ところが大体どこに行っても、皆さん口を揃えて「ここには何もないから」とおっしゃいます。たしかに世界一や日本一の「特別なもの」はないかもしれませんが(いや、ひょっとしたら本当はそれだってこれから発見されないとも限りませんが)、そこの場所にしかない「特別なもの」はきっとあるはずです。
そういうその地域の宝物を運良く探し当てるための合い言葉があります。「ないものねだりから、あるもの探し」です。他所の宝物を引き合いに、「うちにはそんなものはない」と言って、ないものねだりをしてもしかたがないのです。そうではなくて、自分たちの地域には何があるのか、それをきちんと探しましょうということです。
沖田地区でお年寄りが昔の経験を屏風に仕立てたのは、「心象絵図」と呼ばれています。「風景の記憶」なんていう風流な呼びかたもあるようです。ググるといろいろな地域の話が出てきますので、興味があればぜひ検索してみてください。
《参考リンク》
「心象図法で地元学」(東近江地元学ネット:講演記録:上田洋平)
心象図法は、自分たちの五感の記録を発掘し、その中で宝物を探していくやり方ですが、それ以外にも地域にあるものを探すのに役立つ視点があります。若い人たちの視点、常識に囚われない視点、外からの視点です。内部にずっといるとわからないこと、当り前に思えることでも、ちょっと視点をずらせば見えてくるものがあるということです。わかりやすく、「若者、馬鹿者、余所者」なんて言ったりもしますが(笑)
特に里山の風景などは、地域の方々にとっては当り前の、あるいは当り前だった、おのです。ちょっと視点をずらしてみないと、なかなかその真価はわからないかもしれません。COP10の今年、日本は「里山イニシアティブ」をぶち上げています(中身は今一つよくわかりませんが(^^;))。皆さんの周りにある、あるいは失われつつある、普通の風景の素晴らしさを再認識するのにいい機会なのではないでしょうか。
ところでちょっと話は変わりますが、そんなヤヤコシイことを言わなくても、誰が見ても素晴らしい、だけれど案外知られていないところも日本にはたくさんあります。例えば、僕がいま一番見に行きたいのは、山口県の田ノ浦です。中国電力が建設計画中の上関原発の予定地になっている場所です。対岸には、これまた美しい祝島があります。写真や映像でしか見たことがないのですが、例えば以下の記事の中にあるような写真を見ると、もうそれだけでクラクラして来ます。
《参考リンク》
■「生物多様性の宝庫・田ノ浦を埋め立てればこの美しい海は死んでしまう」(Liberal Utopia 持続可能な世界へ)
なるべく早く実際に見に行きたいと思っていますが、すぐには行けそうにありません。そんなことを思っていたら、鎌仲ひとみさんから、新作の「ミツバチの羽音と地球の回転」がついに完成、試写会をしますというお知らせをいただきました。上関原発予定地の対岸にある祝島の方々を中心に、エネルギーの未来を問いかける映画です。エネルギーと人々の暮らし、生物多様性、そんなことの関係を考え、そして田ノ浦や祝島の美しい自然を、まずは映画で見てみたいと思います。
間もなく、ゴールデンウィーク。皆さんもぜひ、身の回りや旅行先で、まだ知られていない宝物を探してみませんか?
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