかつ土日はお休みです。そういうわけで、ご近所の方に限られてしまうかもしれませんが、お近くの方はぜひ一度お試しください。
■「おむすび茶屋

 このきわめて健康的な営業時間ゆえ、実は僕もまだお店にうかがったことはないのですが(^^;)、先日とある集まりの際にこちらのおにぎりをいただく機会に恵まれました。中村陽子さんのお話をうかがいながらいただいたので、おいしさ、ありがたさもひとしおでした。(そういえば、おにぎりもご飯に「ひと塩」しただけの、シンプルな塩おにぎりでした(笑))

 で、ここまで読んでどうしてもメダカのがっこうのお米で作ったおにぎりが食べたくなったら... 今だったら、渋谷東急でゲットできるんです! 3月26日(木)〜4月8日(水)の2週間に限り、約20種のおむすびとお味噌汁、雑穀を渋谷東急東横店地下のFOODSHOWで販売しています。営業時間も10〜21時、土日もオープンと、都会人の活動時間に合わせてくれています(笑) 明日以外は中村理事長さんも毎日いらっしゃるそうですので、ぜひお話も聞いてみてください。
■「【お知らせ】渋谷東急期間限定出店中!」(おむすび茶屋ブログ)

 この2週間も忙しくて渋谷東急まで出かけることが出来ないという方は... 生きものがたくさんの「ありがとう田んぼ」を作る「花まる農家」を支援する「田んぼ組」という制度もあります。農家に1年分の費用を田植前に前払いし、秋の収穫後、その田んぼでできたお米を送ってもらうという仕組みです。いきなり1年分はという方のためには、まずは1袋=5kgを試しに買ってみる「初級編」も用意されています。
■「「田んぼ組」をはじめました!」(メダカのがっこう)

 基本単位は「4分の1反歩(2.5アール)」なのですが、この面積の標準収量は108kgと言いますから、まぁ今だったら4人家族ぐらいの消費量でしょうか。我が家にはちょっと多いので、この半量から「田んぼ組」を初めてみようかと思っています。

 というわけで、日本では、ファストフードもなかなか奥が深いのです。

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2009年03月02日

ひりりと甘い

 先日京都に出張した際、お土産を買って行こうと思ったら、地元の方がそれならこれをと紹介してくださったのが「山椒餅」でした。

 えっ、お菓子なのに、山椒!? なんだか訳が分からないでいると、「本当においしいんだから」と自信たっぷりに勧められ、結局その方からお土産にいただいてしまいました。

 薄い木の箱を空けてみると、直径4cmぐらいでしょうか、空豆を大きくしたような形のお餅が無雑作に詰められています。平たいお餅には和三盆がまぶしてあるのですが、そのすっきりと上品な甘味とひりりと辛いのがなんとも不思議な組み合わせで、食べ出すとついついもう一つと手が伸びてしまいます。なるほど、これはおいしいですね(^_^)

 仙太郎というお菓子屋さんの作るもので、正確な名前は「和三盆山椒餅」というのだそうです。その名のとおり、「椒(はじかみ)のひりり辛さを餅に託し、甘さは徳島の和三盆糖に任せました」というごくごくシンプルなものです。

 こんなにシンプルなのに、飽きが来ないし、ほんわり豊かな気持ちになれるのはなぜなんでしょうね。和菓子をはじめ、日本の食べ物は本当に素材の生かし方がうまいと思います。西洋の御菓子や料理がどんどんと作り込んでいく「足し算のおいしさ」だとすれば、和菓子や日本料理は、必要最小限度までどんどんと削っていく「引き算のおいしさ」なのではないかと思いました。

 味の「ひりり」を楽しみながらふと、サンショウクイという名前の鳥がいたなと、もう長らく忘れていたことを思い出しました。夏山で見かけるスラッとしているけれど、わりと地味な鳥です。鳴き声が「ヒリリー」と聞こえるので、山椒を食べたと思われたのですね。本当はクモなどの昆虫を食べるのですが...(笑)

 そんなことを思い出すにつれ、日本人は本当に自然と近しく暮らしてきたんだなと感じました。そう言えば山椒餅を作っているお菓子屋の仙太郎さんの店頭には、「身土不二」という言葉が大きく掲げられていました。自分の身体を作るのは地元の土、つまり地元の旬の食品は身体に良いということで、これも身近な自然を大切にする考え方です。

 身の回りにいろいろな生き物がいて、四季折々の変化があって、それを愛でたり、食べたり。そしてそんな身の回りの生き物や食べ物によって、自分の身体も作られる。そういう命のリレーを感じます。

 山椒餅からどんどんと話が広がってしまいましたが... このように身近に自然を感じ、その恵みを楽しんできたことこそ、日本の生物多様性の豊かさの証左なのでしょうね。生物多様性を身近に感じるには食べ物を考えるの一番と思っているのですが、その思いをさらに強くします。

 そうそう、その食べ物の豊かさ、多様さを絵解きにした本が、間もなく登場します。書店に並んだころにご紹介したいと思いますので、どうぞ楽しみにお待ちください。

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2009年02月24日

モー、だめ?

 牛肉1kgを作るためには穀物が11kgも必要であることから、牛肉は非常に環境負荷が高い食品であるとよく言われます。ちなみに豚肉と鶏肉1kgを作るために必要な穀物はそれぞれ7kg、4kgであることから、肉類の中でもかなり効率が悪いのです。

 さらに日本の場合、牛肉はアメリカやオーストラリアなどから輸入されるものも多いので、フードマイレージ(重さx輸送距離)も大きく、その際のCO2の排出量も多いと問題にされます。

 しかしこの度カナダの大学の研究によれば、牛肉の本当の環境負荷の大きさは、そんなものではなかったようです。ウシ自身や排泄物が出すメタンの影響は莫大で、「赤肉を食べるのを止め、乳製品を止めれば、1リットル約10キロ相当の燃費の車で約1万3000キロを走行した時に排出されるのと、ほぼ同量の排出ガスを抑制できる効果がある」というのですから、驚きです。

 このメタン排出の影響を考えるとフードマイレージも大したことはなく、「週に1回、肉と乳製品をまったく食べない日を作るほうが、1年中毎日地元のものに限った肉や乳製品を食べるよりもずっと大きな効果がある」のだそうです。

 というわけで、パチャウリ議長ではありませんが、やはり週に1日は「ミート・フリー・デー」を作った方が良さそうです。(ちなみにパチャウリ議長はもともとベジタリアンのようですが...(^^;))


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2009年02月14日

いつまで楽しめるのか?

 おいしいものなら何でも好きですが、最近は和食がいいなぁと思うことが増えてきました。もっと若い頃にはわからなかったしみじみとした味がわかるようになってきたということもあるでしょうし、胃にもたれないサッパリとしたものの方が良くなってきた(^^;)ということもあるかもしれません。いずれにしろ歳を取ったことと関係がある気もしますが(^^;)、それにも加えて最大の魅力は季節性があって飽きず、健康的であることでしょう。

 そんなことを考えていたら無性においしいお鮨が食べたくなり、とあるお店へ出かけてきました。以前も書いたことがありますが(「季節を食べる」参照)、このお鮨屋さんは、親方が全国の漁師さんや業者さんとのネットワークを持ち、その季節に本当においしいものを、おいしい方法で出してくれるのです。

 今回は能登からの材料が多かったのですが、最初にツマミでいただいたのは茶ぶりナマコ。茶ぶりとは、番茶で洗う手法だそうで、そうすることでナマコが柔らかくなるのです。普通はカリコリとかなり硬めのは歯ごたえがするナマコが多いのですが、たしかに茶ぶりしたナマコは大きくぶつ切りしてあるのに、スッと歯が通ります。それに自家製のコノワタ(ナマコの腸の塩辛ですね)を乗せ、火を通した米酢を使って酢の物にしてあるのです。もちろんお味も申し分なく、申し訳ないほど手が込んでいるだけのことはあります。それにしてもこんな食べ方、誰がどうやって考えたのでしょうか?

 あるいはホタルイカ。春が旬かと思っていたら、もう食べられるのだそうです。ただし足が早いので、生で出せるのは届いた日だけ。一日経った今日はスミイカのスミに漬け、さらに少量のクリームチーズと一味唐辛子を加えたものが供されました。不思議な取り合わせだなと思いながら口にしてみると、これが想像以上のハーモニー。親方は日本と西洋の発酵食品の取り合わせだと悦に入っていましたが、なるほどこれは意味のある組み合わせです。

 今はコハダが旬でおいしいよということで、お鮨はまずコハダから出していただきました。もちろん酢で〆てあるのですが、その酢が4種類。白酢のほかに、赤酢、柚酢、そして赤酢とスペイン産ジンの組み合わせの4種類で合計4貫いただきました。なるほど、それぞれにコハダの違った持ち味が引き出されるようです。ちなみに僕が一番気に入ったのはジンと赤酢の組み合わせで、コハダの香りがぐっと引き立つのです。そうそう、後半にはコハダを有明産の今年の初摘み、一番海苔で巻いてもらったものも試してみましたが、これもなかなかオツでした。

 こんなことを書いているとキリがないのでこの辺で止めますが、江戸前の古い仕事をしたネタから、ご自分で開発した最新の技まで、実に多種多様なネタが、手を変え、品を変え登場し、本当に飽きることがありません。結局この日は、全部で30種近い魚介類をいただたことになります。多様で豊かな海の幸とそれを活かす多様な技の競演です。

 ただ気になるのは、いつまでこの鮨を楽しむことができるのか、ということです。例えば有明の海苔にしても、諌早干拓の影響で、毎年質も量もどんどん悪くなっているそうです。いつもは嬉しそうにネタの自慢をする親方の顔が、そういう話になると決まって曇ります。手間ヒマかけた古い仕事の技は、「こんなことをする店はもうほとんどなくなっちまった」と言いながらも、少なくともこの店では次の世代に受け継がれています。しかし、肝心の魚がいなくなってしまったら、もはや鮨として成立しません。
 あー、おいしかったと思いながらも、「いつまでこんな鮨を楽しむことができるのだろう?」と考えると、切ない気持ちになってきます。百年、二百年とかけて伝えられた味と文化の行く末は、私たちの社会、いえ私たちの行動次第なのです。

今日もおつきあいいただき、ありがとうございました。
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2009年02月07日

チョコレート情報

 北海道のお土産というとカニなどの海産物もさることながら、最近はひょっとしたらスイーツの方が人気かもしれません。その中でもチョコレートは常に高い人気があります。消費者を馬鹿にした某チョコレート菓子メーカーが今だ人気があるのはまったく解せませんが、北海道内でしかお店を出さず、おいしいものを誠実に提供している六花亭は相変らずの人気ぶりです。
《参考リンク》
■「北海道で買いたいお土産お菓子ランキング」(gooランキング)
■「北海道限定でも人気は全国区、六花亭のヒミツ」(グローバルナビ)
■「石屋製菓なんていらない」(Mizumizuのライフスタイル・ブログ)

 さて、北海道でなくても、一週間後にバレンタイン・デーを控え、今週末などは、デパートやショコラティエは大混雑なのではないでしょうか。

 しかしチョコと言えば気になるのは児童労働の問題で、せっかくプレゼントするのだったら、チャイルドレーバー・フリーの安心できるチョコレートがいいですよね。

 チョコレボなどのNGOの活動のお蔭で、最近はフェアトレードのチョコを置くお店や、メディアで話題になることも増えて来ました。でも、結局どこに行けばいいのよ?という方には、以下のチョコレボからの情報がオススメです。
■「チョコレボ バレンタイン情報です!!」(チョコレボ)
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 それでは、皆さんもおいしく、ハッピーなチョコをお楽しみください!

いつもお立ち寄りよりいただき、ありがとうございます。
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2009年02月05日

時代は農業!

 この先いつ食料危機が来るかわからないし、日本の食料自給率は低いままだし(さらに低くなりそうだし(^^;))、会社だっていつ潰れたりクビになるか知れないし、就職難だし... ということで、ことあるごとに周りの若い方々には「これからは農業だよ」とオススメしていたら...

 今年はもしかしたら、本当に農業がブレークするかもしれません。派遣などを解雇になった方々の間で農業への転職が増えているなんて話もあるのですが、それだけではありません。農業とはまったく縁もゆかりもなさそうな男性ライフスタイル誌の「BRUTUS(ブルータス)」、今発売中の656号(2/15号)は、「みんなで農業。」と題して、一冊丸ごと農業特集なのです。「ブルータスよ、お前もか!」って感じです(笑)

 買って来たばかりでまだほとんど中味を見ていないのですが、農業に惹かれたトップクリエイターたちの話に始まり、農業に転職した若者たちの話(知っている人が載っていました!)、さらには誰でも出来そうな「ベランダから始める農業入門」まで。その他にも食に関する話題満載で、なかなか楽しそうです。詳しくは、以下のサイトで「立ち読み」したり、目次を見たりできます。
■「みんなで農業。」(BRUTUS)

 実はいま食べ物に関する本を作っていて、つい先日校了したところなのですが、下調べをしているときにこの雑誌があったらなぁなんて思ってしまいました(笑) あ、丸っきりのパクリじゃダメなんですけどね(^^;)

 そして今、農業に関してさらにインパクトがあるのは、「ギャル米」です。ギャル社長で有名な藤田志穂さんが、「ギャルも気軽に参加できる、イケてる農業」を目指して、農業再生にチャレンジするのだそうです。
■「渋谷ギャルが農業再生 米作り挑戦、秋に商品化」(MSN産経ニュース、2009年1月29日)

 ノーギョーをすれば、日焼けサロンに行かなくてもガングロになって一石二鳥(!?)というわけではないでしょうが(笑)、楽しく農業をして、安全で健康的な食生活をというのは、もう大賛成です。

 しかし、この勢い。もしかしたら本当に農業ブームが巻き起こるかもしれませんね。持続可能性の観点からは、もちろん大歓迎です!

今日も読んでくださって、ありがとうございます。
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2009年01月24日

FOOD ACTION

 40%前後ときわめて低い日本の食料自給率。食料安全保障上も危ナッカシイことこの上ないですし、もちろん持続可能ともほど遠い状況です。

 農水省はこのところ日本の食料自給率を上げることに力を入れており、2005年3月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」では、2015年度までの10年間でカロリーベースの自給率を45%まで5%アップするというササヤカな目標を示しています。農水省のWebサイトには「食料自給率の部屋」なんていうコンテンツまであります。

 しかし残念ながら現状では自給率は横ばい。農業従業者は先細り状態です。この状況に業を煮やしたのか、昨年10月には食料自給率を向上するための国民運動「FOOD ACTION NIPPON」推進本部を設定しています。
出典:「食料自給率向上に向けた国民運動『FOOD ACTION NIPPON』推進本部の設置について」(農水省)

 で、そのサイトが「安心を、未来へつなぐ食料自給率1%アップ運動 FOOD ACTION NIPPON」です。
foodactionnippon.gif

 なぜか1%アップと非常に控えめな目標だったり、どこがやっているかわかりにくかったり(サイトの中をよーく見ると、「FOOD ACTION NIPPONについて」というところで説明はあるのですが...)、なんだかチョット気になるところも多いのですが...(^^;)

 まぁでもこのサイト、食べ物ネタが多いので、わりと楽しめます。最初にこのサイトを見たら、官製サイトとは思わないかもしれません(そこがまたちょっとイヤらしくもあるのですが...)。

 たとえば今は「私のおいしいニッポン」として、各地の行事食を募集していたりします。日本全国の行事食が集まってデーターベースのようになったら、楽しいでしょうね。それに各地に独特の食べ物は、それぞれの土地の生き物に依存していますから、それはその地方の生物多様性とも関係が深いはずです。各地の行事食から、その地方の生物多様性が浮かび上がってきたら、面白いですよね。

 あるいは日本の食材を紹介する「こくさん」というコンテンツでは、「旬のごちそうファイル」ということで、これから様々な食材が次々に登場するようです。これまで紹介された6つの食材は、案外自給率が高くてびっくりでした。

 そして食料自給率アップのために私たちができることとして、以下の5つを挙げています。
1. 旬のものを食べる
2. 地元の食材を活かす
3 米食中心に、野菜をたっぷり使ったバランスの良い食事を
4. 食べ残しを減らす
5. 自給率向上の取り組みを知り、試し、応援する
出典:「5つのアクション」(FOOD ACTION NIPPON)

 どれももっともですね。特別なことではありませんが、たしかにこんなことに気をつければ、自給率向上にも、健康向上にも、そして持続可能性の向上にも役立ちそうです。あまり気張らずに、自分の健康やおいしい食事のために、こんなアクションだったらちょっと試してみてもいいと思いませんか?

今日も読んでいただいて、ありがとうございます。
こんな取り組み、どうですか?
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2009年01月13日

他給率アップを目指しますか?

 東海道・山陽新幹線の車内誌「WEDGE」は、他のメディアとはちょっと違った視点で、問題にクサビ(wedge)のように深く切り込んだ記事が掲載されるので、いつも楽しみにしています。昨日読んだ1月号にも、なかなか刺激的な記事が掲載されていました。

 タイトルは「自給率UPだけで大丈夫? 農地争奪に出遅れる日本」です。どういうことかというと、地下水を汲み上げ灌漑し一時は小麦の自給率100%を達成していたサウジアラビアが、昨年1月に急遽方針転換を行い、これから小麦の買いつけ量を毎年12.5%ずつ減らし、8年後には自給率0%にするという政策を発表したのです。

 地下水が石油より先に枯渇する怖れが出てきたことと、原油価格が過去最高の今こそ方針転換の好機と捉えたのだそうです。判断の正否はわかりませんが、実に大胆な政策転換です。

 そして海外農業への投資拡大を行う決定をし、中東諸国はもちろん、タイなどアジア諸国の米作農地にまで手を伸ばしているというのです。周辺諸国がこれを黙って見逃すわけはなく、今や中東産油国は「オイル(油)をソイル(土)に」を合い言葉に、世界中の農地を争奪しているといいます。そしてついにこの動きは、中国にも飛び火したのだそうです。

 今後の食料事情を考えれば当然の戦略的行動とも言えますが、こうした動きが行き過ぎれば金で他国の主権や命を買い漁り、脅かすことにもなりかねません。日本の農林水産省は食料安全保障のためにはまず自給率を上げるのが先決との考えだそうで、公平性の観点から僕もそれでいいとは思いますが、WEDGEの記事はそれでは甘いとばかりに、「自給率を1%高めるには37万トンの米を余計に消費し、肉なら国産飼料の生産を370万トンも増やさなければならない。苦労して達成しても、食料輸入はいくらも減らない。未来の食を途絶させないためには、「他給率」のアップも同時に考えなければならない時代が来ているのではないか。」と指摘しています。

 なるほど「他給率」を高めるのも一つの戦略ですし、少なくとも食料を安定的に供給してくれる海外産地との信頼を強めることは必要なことです。しかしそれ以上に、食生活の無駄を省く、風土にあった合理的な食生活に回帰する、そういう本質的な努力が先だと思うのですが、どうでしょうか? そして何より農という生業を重視することが、虚業から実業へと方向転換するためにも欠かせない視点の一つなのではないかと思うのですが...

 やり方はいろいろと考えられますが、WEDGEが指摘するように、日本の政治や行政が長期的な食料戦略を描くことは難しそうです。明日の食をどう確保するか、この問題についても、各国の情勢も睨みながら、私たち自身が考え、決断し、行動することが求められているようです。

今日も読んでくださって、ありがとうございます。
皆さんは自給率、他給率、どちらを優先させますか?
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2008年10月02日

いきものがたりPart2開催!

 昨年11月に三井住友海上火災保険さんの主催で開催され好評を博した「企業が語るいきものがたり」が、さらにパワーアップしてPart2の開催です。

 昨年のシンポジウムでは、分科会形式を取ることで、興味にあわせて2つのグループに分かれ、会場も巻き込んで突っ込んだ議論を行いました。

 今年はその分科会を5つ同時開催です。各分科会のテーマは以下の概要で紹介する通りですが、いずれも企業の生物多様性ご担当者の方々には今もっとも知りたい内容ばかりだと思います。どの分科会に参加したらいいか迷ってしまうかもしれませんが、そんんなときには同僚の方と手分けしてご参加ください。

 ちなみに僕は全体の企画と、当日のまとめなどでお手伝いいたします。多数の皆さんのご参加をお待ちしています。

主催 : 三井住友海上火災保険株式会社
後援 : 環境省、COP10支援実行委員会
特別協力 : 企業と生物多様性イニシアティブ(略称:JBIB)
協力 : 日本経団連自然保護協議会
日時 : 2008年11月26日(水) 午後1:30〜5:30
場所 : 中央大学駿河台記念館 281号室(千代田区神田駿河台3-11-5)
プログラム : <第1部>生物多様性に関する最新情報のご紹介
・ 環境省生物多様性地球戦略企画室
・ ドイツCOP9「B+B」事務局
・ COP10支援実行委員会
・ 企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)
<第2部>分科会(テーマ別に同時進行)
テーマ コーディネーター
環境報告書を読み解く 園田 綾子(クレアン)
生物多様性の関係性MAP 斉藤 千恵(秋村組)
生物多様性のモニタリング手法 原口 真(インターリスク総研)
自治体と企業と生物多様性 開発 法子(日本自然保護協会)
生物多様性とビジネスチャンス 石田 秀輝(東北大学大学院)
参加費 : 無料
定員 : 200名(先着順)
申込み方法 : 詳細は添付の開催案内チラシをご覧ください
お問い合わせ先 : 三井住友海上火災保険株式会社 総務部 地球環境・社会貢献室(斉藤、浦嶋)
TEL:03-3297-4004 FAX:03-3297-6879

詳しくは、「企業が語るいきものがたりPart2」(三井住友海上)

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2008年09月29日

季節を食べる

 雨が降っていたこともあり、今朝はちょっと肌寒く、いよいよ東京にも秋が来たのかなと思いました。で、秋と言えば... 僕はやはり食欲の秋です。これからいろいろな海の幸、山の幸がおいしくなり、本当に楽しみです。この季節ならではの料理をいただくと、豊かな季節感のある国に生まれて良かったなとつくづく思います(笑)

 日本の食の豊かさは、四季のおかげだけではありません。地域性もとても大きく影響しています。いろいろな場所を訪れると、その土地ならではの食材、料理方法があり、これまた本当に楽しみです。「食材図典 3 地産食材篇」のような本を眺めていると、食べたことはもちろん、まだ見たことも、聞いたこともない食材が山のようにあります。日本は本当に食の豊かな国だなと痛感します。

 そしてこれこそまさに、生物多様性のおかげなのです。生きものが多様な国で、生きものの営みが季節によってリズムがあることから、そこから得られる食べ物もまた多様なものになるのです。このような豊かな食生活を楽しむことができるのが、僕にとってはもっとも生物多様性のありがたみを感じる理由かもしれません(笑)

 先日、前から気になっていたお鮨屋さんに出かけました。親方自ら全国に食材を求めて足を運び、意気投合した漁師さんから直接仕入れているというこだわりようです。「今週はようやくコハダがこのぐらいの大きさになったので、このぐらいの酢加減で〆ている。」そんな話をいかにも楽しそうにしてくれるので、こちらも海の中の季節感がわかるようです。

 「利尻から直送されるバフンウニは今年はもう今週でオシマイ。次は来年まで食べられません。もう残り少ないので、一人一貫かぎり。」そんな口上を聞きながら食べると、ただでさえおいしいのに、それが二倍も、三倍もありがたく思えて来ます(笑)

 秋鯖は、これからがいよいよシーズン。磐城沖で取れた戻りのカツオは、むしろ脂が少なく、実に上品。津軽のマグロもシーズン開始です。ちなみにこの日のマグロは大間で上がったものだそうですが、それでもこのお店では敢えて「大間の」とは呼ばず、「津軽の」と言っています。そして一本釣りではなく、必ず延縄で獲ったものを仕入れるのだそうです。すべては、魚の味を重視するためです。

 こんな口福が続くと、本当に日本に生まれて良かったなと思います。単に食材が豊かであるだけでなく、その豊富な食材を生かすための技術の蓄積がスゴイからです。このお店ではもう他のお店ではまずお目にかかれないような古い仕事もしているのです。ですから、季節を味わう地域を味わうだけでなく、歴史を味わう楽しさも加わるのです。そして考えてみれば、豊かな生物多様性が、こうした技をも育てたわけです。

 で、ちょっと気になったのが、穴子。このお店では穴子は江戸前のものを煮上げており、ほっこりと実にいい加減の穴子を供してくれます。しかし親方曰く、「今年は穴子が少なくてねぇ。いつもの百分の一ぐらいしか出て来ない。こんなのこの商売をやっていて初めてだよ。」と嘆いていました。理由はわからないようですまが、心配になります。

 季節ごと、地域ごとに変化のある食材を楽しめる私たちは本当に豊かな生物相に恵まれているわけですが、この楽しみを持続させるためにも、生物多様性は守りたいですね。え、ちょっと動機が不純ですか?(^^;)

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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