2006年02月22日

変わる中国、変わらぬ中国

 昨日は香港から深センまで出かけて来ました。九龍から列車に乗ってしまえば国境までは40分ほどなので、簡単に行けると思っていたのですが... 当たり前ですけれど香港側と中国側の両方のイミグレーションを通過しなくてはいけませんし、香港の中での移動もあります。香港島のホテルからは結局片道2時間ぐらい、やはりそれなりの時間はかかりました。(おまけに昨日はパスポートをホテルに忘れて(^^;)途中で戻ったので、さらに小一時間余計にかかってしまいましたし...)

 深センでは昨年、地下鉄が開通しました。言葉の通じないタクシーより地下鉄の方が確実だということなので、訪問先の最寄り駅まで地下鉄に乗ってみました。真新しい地下鉄は、駅も車両も近代的で、社内にはLED表示のわかりやすい路線図があって、これだったら外国人でも迷いません。日本の地下鉄よりずっとわかりやすいかもしれません(笑)

 そして目的地の駅で降りると、目の前には何本も真新しい高層ビルが並んでいます。ハーフミラーで覆われたピカピカのビルを見てると、これが中国とはとても信じられません(もちろん、中国だって今や上海や北京は新しい高層ビルでいっぱいですが...)。香港とさして変わらぬ光景です。
 
 しかし、一歩街中を歩き出すと、平日の昼間からたくさん人がいます。その人たちの格好も、正直言って今一つ、いや二つか、三つぐらい(^^;)垢抜けません。食べ物屋さんの前には、赤い布に大きな黄色の文字を書いた横断幕。うーん、やっぱり中国です(^^;)

ShenzenApt.jpg
 そして、駅からほんの数分歩くと、こんなアパートが。これは深センの工業団地で働く人たちの寮なのですが、一部屋に9人!もの人たちが一緒に暮らしているのだそうです。こうした出稼ぎ労働者によって、中国の経済成長は支えられています。

 急速な経済成長を誇示するかのような華やかな光景と、その影に残る、以前とさして変わらぬ光景。その二つのギャップが、今の中国を象徴しているように思えました。

今日も読んでくださって、ありがとうございました。
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posted by あだなお。 at 20:27| 東京 ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月07日

墜ちたLOHAS

 健康と持続可能性に配慮したライフスタイルLOHAS。エコライフに見られるストイックさ、妙に真面目なところもなく、オシャレな雰囲気を醸し出して、徐々に浸透してきたようです。お蔭で「ローハス度チェック」も大人気でした。

 が、ここに来てちょっとキナ臭い話が... ロハスに関する日本での商標の大半はトド・プレス(「ソトコト」の出版元である木楽舎のグループ会社)が持っているらしいのですが、これを三井物産がブランドとして一括管理し、衣料品、食料品などで幅広く展開していくというのです。
 ■三井物産、「ロハス」のブランド管理
 http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20051211AT1D1000O10122005.html

 もともとLOHASはアメリカのマーケティングで発見され、作られた言葉ですし、商標が登録されているのも聞いていましたが、正直言ってここまでやるのかと思いました。「ソトコト」も妙にロハスに力を入れているなと思ったら、そういうことだったんですね...

 もちろん、LOHASが商売になるほどトレンドとして定着するのであれば、それは喜ぶべきことかもしれません。しかし、こうやって大企業が囲い込んで自分たちの商売にだけ使うというのはまたちょっと話が違う気がしますし、またロハスという言葉だけ流行って、その精神が失われていきそうです。ましてや、ロハスという言葉を看板にして、大量にモノを売りつけるのだとしたら... それの、いったいどこがLOHASなんでしょう?

 ちなみに件のトド・プレスは、「スローライフ」も商標登録しているんだそうです! こんな普通の言葉がよく登録できたなという気もするのですが...
 ■【特集:LOHAS】LOHASと商標
 http://yoga.blog.ocn.ne.jp/nayoga_blog/2005/03/lohaslohas_1.html

 こうした動きに対して、ネット上では既にかなり反発も出ているようです。
 ■ロハスは死んだ
 http://nikigle.com/nikki/archives/2005/12/news_2.html
 ■わたしはロハスが嫌いです
 http://blog.livedoor.jp/anti_lohas/
 ■LOHASの登録商標からライセンス収入を目論むのは「のまネコ」の二の舞?
 http://www.planbiz.info/blog/archives/20050928_172840.php

 清貧なエコではなく、楽しさ、快適さをプラスしたところは本当に良い着眼点だったLOHASですが、少なくとも日本では馬脚を現してしまった今後、どうなるんでしょうか... それでも日本の消費者はついていくんでしょうか? 皆さんはどう思いますか?

 そんなにロハスという看板で金もうけをしたいんなら、どうぞご自由にというところですが、ロハスと言いながらサステビリティを脅かすようなことは絶対にして欲しくないですね。それはきちんとウォッチしていこうと思います。

※上記の文中では、本来のライフスタイルの意味ではLOHAS、商標はロハスと表記して区別しました。(但し、サイト名は原文どおりとしてあります)

<参考リンク>
 ■LOHASは「サブマリン商標」の成功事例か
 http://shinta.tea-nifty.com/nikki/2005/12/lohas_4a41.html
 ■正しいLOHAS、怪しいLOHAS
 http://www.ufpress.jp/blog/business-watch/archives/000195.html
 ■ロハスの誤解とエコプレミアム
 http://www.yasuienv.net/LOHASvsEP.htm
 ■ロハス
 http://ja.wikipedia.org/wiki/LOHAS


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2005年12月22日

WTOって何なのさ?

 なぜか日本ではあまり報道されないWTO(世界貿易機構)。でも、今の世界経済、いや社会のあり方を考える上で、とてつもなく影響力がある、重要な機関です。

 日本でテレビのニュースになるときには、たいてい激しい反対デモの様子が映し出されます。公正な自由貿易を推進する国際的な機関なのだとしたら、なぜこんなに激しい反対が起きるのでしょうか? 今年もずいぶん逮捕者が出ましたし、かつては死者や抗議の自殺者まで出たこともあります。一体WTOって何なのでしょうか?

 KOKOさんのブログでは、先週行われた香港でのWTO閣僚会議を受けて、その問題点がわかりやすく紹介されています。
 ■貧困なくしたけりゃ、貿易ルールを変えよう!
 http://www.junkoniwa.net/mt/archives/economy/000315.html

 そこでも説明されているように、多くの人がWTOに反対する理由の一つは、WTOが先進国に都合が良く、途上国に不利であるとされるからです。一部の先進国、特に多国籍企業が自分たちに有利なようにルールを決め、そのことで途上国がますます貧しくなっているというのがNGOなどの主張です。
■WTO香港閣僚会議 ー世界でもっとも貧しい農家の人たちに不利な「世界の貿易ルール」を変える大きなチャンス(オックスファム)
http://www.oxfam.jp/hottokenai/WTO/
■WTO氷結キャンペーン(A SEED JAPAN)
http://www.aseed.org/trade/wto.htm

 しかし、WTOの影響(被害)を受けるのは、なにも途上国に限った話ではありません。日本の農業も危ないし、環境保全も後退するかもしれないのです。WTOはけっしてすべての先進国に有利なわけでもなければ、ある先進国内のすべての立場の人々に有利なわけでもありません。むしろ、そこにはきわめて複雑な利害関係が渦巻いています。

 例えば、もっともよく問題にされるのは、国内産業の保護が困難になる点です。まだ十分に競争力があるとは言えない途上国が、適切な国内産業の保護すら許されなければ、永遠に経済力をつけることはできないかもしれません。あるいは日本の農業のように、価格競争力がなくて保護が必要な産業も同様です。国内産業の保護のために関税をかけることは、WTOのルール違反になる可能性大です。

 環境保全も同様です。環境への配慮を理由にある物品を区別することや(ラベルを貼ることも含まれます)、関税をかえることもWTO違反として退けられることすらあります。例えば熱帯林を保護するために、熱帯産の木材の関税を高くすると、それはおそらくWTO違反になるでしょう。

 なぜこんなおかしなことが起きるのでしょうか? それは、一国が決めた国内法の運用すら、WTOはルール違反の名の元に却下することができるからです。これって、それぞれの国が築き上げた法律、社会制度、文化に「国際ルール」で制限をつけていることですよね? もっと強い表現を言えば、各国や地域の自治を脅かしているように思えます。

 各国の国内法や政策まで規制するなんて、ものすごい権力機構です。WTOって、本当にそんなすごい権限をもつ国際機関なんでしょうか? 一体誰が、いつそんな権限を認めたのでしょうか? また、WTOのルールはいつ、誰が、どのように作ったのでしょうか? 密室の中で、どんどん不可思議な、そして一国と行政や政治も逆らえないようなルールが強化されていきます。これって、どう考えてもおかしくないですか?

 と、WTOはナゾだらけです。影響力が大きいことはわかるのですが、いったいなぜこんなことになってしまったのでしょうか。誰が影で糸を操っているのでしょうか。どなたか、わかりやすく説明していただけませんか? 仕組みも、利害関係も、あまりに複雑すぎて、僕もよくわかりません(^^;)

 しかし少なくとも一つハッキリしていることは、今の不公平なWTO体制の元では、とても公平な社会や、持続可能な社会は実現できそうにないということです。ですから今一番知りたいことは、どうやったらこのWTO体制を突破することができるかです。これもどなたか、教えていただけませんか?

<関連リンク>
 ■WTO公式ページ(英語)
 http://www.wto.org/
 ■↑これを個人の方が日本語に訳したページ
 http://organization.at.infoseek.co.jp/aboutwto/index.htm

 ■貿易と環境をめぐる対立−WTOでなぜ環境が争点になるのか(古沢広祐さん)
 http://kuin.jp/fur/kei-5.html


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2005年12月15日

同じ仕事でも...

 先日紹介した「ビッグイシュー」39号の記事にかなり気になる記事が載っていました。その名も「”非正規雇用”残酷物語」です。その中に出て来るいくつかの数字を見るだけで、非正規雇用者という苦しい立場の様子が如実に浮かび上がってきます。例えば、こんな数字はご存じでしたか?

・男性の83.%は正規雇用者ですが、女性雇用者の53.0%は非正規雇用者。
・女性雇用者のうち、年収150万円未満が45.4%。300万円未満を含めると75.8%。一方、男性雇用者のうち、年収150万円以下は9.0%で、500万円以上が38.7%を・めています。
・正規雇用の男性の一時間あたりの賃金を100とすれば、正規雇用の女性は67、パートの男性は41、パートの女性は37
・自給1000円の非正規雇用者が300万円の年収を得るためには、年間3000時間の労働が必要です。つまり、そのためには365日、毎日8時間以上働く必要があります(3000÷365=8.2)。

 もちろんこの数字の裏には、主婦はご主人の扶養家族でいられる範囲内でしかパートをしようとしないことや、男性と女性の雇用者での年齢層の違いなど、いくつかの事情もあります。しかし、全体としてみれば、非正規雇用者は圧倒的に収入が少なく、また多くの女性がその立場にある現状が伝わってきます。例えば、最近では事務補佐をする女性社員はほとんど派遣社員という会社も増えているように聞きます。

 さらに非正規雇用者は、単に賃金が安いだけでなく、雇用の不安定さ、立場の弱さ(それにつけこむ各種ハラスメント)、職業上の訓練の機会の少なさ、昇進の機会の少なさなど、数字には現れない問題が多くあります。一方、非正規雇用者はより自由であるというメリットがありそうですが、現状ではこれだけではデメリットと対抗できるものではなさそうです。

 そして、業績不振や競争激化のあおりで、男性でも非正規雇用者になる例が増えていると言います。39号の一つ前の記事は「いま、若い夫婦を経済危機が襲う」というものなのですが、年収が半分になり、しかも小さな子供を抱えているという、HIKS(Half Income with KidS、年収が半分になった子持ち夫婦)が20代,30代に増えているというのです。豊かな老後を謳歌する高齢者層とは対照的です。ここにも、非正規雇用者という立場の悲哀が見られます。

 CSR的にはどうかなとも思いますが、残念ながら非正規雇用者が増加する傾向には歯止めはかかりそうにありません。だとすれば、たとえ非正規雇用者であったとしても、安心して生活できる。正規雇用か非正規雇用かは、働くことに対する価値感の違いとして、むしろ積極的に選択できる。そうした社会環境を整えることが、急務なのではないでしょうか。

 ほとんど同じ仕事をしているのに、正規雇用と非正規雇用では待遇に雲泥の差。そんな社会には絶対になりませんように。

<関連リンク>
 ■男女雇用機会均等法:見直し(持続可能な社会と金融CSR)
 http://csrfinance.cocolog-nifty.com/mirai/2005/12/post_3f0b.html


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2005年11月21日

これぜ〜んぶ、タダなんです

 先週は買い物やお金の使い方について、いくつか書きました。私たちがどのようにお金を使うかによって、社会や環境が変化すること。モノに「正しい」値段がつけられていれば、もっと環境や社会に対する配慮が進むこと。あるいは、お金を出して買わなくても手に入る幸せのこと。お金をめぐっては、いろいろなことが考えられますね。

 今日ちょっと紹介したいのは、それでは私たちは日ごろどの程度、きちんとモノの代金を払っているかです。え、もちろんちゃんと代金は払っています、誤魔化したりなんかしてませんって? もちろんそうだとは思うのですが、それはあくまで人間がつけた値札に対してですよね。

 人間がつけた価格は、そのモノやサービスを提供するために、直接的にかかったコストしか反映されていないことがほとんどです。場合によっては戦略的に、あるいはしかたなく、赤字覚悟で売っていることだってあります。しかし実際には、そうした直接的なコスト以外にも、多くのモノには、たんさくの隠れたコストや、あるいは価値が潜んでいるものです。

 たとえば、熱帯産の木で出来たベニヤ板が安いのは、その価格には伐採、製材、運搬などのコストしか含まれておらず、そのために熱帯で生じた環境面、社会面での影響、それを解決するためのコストは反映されていないからです。天然林から切りだした木材であれば、たとえその木が育つのに何百年かかっていようとも、そのためのコストはありません。人間がかかわっていなければ、コストは計算されないのです。(簡単のため、ここでは稀少価値のことは考えないことにします) これが、原料調達において環境や社会へ配慮するべき利用の一つです。

 それに加えて、自然がタダで私たちにくれるものもあります。例えば森は、木材という商品を産むだけではありません。二酸化炭素を吸収して、酸素を放出する。雨がそのまま川に流れ込まないように、蓄えたり、あるいはその場所でまた蒸散する。動物など、木以外の生物の住み処を提供する。水質を浄化する、地域の気候を安定化させる、美しい景観を提供させる、レクリエーションの場を提供する.... 数え上げれば切りがありません。

 もしこうした機能を、人間が人工的に作りだしたもので代替するとすれば、とてつもなくお金がかかるはずです。たとえば森林の機能のごく一部でしかない水源涵養(水を蓄える)機能を人造ダムで置き換えるためだけでも、大変な費用がかかります。

 ところが、自然が私たちの生活に提供してくれているこうした機能やサービスは、すべてタダ。私たちはそのために、一銭もお金を払ってはいないのです。つまり、私たちが普段支払っているモノの値段には、先に述べた間接的なコストだけでなく、自然がタダで提供してくれる機能・サービスの価値も含まれていないのです。

 それでは、自然はいったい私たちにどのぐらい、タダで機能やサービスを提供してくれているのでしょうか。アメリカはメリーランド大学のロバート・コスタンザ博士らが試算した結果が、1997年にネイチャーという論文誌に発表されています。コスタンザ博士らの試算によれば、森林は気候安定、木材供給、貯水、災害防止などで4.7兆ドル分のサービスを提供しているそうです。それ以外にも、川・湖沼は淡水供給、排水浄化などで6.5兆ドル、農地は昆虫受粉などで0.1兆ドル、そして海は食糧・酸素供給、二酸化炭素吸収などの機能でなんと21兆ドルのサービスをタダで私たちに提供してくれているのです!

 こうした生態系が提供してくれるサービスは、年間で33兆ドル分に達する計算です。もちろんこれは、この時点で把握できた生態系サービスに関してのみの数字であって、実際には私たちが気付かないもっと重要なサービスもあるかもしれません。つまり、この33兆ドルという金額は、明らかに過小評価です。

 33兆ドルとはあまりに巨大な金額で、ちょっと想像もできません。それではこの年の世界のGDPの合計額はいくらだったと思いますか? 実はこの年の全世界のGDPは18兆ドルだったそうです。つまり、この年、世界中の人間が頑張って作りだした経済活動よりも、自然がタダで私たちに提供してくるているサービスは、倍近く大きかったのです。私たちの日々の暮らしは、こうした自然の寛大さ気前の良さによって支えられているのです。

 最後に、これに関連してちょっと宣伝です。今週の土曜日、26日に環境経営学会の主宰で「CSRと生態系ー国連ミレニアム生態系評価報告書を中心としてー」というシンポジウムがあります(13:30-16:30、中央大学後楽園校舎)。僕は「企業活動と生物多様性」というタイトルで話すことになっているのですが、今日書いたようなことも、ちょっとご紹介したいと思っています。ご興味のある方は、環境経営学会学会のwebサイトで詳細をご覧ください。http://www.smf.gr.jp/

 あ、今日の記事は宣伝の前フリだったわけじゃありませんよ(^^;) 僕も宣伝のためなんかではなく、気前よく話題を提供しますからね(笑)


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2005年11月19日

26日は無買日

 あなたは今日、何を買いました? それは、本当に、どうしても必要なものでしたか?

 昨日は、買い物は投票、私たちがどうお金を使うかで世の中が変えられる力があることを書きました。今日は逆に、買い物をしない、お金を使わないことについてです。

 というのも、私たちは毎日、あまりに不必要にモノを買っているかもしれないからです。本当に必要があるから買い物をするのではなく、広告や宣伝に躍らされ、買わないといけないような脅迫観念を持ってしまっているだけなのかもしれません。

 そこで、一日だけ何も買わないで、買い物よりももっと楽しいことを過ごしてみよう。そして、買い物について考え直してみようという呼びかけがあります。カナダのアーティストが1992年に始めたBUY NOTHING DAYがそれです。日本では1999年から毎年11月最終土曜日を「無買デー」と呼んで、同様の活動がされています。今年は今から一週間後の11月26日(土)がその日です。
MunakataBND2005.gif

 BUY NOTHING DAY JAPANのサイトに行くと、「無買デー」についての詳しい説明があるのですが、おもしろいなと思うのがトップの写真。よく見ると女性が掲げたカードには、"STOP BUYING, START LIVING"(買うことは止め、生きることを始めよう)とあります。

 さらにリンク先のbuy nothing christmas(何も買わないクリスマス)もおもしろくて、そのコンテンツにbuy nothing catalogue(何も買わないカタログ)があります。

 何も買わないのにカタログというのも変なのですが、気になる写真があったらクリックしてみてください。お金では買えない、だけれどとっても、とっても幸せな気分になれる物語を見つけられます。

 以前「退化にNoを!」という記事でも書きましたが、便利な世の中で暮らしていると、本当は自分で出来ることまで出来なくなってしまう(ような気になってしまう)、そんなことってありませんか? お金を使わなくても、モノを買わなくても、自分の手で、足で、アイディアで、何ができるかをもう一度試してみると、自分の能力を再発見できるかもしれませんね。

 お金を使わないことも、また別の「お金の使い方」なのです。


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2005年11月18日

買い物は投票だ

 一昨日は物価が下がることの裏に潜む罠とも言うべきことについて書きましたが、かようにモノを買うことには影響力があります。企業が環境経営やCSRを考えるもっとも大きな理由の一つは、究極的には消費者からのプレッシャーであると言っても過言ではないでしょう。

 もうすっかりお馴染になった『世界を変えるお金の使い方』の中には、「あなたがお金を使う瞬間、それはあなたが世界を動かしている瞬間でもあります」という一文があります。あなたの持っている100円は、パームオイルを原料とするアイスクリームを買うこともできますし(もしかしたら、それがオイルパームの畑を増やしているのかも!)、バングラディッシュのストリートチルドレン20人にコップ1杯の牛乳を飲ませることもできるのです。
  
 お金の使い方が世の中を変えるのは、何もこうした特別な場合だけではありません。実は、私たちが毎日何を買うのか、何に対してお金を払っているのか、そうした日々の買い物も世の中を変えていきます。なぜなら、ある企業の製品やサービスを買うということは、私たちはその製品やサービスの価値を認め、それに投票しているのと同じことだからです。私たちは自分で「これがいい」と選び、その選ん製品やサービスに対して、お金を払っているからです。

 それでは製品やサービスを選ぶ際には、その品質、デザイン、価格などだけで決めればいいのでしょうか? それとも、その製品が作られる過程で何がおきているのか、その製品を作るお蔭で環境が破壊されていないか、誰かの不幸を引き起こしてはいないか、そういうことも考えて日々の買い物をすれば、世の中は確実に変わるはずです。

 そう考えたアリス・テッパー・マーリーンさんは、"Shopping for a Better World"(より良い世界をつくるための買い物を)という小さな本を出しました。1988年のことでした。この本はアメリカ市民に圧倒的に受け入れられ、100万部以上売れるベストセラーとなりました。

 残念ながら日本にはまだこのような本はありませんし、また本家アメリカでも財政難のため数年前から発行が止まってしまいました。しかし、私たちが毎日の買い物で何を選ぶか。何を買って、何を買わないか。そのことが、企業を、そして世の中を動かしているという事実は変わりません。

 買い物をするときには、その品物がどこから来たのかどのような影響を与えているのか、そんなことを想像しながら商品を選んでみませんか。買い物は、投票なのですから。
 

参考リンク
アリス・テッパー・マーリーンさんについてもっと詳しく知りたい方は、以下のページから「あなたの買物がよりよい世界をつくる」 をご覧ください。
http://www.ipr-research.org/kurashi/index.htm


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2005年11月16日

物価が下がると嬉しいですか?

 今日はデフレの意味を、経済学的に議論しようというわけではありません。ここ数年、明らかに日本の物価は下がっていますが、それが本当に私たちにメリットをもたらしているかどうかについてです。

 郊外の大きなスーパーやディスカウントショップに行くと、なぜこれがこんな値段でと驚くようなものがたくさんあります。コンビニやデパートに比べると一桁違いそうなものさえあります。最近はアジアに出かけても、これだったら日本で買った方が安いと思うことだってあります。日本の物価がなんでも高いというのは、もはや神話なのかもしれません。

 同じ商品が、流通経路や販売時のコストを節約することで安くなっているのであれば、まだいいのでしょう。しかし、今の日本のデフレは明らかに、中国などで安く、大量に作られたモノがどんどん輸入されるようになったからです。消費者に1円でも安くモノを届けようと頑張った企業努力の賜物とも言えますが、その影では、日本で同じモノを作ったのでは食べていけなくなった人もいるでしょう。もちろん、この値段だからこそ、なんとかやっていけるという人も生まれています。

 それとはまた別の、安さの代償がアメリカで問題になっています。昨日15日の日経新聞には、ウォールマートの安売り戦略に対するアメリカでの議論が紹介されていました。

 ウォールマートは世界最大の小売チェーンで、セールではなく、Every Day Low Price(毎日低価格)戦略で有名です。その戦略に対して、労組は「従業員130万人の低賃金労働の犠牲のうえに成り立っている」と批判し、「ウォールマート・低価格の高い代償」というドキュメンタリー映画と連携して「反ウォールマート」キャンペーンを展開しているそうです。

 また、地方自治体も、独自の労組を持たないウォールマートは、「十分な医療費を払っていないため、従業員が公的な医療保険に殺到し、財政を圧迫する」と懸念しているそうです。

 これに対し、ウォールマートを擁護する調査会社は、ウォールマートは全米の物価引き下げ、消費者には節約と生活の向上をもたらしており、そもそも安売りの原動力は「低賃金や格安の輸入品ではなく、情報技術などへの集中的投資による生産性の工場にある」としています。

 大型スーパーが地元商店街を壊滅状態にしてしまうことは、日本各地でも問題視されています。地元商店街と、国内産業を空洞化させるだけでなく、そのお店で働く人々にも犠牲を強い、また地域財政にも悪影響を投げかけているとしたら... 

 個人的には、けして財布の中にお金が余ってしかたがないわけではないけれど、こんなに安くていいのかと疑問に思うことがしばしばあります。安く買えるものはどうしても粗末に扱ってしまうし、愛着がわきにくいこともあります。ましてやそれが、他人の不幸の上に成り立つ安さだとしたら... ただ安いということを、とても手放しでは喜べません。

 モノは安ければ安いほどいいのではなく、リーズナブルな値段がいいのではないでしょうか。それは、そのモノや、そのモノを作ってくれた人に対するリスペクトでもあると思います。そしてできれば、価格には環境や社会に与える負荷も反映してもらいたい。それができれば、消費者も今より簡単に責任ある買い物ができるはずです。そういう世界であれば、安いモノは、本当に問題が少ないはずなのですから。


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2005年08月11日

Terraは地球を救うか?

 先日紹介したBernard Lietaer氏のTerraという通貨について、もう少し説明しておこうと思います。
 金融のIT化、グローバル化が急速に進んだ結果、今や一年間に実際の国際取引の決済に必要な金額の100倍だか、1000倍だかが、毎日為替市場で取引されているそうです(記憶に頼っているので、数値が間違っていたらごめんなさい。でも為替取引が実態経済よりケタ違いに多いことは事実です)。その結果、さまざまなところに歪みが出たり、もしドル、ユーロ、円などの通貨が暴落すれば、あるいは極端なインフレが起これば、世界経済が突然クラッシュしかねないことが懸念されます。しかも現行の通貨は、経済の変動を安定下させる作用はなく、むしろ増幅させてしまうとうい特性を持っているのです。私たちはまさに薄氷の上を歩いているというわけです。
 こうした現行の通貨の欠点を補うために考え出されたのがTerraです。Terraは重要な商品(石油、金、白金など)の現物による裏付けと引き換えに発行されますので、まずインフレに強いという特徴があり、裏付けなしの空売りや投機的な目的に使うことはできません。どのような環境でも安定性が高いというわけです。さらにいくつかの商品をバスケットに入れることで(ポートフォリオを作ることで)、一つの商品の価格が大きく変動しても、多くの場合にはその効果を緩和することが可能です。また、現物を保管するためには保管料が必要になります。つまり、Terraには負の利息がついているのです。となれば、当然退蔵は避けられ、経済活動は刺激されます。また将来の割引価値が現在の価格より大きくなるので、短期の利息を考えるのではなく、より長期で考えたサステナビリティを企業が考慮する可能性が高くなると考えられます。
 Terraは現行の通貨を補完するために考えられたシステムで、書い手と売り手さえ入れば、世界中のどこでも今すぐに始められるのも特徴と言います。利用する企業にとっても、金融機関にも、また途上国にとってもメリットがある良いことづくめのシステムというのが宣伝文句ですが、さて、果たしてこれからこれがどのように実現していくのか、やはりそれは難しいのか。注意深く見守りたいと思います。
http://www.terratrc.org
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2005年08月08日

ボルダーまで来ました

 題名の通り、アメリカはコロラド州のボルダーまでやって来ました。

 成田→サンフランシスコ→デンバーと飛行機を乗り継いで、その後車で小一時間。ロッキーの麓にある静かな町です。最初は1850年代に鉱山の街として出来たそうですが、今は大学を中心とした学園都市です。

 ここまで来たのは、地域通貨の研究で有名なBernard Lietaerさんという方の話を聞くためで、着くとそうそう、話を聞きに出かけました。タジキスタンから送られた建物がtea houseになっていて(タジキスタンのデザインってこういう風なんだ。ふーん、って感じです。お茶もイギリス、中国、インドといろいろな地域のものを置いてあって興味深いんですけれど、これはまぁ置いといて)、ここで3時間ほどいろいろとお話を聞きました。

 地域通貨の話もさることながら、今力を入れているのがTerraという石油などの重要な商品の現物を裏付けとした兌換貨幣です。

 地域通貨の原点もそうですけれど、やはり今のお金があまりにモノという実態からかけ離れてしまっているので、それをどう取り戻すか。しかもそれと同時に、長期的視点と短期リターンを一致させようというのが狙いです。これが実際に導入されればすごいですね。日本で興味を持つ人がいれば紹介して欲しいとのことなので、ご関心のある向きはコメントでもください。
 詳しい仕組みはとても一言では書けないので、サイトでどうぞ。
posted by あだなお。 at 15:18| 東京 ☔| Comment(1) | TrackBack(2) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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