出典:「クラスター爆弾」(Wikipedia)
さらに以下のような不発弾問題もあり、民間人が被害を受けやすく非人道的であるとして、今年2月23日に、「2008年までに使用・製造・移動・備蓄の禁止と同型爆弾の廃棄や使用された爆弾の撤去や被害者のケアを目指す「オスロ宣言」が採択され」ています。しかし残念ながら、これまでのところ日本はオスロ宣言を採択していません。
爆発に指向性を持たせたものは、弾頭部が「下」を向くようパラシュートやリボンなどの機能がつくが、これが対地落下速度を多少弱めるため、落下場所によっては信管に十分な衝撃が加わらなかったり、あるいはこれが木や建物に引っ掛かったりといった副次的な問題もうむ。ことクラスター爆弾では、大量の小弾を散布する性質上で、例え低い割合の不爆率だったとしても総数が多いことから不発弾の数も相対的に増大する。また種類や小弾の性質・運用状況にもよるが、過去の運用実績上の不発率は約5~40%である。そしてその各々が、不発弾として「いつ爆発するか予測できない」という問題を含んでいる。出典:「クラスター爆弾」(Wikipedia)
《参考リンク》
■クラスター爆弾(多夢・太夢)
■日本にクラスター爆弾は必要か
それでは誰がそんなクラスター爆弾を作っているのでしょうか? ロッキード・マーチン(米)、テクストロン(米)、タレス(仏)などが製造会社なのですが、これら米欧の計6社へのお金の流れをベルギーのNGOネットワーク・フランデレンが、国際人権NGOのヒューマンライツ・ウオッチと協力して調べたところ、こらら6社に対して、2004年から今年までにアメリカを中心に英、独、仏、カナダ、日本、オランダ、サウジアラビア、スイス、豪州、ベルギーなどの計68金融機関が、なんらかの形で投・融資していました。
日本の銀行としては、三菱東京UFJ、三井住友、みずほのメガバンク三行がいずれもかなりの金額を融資しているのだそうです。ということは、です。もしこれら三行のいずれかに預金をしているとしたら、その一部はクラスター爆弾を作っている企業へと投・融資されていたということです。おそらく、かなりの割合の日本人のお金が、ごくごく一部とは言え、この爆弾を作っている会社に流れていたのです。
出典:「STOPクラスター:13カ国金融機関、製造企業に140億ドル投融資」(毎日新聞、2007年3月1日)
クラスター爆弾製造業5社への日本の銀行からの融資額は出典:てんつくマン メールマガジン2007年5月28日号
次のようになっている。(金額はすべてUSドル)
1)ロッキードマーチン(米大手軍需会社):
みずほ銀行含む5行から15億(各銀行からの個別の融資額は
不明)
2)レイセオン(米防衛機器メーカー):
旧東京三菱銀行から1億、みずほ銀行から7,000万、
三井住友銀行から5,000万、旧UFJ銀行から2,500万
3)テクストロン(米航空宇宙、エレクトロニクスメーカー)
:
三菱東京UFJ銀行から6,000万
4)タレス(仏。子会社がクラスター爆弾製造会社TDA):
三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行を含む28行から20億
(各銀行からの個別の融資額は不明)
5)EADS(蘭。2005年までTDAに出資):
三菱東京UFJ銀行から8500万、みずほ銀行から8500万、
三井住友銀行から4500万。
これに対して、日本の銀行はこう話しているそうです。
日本の銀行のうちの1行は「この企業がクラスター爆弾を製造していることは後になって知った。ひと口に軍需産業に対する融資といっても、例えばコンピューターも軍需品として使われることもあり、線引きが非常に難しい」と話している。また、別の邦銀は「ミサイル製造など明らかに反社会的なものや主目的が軍需となれば融資はしない。企業体の一部でクラスター爆弾を製造している場合、融資の判断基準は難しくなる」と話した。
出典:「STOPクラスター:13カ国金融機関、製造企業に140億ドル投融資」(毎日新聞、2007年3月1日)
たしかに巨大企業グループの中で作っているごく一部の部材が兵器に使われているという場合などは一律に投融資をしないというわけにもいかないかもしれませんが、兵器そのものを作っている企業に対しては、もう少し敏感になってもいいのではないでしょうか。なにせ60〜120億円という大金を融資しているのです。
ちなみに「軍需企業一覧」(Access to Local City)というページを見ると、日本でもかなりの企業が兵器製造に関わっていることがわかり、溜息が出てきます。
前述の毎日新聞の記事によれば、ネットワーク・フランデレンの研究員は「欧州の金融機関の中には、クラスター爆弾の製造企業への融資を中止した銀行もある。(投融資を行う)金融機関は、社内の融資規定を見直すべきだ」と主張しているとのこと。もっともです。それでこそ、責任ある投融資でしょう。
日本はオスロ宣言に加盟していないだけでも恥ずかしいのですが、これ以上クラスター爆弾による悲劇を広げないようにするためには、もっとお金の流れに関心を持つことが必要なのかもしれません。
※レポート本体お読みになりたい方は、以下からどうぞ。
■"Explosive Investments"(Netwerk Vlaanderen)
長文をお読みいただき、ありがとうございました。
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