2007年07月05日

クラスター爆弾を支持する国、銀行

 クラスター爆弾をご存じでしょうか? 爆弾の中に、数個から数百個の子弾が入っており、空中でこれが四方八方に飛び散り、広範囲にわたってダメージを与える兵器です。一つひとつの威力はあまり大きくはないのですが、「爆発物を散布することから通常の爆弾より広範囲にダメージを与えられる分、対人や対装甲車両用の面制圧兵器としては効果的である」と言われます。
出典:「クラスター爆弾」(Wikipedia)

 さらに以下のような不発弾問題もあり、民間人が被害を受けやすく非人道的であるとして、今年2月23日に、「2008年までに使用・製造・移動・備蓄の禁止と同型爆弾の廃棄や使用された爆弾の撤去や被害者のケアを目指す「オスロ宣言」が採択され」ています。しかし残念ながら、これまでのところ日本はオスロ宣言を採択していません

爆発に指向性を持たせたものは、弾頭部が「下」を向くようパラシュートやリボンなどの機能がつくが、これが対地落下速度を多少弱めるため、落下場所によっては信管に十分な衝撃が加わらなかったり、あるいはこれが木や建物に引っ掛かったりといった副次的な問題もうむ。ことクラスター爆弾では、大量の小弾を散布する性質上で、例え低い割合の不爆率だったとしても総数が多いことから不発弾の数も相対的に増大する。また種類や小弾の性質・運用状況にもよるが、過去の運用実績上の不発率は約5~40%である。そしてその各々が、不発弾として「いつ爆発するか予測できない」という問題を含んでいる。
出典:「クラスター爆弾」(Wikipedia)

《参考リンク》
クラスター爆弾(多夢・太夢) 
日本にクラスター爆弾は必要か

 それでは誰がそんなクラスター爆弾を作っているのでしょうか? ロッキード・マーチン(米)、テクストロン(米)、タレス(仏)などが製造会社なのですが、これら米欧の計6社へのお金の流れをベルギーのNGOネットワーク・フランデレンが、国際人権NGOのヒューマンライツ・ウオッチと協力して調べたところ、こらら6社に対して、2004年から今年までにアメリカを中心に英、独、仏、カナダ、日本、オランダ、サウジアラビア、スイス、豪州、ベルギーなどの計68金融機関が、なんらかの形で投・融資していました。

 日本の銀行としては、三菱東京UFJ、三井住友、みずほのメガバンク三行がいずれもかなりの金額を融資しているのだそうです。ということは、です。もしこれら三行のいずれかに預金をしているとしたら、その一部はクラスター爆弾を作っている企業へと投・融資されていたということです。おそらく、かなりの割合の日本人のお金が、ごくごく一部とは言え、この爆弾を作っている会社に流れていたのです。
出典:「STOPクラスター:13カ国金融機関、製造企業に140億ドル投融資」(毎日新聞、2007年3月1日)

クラスター爆弾製造業5社への日本の銀行からの融資額は
次のようになっている。(金額はすべてUSドル)
1)ロッキードマーチン(米大手軍需会社):
 みずほ銀行含む5行から15億(各銀行からの個別の融資額は
不明)
2)レイセオン(米防衛機器メーカー):
 旧東京三菱銀行から1億、みずほ銀行から7,000万、
三井住友銀行から5,000万、旧UFJ銀行から2,500万
3)テクストロン(米航空宇宙、エレクトロニクスメーカー)

  三菱東京UFJ銀行から6,000万
4)タレス(仏。子会社がクラスター爆弾製造会社TDA):
 三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行を含む28行から20億
(各銀行からの個別の融資額は不明)
5)EADS(蘭。2005年までTDAに出資):
 三菱東京UFJ銀行から8500万、みずほ銀行から8500万、
 三井住友銀行から4500万。
出典:てんつくマン メールマガジン2007年5月28日号


 これに対して、日本の銀行はこう話しているそうです。
 日本の銀行のうちの1行は「この企業がクラスター爆弾を製造していることは後になって知った。ひと口に軍需産業に対する融資といっても、例えばコンピューターも軍需品として使われることもあり、線引きが非常に難しい」と話している。また、別の邦銀は「ミサイル製造など明らかに反社会的なものや主目的が軍需となれば融資はしない。企業体の一部でクラスター爆弾を製造している場合、融資の判断基準は難しくなる」と話した。

出典:「STOPクラスター:13カ国金融機関、製造企業に140億ドル投融資」(毎日新聞、2007年3月1日)

 たしかに巨大企業グループの中で作っているごく一部の部材が兵器に使われているという場合などは一律に投融資をしないというわけにもいかないかもしれませんが、兵器そのものを作っている企業に対しては、もう少し敏感になってもいいのではないでしょうか。なにせ60〜120億円という大金を融資しているのです。

 ちなみに「軍需企業一覧」(Access to Local City)というページを見ると、日本でもかなりの企業が兵器製造に関わっていることがわかり、溜息が出てきます。

 前述の毎日新聞の記事によれば、ネットワーク・フランデレンの研究員は「欧州の金融機関の中には、クラスター爆弾の製造企業への融資を中止した銀行もある。(投融資を行う)金融機関は、社内の融資規定を見直すべきだ」と主張しているとのこと。もっともです。それでこそ、責任ある投融資でしょう。

 日本はオスロ宣言に加盟していないだけでも恥ずかしいのですが、これ以上クラスター爆弾による悲劇を広げないようにするためには、もっとお金の流れに関心を持つことが必要なのかもしれません。

※レポート本体お読みになりたい方は、以下からどうぞ。
■"Explosive Investments"(Netwerk Vlaanderen)


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2007年06月09日

税金が増える町、ゼロになる町

 6月から多くの人にとって、住民税がアップしました。国税である所得税を減らして、地方税である住民税を増やす「税源移譲」が行われたのです。ですから、住民税はアップしても、支払い税額の総額は基本的には変わらないことになっているハズです。

 しかし、定率減税の廃止は、実質的な増税となります。森永卓郎さんのコラムでは、以下のような試算を紹介しています。
夫と専業主婦、子ども2人の標準世帯の場合、所得税・地方税の年間増税額は、年収300万円では700円と小さいが、年収500万円になると1万7600円、年収700万円では4万1000円となる。

 そして、実は最も被害が大きいのは独身者である。独身だと、年収300万円でも増税額は1万7600円、年収500万円では3万8000円、年収700万円となると7万400円も多く取られる。独身者は覚悟をしておいた方がいいだろう。
出典:「第65回 地方税、大半のサラリーマンで倍増 〜メディアが騒がないもう一つの税制改革〜」(NikkeiBP net 構造改革をどう生きるか)

 さらにこれが、これから始まる大増税の序章であるとの指摘も多く聞かれます。

 そんな中、「日本で初めて税を減らし、ゼロにできる自治体を目指す」と公言する自治体が現れました。「減税自治体構想」を公約して当選した東京都杉並区の山田宏区長です。まずは7月からの専門家による研究会をスタートさせるそうです。
 山田区長は二期八年、区予算のうち平均約百億円を、基金積み立てと借金返済に充てた。その経験から、財政健全化が進めば、総予算の九割で行政運営し、残り一割を積み立てられると強調。

 総予算約千五百億円、必要な区民税収入五百五十億円、年2%複利と仮定すると、毎年百五十億円を積み立て、七十八年後には区民税を無税にできる計算になるという。
出典:「区民税 予算積み立て減税」(東京新聞、2007年6月7日)

 予算の9割だけを支出し、1割は積立て運用し、78年後には住民税をゼロにするという壮大な計画です。こんなやり方があるのだと聞いて目から鱗でしたが、実は福沢諭吉や松下幸之助が既に考えた構想なのだそうです。高度成長期の経済的にゆとりがあるうちになぜ実行しなかったのか、悔やまれます。

 山田区長は、任期中に組み立てを始めたいとのことですが、そうなれば杉並区に住みたいという人も増えるのではないでしょうか。住民税がゼロになるのは78年後ですが、33年後には4分の1、53年後には2分の1の減税ができるのだそうです。自分の住んでいる間にゼロにはならなくても、子孫に残せる誇るべき資産です。

 「減税自治体を目指せば住みたい人が増え、かえって税収が増え区が発展する」と二次効果も期待。福沢諭吉や松下幸之助が既に考えた構想だとし、「これまでの行政は税収の増減で右往左往してきた。会社や家庭と同様、永続的発展を視野に運営したい」と話した。
出典:同上

 住民からも喜ばれ、行政としても税収を安定させ、そして持続可能な地域へ! 先見性のある政策ですね。

 せっかく税源委譲で地方自治の自由度が高まるのですから、それをきちんと活用してもらいたいものです。首長の運営手腕が直接問われる時代になったということです。もにゃ、どこに住んでいても、同じような費用(税金)で、同じような行政サービスを受けられるわけではありません。どの自治体がどういう行政をしているのか、住民としてもきちんと見極めたいですね。

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2007年05月25日

誰が得をしているのか?

 最近立て続けに、似たような質問をなさる方を見かけました。一人の方は「エビの養殖でマングローブが破壊されるとは言っても、エビの養殖という新しい産業ができて、地元の人も潤うのではないか?」とおっしゃり、もう一人の方は「バイオ燃料に使われるために穀物の値段が上がれば、利益が大きくなり、生産地の人たちも潤うようになるのではないか?」と訊ねられていました。

 たしかにそういう面がまったくないとは言えません。しかし、それを理由にエビの養殖を進めたり、穀物をバイオ燃料の原料に転換することはとても危険だと思います。

 まずエビの養殖の場合ですが、マングローブを切り拓いて養殖池を作っても、そこで持続的にエビの養殖ができるわけではありません。多くの場合は5〜10年の間に、池は餌や抗生物質で汚染され、それ以上同じ場所で養殖を続けることはできなくなってしまいます。残るのは疲弊した不毛の土地だけです。下手をしたら、餌や薬品を買った際の借金だって残されるかもしれません。

 仲買人は仕入れ先を別の村に変えればいいだけです。仕事を続けていくことはできます。しかし、今まで何百年、何千年と暮らしてきた土地が、わずか数年から十年の間に使い道のない土地になってしまったとき、村人たちはどうやって生活を続けていけばいいのでしょうか。

 穀物の価格が上昇した場合はどうでしょうか。もしその土地が農民のもので、収穫した穀物を市場価格で自由に売ることができれば、穀物を作る人々も価格上昇の恩恵を受けることができるかもしれません。しかし、小作農にとってはもちろん、自分で自由に市場に売ることができない農民の場合※、たとえ市場価格が上がっても、仲買人や商社には、買い叩かれることも珍しくありません。そしてもちろん、穀物を輸出できる国より、輸入しなければいけない国の方がずっと多いのです。輸入しなければならない国では、価格上昇によって困る人の数の方が多いでしょう。
※市場への輸送手段がない、特定の工場に売るしかないなど、市場で自由に作物を売ることができない場合は多くあります。

 つまりポイントは、少し時間が経った後でも、情勢が変化したときでも、そこでコツコツ働く人たちが本当に継続して利益を得ることができるかです。利益が得られるのはごく短期間だけであったり、ごく一部の立場の人だけである限りは、開発や用途の転換は、危険な変化であると言わざるを得ません。

 熱帯林の伐採も同様で、「地元の人はそれでしか収入を得られないのだから、伐採を禁止するのは地元の人の生活を困窮させることだ」という主張もあります。しかし実際には、伐採で利益を得ているのは他所から来た伐採業者(企業)だけで、本当にもともとそこに暮らしていた人たちは伐採で大した利益をえていないし、持続可能な形で活用してきた森林資源を自由に使うことができなくなりむしろ困っている場合も多いのです。

 そういうケースが多いからこそ、生産者の手にきちんと利益が渡る「フェアトレード」が必要になるのです。もし生産地の人たちがきちんと利益を得ているのであれば、そもそもフェアトレードなんて必要ないのではないでしょうか。

 だから「地元の人にも利益があるはず」という言葉には十分に注意をする必要があります。「地元の人」とは、本当にもともとそこに住んできた人たちのことなのか? 利益は継続的に得られるのか? それらが確かでない限りは、とても持続可能な開発とは言えないでしょう。

 結局誰が得をしているのか? その状態は持続的であるのか? これらのことを考えるだけでも、おかしな開発や議論を防ぐことができるはずです。

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2007年05月20日

動き始めた金融機関

 環境に後ろ向きと思われがちの米国ですが、米国企業はむしろ積極的に環境への対応を進めているようです。しかも、あくまでビジネスとして
米大手金融機関が環境関連の大規模な投融資に乗り出す。最大手のシティグループが世界の代替エネルギー開発企業などに今後10年間で500億ドル(約6兆円)を投融資するほか、バンク・オブ・アメリカも200億ドルを投じる。原油高や温暖化対策を受け、代替エネルギー投資が急成長しているうえ、金融機関にも社会的に環境への取り組みが求められていることが背景にある。日欧の金融機関にも同様の動きが広がりそうだ。

出典:「米銀、環境投融資を拡大――シティ、10年で6兆円」(日経、2007年5月18日)

 きちんと調べたわけではありませんが、1民間金融機関の環境への投融資額として6兆円というのは、おそらく市場最大の規模なのではないでしょうか。世界銀行のプロトタイプ・カーボン・ファンドへの出資額だってたしか1億8千万ドル程度のはずですから(この数字、あまり自信がありません(^^;) もし間違っていたらご指摘ください)、500億ドルというのは桁外れです。

 しかも、バンク・オブ・アメリカも200億ドル、ゴールドマン・サックスも既に10億ドル超をこの分野に投資していると、同じく日経新聞が報道しています。いよいよ、メインストリームが動き出した気配を感じます。

 日経新聞が引用しているニュー・エナジー・ファイナンス社の調査によれば、世界の代替エネルギー投資は急増しており、2006年は709億ドル、前年比4割増し、2年前に比べれば2.6倍にもなるそうです。投資するのに十分な大きさのマーケットであり、なおかつ将来性があると判断されたのでしょう。

 日本では、昨年やっと環境省が「金融のグリーン化」について取り上げ、今年改訂予定の「環境報告ガイドライン」で金融機関の環境配慮が盛り込まれる予定であり、そのことが5月18日付けの業界紙「保険毎日新聞」では一面トップで報じられています。しかし、こちらはまだまだメインストリームというよりは、環境に配慮した投融資という新しい試みが始まったという段階に留まっているように思います。

 お金の流れが変われば、社会は確実に変わります。金融機関はお金の流れを直接変える力を持っています。そして私たちも、金融機関を選別することで、その流れを間接的に変える力を持っています。

 日本でも環境への投融資が加速すること(※1)と、すべての投融資において環境・社会配慮が徹底されること(※2)を期待したいと思います。そしてもちろん、どの銀行、保険会社、投資会社がそのようにしているかを、環境報告書等を通じて私たちはチェックする必要があります。自分のお金を、もっともきちんとしていると判断した銀行に預けるようにするためです。

※1:例えば太陽光発電への投資など
※2:例えば工場建設に投融資する際に、その建設によって環境面、社会面での問題が生じないかを事前に調査し、問題があれば是正すること


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2007年03月10日

あなたも私も大富豪

 昨日の香水に消費されている金額の例を持ち出すまでもなく、この地球、つまり「私たちの世界」にはあまりに大きな貧富の差、所得の偏りがあります。

 それでは、僕たち自身は、その中でどんな位置づけになるのでしょうか? それを知るのに便利なページがあります。Global Rich List(世界のお金持ちリスト)です。以下のページに、あなたの年収を入れてみてください。ちゃんと日本円も選べるようになっていますよ。
Global Rich List

 就職・転職情報ナビの「日本人の給料(職業別平均年収)」によれば、サラリーマンの平均は439万円だそうですが、この年収がある人は、世界では222,013,566番目にリッチな人であり、これは上位3.7%に相当するのだそうです。もしあなたが1000万円以上稼いでるとしたら、それはなんと世界の上位0.74%です。

 国ごとに物価水準が違いますので単純な比較が難しいのはもちろんですが、金額からだけ考えれば、日本人は圧倒的に「お金持ち」であることがわかりますね。

 この順位を見て、ノブリス・オブリージュという言葉を思い出しました。しばらく前に「恵まれたものが持つ義務」というエントリーで、「我々は、ノブリス・オブリージュという言葉の意味を書き換えなくてはいけません。」というソフィアバンクの田坂広志さんの言葉を紹介しました。僕たちが様々な意味で恵まれており、その点から義務を有するのはもちろんですが、経済的に見てもノブリス・オブリージュを感じ、実行すべきだと感じたのです。

 それは恵まれない地域の人たちに寄付をしましょうとか、そういったことではなく、自分の稼いでいるお金をどう使ったら有効なのか、世の中にもっとも影響を与え得るのか。そういったことを少しだけ考えながら買い物をすれば、僕たちが想像する以上の影響を与えられるのではないでしょうか。

 たしかに偏りはある。しかし、その偏りをうまく利用することもできるのです。

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2006年12月25日

要らないものは、要らない

 以前お風呂がヒリヒリするとしたらそれは塩素のせい、しかし、お風呂にビタミンC(アスコルビン酸)をちょっと入れれば、それも解決するということを書きました(「お風呂にビタミン」)。

 シャワーでも同様のことをするために、我が家ではアラミックという会社のマイナスイオンCシャワーというのを使ってきたのですが、プラスチックが劣化して壊れてしまいました。4年半ぐらい使っていたので、まぁしかたないかなと思い、買い換えることに。

 シャワーヘッドを交換するだけなので、たいていのシャワーと簡単に交換できるのですが、うまく合わない場合に備えて、アダプターが3つ同梱されていました

 うちのシャワーの場合には、アダプターを使わずにそのまま交換できたので、アダプター3個は付いてきたけれど使わず終いです。というか、使ったとしても1個しか使わないので、最低でも2個は余るハズです。ちょっともったいないですよね。

 浄水器などの場合には、蛇口の形はバラエティに富んでいるので、もっと大変です。使わないアダプタが5個も6個も付いています。なければないで困るので、同梱しないわけにはいかないでしょう。しかし、要らないものは、要りません。プラスチックの小さな部品ですから、コストは大したことはないのでしょうが、しかしチリも積もればで、日本全国では大量のゴミになっているかもしれません。

 と思ったら、新しく買ったイオニックCシャワーには、小さな茶封筒が同封されていました。料金受取人払いで、あて先は「アダプター回収係」とあります。そして、その下に「不要の付属アダプターは、最初に入っていたビニール袋に入れて、この封筒で送り返してください。」とあります。見事です。
arromic2.jpg
 リサイクルよりも、リユース。そしてそれがもっとも確実かつ効果的にできるのは、メーカーです。おそらく、送料を負担して回収して、検査して再利用する手間やコストを考えたら、回収などせずに新しい部品を調達した方が安くつくのではないでしょうか。

 しかし、問題は、どちらが得かではないのです。どちらが、環境負荷が低いかです。だとすれば、この会社のやっていることはとても正しいことです。環境がまだ外部不経済である以上、経済合理性だけで考えては環境負荷は減らないのです。

 以前のエントリーでも書きましたが、このシャワーヘッドは、節水効果もありながら、水流は強く、しかし、滑らかです。使っているだけで、自然に環境配慮ができる製品なのです。もちろん使い心地も良く、僕自身とても気に入っています。オススメです。

 こういう会社が素晴らしいと思います。きっと、どうしたらもっとお客様や人のため、社会のために役に立てるか、いつも一生懸命考えているのでしょうね。こういう会社が増えれば、世の中もぐんと変わるのではないでしょうか。

今日もお読みいただき、ありがとうございます。
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2006年12月08日

定休日を拡大

 百貨店の丸井が、年2日しかなかった定休日を来年から原則月1日の定休日を設けるようにするになったことを、ブログ「にっけいしんぶん新聞」で知りました。
丸井、定休日を拡大 −右へ倣え−(にっけいしんぶん新聞)

 昔はデパートだって毎週一度は休みだった気がします。火曜日は○○が休みで、□△は水曜日が休み。という風に都心のデーパートは微妙にずれていて、結局どこかは明いているので、そんなに困らなかったのだと思います。ところがいつの間にか、今ではどこもほとんど年中無休状態です。

 お正月ですら、1日から営業しているところまでありますし... むかしは1日、2日はどこもお休みだから家でゆっくりするしかなかったですし、だからこそお節料理という保存食も意味があったのですよね。それが1日の朝から初売りなどされた日には、おちおち休んでもいられません。いや、僕は休みますけれど、お店で働く人はね。それに、正月特有の静けさも、今ではあまり感じられなくなってしまったような気もするのです。

 この「にっけいしんぶん新聞」というブログは、エントリーも軽妙ながら、コメントも多彩で楽しいのですが、今回のエントリーに対するコメントを見ていると、おおむね皆さん丸井の決定に賛成のようですね。曰く、今はあまりに「働かせ過ぎ」と。ごもっともです。

 丸井が休みを増やす理由は、人手不足と優秀な社員を確保するためだそうです。一見すると、従業員のことを考えての決断のようにも思えますが、いや、休みを増やした方が結果的に「儲かる」からなのだというクールな意見もありました。実際、そうなのかもしれません。

 そう言えば、今年の厚生労働白書に関して、しばらく前にこんな記事もありました。
白書として初めて「働かせ方」という言葉を用い、長時間労働の是正には企業側の意識改革がより重要である点を強調している。
出典:「厚生労働白書:長時間労働是正、企業の責任強調 」(毎日新聞06/09/08)

 厚生労働白書は、さらにこれを少子化とも関連させる分析をしています。
白書は、少子化の要因の一つに、30代を中心とした育児世代の長時間労働を挙げ、労働者の仕事と生活の調和を実現する働き方の見直しは企業の社会的責任であると強調した。国民に対しても、長時間労働を生む原因となる「24時間サービス」「即日配達」など、利便性を際限なく求める姿勢を見直すよう訴えている。
出典:「厚労白書 少子化要因に働き過ぎ 25−39歳「週60時間以上」20%超 」(読売新聞06/09/08)

 少子化だけでなく、本当にあらゆる家庭生活、私生活が犠牲になっていると思います。私たちの便利な生活は、誰かの不便な生活によって支えられているのです。私たちがゆとりのある生活をしようと思ったら、自分たちの便利も少し我慢しなければなりません。いえ、それは我慢ではなくて、そもそもそういうものなのだし、そうやって待つことが、時間をかけることが、本当の「ゆとり」のハズです。

 かつて「お客様は神様です」という言葉が流行りましたが、これは明らかに間違いです。客のワガママにひたすらつきあうべきではありません。できるサービスはもちろん結構ですが、できないものはできない、きちんとお断りすることが持続可能なサービスなのではないでしょうか。

 そして、夜中まで店を開けているのは、お客のためというより、売上のため。おそらく、それが本音なのだと思います。お客さんも便利になったようでいて、実はお店に乗せられているだけなのかもしれません。

 丸井が休日を増やす決断をした理由はともかく、年中無休とか、24時間というサービスはそろそろ見直す時期なのだと思います。ライフラインに関するサービスは別として、そのようなサービスを売りにする会社は、環境的にも、社会的にも、持続可能ではない方向に向かっているように感じます。CSRを標榜する企業には、深夜営業は似合いません

 さて、次のお正月には、どこがきちんと休むでしょうか?

今日も読んでくださって、ありがとうございます。
サステナ・ラボもかなり年中無休です(^^;)
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posted by あだなお。 at 23:59| 東京 🌁| Comment(5) | TrackBack(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月24日

決めるのは消費者

 シンガポールでの会議を終え、帰国しました。シンガポールでは、持続可能なパームオイルのためのラウンドテーブル(RSPO)の第四回目の円卓会議(RT4)に出席しました。

 この会議は様々な立場のステークホルダー(関係者)が集う、文字どおりマルチステークホルダーの会議です。オイルパームの生産者(農園、搾油工場)、精製工場、消費財メーカー、小売、環境系NGO、社会系NGO、金融と関係者が一堂に集まるのはなかなか壮観です。ある原料をめぐってこれだけのステークホルダーが集まる仕組みを持っているものは、珍しいのではないでしょうか。

 そして今回の発表で特に感じたのは、欧州の消費者からの「持続可能なパームオイル(SPO=Sustainabel Palm Oil)が欲しい」という声の高まりです。

 世界最大の消費財メーカーの一つであるユニリーバーの代表はしきりに「消費者からの要求なのだ」を繰り返していました。今までのサプライチェーンは、原料(上流)から商品(下流)への流れがメインだたのですが、消費者からの声が大きくなったことにより、下流から上流へと流れが逆さになったのです。つまり、「農園から食卓へ(farm to fork)」から、「食卓から農園へ(fork to farm) 」へと逆転したのです。あるいは、「運転席に座っているのは消費者だ」とも言っていました。

 ユニリーバー以外のメーカー、小売、果ては金融機関も、口を開けば「SPOはいつになったら手に入るのか? 手に入ったらすぐにでも使いたい」と積極的です。というより、商品化すればすぐに買ってくれる消費者がいるし、逆にSPOを使わなければ消費者に自社(の製品)が支持されないという状況になっているのでしょう。

 今回は昨年とは異なり、日本の主要メーカーさんも参加していました。が、欧米のメーカーとはずい分と温度差があり、まだまだ様子見という雰囲気でした。欧米のように消費者から「SPOに切り替えてくれ」という声が強くないので、企業としてはあまり積極的にはなれないということなのでしょう。

 つまり、消費者の声があるかどうかが、企業の姿勢を大きく変えているのです。ユニリーバーをはじめ、日本のメーカーよりはるかに規模の大きい欧州企業ですら、消費者の声があれば動くのです。一方、日本の消費者はと言えば、まだ自分たちの持っている本当の力を認識していないのではないでしょうか。

 お隣の中国に比べると日本の人口は小さく見えるかもしれません。しかし、1億人超というは世界的にみれば十分に大きな市場です。しかも、高い購買力があるのです。その市場の声が高まれば、企業の行動に与える影響は非常に大きいはずです。

 もちろん日本の消費者の場合には、そもそもSPOの存在や、それが必要な理由が知られていないということもありますが、それにしても自分たちの力をきちんと活用していないのはもったいないことです。どんな社会にしていくかは、結局はそこに暮らす一人ひとりが決めることです。どんな商品が欲しいのか、どんな原料は使って欲しくないのか、日本の消費者に情報を伝え、その意見をまとめることができれば、自分たちがのぞむような社会に近づけることができるのです。

 RSPOの議論を聞きながら、これからどう消費者と企業や社会のコミュニケーションを推進したらいいのだろうと考えこんでしまいました。皆さんには、何か良い考えはありませんか?

今日も読んでくださって、ありがとうございました。
行動はまず発言から。コメントをお待ちしています。
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posted by あだなお。 at 00:26| 東京 ☁| Comment(10) | TrackBack(2) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月11日

お休みしてみませんか?

 私たちの生活、とくに都会での生活は、とても経済化されたものになっています。つまり、すべてのモノやサービスが、お金を出して買う仕組みになっています。それがあまりに行き過ぎると、「オカネがあれば何でも買える」と誤解する輩まで出てきます。あるいは、オカネを出さないと何も手に入らないような錯覚に陥ることがあります。そして、お店にはあまりに様々な商品が溢れています。

 たしかに便利ではあるかもしれませんが、果たしてそれがみんな必要なのでしょうか? 便利にはなるのだろうけれど、地球のことを考えれば、次の世代のことを考えれば、あるいはそのモノを作るために負の影響を受けている人たちのことを考えれば、買わなくても済むようなものも多いように思います。

 だったら、今日一日は何も買わないで、自分の手と足で、自分の力だけで生きてみてはどうだろう。自分の力の再発見にもなるし、第一、自分の手で作ったり、工夫したりしてみることは、とても楽しいことのはずです。オカネがなくても、楽しめることはたくさんあるはずです。

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 そう言えば、英語ではきわめて価値が高いことをpriceless、つまり「値段がつけられない」と表現しますね。実際、本当にいつまでも心に残る思い出は、高価なモノや、オカネをたくさん使ったイベントではなくて、もっと素朴でシンプルな、だけれど自分や大切な人と手作りで作り上げたものだったりしませんか?

 そう考えて、一年に一度、地球のことを考えて買い物を一切止めてみようというのが「無買デー(Buy Nothing Day)」です。今年は11月25日(土)がその無買デーです。2週間後の土曜日の一日、買い物をやめて、お金を使わずに楽しんでみませんか?

《関連リンク》
ムバイデー・ジャパン・ネットワーク
■昨年の無買日を紹介したエントリー「26日は無買日

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今日もお読みいただき、ありがとうございました。
サステナ・ラボは完全無料です。無買日にも安心してお楽しみください。
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posted by あだなお。 at 23:27| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月07日

必要な人にお金を

 バングラディッシュのムハマド・ユヌスさんは、マイクロファイナンスで今年のノーベル平和賞を受賞しました。グラミン銀行は、これまで商業銀行がお金を貸そうとしなかった貧困層にお金を貸すことで、彼らが極貧から抜け出し、新しい希望に満ちた生活を送ることを支援したのです。
《参考エントリー》
■「銀行にノーベル平和賞

 それに引きかえ、今の日本の銀行はどうでしょう。経営に行き詰まれば公的資金という税金投入で救済され、超低金利と税金の免除で今度は大儲け。しかし、その利益は一般顧客に還元されることはなく、サービスは低下するばかりです。もっとも、彼らにとっては金融資産10億円以下(1億ではありませんよ、10億だそうです)は客ではなくゴミなのだそうですから、合理的な扱いなのかもしれませんが...

 今日も最近合併した某大手銀行の支店で質問したら、「それは旧○×銀行のサービスなので、別の支店に行ってください」との答え。一体なんのために合併したのでしょうか? そんなんだったら、別の看板のままのほうが混乱しなくてすみます。

 そんな愚痴はともかく、日本の銀行も、日本人も、まったくセンスがないのかと言えば... 嬉しいことに、まったくそういうわけでもなさそうです。

 旧東京銀行出身の枋迫篤昌(とちさこ・あつまさ)さんは、2003年6月にアメリカのワシントンDCでマイクロファイナンス・インターナショナル・コーポレーションを設立、アメリカで働くラテンアメリカ系移民が本国の家族に送金するのを支援する業務で成功、またマイクロファイナンスを事業としても支援しています。
ノーベル平和賞で話題のマイクロファイナンス 東京銀行出身者が米国で活躍(NB online)


 そしてさらに嬉しいのは、同社の80人の株主のうち70人が日本人ということ。中には初対面にも関わらず、「困っている人のために何かをしたいと思っていましたが、具体的な解決策があると分かりました」と3億円もの出資をして下さった御夫妻もいるそうです。日本人も捨てたものではありません。

 枋迫さんがこの銀行を始めたのは、若いときに出会ったメキシコ人家族が忘れられなかったからだそうです。毎日一生懸命に働いている人々が極貧の生活から抜け出すことができない。こんなのは間違っている。必ず金融のプロになって、この人たちに役に立つサービスを提供しようと決心したのだそうです。

 そして、「支援ではなくビジネスとして成功すれば普及する」と、巨大なニーズがありながらこれまでの金融が手を付けていなかったところに適切なサービスを提供することで、短期間で大成功を納めたのです。強い意志と、既存のビジネスの盲点をついた仕組み、そしてちょっとの勇気が、人々の生活と社会を変えているのです。

 マイクロファイナンスという仕組みを作ったユヌスさんとグラミン銀行が素晴らしいのはもちろんですが、それに続く日本人がいることを、とても誇りに感じました。

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2006年10月13日

銀行にノーベル平和賞

 今年のノーベル平和賞は、銀行とその総裁が受賞することになりました。なぜ銀行が? そう思った方も多いかも知れません。しかしこれは、受賞したのはちょっと変わった銀行です。

 銀行の業務は言うまでもなく金融。金融とは、文字どおりお金を融通することです。事業を始めるのに、当座のつなぎ資金に、不慮の支出に。理由はさまざまでしょうが、お金が必要な人にお金を融通し、その利用料として利息を受け取るのが銀行の仕事(のはず)です。

 ところが、お金があるところにもっと使えとお金を貸して、お金がなくて困っているところには貸さない、これが日本の多くの銀行の実態かもしれません。晴れている時に傘を貸し、雨のときには傘を貸さないどころか取り上げるなどと揶揄されることもあります。

 そんな銀行を見慣れていると、なぜ銀行がノーベル平和賞をと思うかもしれません。しかし、銀行の本来の役割を忠実に行い、社会を変えた銀行があるのです。その名はグラミン銀行、バングラディッシュで30年ほど前にできた銀行です。

 グラミン銀行は、本当にお金を必要としている貧しい人にお金を貸しました。貧しい人たちはそのお金で商売を始め、自分の手で稼ぐことができるようになり、極貧から脱出できるようになったのです。最初に貸したお金はわずか数ドル程度です。しかしそのお金のお蔭で、今まで自分で自分の運命すら決めることができなかった人々が、自立し、新たな人生を歩むことを可能にしたのです。自らの手でお金がかせげるようになった人たちは、自信を持ち、自尊心を持ち、自分だけでなく自分たちの社会の未来を自分たちで考え、作るようになったのです。

 貸したお金も98%が返済されているといいます。この数値は、日本のどの銀行よりも高いのではないでしょうか? グラミン銀行のやり方はマイクロクレジットと呼ばれ、今では先進国も含め、世界中の国々で活用されるようになりました。人を信じ、必要な人にお金を渡すことで、社会が再構築される力が生まれたのです。まさにノーベル平和賞に値する偉業でしょう。

 グラミン銀行のことは、さまざまなサイトでも紹介されています。検索してみればいろいろな記事が見つかると思います。
 
ムハマド・ユニスさんにノーベル平和賞!(rebel blog)
グラミン銀行、たった6ドルで人生が変わった(お茶の間から世界を変えよう)

グラミン銀行訪問(一橋大学水岡ゼミ海外巡検報告)

 もちろんグラミン銀行にも課題はあります。光だけでなく影もあるのだと思います。ホントのところはどうなんでしょう? そう思う方には、以下のコラムが面白いかもしれません。

マイクロファイナンスと、高利貸しのポジティブな役割 (HotWired Japan Altbiz)


 今回のグラミン銀行の受賞で、僕はこの世の中が確実に変わりつつあることを強く感じました。なぜなら今回の受賞は、

・ほんのちょっとしたアイディアで、社会は変わる
・一人が始めたことで、社会は変わる
・ほんのわずかなお金で、一人の人生が変わり、その積み重ねで社会は変わる
・比較的短い期間で、社会は変わる

ことを実証してくれたからです。

 このように社会にとって本当に必要なことは、意義があることは、多くの人が認め、広まっていくのです。こうした活動が社会に受け入れられ、正当に評価されることに、僕は大きな希望を感じます。

 グラミン銀行のことをもっと詳しく紹介したいなと思っていたら、いつもいろいろな情報を提供してくださる行徳のマグマ大使さんが、今回グラミン銀行と共にノーベル平和賞を受賞した同行総裁のムハマド・ユヌス氏のことを紹介したBSのテレビ番組の要約を送ってくださいました。転載可とのことですので、やや長いのですが、ご紹介したいと思います。ぜひご一読ください。

ムハマド・ユヌス。
バングラディシュのグラミン銀行の創設者です。
世界中の王族や指導者なども彼に一目を置いています。

ふつう,銀行は今,裕福な人にしか金を貸しません。
担保になる物件をもっていなければ,貸してくれないのです。
だから,世界中の半数の人は銀行からお金をかりることができない。
でも,貧しい人こそ金が必要なのです。
ムハマド・ユヌスは貧しい人に無担保で金を貸しました。
その結果どうなったかー。

すべては,1970年代半ばのチッタゴンで始まりました。
ムハマド・ユヌスは大学で経済理論を教えていました。
その年は史上まれに見る大飢饉。教室を出ると,バタバタ死んでいく人ばかり。一握りの米を手に入れることができなくて,弱っていく人。でも,自分達の力ではどうにもならないのです。
ムハマド・ユヌスは経済学の無力さを感じました。
知識だけでは死んでいく人を助けられないのです。

彼は町の人に何が必要なのか,聞き取り調査を始めました。
そして,聞き取りをした42人全員がお金が欲しいことが分かりました。総額で27ドルです。

彼は自分の持っているお金を彼等全員に貸しました。
無担保で,しかも返済期限を決めずに,少しずつ返済するように彼等に言いました。
彼等はその金をもとに小さな商売をするようになりました。
そして,金は全額返ってきたのです!

彼は自分の銀行をつくるにしました。
それがグラミン銀行です。
グラミンとは現地の言葉で「農村」という意味。
従来の銀行は,銀行に借り手が行きます。
グラミン銀行は銀行員が「農村」まで人々に会いに行きます。

しかもグラミン銀行は男性だけでなく,女性にも金を貸しました。
女性への融資は,当時,男性達は否定的でした。
イスラム教もヒンズー教も保守的な社会だからです。

女性達に話をしようとしても,彼女達は逃げてばかり。
そんな彼女達の反応が変わるまで長い時間がかかりました。
「いろんな噂があるけれど,グラミン銀行の人は信頼できる」
と分かってからは,彼女たちはやっと話を聞いてくれるようになりました。
それがなんと,今では融資を受けている人の95%が女性です!
彼女達は米を買い,脱穀して売っています。
女性たちの方が貧困から抜け出したいという気持ちが強いそうです。

返済するとさらに高額の融資が受けられます。
そうして,数百ドルの融資が受けられるようになった人も出てきました。
グラミン銀行の返済率は,実に95%に達します。

でも,グラミン銀行の役割はもっと大事なことにあります。
お金を返済すると,その人に自尊心が芽生えてくるのです。
とるに足らない人間とみなされていて,自分もそう思っていた人が自信をもって,世の中に伍していくように変わっていく。
それは劇的な変化と言えます。
それを演出しているのがグラミン銀行なんです。

グラミン銀行は今や巨大な組織に成長しました。
融資を受け付けるセンターは7万5千ケ所設置され,1日に実に100万ドルを貸し付けるまでになりました。
チッタゴンだけでも17万6000人がお金を借りています。
彼等に会いに行く銀行員は200人を超えました!

ムハマド・ユヌスは当初,公的な財政的な援助を受けていましたが,今はすべて自己資金で運営しています。
グラミン銀行が始めたマイクロクレジット(少額無担保融資)は,ベトナムやアメリカなど,さまざまな国に広がっていきました。

当然,既成の組織や銀行からグラミン銀行への批判が出てきました。既成の制度をぶちこわすのがこの銀行の目的の一つだったから当然です。
やれ,利率が高いとか,やれ返済率は誇張されているとか。あるいは「最も貧しい人にお金が届いていない」とかです。
そのような批判にムハマド・ユヌスは一笑して答えます。
「グラミン銀行は万能薬ではありません。人生は諦めずにがんばってみるべきだ。そのためにグラミン銀行を利用してほしい。解決策は示すことができるのです」

彼は,最も貧しい人に貸し付けを行うという新たな制度を始めました。
物乞いをしている数千人の人に,20ドルずつ渡したのです。
もちろん,担保をとらないだけでなく,返済計画も必要ありません。
ムハマド・ユヌスは,自分が27ドルで始めた最初の地点に返
り,リスクをともなうことを始めたのです。

マイクロクレジットは融資制度を変えただけでなく,社会の変
革ももたらしました。
お金を借りた人が集まる集会所では,みんなで16カ条の決意が読み上げられます。勤勉になること,責任をもつこと,健康であること,教育を受けさせること。
それだけでなく,正義や衛生についても人々は決意するのです。

マイクロクレジットによって女性と男性の役割が変わりました。
女性が自信をもって生きることにより,子どもが立派に成長するようになりました。ムハマド・ユヌスはその変化を見て,自分がやってきたことが報われたと思っています。

「貧しい家に生まれた人には何も罪はない。もともとは優秀な人々なのです。人は誰にも心に希望をもっている。でも貧しいと,心にふたをしてしまうんです。そのふたをとることがマイクロクレジットの役割なのです」最後に,ムハマド・ユヌスはそう言いました。


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2006年09月29日

ミッションが人を動かす

 一日遅れでなんとかフィリピンから帰国しました。昨日も書いたように、ホテルの中ではなんともなかったのですが、空港へ行く道端ではいたるところで大木が倒れ、空港はまだ停電中。必用最小限の明かりしかなく、薄暗く、エアコンもなく、どこも長蛇の列で、かなり悲惨な状況です。やっと飛行機に乗れてヤレヤレでしたが、出発は一時間遅れでした(^^;)

 その飛行機の中で読んだ「日経ビジネス」(06年9月25日号)がおもしろかったので紹介しましょう。「グーグルはなぜタダのか」という特集で、Googleが大躍進している秘密に迫ったものでした。

 Google は自らのミッションを、「世界中の情報を体系化し、アクセス可能で有益なものにすること」としています。そしてそのために、その目的だけのために、あらゆるものを検索可能にしているのです。ウェブサイトはもちろん、今では地図も、本も、どんどんデジタル化しています。

 そしてそれを世界中の人が使うようになり、そこに広告を出したいと思う会社が増え、Googleは今や世界有数の広告媒体です。Googleの収入のたしか99%が広告によるものだそうですので、Googleを広告会社だと考えれば、その売上はなんと電通の2倍にも達するそうです。

 このようにビジネス的にも大成功しているGoogleですが、Googleの社員はビジネスを、利益を生むことは意識しなくてもいいし、していないのだそうです。最高の環境の中で「世界中の情報を体系化し、アクセス可能で有益なものにする」というミッションのことだけを考えて、楽しく仕事をする。どれだけ素晴らしい検索ができるようにするか、使いやすいサービスを提供するか、それだけを目標にみんなが仕事をして、その結果として利益がついてきているのです。

 すべての企業が同じことをできるかどうかはわかりませんが、少なくともそんな企業が存在するのだということが、企業とは何なのか、働くとはどういうことなのかということを考えさせますし、また希望を持たせてくれるようにも思います。インタビューに答えている一人のセリフが印象的でした。「僕たちは金持ちになりたいんじゃない。幸せになりたいんだ。

 そしてさらに、インターネットによるこうした情報の民主化が、中国をも変えるかもしれないという記事も掲載されていました(「グーグルが中国を変える日」)。いや、そんなことはない。Google中国版は、中国政府にとって都合の悪い記事を表示させないように「検閲」することを認めたではないかという反論も聞こえてきそうです。しかし、これもGoogleにしてみれば、中国に入り込むための方策に過ぎないのだそうです。Googleの便利さが中国でも理解されれば、必ずGoogleは中国の国民の中に浸透し、内側からそれを変えるはずだと見ているようです。しかも、中国からでも英語サイトは検閲なしのものを見られるそうですから、だとすれば、そもそも大した問題ではないのかもしれません。

 「あらゆる情報を整理したい」、その思いで世界が変わっているのです。そして、それを支持しているのは、世界中のユーザーです。グーグルがタダでばらまく整理された情報とソフトのおかげで、個人はこれまでにない力を得、既存のビジネスや権力者は、今までのやり方を大きく変えざるをえないことになるのかもしれません。いや、きっとそうなのだと思います。これこそ、ネット民主主義と言うべき新たな枠組みなのでしょう。

 これを読みながら、今回のAFCSRでも似たような話を聞いたことを思い出しました。アメリカのホール・フーズ・マーケットの役員で、AFCSRの主催者のAIM(アジア経営研究所)の共同創設者であるラルフ・ソレンソン博士の講演です。

 ホール・フーズ・マーケットは有機野菜などの自然食品小売業です。1980年創設とまだそれほど古くはありませんが、今では全米に155店舗、カナダやイギリスにも進出しています。スーパーマーケット業界の中では驚異的と言えるほどの急成長を遂げている企業です。

 しかし、ここも利益を上げることや、店舗数を拡大することが目標なのではありません。自分たちの考えを忠実に遂行しているだけです。ホール・フーズ・マーケットが大切している価値観(Our Core Values)は次の5つです。
・入手できるもっとも質が高い自然のあるいは有機の商品を提供する
・顧客を満足させ、喜ばせる
・チームメンバー(職場の仲間たち)が能力を発揮し、幸せであることを支える
・利益と成長を通じて富を生み出す
・私たちの地域社会と私たちの環境を守る
出典:http://www.wholefoodsmarket.com/company/corevalues.html

 このことをしっかりとやっているだけで、ホール・フーズ・マーケットは成功しているのです。しかし、それは易しいことではないのだと思います。もっとも質が高い商品を提供するために、お客様に満足をしてもらうために、様々な苦労もあるはずです。環境を守るために、ホール・フーズ・マーケットで使っている電気は100%が風力発電によるものであり、地域社会を守るために純益の5%はフィランソロピーに使っているそうです。これだけでも、普通の会社だったらできないことでしょう。

 しかし、それが出来るのは、ホール・フーズ・マーケットは、まず重要なのはお客様を満足させることであり、そして従業員が幸せになれることであり、株主を喜ばせるのはその次だと考えているからでしょう。それでも、いやそれだからこそ、顧客はホール・フーズ・マーケットで買い物をしたいと思い、従業員は努力を重ね、投資家も安定した利益を得ることができるのだと思います。

 多くの人に受け入れられるしっかりしたビジョンやミッションがあれば、結果は後からついてくる。そう信じていいんだと思わせてくれる話です。単なる偶然かもしれませんが、今回の2社はアメリカの会社です。アメリカというと資本主義、自由市場経済の総本山のような気もしますが、そこでこのような企業が成り立つことも興味深いですね。問題は場所や、文化ではなく、マジョリティに受け入れられるということがポイントなのでしょう。そしてマジョリティを動かすのは、お金ではなく、思想なのです。

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2006年09月24日

労働市場の国際化!

 今日からフィリピンに出張です。昨夜は数時間しか眠れなかったので、フラフラしながら飛行機に搭乗。そのまま熟睡できればいいのですが、マニラは成田からちょうど4時間で着いてしまいます(^^;) こういうときには、もうちょとフライトが長いといいなと思います(笑) 勝手なもんです。

 今日利用したのは日系の航空会社でした。日系でも、最近は乗務員の国際化が進んでいます。パイロットと航空機関士(まだいたんですね)はおそらく西洋人。客室乗務員もほとんどアジア系の外国人で、日本人のスタッフの方が少ないぐらいでした。

 かつては、日本には日本語という砦があるので、外国人労働者は馴染まないと言われていましたが、実際に蓋を開けてみればそんなことはありません。企業は外国人を雇った方が安くて、外国人は日本企業で働くことに経済的メリットを感じれば、両方とも頑張るのです。客室乗務員の皆さんも、マニュアルどおりなんでしょうが、一応敬語をつかって接客しています。母国語、日本語、英語と三カ国語を話す方もいるようですので、片言の英語しか話せない日本人客室乗務員よりはるかにコストパフォーマンスはいいと言えるかもしれません。

 空港からケソンのホテルまで、ホテルの手配してくれた車で移動しました。運転手さんは歳の頃は30そこそこといったところでしょうか。道すがらいろんなことを話してくれました。最近、フィリピンでもっとも景気がいい業界はと聞いたら、なんとコールセンターだそうです。アメリカだけでなく、イギリス企業のコールセンターもフィリピンに出来ているのだそうです。英語を話す国の強みですね。アメリカやイギリスのオペレーターは大変ですが...

 そんなことを話しているうちに、なんと彼は日本に居たことがあると言い出しました。何をしに行ったのか聞いたら、観光ビザで入国して、日本にもう14年済んでいる兄弟の手引で仕事をしていたのだそうです。もちろん不法就労です。しかし、ある日それを警察に見つかって、強制送還になったそうです(^^;)

 日本における外国人不法労働者の実態が聞ける!と思って、ついつい根掘り葉掘り質問してしまいました。仕事は建築現場の日雇いで、お兄さんがいくつかの建築業者とツテを持っていて、フィリピン人(不法)労働者を送り込むのだそうです。中国人だけを送り込む、中国人手配師もいるそうです。やはり地縁、血縁なのですね。

 日本の建築現場で一日働くと1万6千円になったのでアルバイトとしてはなかなかいい稼ぎなのですが、仕事が毎日あるわけではないことと、家賃や食費が高いのが大変だったと溢していました。不法就労していたということについては、まったく気にする風はありません。日本の3K職場も、そういう彼らに支えられているわけです。

 それではフィリピンの一般的な労働条件はと聞けば、一日の最低賃金は400ペソ(=1000円)なのだけれど、建築現場は安いので350ペソぐらいしか貰えないだろうとのこと。一ヶ月頑張って、まぁ10000ペソ(=2万5千円)ぐらいだそうです。しかし、それではとても暮らしていけなくて、夫婦共働きで20000ペソの収入があると、なんとか子ども一人を養えると言っていました。子ども二人と暮らすためには、月30000ペソは必要といいます。

 そう考えると、1ペソは大体10円ぐらいの感覚なのでしょうか。実際の為替レートは1ペソ=2.5円ですから、物価はおおよそ1/4ということです。とすれば、一日働いて350ペソ(3500円ぐらいの感覚?)では苦しいでしょうし、逆に1万6千円ももらえる日本は天国でしょう。なるほどねぇ、こういう話を聞くと、いろいろと勉強になります。

 このように経済的なインセンティブがあれば、やはり多くの外国人にとって日本というのは経済的には魅力的な国でしょう。言葉の壁なんて、あっという間に乗り越えてしまうはずです。一方、緊張感のまったくなくなった今の日本人はどうでしょうか? 外国人労働者が大量に入ってきたら、あっという間に負けてしまいそうですね。

 今日は道中そんなことを考えていました。明日からはアジアのCSRの国際会議です。これだけ国情が違う中、それぞれの国でどんな風に、何に取り組んでいるのか。話を聴くのが楽しみです。

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2006年05月11日

今こそフェアトレードを!

 今週の土曜日13日は、「世界フェアトレード・デー」です。

 フェアトレードは、サスラボ読者の皆さんなら、もうご存じですね。生産者に正しい対価を支払うことで、貧しい人々が自分たちの力で生活をすることを支援する仕組みです。もちろん、生産方法も持続可能なものとし、作る人にも、周囲の環境にも配慮することは言うまでもありません。

■関連エントリー
今年のバレンタインは...
バナナはどこから?
おいしいコーヒーはどこから?
チョコレートの秘密

 そして毎年5月の第2土曜日には、国際フェアトレード連盟(IFAT)の加盟団体、なんと世界70ヶ国・約300団体!が一斉に蜂起!、じゃなかった(笑)、フェアトレードをアピールするのです。それが今年は13日というわけで、世界各国、各地で、イベントやキャンペーンが開催されます。ちなみに今年のテーマは「Fair Trade Organisations Now!(今こそフェアトレードを!)」です。
fairtradeday_logo.gif

 日本でも各地でイベントがあります。以下の「世界フェアトレード・デー2006 公式サイト」をチェックしてみてくださいね。

■世界フェアトレード・デー2006 公式サイト
http://www.wftday.org/index.htm

 フェアトレード製品の即売はもちろん、試飲、試食、コンサート、勉強会などなど。いろいろ楽しめそうですよ。

 フェアトレードを進めるためには、まず第一に私たちがフェアトレードの商品を買うことです。どこの誰が作ったのか、そして作った人の懐にちゃんとお金が届くような素性がはっきりした商品を買うことは、遠く離れていても、生産者の方々の生活を支援することになります。これこそ、私たちのお金で、私たちの社会を変えてゆくことです。

 でも、ただお金を払うだけ、それがどこか遠くの国の人々に届くだけだと、ちょっとつまらないですよね。どんな人たちが、どんな風に作っているのか、知れば知るほど、親しみも湧いてくるというものです。

 フェアトレード・デーは、そんな好奇心旺盛なあなたにはぴったりの機会です。是非お近くのイベントに足を運んでみてください。

 もし当日は他の用事があってという方は、他の日にフェアトレードのお店(例えば、People Treeなど)に出かけてみたり、あるいはインターネット・ショッピングでもいいので、フェアトレードを試してみてはどうでしょう? いつもとは違う体験ができるはずです。

 以下、ご参考までにIFAT(国際フェアトレード連盟)の基準です。

《フェアトレードの基準》

1. 生産者に仕事の機会を提供する
経済的に立場の弱い生産者が収入を得て自立できるよう支援する
2. 事業の透明性を保つ
生産者、消費者など全ての関係者に対し公正に接し情報を提供する
3. 生産者の資質の向上を目指す
生産者の技術向上や商品の流通を支援。継続的な協力関係を築く
4. フェアトレードを推進する
活動の広報や啓発を行い、消費者に生産背景の情報を提供する
5. 生産者に公正な対価を支払う
生産者自身が望ましいとする水準の生活を保てる公正な対価を支払う
6. 性別に関わりなく平等な機会を提供する
文化や伝統を尊重しつつ性、宗教、年齢などの差別のない賃金を支払う
7. 安全で健康的な労働条件を守る
生産地の法律やILO(世界労働機関)で定められた条件を守る
8. 子どもの権利を守る
子どもの健全な成長や安全、教育を妨げない
9. 環境に配慮する
可能な限り持続可能な原料を使用し、全ての工程で環境負荷に配慮する

 出典:世界フェアトレード・デー2006 公式サイト


 自分の買い物が、こんなことに役立つのであれば、買い物がもっと楽しく感じられませんか?


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2006年05月05日

子どもの日に朗報

 子どもの日の今日に先立ち、昨日5月4日、国際労働機関(ILO)は児童労働に関するグローバル・レポート「The end of child labour: Within reach(児童労働のない世界:手の届く目標・英文・90頁)」を発表しました。
出典:http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm#15

 このレポートによれば、児童労働の数は減少を示しはじめ、2000年には世界全体で2億4,600万人と推計された児童労働者数が2004年には2億1,800万人と11%減少したそうです。

 「児童労働」とは日本では耳慣れない言葉かもしれませんが、原則15歳未満の子どもが、大人と同じように労働すること(child labor)で、家庭や家業の手伝いなど、子どもの成長にも寄与する「子どものしごと(child work)」とは別です。

 具体的には、途上国の農園やスラムで強制的に働かされる子どもたち、あるいは路上のモノ売り、工場での労働、さらには児童売春や少年兵などといった場合まであります。

 画像の方がイメージしやすければ、ILO駐日事務所は、国連大学本部ビル(東京青山)内UNギャラリーで、5月15日〜6月16日に児童労働写真展を開催するそうですし、Webには「児童労働フォトライブラリー」などもあります。

 こうした児童労働の中でも「最悪の形態」は、以下のようなものです。
● 強制労働、債務労働、農奴、紛争での子ども兵士(強制的な徴兵)、人身売買
● 買春、ポルノ
● 麻薬の売買などの犯罪行為
● その他危険な労働 (虐待にさらされる労働、炭坑内、水中、危険な高所や閉所での労働、危険な機械を使用する労働、化学物質や高温、騒音にさらされる労働、長時間労働、夜間労働、不当に拘束される労働など)
出典:「1分でわかる 児童労働ミニ講座」(ACE)

 より詳しく知りたい方は、上記の「1分でわかる 児童労働ミニ講座」や、それを掲載しているACE(Action against Child Exploitation)のwebサイト、さらに詳しくはILOの児童労働のページなどをご覧下さい。

 今回のILOのレポートには、「この勢いを保つならば、児童労働は、最悪の形態のもののほとんどが、10年間で撤廃できよう」とあり、非常に歓迎すべきことです。

 しかし、世界的に児童労働が減少している中、経済活動に従事している子どもの割合が世界で一番高いサハラ以南アフリカ地域では、いまだ子ども人口の26%、約5,000万人が働いているといいます。そして、この地域では、高い人口成長率、厳しい貧困、そしてHIV/エイズの流行などの要因がからみあい、なかなか進展しないのだそうです。

 そして、今回初めて児童労働が減少したとはいえ、世界中で大人同様に働いている子どもは今だ2億1800万人、世界の子どもの7人に1人が児童労働を強いられているのです。

 さて、それではこの児童労働はどうやったら減らせるのでしょうか? 私たちとは関係のない途上国での出来事で、私たちの力では児童労働をなくすことはできないのでしょうか?

 いいえ、そんなことはありません。私たちが毎日食べている食品(チョコレート、コーヒー、紅茶、砂糖、タバコ、パームオイルなど)や、着ている服、日本の子どもが楽しんでいるオモチャや花火も、もしかしたら児童労働によって安く供給されたものかもしれません。

 企業の調達網が世界中に張り巡らされている今、私たちが手にした商品も、児童労働と無関係とは言い切れないのです。それを防ぐためには、商品を最終的に製造あるいは販売している企業が、その商品、部品、原材料が、どこでどうやって作られたものであるかを、最上流まできちんと遡って調べる必要があります。これがCSRでサプライチェーンマネージメント(SCM)が課題になる理由の一つです。しかし、残念ながら日本の企業で海外までしっかりとSCMを行っている企業はごく少数です。

 国連のアナン事務総長が呼びかけて、企業が責任ある企業市民として世界が抱える問題に取り組んでいこうという制度として「国連グローバルコンパクト」があります。全部で10の原則からなりますが、原則5は「児童労働を実効的に廃止する」です。

 児童労働を撲滅するためには、国際企業が大きな力を持ち得ますし、企業にそのような努力をするように働きかけることができるのは、消費者です。実際、来年のバレンタインには児童労働によらないチョコレートをと活動している知人もいます。応援してくださいね↓
 ■チョコ・レボ(チョコレート革命)
 http://www.cafeblo.com/choco_revo/

 来年の子どもの日にはさらに良いニュースが聞けるように、私たち一人ひとりがこの問題に注目し続け、働きかけましょう。

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2006年04月23日

先進国のエゴ?

 熱帯林を伐採したり、プランテーションを開発するのは、環境負荷が大きいので止めましょう。こう主張したときに必ず出て来る反論は、「それは現地の人の生活を考えない先進国の人間のエゴだ」というものです。

 しかし、僕は、その反論を現地の一般の人からはほとんど聞いたことがありません。自分たちの住む森がなくなって困る、様々な問題が生じて困っているという人には何人もお会いしたことがあるのですが... もちろん、各国の政府や企業でこうした開発を進めようとしている立場の人は、「いや環境は大丈夫だから、ちゃんと配慮するから、買ってくれ」と言います。ただこのときも、買ってくれないと、地元の人が生活できなくなって困るからではなくて、自国の産業や、自社の商売が発展しなくて困るからというのが理由です。

 もちろん国や地域によって状況は異なるので、一概には言えませんが、僕が実際にマレーシアで見てきたのは、例えばこうです。

 ボルネオ島は100年前は完全に緑の熱帯雨林で覆われていました。そこにイギリスや日本が入り、木材の伐採を始めました。戦後はマレーシアの企業が伐採し、それを日本など先進国が盛んに買い付けました。しかし、ここでいう企業はほとんどすべて、華僑系。つまり、もともとこの地域に住んでいた人ではありません。マレー半島など、他の地域から、森を伐採するために入ってきた企業です。彼らは自分たちの土地で木を伐り出すのではなく、政府から伐採権を買い受け、木を伐って売るということを生業ではなくビジネスとして行っているのです。もちろん労働者として雇われた地元民にも多少のお金は落ちますが、利益のほとんどは、外からやってきた企業が吸い上げます

 そもそも、地元民は森が伐られて、森の中で伝統的な生活ができなくなったために、森林伐採の賃仕事をしなければならなくなったという側面も見逃せません。しかも、その賃仕事も、一時的です。その地域の木をすべて伐り出した後、企業は別の場所に移動すればいいのですが、地元の人たちには、すっかり変わり果てた土地が残されるだけです。持続可能な仕事や暮らしではないのです。

 こうした現場を見ていると、「地元経済は森林伐採に依存しているのだから、森林伐採をやめろと言うのは先進国のエゴだ」とはとても思えないのです。もちろん森林伐採で儲けている人はいますが、それは本当の地元民ではないのです。

 農業もそうです。本当に自立した農民がいて、公平な価格決定のメカニズムがあるのであれば、農民も農産品の輸出で経済的なメリットを享受していると言えるでしょう。しかし残念ながら、現実は違います。

 実際、ゴムの自作農園とオイルパームの商業的プランテーションの違いはそこにあります。ゴムのときには、農民は自分でゴムの木を植え、取れたラテックス(樹液)を良い値段を示す仲買人を選んで売ることができました。オイルパームの場合には、初期投資が嵩むため、そもそも個人で始めることが困難です。多額の借金を背負ってオイルパームの生産を始めても、取れた実は、その地域に一つしかない搾油工場に、工場の言い値で買い取ってもらうしかありません。

 すべてのプランテーションや一次産品の生産現場が、地元の人を搾取していると言うつもりはありません。具体的な数値は持ち合わせないものの、僕がこれまで見てきた場所について言えば、かなりのところで儲けているのは企業だけ。先住民族や、その地域に本当に長く暮らしている人は、十分な恩恵を受けているようには思えないのです。しかもこの企業も地元の方がやっている企業ならまだいいのですが、外国企業や、同じ国の中でも、別の大都市に本拠地を構える全国的な大企業が多いのです。つまり、そこで得た利益は、すべて他の国や、他の地域に吸い上げられるということです。

 もちろん、一次産品の輸出が、途上国の経済を発展させる可能性があることは確かです。しかも、単に一部の企業や利権を持つ金持ちを潤すだけではなく、地元の人々の生活を向上させる力を持っています。実際、その素晴らしい例をタイで見たことがあります。この話は、また別の機会にご紹介したいと思います。

 しかし、そうしたことが達成できるのは、地元の利益を考えるという理念があり、そのことに配慮しながら進めた場合だけです。通常は、企業は地元からなるべく安く買って、外国には高く売ろうとします。海外のマーケットでの価格が下がれば、まずは地元から買う値段を下げるのです。そこに地元の人たちを配慮する仕組みはありません。

 だからこそ、CSRなのです。一次産品を輸入したり、加工する企業に対して、原料まで遡って環境と社会へ配慮することを求めるCSR調達の動きが、地元の人たちを配慮させるのです。これまでの経済メカニズムでは、配慮されなかった、むしろ様々なしわ寄せが集中していた地元の地域や人々に対して、配慮の視線をもたらす新しいメカニズムが、CSR調達、つまりCSRの一環として企業に原料調達の配慮を求めることなのです。

 以上の話をまとめましょう。

 単に海外から一次産品を購入するだけでは、地元の人の生活レベルを上げたり、安定させることには必ずしも結びつきません。ですから、地元の人たちの生活レベルを向上するために新たに開発をしようという意見には、十分に注意する必要があります。

 もしどうしても開発が必要なのであれば、あるいは既に開発が行われているのであれば、本当に地元の人たちの生活レベルが安定して向上するように、十分な配慮を払う必要があります。それを可能にするメカニズムが、CSR調達です。

 現場に十分な配慮がなされていない調達については、むしろ私たちはNoと言うべきだと考えます。より良い管理がなされるようにならなければ、私たちの消費が、現地の経済や生活を向上させることにはならないのです。


 途上国の森林伐採やプランテーション開発を問題にするがエゴなのではなく、途上国の現状を考えず、「安い」という理由で消費続けることこそ、先進国の人間や企業のエゴなのではないでしょうか。


今日もすご〜く長い記事読んでくださって、ありがとうございました。最後まで読んでくださったことに、深く感謝します。
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posted by あだなお。 at 23:59| 東京 🌁| Comment(3) | TrackBack(3) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月15日

パンダショップ

 と言っても、パンダを売っているわけではありません(^^;) パンダのマークでお馴染の、WWFジャパンが運営する通販のお店です。

 「お買い物しながら自然保護」というだけであって、扱っている商品もなかなかユニークです。例えば、今ホームページ(http://www.wwf.or.jp/pshop/)にアクセスすると、紹介されているのはグリーン電力証書付のTシャツ。一見、普通のTシャツのようですが...

このTシャツの価格には250kWh分のグリーン電力の「証書」代金(=250kWh分のエコ価値)が含まれています。Tシャツと一緒に250kWh分の「エコ価値」を購入したあなたは、自然エネルギー発電事業者にグリーン発電を間接的に発注したことになります。
WWFTshirts.jpg

 あるいは、このページでは、川辺川の鮎の甘露煮が。添加物、保存料など一切使用しない創業100余年の老舗の味であるだけではありません。川辺川のダム建設に反対し清流を守る運動である「尺鮎(しゃくあゆ)トラスト」に、甘露煮の売上から、1箱につき100円が寄付されるのです。

 他にも衣料、食料、アクセサリーなど、健康や環境、そして人権に配慮したサステナブルな商品が売られています。メッセージ性たっぷりの楽しい雑貨や文房具もあってついついいろいろ買いたくなるのですが、不必要なものまで買ってしまっては意味がないので、我慢我慢(笑)

 買い物をすることは、お金の流れを作ること。ある商品やサービスに対してお金を払うことは、その商品やサービスの品質、スペックについて納得するからだけでなく、それを作っている会社や、製造過程も支持しているという意思表明です。もちろんすべての商品について原料や製造過程や細かくチェックするのは不可能です。だからこそ、予めそういう視点で商品を選んであるお店で買い物をすれば安心で、便利ですね。

 通販だと、宅配のための物流の環境負荷がちょっと気になるところですが、なるべくまとめ買いをすればある程度回避はできそうです。

 どうせ買い物をするのであれば、品質や内容に安心できるお店で。そして、フェアトレードを通じて支援を必要としている地域を応援をしたり、あるいはパンダショップの母体であるWWFジャパンの活動も支援したり、そういうことができれば、一挙両得ではありませんか? あなたの買い物が持続可能な社会の構築に役立つのです。

今日も読んでくださって、ありがとうございました。
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posted by あだなお。 at 11:03| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(2) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月14日

大きいことはいいことか

 今週発売中のFortune誌には、2006年のFortune 500、すなわちアメリカのもっとも大きな会社500社のリストが載っています。利益や資産などの項目も調べられていますが、基本的には収入(revenue)の大きな順に並べたものです。以下そのTop10です。

Rank Company Revenues ($ millions) Profits ($ millions)
1 Exxon Mobil     339,938.00  36,130.00
2 Wal-Mart Stores    315,654.00  11,231.00
3 General Motors    192,604.00  -10,600.00
4 Chevron       189,481.00  14,099.00
5 Ford Motor      177,210.00 2,024.00
6 ConocoPhillips    166,683.00  13,529.00
7 General Electric   157,153.00  16,353.00
8 Citigroup      131,045.00  24,589.00
9 American International Group 108,905.00  10,477.00
10 Intl. Business Machines 91,134.00  7,934.00
出典:http://money.cnn.com/magazines/fortune/fortune500/

Fortune500.jpg


 多くが世界的に活躍している国際企業です。そして驚くべきことには、トップの石油会社のエクソンの売上は、3399億ドル、つまり40兆円!です。石油価格が上がったおかげで、一年間に25%以上の延びです。そして、この金額は日本の国家予算の約半分台湾やトルコのGDPと肩を並べるほどなのです。ホッブスは国家を巨大な怪獣、リヴァイアサンに喩えましたが、今やその名前は企業にこそ相応しいかもしれません。

 自分の会社がFortune(富、あるいは運)トップ500に入るか、順番は何位になるのか。アメリカの企業経営者は、その順位に一喜一憂だそうです。

 しかし、売上が大きいことは本当に意味のあることなのか、いいことなのでしょうか? むしろこうした大きさで序列づけすること自体が、経済の拡大路線を加速する、つまりは環境負荷をも高める、悪の根源なのではないか?
 
 そう考えたのは、当時三菱電機アメリカの社長を務めていた木内孝さんです。木内さんは企業人でありながら、環境NGOなどのステークホルダーに呼びかけ、未来に対する意志のある企業が参加する企業のネットワーク、Future 500を1995年に結成したのです。Fortuneの大きさではなく、Future(未来)への意志の強さを問うたのです。現在はアメリカでは400以上、日本で焼く300の団体が加盟しています。

future500.gif


 しかし、相変わらず、Fortune 500は世間の耳目を集めています。僕はむしろFortune 500を別の目的に使いたいと思います。すなわち、このリストに入っている企業は、大きいが故に、社会に対して影響力があり、より大きな責任を持っている企業なのだと。

 もう2ヶ月ほどすると、今年のFortune Global 500、すなわち世界の大企業のトップ500が発表になります。もちろん日本企業も多く名を連ねることでしょう。このリストもまた、社会に対する責任の大きさの指標として、注目したいと思います。

今日も読んでくださって、ありがとうございました。
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2006年04月06日

マクドナルドを経営しよう

 グローバリゼーションの象徴としてしばしば槍玉に上がるマクドナルドですが、ハンバーガーを世界規模の食品ビジネスにしただけあって、その業務内容は複雑です。屋台のように、ただパティを焼いて、パンにはさんで売ればいいというわけにはいきません。

Mcdonald.jpg

 そんなマクドナルドの複雑なビジネスを、あなたも経営してみませんか? 興味をお持ちになった方は、以下のURLで試してみてください。

http://www.mcvideogame.com/index.html

 残念ながら、英語、スペイン語、イタリア語版だけで日本語は用意されていないのですが、一番得意な言語で挑戦してみてください。

 牛を飼育するために熱帯林を切り拓けば環境NGOから突き上げられますし、変なエサやホルモン剤を使えば牛はBSEになってしまったり... お店の売り上げを増やすためには、広告戦略や企業PRももちろん重要です。おっと、忘れてはいけないのは株主のこと。業績が悪ければ、クビになります。

 というわけで、同時にいろいろなことに注意を払わなければいけないので、なかなか大変です。ちょっと試してみるぐらいではなかなかうまくいきません(^^;)

 開発者曰く、これは「あくまで想像の産物」なのだそうですが、いや、なかなかどうして、かなりリアルにマクドナルドに伴う問題がうまく盛り込まれています。そうそう、ゲームのキャッチフレーズはもちろん、"I'm playin' it"です(笑)

今日も読んでくださって、ありがとうございました。
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posted by あだなお。 at 23:04| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(2) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月10日

タイの一村一品運動

 しばらく前に一村一品運動というのが流行った(?)ことがありましたが、タイにもあります。というか、大分県のものを参考にしたのだそうです。

 タイで最初の行政単位は Tambon(タンボン)というので、One Tmabon One Product、略してOTOPと呼んでいます。タイの人は、オートップと発音していました。日本の一村一品よりは普及しているようで、よく注意して見ると、空港のお土産屋さんをはじめ、様々な場所でOTOPの文字を見ることができます。

OTOPshop.jpg
 空港のOTOPコーナー

 2001年からタクシン首相の肝いりで、タイ政府が始めたものです。その目的は単に収入源や雇用を創出するというだけではありません。OTOP製品を扱うオートップダイレクト社のWebサイトによれば、事業運営の目的は以下のとおりだそうです。

1) 地域の雇用及び収入を創出する。
2) 地域を強化させることにより、自ら考え、自らの力で地方開発を行えるようにする。
3) 地方独自の知恵を振興する。
4) 人材開発を促進する。 

 つまり、地域開発(community development)の一環なのですね。特に重要なのは、2番目の自分たちで行動する力を作る部分と、4番目の人材開発だと思います。

 サスラボでも何度も取り上げているPDAのメチャイ氏は、OTOPは、One Tambon One Problem(どの村にも一つ問題がある)の略だとおっしゃっているそうですが(^^;)、地域開発はPDAの重要な活動テーマなので、OTOPプロジェクトに沿った支援もしています。

 PDAの経営するレストランキャベツ&コンドームでは、タイ東北部で細々と作られている赤米(Red Jasmine Rice)を出しています。赤米は通常の流通ルートには乗らないのですが、伝統的な作物なので、これを絶やさないように、またこれを作る農家が現金収入を得られるようにという配慮です。

 ここで食事をしたときに最初にまずオツマミがわりに出されたのが写真のチップス。カリッとしていてなかなかおいしいのですが、初めて食べるスナックです。何なのかと思って聞いてみたら、なんと赤米が原料なのだそうで、Red Jazz Crispeiesという名前が付けられていました。

chips.jpg

 おいしかったのでお土産にしようと思ったら、写真の小袋に入ったパッケージのものを分けてくれました。驚いたことに、このチップスもOTOPなんですね。袋の右上にOTOPと書いてあるのがわかりますか?

 そして左上にはCabbage & Condomsと書いてあるところを見ると、どうもこのレストランのオリジナル商品のようです。さらに袋の後ろを見ると、「赤米はタイ東北部の小農がPDAの支援で作っています。この製品の利益は、そうした農家の生活の質を向上させるために使われます。」とあります。製造会社は、Rural Small Scale Industry Co., Ltd.(田園小規模産業株式会社)になっていましたが、住所はPDAと同じでした。

 このように、東北部の農民を支援するために、彼らが作ったお米に付加価値のつく製品を開発し(チップスの方がただのお米より高く売れますからね)、さらにそれを販売する独自ルートまで開拓してしまったのですね。しかもそれを寄付などに頼る慈善事業としてするのではなく、ビジネスとして成立させているのです。それが、本当の意味で継続的な支援を可能にするということです。

 ちなみにこのチップス、25g入りの小袋が10バーツでした。タイの物価を考えると、ちょっと高めです。通常のルートにどのぐらい流れているのかはわかりませんが、もしタイで見つけたら、是非試してみてください。お煎餅のように香ばしくて、日本人の味覚に合いますよ〜

<参考リンク>
■OTOPとは(GIPU)
http://www.gipu.net/jp/otop/index.html

■タイ国の一村一品運動(タイ国政府貿易センター)
http://www.thaitrade.com/japan/brief/mission/000002.html

■オートップダイレクト社
http://www.otopdirect.com/


今日も読んでいただき、ありがとうございました。
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posted by あだなお。 at 21:06| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(1) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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