2010年09月28日

「生物多様性経営」発売になりました

 以前にも予告した新刊『生物多様性経営 持続可能な資源戦略』がいよいよ発売になりました。昨日27日が全国発売日だったのですが、昨日はご報告する余裕がなくて、一日遅れでのご紹介です。



 漢字が並んで、ちょっと取っ付き難い印象かもしれませんが、表紙は鮮やかなモルフォ蝶。平積みしてあれば、すぐにわかります(笑)。なぜモルフォ蝶が表紙なのかは.... 本書を読んでいただければきっとご理解いただけるでしょう。

 目次をざっとご紹介すると...
序章 「石油」から「生物」へ
第1章 自然にタダ乗りする「裸のサル」
第2章 自然生態系を壊す5つの企業活動
第3章 経済のルールが変わり始めた
第4章 生物多様性は経済条約ー名古屋COP10の意味
第5章 生物を救う3つの経済メカニズム
第6章 今、企業に求められていること
第7章 21世紀の「生物多様性経営」
終章 「自然の法則」に学ぶビジネスモデル
 となっています。

 もともとあまりそういうつもりではなかったのですが、出来上がってみると、企業と生物多様性に関わるトピックスはおおよそ漏れなくカバーされているので、これ一冊で企業と生物多様性についてほぼ理解することも出来ると思いますし、逆に仕事の現場で関わっている方にも目新しトピックスも、いくつかあるはずです。

 しかし、そんなことよりこの本の一番の特徴は、なぜ企業が生物多様性に取り組まなければいけないのかという問いに、正面からストレートに答えようとしたところと言っていいかと想います。

 僕が企業にとって生物多様性が重要である理由は、生物が資源として今後ますます重要になるということです。食料はもちろん、バイオ燃料、バイオプラスチック、医薬品..... 石油が今のように自由に使えなくなったとき、生物がそれに取って代わるはずです。なぜなら、生物資源は持続可能だからです。

 しかも生物資源には、私たちがまだ知らないような優れた性質もたくさんあります。これからそうした性質はどんどん発見されるでしょうし、私たちはそれを直接利用したり、真似ることで、環境負荷を削減することも可能になるはずです。

 しかし、そのためにはもちろん、クリアしなくてはいけない課題もあります。どこから生物資源を確保するのか? どうやって生物資源を持続させるか? そうした問題を今から考えておく必要があります。

 生物資源を確保することは、生物の生息地を確保すること。つまり、生息地を保全する必要があります。また、より多くの多様な特性を持つ生物資源を活用するためには、そうした性質を持つ多様な生物を保全しなくてはいけません。つまり、生物種の多様性を保全する必要があるのです。

 ここまで来れば、もう結論はおわかりでしょう。多様な生物の生息地を守ること、多様な生物種を守ること。これこそポスト石油時代に企業が成功する鍵であり、そのような「生物多様性経営」こそが、これからの企業のあるべき姿になるはずです。

 生物多様性を保全するために様々な手を打つことは、企業活動に足かせを課すのではありません。より持続可能な企業へと脱皮するために必要な準備をするということです。

 その先にどんな未来があるのか。そこに辿りつくために今企業は何をしなくてはいけないのか。僕の考えをすべてこの一冊に詰め込みました。ぜひお読みいただき、ご感想をお聞かせください。

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追記(2010/09/29)
 一つ重要なことを自慢するのを忘れてました(笑)。実はこの本、表紙も本文もすべてFSC認証紙を使っています。日本ではまだ珍しいと思うのですが、そうすることが生物多様性を本流化することにとって重要と思い、編集者の方が頑張ってくださいました。FSC認証紙の手触りも、ぜひ実物でご確認ください。


posted by あだなお。 at 23:50| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月14日

ミツバチは地球を動かすか?

 先日、鎌仲ひとみさんの最新作「ミツバチの羽音と地球の回転」を観て来ました。上関(かみのせき)原発の建設で揺れる瀬戸内海の小島、祝島(いわいしま)と、再生可能エネルギーへのシフトを着実に進めているスウェーデン、二つの地域を取材したドキュメンタリー作品です。
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 上関原発や祝島のことは、サスラボでも何度か取り上げて来ました。僕は残念ながらまだ現地を訪れたことがなく、これまで伝聞で状況を聞くだけでした。今回、現地でゆっくりと取材したこの映画を観ることで、島の自然、人々の暮らし、原発を巡る状況ということを立体的に理解できたように思います。

 祝島、あるいは原発のために埋め立て予定となっている田ノ浦は、瀬戸内海に残された、いや日本でも数少ない、海の生物多様性の宝庫です。そしてそれは単に美しかったり、珍しい生物が生息しているというだけではなく、何よりその自然が人々を養っている、そのことに改めて感動します。

 祝島は漁業と農業の島です(農業は国の政策のミスリードもあって、かなり衰退してしまっていますが...)。島の漁師の方が漁師に出ると、立派な鯛が釣れる、釣れる... 次々に美しい鯛が上がるのです。それ以外にも、ヒジキ、ビワ... 様々な自然の恵みのお蔭で、島の方々は暮らして来ました。

 その恵みの豊かさを肌身で知っている祝島の原発反対派の漁師さんは、「海は絶対に売らん!」と漁業補償金の受け取りを一切拒否しています。「海さえあれば生きていける」ことを知っているから、「子や孫のためにこの海は守り続ける」と言うのです。

 それを中国電力や地元行政は、力づくで変えようとしています。これは僕の勝手な想像ですが、自然の恵みを直接受け取るのではなく、間にお金を媒介にして生活している人々にとっては、将来にわたって豊かな恵みを提供してくれる自然よりも、目の前の小金の方が魅力的なのでしょう。

 祝島の村民をなんとか説得しようとする中電社員の「一次産業でいつまでやっていけると思うんですか?」という言葉に、そのことが象徴されています。本当に一番大切で必要なものは一次産業が産んでいるのに、そのことすら忘れてしまっているのです。一次産業がなくなった世の中で、人間が生きていけると思っているのでしょうか?

 一方のスウェーデンはというと...  脱原発を国民投票で決め、風力やバイオマスなど、様々な再生可能エネルギーへのシフトを着々と進めています。人々は自分が応援したい種類のエネルギーを自由に選択して買うことができるので、日本のように地域の電力会社が電力販売を「独占」している状況は信じられないのです。

 実は僕は、鎌仲さんがこの映画のためにスウェーデンに取材したちょうど同じときにスウェーデンを訪問し、いくつかの場所をご一緒しました。映画にはそのときに話をうかがった方々も登場して懐かしかったのですが(笑)、そこで見たスウェーデンの方々の生活は、持続可能な社会を目指すためにいろいろなことを切り詰めたものではなく、むしろ、とても豊かで穏やかなものに感じられました。

 風、バイオマス、廃棄物、今まで使われていなかったそうしたものをうまく利用すれば、石油や原子力に頼らなくても、十分に快適な生活が実現できることを彼らは実証しているのです。気候条件を考えれば、日本の方がもっと可能性があると言っていいかもしれません。なぜ、それが日本ではできないのか...

 いろいろと理由は考えられますが、最大の理由は、私たち自身がそれを自分の問題だと思っていないことにあるのではないかと思います。再生可能エネルギーにシフトすることも、どこでどういう生活をするかも、自分たちの子供や孫にどんな社会を残すかも、すべては自分たちの問題であり、自分たちで決めることができ、そして自分たちで実現できる。決して誰かから押し付けられるものではないのです。自分たちで決め、自分たちで解決することなのです。

 ですから、自分たちの希望を実現するために、人に無理を押しつけるのは「解答」になり得ません。たとえば上関原発を作ろうするのは、祝島や田ノ浦周辺の地域の方のためではありません。他の地域のエネルギー需要を賄うためです。祝島だけであれば、原発なんてなくてもやっていけるのですから。

 この映画の中で、印象に残った言葉が二つありました。一つは、スウェーデンの持続可能性へのコンサルタントの方の「成功させるコツは簡単なことだよ。一つひとつの課題を、自分がやると引き取る人が現れるまで絶対会議を終わらせないんだ。」という言葉、なるほどです。

 もう一つは、この映画の主人公と言える祝島の若き村民、"孝くん"の「やろうと思えばたいていのことは出来るんですよ」という言葉。彼はその言葉どおり、自立する祝島を目指して、一つひとついろいろなことを積み重ねています。そして、祝島をエネルギーが自給できる島にしたいと考えています。素晴らしい心意気ですね。きっと出来ると思いますし、そのために僕も応援したいと思います。

 正直に言えば、映画を見終えたときにはせつない気持ちになりました。僕たちのような都会で生活する人間たちのために、これまでの生活とその場所を暴力的に奪われようとしている人々。かと言って、僕たち一人ひとりの力では、あるいは祝島の皆さんの力だけでは、どうにも出来ないように思えてしまう今の日本の状況。

 現状ではかなり分は悪いかもしれません。でも、これは自分の問題だと認めるところから始めるしかないのでしょうね。これは自分の問題であり、自分が望む方向に変えるんだ、そういう意志をもって一人ひとりが行動を始めたとき、初めはまったく動かないように思えた大きな岩が、少しずつ動き始めるのだと思います。

 だから僕も、自分でこのことに何が出来るかを考え、実行することにしました。詳しいことはまた後日、このブログでご紹介したいと思います。

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 今回映画は「完成」して公開となりましたが、おそらくこれはまだ本当の「完成」ではないはずです。きっと、途中の経過地点でしかないはずです。

 「ミツバチの羽音と地球の回転」という不思議なタイトルは、ミツバチの小さな羽音が、地球の回転にも影響を与えるのだという鎌仲さんの思いが込められたものだそうです。ハチがブンブンと羽音を立てることを英語ではbuzzと言います。そしてこの言葉にはもう一つ、口コミで伝えるという意味もあります。私たちがこの映画のことを話し、伝えていくことが、日本の、いえ地球のエネルギーのあり方を変えることにつながっていくはずです。

《サスラボ関連記事》
■「宝物を探そう
■「カッコ イイ言葉

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2010年02月01日

新しい本が出ます!

 今夜、ようやく帰国しました。ところで、土曜日(30日)の満月はご覧になりましたか? 1月1日も満月でしたから、今月2度目の満月。このような月を英語ではブルームーンと呼び、滅多にないことの喩えに使うそうです。一方、北米先住民、つまりネイティブアメリカンは、1月の月を「狼の月」と呼ぶのだとか。真冬の食料不足を嘆いて遠吠えする狼にちなんだ呼び名だそうです。そしてもう一つ今回の満月が特別だったのは、これは今年、月が最も地球に近づく満月で、14%大きく、30%明るく見えるのだそうです。

 こんな話をきくと俄然見てみたくなりますが、僕は残念ながら... ドイツの曇り空に阻まれ、きちんと見ることができませんでした。残念。でも代わりに、ボンからフランクフルトへ列車で移動する道中は、ライン川沿いの古く、美しい町並みの雪景色を見ることができたので、良かったことにしましょう。

 明日からまた東京での仕事が始まるのですが、今週はちょっとスペシャルな週です。というのも、今週の後半ぐらいから、新しい著書が書店に並ぶ予定なのです(正式には2月8日発売なのですが、都内などでは今週末には入手可能になるようです)。 タイトルは「2025年 あなたの欲望が地球を滅ぼす~「激安・便利・快適」の大きすぎる代償~ 」(ワニブックスPLUS新書)とちょっとオドロオドロシイのですが(^^;)、私たち一人ひとりの生活と、社会の持続可能性の関係をわかりやすく書いたつもりです。

 気候変動はもちろん、生物多様性や、途上国の開発と人権、サプライチェーンやCSRなどなど。そう、要はふだんサステナ・ラボで書いているようなことを、一続きのお話しとして読めるように、コンパクトにまとめたものです。さまざまな問題も指摘していますが、最後には解決方法の提案もありますので、あまりドンヨリとした読後感にはならないと思います(笑)

 おそらく、サスラボの読者の皆さんにとっては、聞いたことのある話が多いと思うのですが、この本のメインターゲットは、ふだんは環境や持続可能性のことなんて考えたことがないという、ごくごく一般の方々です。モノは安い方がいいし、便利で快適な生活大好き! そんなフツーの方々に、実は世の中こんな仕組みなんですよとお伝えするのが目的です。

 ですから、ぜひ周囲のお友だちや同僚の方に、「こんな本あるよ〜」、「けっこう面白かったよ〜」(あ、もし本当に面白いと感じたらで結構ですが(^^;))とオススメいただくと、とっても嬉しく思います。もちろん、皆さん方にもよろしければ復習用にお読みいただいて、ぜひご感想をお聞かせください。

 それから、昨年の春に出版した「たべものがたり―食と環境 7の話」ですが、大変嬉しいことにこの度、「FOOD ACTION NIPPON アワード2009」の【コミュニケーション・啓発部門】で優秀賞をいただいたそうです。こちらは本当に楽しい本ですので、まだの方はぜひお読にになってみてください。

《参考リンク》
■「『たべものがたり』学校寄贈プロジェクト、優秀賞受賞!」(未来図書室.jp)
■「生きることは、食べること」(サステナ・ラボ、2009年3月6日)

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2009年09月19日

未来の食卓は給食から

 遅ればせながら「未来の食卓」を見ました。とてもいい映画でした。メッセージが素晴らしいのみならず、南フランスの映像と音楽が美しい。しかし、その一見美しい景色の背景にある農家の方々を取り巻く現実には目を背けたくなりましたが...

映画『未来の食卓』

 2006年9月の新学期から、南フランスにあるガール県のバルジャック村で、学校給食をすべて有機食品(bio、ビオ)、そしてなるだけ地元産の食材に切り替えることが決まります。公立校3校、私立校1 校、200食の小さな試みです。

 しかしその後わずか一年で、子どもたちが、親たちが、そして村人たちが変わります。在来農法を続けている農家の方がまだ圧倒的に多いものの、有機農家と在来農家の対話も始まりました。

 映画の中の印象的なセリフをいくつかご紹介しましょう。
「オーガニックには費用がかかる、というが、人の命と健康の代償は一体いくらだ? 費用の事は心配しないでいい。相談相手は自分の良心、それしかない」エドゥワール・ショーレ村長

「今は消費システムの外にいるわ。前は、食べるのと買うのの繰り返しだったもの。今の世の中は食べ過ぎだわ。少し減らしても害にはならないわ」村の母親

「値段は少し高いわね。いつも行く店では種類が少なく選ぶ程量がないから、必要な分だけ買うわ。大きなスーパーに行くと必要以上に買っちゃうから、出費は変わらないわ。」村の主婦

「死んだ土で育った植物は不健康だから、農薬がいる。すべてはそこから始まっている」オーガニック農家

「食料関連の二酸化炭素を減らすには2つの方法があるといいます。一つは持続可能な農業に転換すること。有機農業はその最良のモデルです。もう一つは、肉の消費量を世界規模で削減すること。世界で生産される植物性タンパク質の55%は、家畜に与えられる。もしその55%の3分の1が我々の皿に盛られれば、世界の飢餓は克服できるだろう。飢餓のための遺伝子組換え食品は必要なくなる」環境問題専門医

「1年前は自然食に興味がなかったが、"協力してやろう"という気持ちで始めた。今の食事に何の問題もないよ。子供たちは"味"を覚え始めている。すべて自然食は難しいが、まずは気付くことだ」村人

「昔食べていたエスカロップは本物ではないんだ。...もうここでは出さないよ。オーガニックを続けると決めたからには、もう買わない食品があるんだ。個人的には後戻りしたくない」給食センター料理長

「ビオ(有機)とは?」村のおじさん 「自然のまま!」子ども

 それにしても羨ましかったのは、この村の小学校の給食の風景。大きなお皿に盛られたおしいそうな料理を、シェフのような白衣をまとった給食センターの料理係のお兄さんやおじさんが、子どもたちの皿によそいます。高価ではないけれど、ちゃんとした食器にカトラリー。もしかしたらフランスでも特別な風景なのかもしれませんが、いかにも「きちんとした食事」の風景なのです。
映画『未来の食卓』

 さらに圧巻は遠足のお昼。世界遺産の美しいポン・デュ・ガール(古代ローマ時代の水道橋)を背景、焚き火をたき、有機のパン、果物、茹で卵などを子どもたちに一つひとつ手渡す校長先生は、古代人がいかに水を大切にしていたかを切々と説き、水を尊敬することを忘れないようにと話します。この子どもたちはきっと、何が大切かを間違えない大人に育つことでしょう。

 日本語の題「未来の食卓」は希望に満ちていますが、フランス語の原題は"Nos enfants nous accuseront(子どもたちは私たちを告発するでしょう)"と不気味です。

 ジャン=ポール・ジョー監督は、「世界を変えていくには、子供達とそして、母親の役割が大きいと思います。母親というのは守る人だと考えています。父親はそれを助ける人で、実際生活を作るのは母親です。」と言います。しかしもちろん、母親だけでなく、子どもたちの未来を気にかけるすべての人に見ていただきたい映画です。

 ところで、日本も「オーガニック」や「有機」より、「ビオ」って言葉を使った方がもっと簡単に受け入れられるかもしれませんね。可愛いですもんね。

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映画『未来の食卓』
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2009年08月01日

「ニモ」に思ったこと

 「ファインディング・ニモ」というディズニーのアニメを覚えていらっしゃるでしょうか? 子供向けのアニメだし、この映画のおかげでクマノミが乱獲されるようになったという話も聞いたりして、正直あまりいい印象を持っていませんでした。

 ところが、ひょんなことからこのアニメをDVDで見てみたら、ビックリ。CGの画像は昔風のアニメとは比較にならないぐらいに精密で美しいのですが、それ以上に海中の雰囲気がホンモノっぽいのです。

 サンゴ礁の光景や、そこを泳ぎ廻るさまざまな種類の魚たち。もちろんアニメなので、目がクリクリしていたり、動きが擬人化されていたりもするのですが(それになんといっても、セリフをしゃべりますし!(笑))、それでも動きが実にリアルです。

 たとえばヒレの動きかた。フグなどは大きなヒレを実に優雅に波打たせ、スーッと移動したり、ピタッと停止したりするのですが、その様子が本当によく出来ているのです。あるいは魚がくるっと反転するところや、水中の強い水の流れに吸い込まれる様子など、実写を見ているようです。

 海の中で見たいろいろな光景を思い出しながら、そうそう、こんなだよなぁ、と思わずその世界に引きずり込まれてしまいました。このアニメを製作した方々はとてもよく魚の生態や習性を観察していますね。しかも、それを「描く」のではなく、「計算」で再現しているのですからスゴイと思います。子供向けと簡単に侮ることはできないアニメです。(あ、もっとも、なぜ大きなクマノミが性転換しないのかとか、ツッコミどころもいろいろありますが...(^^;))

 ところでこの映画の最後には、ニモたち魚が漁船の網で一網打尽になってしまうシーンがあります。まぁ、そうやって獲った魚を、私たちは日々食べているわけですが... それに関して一つ関連ニュースです。

 人間が漁獲の対象にしているような魚の既に7〜8割は資源量ギリギリいっぱい、あるいはそれをオーバーして捕獲されていると言われています。つまり、今の漁業の大半が持続可能ではないのです。

 それを是正するために自主的な規制や枠組み(MSCなど。例えば過去記事「マンガで広めるMSC」をご参照ください)などもありますし、広がりつつもあるのですが、もはやそれだけでは不十分、政府が規制をする必要があるという論文が発表になったというものです。

 ニモたちの住む美しく多様な世界を守るためにも、そして私たち自身が魚を食べたり、楽しんだりし続けるためにも、節度をわきまえた、つまりは持続可能なやり方に早急に切り替える必要があるということです。そのためには、「持続可能な魚だけ食べたい!」、私たちがそんな声を上げることも、重要ですね。

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2009年06月15日

空から見る真実の姿

 夜更けになってオフィスを出ようとしていると、いきなりの驟雨。しまった、もう少し早く切り上げていればと後悔しても時既に遅し。時間が時間だけに、このまま「雨宿り」というわけにもいかず帰路につくと、雨足は想像よりさらに激しく、傘をさしていてもすぐにずぶ濡れになってしまいました。

 これじゃあまるでスコールだよなと、マレーシアに住んでいた頃のことを思い出したりもしましたが、いつの間にか東京が熱帯のような気候になってしまったことに改めて背筋が寒くなりました。私たちの唯一の住み処、地球が急激に変化しつつあることは、もはや疑いようがないように思います。

 その私たちのHOMEである地球の今をテーマにした映画"HOME"を、遅ればせながら昨夜、YouTubeで観ました(強引なつなぎでスミマセン)。
■「HOME 空から見た地球」(日本語公式ページ)


 「世界環境デー」(環境の日)に世界88カ国で一斉公開されたこの作品は、空撮された地球の大自然の映像で始まり、生命の歴史を振り返ります。そしてその次に写しだされるのは、この地球の上で繰り広げられる私たち人類の恐ろしくなるほどの莫大な活動。地球の自然のスケールもケタ違いなのですが、人類の活動も自然のそれとはまったく別次元の大きさです。私たちの今の生活を維持するために、私たちはなんと野蛮なことをしているのだろうと痛感させられます。

 そして当然、それに対する自然からのしっぺ返しもあります。気候変動、地下水位の低下... 目を覆いたくなる惨状ですが、それも私たちが地球にしたことを考えれば当然とも言えます。とにかく人間活動のスケールも半端ではないのです。


 最後のパートでは、それでも「もはや悲観的ではいられない(It's too late to be a pessimist.)」というメッセージが繰り返され、世界各地で新たな取組が始まったことが紹介されます。こんなに頑張っている人たちもいるのだから、ただ事態を悲観していてもしかたがない、そんなことをしている理由はない、というわけです。(ちなみにここで、中国や韓国の試みは紹介されるのに、日本の映像がないのがちょっと残念でした。深い意味はないとは思うのですが...)

 ただそうは言っても、これだけいろいろと問題を見せつけられると、たとえ頭ではわかっていたことでも、知識としては十分に理解していたつもりのことでも、かなりショッキングです。

 38億年かけて進化してきた生物たち、それによって作られたこの自然の造形美に対して、私たちはなんという野蛮で粗暴なことをしているんだろうと、情けなく、自己嫌悪の気持ちで一杯になります。そして、こんなことをして許されるはずがないだろうという気持ちになります。

 ですからこれは希望をもたらすというより、むしろ私たちに反省と贖罪しようという気持ちを呼び起こさせる映画なのではないかと思います。最後にちょっとだけ「希望」を感じさせる場面が出て来るのは、現状で諦めてもらっては困るからという程度のような気がします。

 未来に希望を持って欲しい。僕も当然そう思いますし、それを信じるからこそ頑張るのですが、それでもやはり、時に現実を直視して、もっともっと反省した方がいいのではないか。そんなことを思わせてくれる映画でした。

 それにしても最近の技術はスゴイもので、光回線の威力もあるのでしょうが、全編で90分以上に渡るこの映画が、YouTubeでリアルタイムで観られるのにもびっくりしました。本当は昨日14日まで公開とも聞きましたが、今のところまだYouTubeで観られるようです。もしリンク切れになってしまったら、DVDでご覧ください。
■"HOME project"(YouTube)

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2009年05月19日

スラムとゴミ捨て場を前に

 仕事柄(?)、これまで何度か各地でスラムを訪れたことがあります。土壁や板切れで作られた壁にトタン屋根、そんな家がビッシリと密集しているだけでなく、たいていそのすぐ近くには巨大なゴミ捨て場があります。

 これは一つにはゴミ捨て場の近くの劣悪な環境がスラムになっているからなのですが、もう一つにはゴミ捨て場はスラムの住民にとって、生活の場だからです。仕分けしたゴミから生活に必要なものを見つけたり、それを売って収入源にしたり... 残念ながら、多くのゴミ捨て場で見かける現実の光景です。

 それがどんな状況か容易には想像がつかないという方は、以下のリンクの写真を見てみてください。俄には信じがたい光景です。私たちはこんなにも多くのゴミを出してきたのかと思うと、暗澹たる気持ちになってきます。
■"Mooi Milieu!"(GigaPica) 

 「DAYS JAPAN」の6月号にも、第5回DAYS国際フォトジャーナリズム大賞のパブリック・プライズを受賞した「インド 忘れられた人々」という作品が掲載されていますが、これもムンバイにあるインド最大のスラム、ダラビをテーマにしたものです。巨大なゴミ捨て場に圧倒されます。

 そして、今年アカデミー賞を総なめにした「スラムドッグ$ミリオネア」も、ムンバイのスラムが重要な舞台でした。冒頭のシーンの広大なスラムには息を飲みました。そのぐらいすごいスラムなのです。

 ただこの映画、正直言ってなぜこれほどまでに大絶賛されるのか。僕にはよくわかりませんでした。伏線が幾重にもうまく引かれていて、たしかによく考えられた映画だと思いますし、スピード感もあります。エンターテイメントとしては楽しめるとは思うのですが...

 映画の中に映し出されたスラムを始めとするインドの現実に衝撃を受け、その中で逞しく生き抜く子どもたちの姿にキュンとなり、現代の「わらしべ長者」にハラハラする... のかもしれませんが、実際にはそんな軽い話ではないと思うのです。

 さまざまなシーンはかなりリアリティを重視していると思いますし、それがインドの社会や、特に貧しい子どもたちが置かれた状況を世界に知らしめることに役立っているとは思うのですが... それをお伽話で終わらせていいものなのか。

 お金にまったく執着のない主人公が見事ミリオネア(億万長者)になり、お金を追ったその兄が迎える最期との対比は象徴的で、映画はそのことをうまく対比させています。もしかしたら、そのことがこの映画の重要なメッセージなのかもしれません。しかし、残念ながらそのことぐらいではとても解決しない、根深い問題も存在しているのです。

 もちろん製作者たちもそんなことは先刻ご承知なのでしょう。少しでも問題解決に貢献できるようにと、この映画でクイズショーの司会者役をつとめる俳優のアニル・カプール氏は、この作品の出演料全額を、制作会社は50万ポンド(約7,500万円)を、フォスター・プランを通じてスラムの子どもたちに寄付しています。

 以下は、日本フォスター・プラン協会のサイトに掲載された、ムンバイのスラム街の問題です。
<人口の40%が暮らす・・・ムンバイのスラムの抱える問題>
●人口密度が、ムンバイの他の地域の約2倍。スペースが足りないうえに衛生設備が整っていないため、非常に不衛生な状況
●排水溝がつまってしばしば通路に汚水があふれ、子どもたちが皮膚病にかかってしまう
●95%の住人が公共のトイレを使用しているが、その設備や数は充分ではない。そのため、多くの子どもが線路で用を足し、事故にあってしまう
●飲料水や生活用水は、一日に一度、政府の配給により入手できるのみで、慢性的な水不足
●18才以下の子どもの80%が学校に通っていない
●ほとんどの子どもが出生登録されていないために、政府による社会サービスの対象になっていない
●多くの父親がアルコール中毒のため、家庭内暴力や子どもの虐待が起こりがち
出典:「映画「スラムドッグ$ミリオネア」の制作会社、スラム街の子どもたちのために50万ポンドを寄付!」(日本フォスター・プラン協会)

 まずは知ることが問題解決の第一歩であると言うのであれば、たしかにこうした映画や前出の写真も重要な役割を果たしていると思います。それではそこからもう一歩踏み出すためにはどうしたらいいのか? 

 巨大なゴミ捨て場の写真を眼の前に、正直どうしたものかと悩んでしまいます。もちろんこれを無くすことが、持続可能な社会の必要条件ではあるのですが...

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2009年05月10日

世界同時不況に学ぶ

 連休中に読んだ本の一つに「強欲資本主義 ウォール街の自爆」があります。自らもウォール街で投資銀行を経営する神谷秀樹氏が書いたもので、ウォール街が近年如何に堕落したかを、内部から描いており、興味深いものでした。

 著者本人が投資銀行家になることに憧れ、ウォール街に渡った方ですから、なぜ同じ立場の方が「ウォール街の自爆」などという本を書いたのかと最初はちょっと疑問だったのですが... 神谷氏からすれば、そして多くのまっとうな銀行家からすれば、近年のウォール街の強欲さと傲慢さはまったく異常で、鼻持ちならず、無責任で狡賢い存在なのだと。金融ビッグバンの結果、投資銀行が再編されていく中、その業務の中味が恐ろしく変質してしまったということのようです。

 本書ではまた、今回の世界同時不況だけでなく、様々な場面で日本人や日本企業がいかにカモにされて来たかということも、赤裸々に語られます。にも関わらず、「グローバル・スタンダード」を褒めちぎり、追随し、東京を「国際金融都市」にしようとした政治家や一部企業人など、笑止千万です。

 それだけではありません。ウォール街流のやり方に追従したことで、あるいはアメリカに自らの黒字を貸し付け過剰な流動性をもたらしたことで、日本もこの世界同時不況の片棒を担いでいたのだとしたら... いつの間にか私たちが加害者にもなっていたということで、よりショックを感じます。

 それでは私たちはどうしたら良いのか? 本書ではあまり具体的とは言えないまでも、下村治博士の「ゼロ成長論」をベースに、いくつかの方向性を示しています。

 すなわち、私たちはもはや(数字の)拡大を追っかけることはできない。ゼロ成長を現実のものとして受け止め、身の丈にあった新しい生き方を見つける必要があるということです。もちろんそのためには、ゼロ成長の中での目標とする新たな指標を見つけることや、新たな成功の定義も必要(p.187)だとも言っています。

 今までのビジネスの常識は通じてなくなりますが、それでもその先にあるいのは決して暗い社会ではないと思います。著者も言うように、むしろ日本人が日本人たる心を取り戻し、再び日本人らしく生き、日本の伝統文化を再興する(p.193)チャンスとも言えます。

 私たちはお金なしでやっていくことはできませんが、社会や生活がお金に支配されるようであれば、主客転倒です。持続不可能な経済をどう持続可能なものに直すか。今回の失敗から学ぶべきことは多そうです。

 そして金融機関にも、産業を支援するという本来の役回りに、早く戻ってもらうことを強く願いますし、それは著者の願いでもあるでしょう。

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2009年04月15日

春の野原へ

 自然とCSR担当者を結ぶ(?)フリーペーパー、konohaの第2号が出ました。第1号を紹介したのは昨年の秋も本格化した頃でしたから(「何の紅葉?」参照)、約半年ぶりの登場です。

 春に出た今号のテーマは、「春の野原」。虫たちと植物の関係がイラストで解説されています。春の野原を歩くのは楽しいものですが、花を見るだけでなく、そこを訪れる虫たちのことも知ると、もっと楽しくなること受け合いです。

 そしてkonohaのもう一つの目玉(?)は、僕がマスターをしている(^^;)、「Rain Tree Cafe」です。環境先進企業のご担当者の方から、優れた環境への取り組みの背景にある熱い思いや苦労話など、裏話をたっぷり、ゆっくりお聞きしようという企画です。

 今号のお客様は、積水ハウス株式会社環境推進部の佐々木正顕さんです。同社の「5本の樹計画」がどのように始まったのか。これから先どういうビジョンを描いているのか、お客様から「そこまで聞くか?」と半ば呆れ顔をされながらも鋭く突っ込ませていただきました(笑)

 しかし毎回思うのは、環境に対する会社としての取り組みもすごいのですが、ご担当者の原体験や思いはさらに強烈です。ぜひ、そのディープな告白をお楽しみください。

 「konoha」はいくらお金を積んでも手に入りません。というのは冗談ですが、一般の書店では売っていません。ご興味をお持ちいただいた方は、全国の自然観察センターなどで探してみてください。今号は、緑豊かな(笑)ポップな恐竜が目印です。もしどうしても見つからないという方は、ゆうメール着払いで申し込むこともできます。

今日もお読みいただき、ありがとうございます。
konohaを読んだら、感想をお聞かせください!
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2009年04月05日

トウモロコシでできている!

 「何を食べているか言ってみたまえ。君がどんな人間であるか当ててみせよう。」とはフランスの美食家ブリア・サヴァランの言葉ですが、たしかになるほどと思うこともよくあります。しかし今ならむしろ、「何を食べているか言ってみたまえ。君がどんな社会に住んでいるか当ててみせよう。」と言った方がいいかもしれません。

 そんなことを思ったのは、「キング・コーン」という映画を見たからです。アメリカ人が食べているほとんどのものが、元をただせばコーン、つまりトウモロコシに由来していて、現代の平均的なアメリカ人の身体はまさにコーンで出来ているのだそうです!kingcorn.jpg
■「キング・コーン公式サイト」(エスパース・サロウ)
予告編

 だからと言って、アメリカ人が毎日トウモロコシばかり食べているわけではありません。いやむしろ、彼らだってそれがトウモロコシだと意識して食べているのは、ポップ・コーンぐらいのものでしょう。たしかにアメリカで売っているポップ・コーンは笑っちゃうぐらいに巨大だったりしますが(^^;)、実はそれぐらいどうということはないのです。

 というのも、アメリカの国民食と言ってもいいハンバーガー。ハンバーガーのパテの牛肉は、実はトウモロコシで育った牛ですし、フライドポテトはコーン油で揚げてあり、炭酸飲料はトウモロコシから作った糖(コーンシロップ)で甘味を付けています。そして、ハンバーガーショップでもらうビニール袋も、今やトウモロコシ製です! こんなことになっているのは、もちろんそれが一番安いからです。

 それ以外にも、豚肉、鶏肉、パン、スパゲッティソース、何を作るにもトウモロコシが原料になっているのです。だからアメリカ人の身体を分析すると、それがトウモロコシ由来であるということがわかるほどなのだそうです。

 この映画は、間もなく大学を卒業して社会人になる二人に学生が、「自分たちがふだん食べている食べ物についてもっと知っておきたい」と考え、実際に自分たちでトウモロコシを育て、それがどこに行くのかを追跡するというものです。

 農業経験のない若者がそんなに簡単にトウモロコシを作れるのかと思うでしょうが、日本では広大と思える1エーカー(4047平方m)の農地も、アメリカの田舎であればわずかなお金で借りることができます。遺伝子組換えされた種子は大型農業機械を使えばわずか18分で播種完了、その後も強力な除草剤を使うなどしてわけもなく大量のトウモロコシを収穫します。

 もっとも収支を計算してみると、二人の人件費を入れなくても、赤字。しかし、心配はご無用。国からの補助金をもらえば、ちゃんと黒字になるのです。つまり、大量のトウモロコシを作るというのは国策であり、その用途を作り出すために、トウモロコシが牛の餌になったり、コーンシロップが開発されたのです。

 当然ですが、もともと牛の餌はマグサであって、トウモロコシではありません。トウモロコシだけを食べて育った牛はわずか半年で出荷可能なほどに急速に肥育するのですが、これは牛の自然な生理を無視していますので、当然病気にもなります。ですから、今やアメリカで生産されている抗生物質の7割は家畜に与えられているのだそうです。

 脂肪たっぷりのハンバーガーと、コーンシロップでカロリーたっぷりの炭酸飲料を毎日摂取していれば、人間だって病気になります。肥満と糖尿病です。こうしてみると、アメリカの異様な肥満は、トウモロコシ生産を過大に推進した政策の結果とさえ言えるかもしれません。

 主人公たちがトウモロコシを作ってみたアイオワ州は、アメリカでも最大のトウモロコシ生産地です。見渡す限りのトウモロコシ畑が続きますが、不思議なことにこの地域は「自給自足」できていません。作っているトウモロコシは飼料用だったり、コーンシロップの原料用だったりして、人間が食べられる品種ではないからです。「俺たちはトウモロコシを育てている。おれたちはクズを作っているだよ」、そう自嘲気味に言い放つ農家の方の表情が忘れられません。

 しかし、この事実を知っているのはごくわずかな人々だけです。アメリカの食生活が全面的にトウモロコシに頼っているのも、それが肥満の原因であることも、ほとんど知られていない、というより秘密なのだとか。知らないうちに、トンでもないことになっちゃっているんですね。

 たしかにアメリカ人も、私たちも、飢えることを心配しなくてもよくなりました。しかし、今度は別の原因で、アメリカの人々は命を縮めています。このままでは日本がそのような運命をたどる日も、案外近いのかもしれません。

 「キング・コーン」は渋谷のシアター・イメージフォーラムほかで、4月25日からロードショー開始です。

《参考リンク》
■「キング・コングじゃなくて「キング・コーン」」(ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記)

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2009年03月06日

生きることは、食べること

 お待たせしました!Think the Earthが発行するビジュアル・エコブック第三弾、「たべものがたり―食と環境 7の話」がついに書店に並びはじめました。
■「たべものがたり」(Think the Earth)
tabemonogatari.jpg

 生物多様性をテーマにした「いきものがたり」(「地球は人間だけのものじゃない」参照)、水がテーマの「みずものがたり」(「今年は水」参照)に続き、第三弾のテーマは「食」です。その心は...
生きることは食べること。わたしたちの命を支える「たべもの」は地球からの贈りものであり、わたしたちの命は、地球のすべての命とつながっています。「食」を見つめ、地球環境の大切さを豊富な写真やイラストとともに綴る。

 この本も前作2冊と同様、全国の小・中・高、4万校に寄贈されました。ご協力いただいたスポンサーの企業の方々には僕からもお礼を申し上げたいと思います。

 僕が担当したのは、これまでと同様、一番最後のソリューションを紹介するパートです。「いきものがたり」や「みずものがたり」では企業の取り組みが多かったのですが、今回の「たべものがたり」では企業よりも、もっといろいろなタイプの団体が多く、なるほど食はそういう意味でも身近な問題であり、やり方にもいろいろあるんだなぁとつくづく思いました。

<目次>

食料自給率100%を超えよ! 山本良一

(1) はらぺこの惑星  写真:ピーター・メンツェル
(2)食べもの再発見
  ー 野菜の魅力  藤田 智
  ー このタネ、なんのタネ?
  ー 大豆の一生  絵:有賀一広
  ー 牛肉が届くまで  絵:ワタナベケンイチ
  ー 旬のサカナたち  絵:有賀一広
(3) 食と生命
  ー 体内トンネルツアー  絵:田渕周平
  ー 生きものたちの食生活  絵:祖敷大輔
(4) 食と人間社会
  ー 数字で見る食の今
  ー 地球は何人養えるか?  篠原 信
  ー ありあまる食、足りない食
(5) 食と地球温暖化
  ー 気候変動は食の危機  山本良一 絵:添田あき
  ー 旅する食べもの  造形:マルタントン
  ー 食生活が地球を変える  中田哲也
(6) 食と学び
  ー 広がれ!! "弁当の日"  竹下和男
  ー 食感表現の豊かな日本語  早川文代 絵:添田あき
(7) 食の未来
  ー 食問題を解決する30の方法  あだなお。 絵:得地直美

たべものまんが しりあがり寿
  ー お米を食べよう、菌はシェフ!?、温暖化の怖さ、食料が入ってこなくなると…

表紙カバー裏
  ー 旬の野菜と果物  絵:有賀一広

 私たちがふだん何げなく食べている食べ物にはどんなバラエティがあるのか、そして世界の国の人々はどんな食生活をしているのか。どのページを広げても、必ず新鮮な驚きがあると思います。

 自信をもってオススメいたしますので、ぜひお手に取ってみてください。表紙カバーの裏にも仕掛けがありますから、そちらもお見逃しなく。そして面白いなと思ったら、ぜひお買い求めいただき、お家でじっくり楽しんでください(笑)

 それにしても、この本を眺めていると、食は生き物の問題であり、また様々な生き物が私たちのさまざまな食を支えているのだということを本当に痛感します。食べ物に焦点をあてていますが、これは生物多様性がテーマであると言ってもいいと思います。

 さて、今回はサスラボの読者に特別プレゼントです。この「たべものがたり」を抽選で1名の方にプレゼントいたします。ご希望の方は、今日の記事に一言コメントをお願いします。締め切りは、3月13日(金)。当日のタイムスタンプ有効です。ご応募、お待ちしています〜 (当選なさった方には、後ほどこちらから御連絡いたします。今の時点では、コメントに住所等は書き込まないようにお願いします。)

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ご感想とプレゼントへの応募、お待ちしています!
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2009年03月04日

目と耳で感じる地球

 「地球を『目と耳』で感じる。」をテーマに、3日間で20作品を一挙上映するアース・ビジョン 第17回地球環境映像祭(本祭)は、今年は今週末3月6日(金)、7日(土)、8日(日)の開催です。


 今年のプログラムは以下のリンクをご覧いただきたいと思いますが、生物多様性に関するもの、各地の環境破壊を警告するもの、子供向けの楽しそうなもの、いろいろな作品が並んでいます。
■「アース・ビジョン 第17回地球環境映像祭(本祭)

EARTH-VISION2009.jpg

 現場に出かけて実際に自分の目と耳、そして手や足で体験できればそれにこしたことはないのですが、それができなくても、こうした映画祭で映像を見ることはそれに近い貴重な経験を提供してくれます。

 いくつか気になる作品はあるのですが、スケジュール的に僕はちょっと辛そうです...(;_;) もしお出かけになる方がいらっしゃったら、後から感想をお聞きしたいと思います。

 また、アース・ビジョンのWebサイトでは、貸し出し作品の中から「生物多様性」と「」に関わるものを特集しています。なかなかタイムリーな切り口です。企業や団体の方は、こちらもチェックしてみてくださいね。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。
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2009年02月02日

忘れてはいけない40年間

 今や環境問題と言えば気候変動を始めとする地球環境問題のことを指すのが普通ですが、かつては環境問題とは公害とほぼ同義でした。途上国のことを話しながら「日本にも昔は公害があったけれど、日本はそれを克服できた」と言ってしまうこともあります。

 しかし本当に公害は既に過去の問題なのか? 過去の話にしてしまっていいのか? そう私たちに迫ってくるのが樋口健二さんの写真集「環境破壊の衝撃1966-2007」です。

 帯には「自然破壊が止まらない」とありますが、写し取られたのは自然破壊だけではありません。「人間破壊」、「自然破壊」、「開発という破壊」、「原発安全神話」、「労働者災害」の5章に分かれ、1966年から2007年までの40年にわたる日本社会の愚行を、これでもか、これでもかと見せつけます。

 写真を見ながら、本文を読みながら、記憶を辿ってみれば、たしかに今から30年前は、まだ毎日のように公害のことが新聞やテレビで報道されていたのです。

 もちろん今はその頃に比べれば、公害はかなりコントロールされるようになり、当時のような社会全体の問題として話題になることはなくなりました。しかし、この本に出てくるような実に多くの方々の犠牲があって初めて、私たちはその問題を認め、状況を改善する必要を感じ、ようやく行動を起こしたのです。そのあまりに大きな犠牲を振り返れば、とても「今はもう克服したのだから」と喜ぶ気にはなれません。

 私たちはあまりに鈍感で、無責任であったことを認めなければいけません。そしてさらに恐ろしいことは、40年前、30年前に発生した公害で健康を害した方々にとっては、今なおその問題は続いているということ。その時代に失われた自然は、二度と再び戻って来ないということ。そして、原子力発電所や新たな開発など、今なお、同じことが繰り返され続けているということです。

 私たちの社会の発展と、毎日の豊かな暮らしが、実に多くの人と自然の犠牲の上にはじめて成り立っていることを見せつけられ、その業の深さに慄然とします。

 特にそれを強く感じるのは、4章の「現発安全神話」です。「絶対に安全」、「CO2削減の切り札」と喧伝される原発が、実は放射能を浴びながら点検、清掃、修理する下請け労働者の存在なしには一日たりとも動かないという事実。私たちはそんなことはほとんど知らされずに、毎日、原発の発電した電気にどっぷり依存しています。日本全体では約30%、東京電力、関西電力、四国電力、九州電力においては、約半分が原発です。

 170万人の労働者がこれまでに原発に関わり、35万人は放射線を被爆しながらの作業をしてきたと言います。半減期が数万年という廃棄物を出しつづけながら、今後さらに原発を増やすのか? 運転し続けるのか? そのことを決める前に、ぜひこの本の4章だけでも読んで欲しいと思います。
《関連記事》
■「原発でなぜ児童労働が?」(サスラボ)

 樋口健二さんは「あとがきにかえて」の中で「自分のテーマをつきつめてみると、日本のエネルギー産業が引き起こした問題であることに気づきました」と書いていらっしゃいます。「石炭、石油、原子力という図式のなかで社会問題がさまざまな形で発生していったのです」と言われると、なるほど、これはエネルギーの消費を増やしていく、私たちのライフスタイルの問題なのだと気づきます。この本の中には出てきませんが、もちろん巨大ダム開発も、日本の自然を壊滅的に破壊した原因の一つでした。

 昨年来の世界経済危機は私たちに世界経済のあり方を見直すことを迫りました。しかし、そんなことになる前から、こんな形での経済発展はそもそもあり得ないことは、私たちは知っていたはずなのではないでしょうか。

 とても重い本ではあるのですが、私たちの生活の影を知るために、ぜひともご覧いただきたい本です。「環境のためにこんなに頑張っているんです」と胸を張る社会が、企業が、ちょっと前までやって来たことを忘れるわけにはいきません。学ぶべき、伝え続けるべき教訓は、まだまだ残っています。

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2009年01月19日

リニア新幹線の本当の意味

 先日ご紹介した「イノベーション思考法」にご興味を持ってくださった方が多いようです(「本当のイノベーションのために」参照)。(さらには、黒川清先生ご自身にもこのブログを「発見」していただいたようで、感激しています) とてもおもしろくて役に立つ本なので、ぜひ実際にお読みいただきたいと思うのですが、「なぜイノベーションなのか?」という点についてだけ、もう少し説明を加えたいと思います。

 前回も書いたように、イノベーションは単なる技術革新だけではなく、市場や人々の生活を変えるところまでいって、そういうための社会制度の変革まで含んで、はじめて本当の(シュンペーターが言うところの)イノベーションです。

 ところが実際には、日本では単なる技術革新のことをイノベーションと呼んでいることが多く、迫力不足どころか、誤解すら招いています。

 多くの日本企業では、技術改良で一つひとつ「カイゼン」を積み重ねているに過ぎない「段階的(イクリメンタル)イノベーション」に留まっている場合も少なくありません(p.77)。しかし本来的なイノベーションは、旧弊を内部から壊すような「破壊的(デストラクティブ)イノベーション」である必要があるのです。そんなイノベーションであれば、それによってどんな新しい地平が開けるのか、ワクワクするのはもちろんです。

 イノベーションの具体例として、この本の中で紹介されていたものの中で僕が一番ハッとして、ワクワクしたのは、リニア新幹線です。東京ー大阪間を1.4時間で結ぶリニア新幹線。たしかに速いけれど、新幹線もあるのに、今さら巨大な投資をして、環境にも負荷をかけ、建設する意味があるのか。この本を読むまでは、そう思っていました。

 しかし、リニア新幹線のCO2排出量は現行ののぞみに比べれば3倍だけれども、飛行機(B777-200)に比べれば1/3以下なのだそうです。東京ー大坂間は燃費の悪いB747も随分飛んでいますから、それに比べれば1/5ぐらいになるかもしれません。

 つまり、新幹線の代わりではなく、飛行機の代わりと考えれば、所用時間は半分になるのに、CO2排出量は1/3にできるのです。これはスゴイことです。短距離の幹線であれば、飛行機なんていらなくなってしまいます。

 そして、リニア新幹線が意味を持つのは東京ー大坂間だけではありません。ワシントンーニューヨーク間、北京ー上海間など、世界中の様々な区間で飛行機に取って代わることができるはずです。そう考えるとリニア新幹線が俄然魅力的なものに思えてきました(電磁波の問題はまた別に考えなければいけないでしょうが...)。

 さらにリニアモーターカーは日本の技術として、世界に売り込むこともできるはずです。世界の環境問題解決に寄与しながら、日本のブランドを作り、日本の経済を発展させることもできるかもしれません。

 こんな風に考えると、なるほどリニア新幹線はかなり「イノベーティブ」だなと思えますし、それがイノベーションになり得るのは、環境問題の解決、飛行機に代わる交通手段の提案という、世界のニーズに応える視点でリニアモーターカーの応用を考えたからなのですね。

 というわけで、僕も改善ではなく、改革と呼べるような新しい仕組みや制度を考えてみたくなりました。皆さんも、いかがですか?

今日もお読みいただき、ありがとうございます。
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2009年01月18日

これでも「標準業務手順」

 以前サスラボでもご紹介したアムネスティフィルムフェスティバルは今週末の開催でした(「いろいろな人権」参照)。昨日は一日仕事だったので、今日、少しだけ観に行って来ました。

 イラクのアブグレイブ捕虜刑務所における米軍によるイラク人捕虜虐待事件を扱ったドキュメンタリー映画「スタンダード・オペレーティング・プロシージャー」などを観ました。現場で撮影された写真やビデオを使いながら、当事者たちへのインタビューで構成された作品です。

 映画の内容が真実だとすれば(僕はそうだと思っていますが)、本当に酷い、醜い、耐え難い仕打ちが行われていたのです。ちょっと横道にそれますが、日本の新聞で報道されていたことなんて、可愛いもんです。なんでもっとリアルな状況を伝えないのか? たとえそれが目を背けたくなるような残酷なことであっても、だからこそそれをきちんと伝える必要があるのではないかと思うのですが...

 タイトルの「スタンダード・オペレーティング・プロシージャー(S.O.P)」とは、「標準業務手順」といった意味ですが、容疑者(まったくの理由なく連行された人も多いようですが)を全裸にして、無理な姿勢で拘束し、顔をパンツで覆うことは捕虜虐待ではなく、S.O.P.なのだそうです。
《参考リンク》
■「被害者たちーハレド・アルマクタリ」(アムネスティ・インターナショナル日本)
※アグレイブ刑務所等で受けた仕打ちについて被害者が述べています。

 この狂気のような虐待が「正義」の名のもとに行われたこと、そのことが世界に知られると「規律違反」ということで、現場の一番下っぱの兵隊だけが「正義」の名のもとに処分されたこと。そしてそもそも、米軍のイラク侵攻が「正義」の名の元に行われ、誰もそんなことを信じなくなった今でも撤退の見込がないこと。すべてが唾棄すべき、忌まわしいことばかりです。

 拷問も行われたであろう尋問の様子は、写真やビデオが一切撮影されていないので闇の中です。S.O.P.以上の「本当の虐待」も行われていたのでしょうが、証拠がないので事件にはなっていません。(映画の中では拷問で死者が出たとき、そのことをどう隠蔽しようとしたかという話が紹介されていますが...)

 この戦争で一体何が解決したのか? 無辜のイラク国民はもちろん、戦争に参加したアメリカ兵も、こうした一連の行為で世界からの信頼と尊敬を失ったアメリカ国民も、全員が不幸になった戦争であったとしか言いようがありません。もちろん、どんな戦争でもそうなのでしょうが。

 アメリカはイラクにいくつもの刑務所を持つほか、キューバに悪名高いグアンタナモ収容所を持ち、ここでの人権侵害も同様に問題になっています。アムネスティ・インターナショナルは、グアンタナモ収容所の閉鎖を求めるグローバル・アクション"Tear It Down"を行っています。帰宅後、僕もさっそく署名をしましたが、ご興味のある方はぜひ、まずは日本語の参加説明方法「グアンタナモにNO!」をご覧ください。皆さんの声がオバマ新大統領に届き、ブッシュの退陣と共に、一刻も早くこのような状況がなくなることを痛切に祈ります。

 映画の中にはアメリカ人のプロの尋問専門家も登場しますが、彼もこうした違法な行為を馬鹿げているとし、「脅すよりニンジンをぶら下げた方が人は協力するんだ」と言っていたことが印象的でした。ニンジンで釣ればいいのかとも思いますが、脅迫や暴力から平和や安全が生まれないことだけは確かです。イラクにも、ガザにも、一日にも早く平和が訪れますように。

今日も読んでくださって、ありがとうございます。
ぜひいろいろな人にお伝えください。
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2009年01月17日

本当のイノベーションのために

 お正月に黒川清先生の「イノベーション思考法」を読んだのですが、同意する点が多く、また、頭の整理にもなりました。
《参考リンク》
■「黒川清のブログ

 「イノベーション」はしばしば技術革新と訳されますが、この本で意味しているのはそういう単純なことではなく、経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが提言した「創造的破壊」のことです。企業や社会が成熟すると、組織の必然として保守的になってしまう。これを中から破壊しなければ、組織は健康的に継続しない。だから創造的破壊が必要だという説(イノベーション・セオリー)です。

 つまりイノベーション=技術革新ではなく、市場と人々の価値観や生活を変えるような社会的仕組みの変革まであって、はじめてイノベーションと呼べるということです。当然、旧来の仕組みに依存する既得権益者からは強い抵抗にあいます。

 そうした抵抗をどう克服するのか。これまでの日本はいかにそうしたイノベーションが起きにくい環境にあるのか。そうした解説はなるほどと思いますし、また第5章の「イノベーションを起こすための20の心得」なども非常に役立ちます。

 もっともこの辺は黒川先生のお得意の分野ですから、こうした指摘はそれほど驚くべきものではないのでしょう。むしろちょっと意外だったのは、グラミン銀行を例に挙げ、「社会不安を取り除く試みも、イノベーションの大事な使命の一つ」と指摘したり、会社は「新しい価値を提供して社会に貢献」するべきで、そうした努力や態度が、社会に責任を果たそうとしているという評価につながると喝破していることです。まさしく慧眼で、見える方にはなんでも本質が見えるのだなと感心しました。

 さらに企業を取り巻く状況や、進むべき方向については、以下のように指摘されていますが、いずれも的を得たものだと思います。
「エネルギーや環境問題といった危機感を共有するいまの世界では、目に見えないこれらの価値が、大衆の無意識の要請(wisdom of crowds)に応え、企業の社会的責任を果たすために欠かせない」(p.135)
人材への投資や社会的活動への多寡などが、企業価値の大きな比重を占めるようになってきている」(p.136)
どのようなビジョンで何をしている企業なのかが問われている」(p.136)

 イノベーションを進める理由、またそこで解決すべき課題としては、以下のように述べていらっしゃいます。
「イノベーションが一国の国際競争力の源泉であり、豊かな将来を約束する」。しかし、それは「従来型の閉じた豊かさだけではなく、地球環境破壊や気候変動、さらには資源獲得競争といった、人類共通の課題に対する対処が大きな命題として含まれる」。(p.104)

 日本のより個別の課題について言えば、食料よりむしろエネルギーの自給率が重要で、気候変動だけでなく、再生可能エネルギー、食料政策を一つにまとめて国家ビジョンとして示すべき(p.147)であると。

 おそらくこうした指摘は学術会議や内閣府総合科学技術会議などでも繰り返しなさって来たと思うのですが、それが政策としてなかなか実現しないところに、日本の抵抗勢力の大きさを感じてしまいます。

 私たち一人ひとりについても、考えたり、行動したりする際のヒントになるような記述も多くありますし、「おわりに」に記されたグローバリゼーションの発展段階に関する整理も、現在の社会の発展を理解するために役立ちます。

 出てからもう1年近く立ちますので、読んでいる方も多いかも知れませんが、もしまだの方がいらっしゃれば... これからの日本や私たち一人ひとりが進むべき道を考えるために、そしてうまく抵抗勢力の力をかわすためにも(笑)、ぜひご一読をお勧めします。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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2008年12月24日

なぜ環境経営なのか?

 「環境の世界」(笑)にいらっしゃる方は、今さら環境経営でもないだろうと思われるでしょうが、世の中一般ではやはりまだまだ「環境」は特別のことなのだと思います。それでも、いやだからこそ、一般誌、特に経済成長や企業規模の大きさを第一の評価基準に置いていそうな経済誌が、環境経営を取り上げてくれることは画期的なことかもしれません。

 おまけにその経済誌が、「なぜ環境経営の重要性が増しているのか」、「今、求められている戦略的な環境経営とは何か」ということを、僕に尋ねてきました。世の中だいぶ変わったものだと思います(笑)

 ご興味をお持ちの方は、現在発売中のForbes日本版2009年2月号(2008/12/22発売)の特別企画「未来を拓く環境経営」の冒頭記事をご覧ください。

 なぜ環境経営が重要なのか。日本の環境技術や経営はどうなのか。そしてこれからの環境経営のトレンドはどうなるのか、といった問いにお答えしています。(これからの新トレンドはもちろん、生物多様性です!(笑))

 詳細は記事をご覧いただきたいと思いますが、僕が環境経営で重要だと思うのはリーダーシップです。高い技術を活かし、持続可能な社会への道筋を示し、社会や会社を引っ張っていくリーダーこそ、今いちばん求められているものだと思います。

 皆さんは、なぜ、どんな環境経営が重要だと思われますか?

《参考リンク》
■「月刊Forbes 日本版 2009年2月号
※ただし、Web上にはあだなお。へのインタビュー記事は掲載されていません。

今日もお読みいただき、ありがとうございます。
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2008年12月11日

いろいろな人権

 昨日12月10日は、世界人権デーだったのですが、皆さんご存じでしたでしょうか? 世界人権宣言が、1948年のこの日に採択されたことを記念して決められたそうです。

 とは言え、急に「人権」と言われても、「それって何のこと?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。あるいは、世界中で人権が脅かされている状況についてもっと詳しく知りたいという方もいらっしゃるでしょう。

 そんな方にオススメしたいのが、人権を守る国際NGOアムネスティが開催する、「アムネスティ・フィルム・フェスティバル」です。来年の1月17日、18日の2日間にわたって新橋のヤクルトホールで開催されます。現在前売券発売中です。

 上映作品の詳細は以下のリンクをご参照いただきたいと思いますが、いずれも見応えがありそうです。いろいろな人権にまつわる、私たちの社会の断面を見ることができるでしょう。

アムネスティ・フィルム・フェスティバル 2009年1月17日(土)・18日(日)


 ところで今日あるCSRの集まりで、こんな話をされた方がいました。「不況だからとリストラをしたり、派遣契約を打ち切ったりする会社が出てきたが、ギリギリのところまで雇用を継続することこそ今一番必要なCSRではないのか?」まったく同感です。

 さらに先日は、こんなことを言っている方もいました。「業績が大幅に悪くなったので、契約社員を大量に整理しようとしている会社がいる。しかし、その会社は株主への配当は減らそうとはしない。順序が逆ではないのか? 大切なのは従業員なのか、株主なのか?

 口ではなんと言おうとも、経営者の方がどちらを重視しているかは、行動をみればすぐにわかります。もしこれに対して誰もが納得するような反論があれば、ぜひ聞いてみたくありませんか? そして、人よりもお金の方がが大切にされるのだとしたら、これも立派な人権問題のように思えます。

いつも応援、ありがとうございます。
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2008年11月07日

何の紅葉?

 東京でも朝夕はめっきり涼しくなって来ました。紅葉真っ盛りという地域も多いのではないでしょうか。有終の美を飾るかのように黄色や赤に美しく色づく葉が、いったい何の樹の葉なのか気になりませんか?

 赤、燈、黄と紅葉にも様々な色がありますが、実は紅葉する色は樹の種類によっておおよそ決まっています。色で区別でき、また落ちた葉を手にしてじっくり観察できるこのシーズンは、もしかしたらツリーウォッチングには最適と言えるかもしれません。

 この美しい葉が何の葉か気になったら、この秋に発刊になったフリーペーパー「konoha」第1号をご覧になるといいかもしれません。雑木林でツリーウォッチングが楽しめるように、20種余りの身近な気の紅葉の原寸図鑑が掲載さています。

 さらに詳しく、あるいは多くの種類を知りたい方には、この原寸図鑑の転載元になっている「紅葉ハンドブック」がオススメですが、原寸で見ることができるという意味では「konoha」も魅力的です。

 そして実はこの「konoha」では、僕が企業のCSR担当者からお話をお聞きするRain Tree Cafeというコーナーも連載されていますし(^^;)、「1冊の図鑑からひろがる世界」という自然の本をつなげて図示するというおもしろい試みもあります。 

 「konoha」が気になった方は、まずWebサイトをご覧いただきたいと思います。全国の博物館や自然観察センターなどで無料配布していますが、お近くに配布場所が見つからない場合には、版元から郵送してもらうこともできます(送料がかかります)。
■「設置・配付場所」(konoha)

 次の発行は来年春ですが、今度はどんな図鑑が掲載されるのか楽しみですね。この新しいメディアを、ぜひ皆さんも応援してください。

今日もご訪問、ありがとうございます。
身近にどんな落葉を見つけたか、教えてくださいね!
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2008年11月06日

バカな恐竜

 「地球温暖化のことは知っていても、自分たちの欲にブレーキをかけられないでいる。」 経済化でそのように肥大した恐竜「エコノザウルス」は、私たちのことです。
《参考リンク》
■「エコノザウルスの環境漫画展
■「エコノザウルスって何?」(同上)
■「エコノザウルスが行く!」(同上)
■「環境マンガって何?」(同上)※エコノザウルスのマンガを実際にいくつも見ることが出来ます。
 
 そんな環境マンガで、ユーモラスかつシニカルに私たちに警告を発して来た本田亮さんが、作家の椎名誠さんとコラボして作った最新刊が「エコノザウルスカウントダウン」。その名の通り、エコノザウルスへの最後通告です。

 「手のひらに乗る可愛いサイズの本」、「贈り物にも最適!!」とご本人はおっしゃいますが、そのユーモラスなマンガとは裏腹に、読んでいるうちに真剣にならざるを得ません。データを交えたわかりやすい説明は、やさしく笑いながら、冷徹な現実を私たちに突き付けて来るからです。

 この小さな絵本を読むだけで、今私たちがどのような危機に直面しているのか、今までまったく環境のことを考えたことがなかった方々にも伝わることでしょう。マンガの間に挟み込まれた、椎名誠さんのエッセーにも考えさせられます。

 ぜひ目をそらさずに、すべての方に読んでいただきたい一冊です。

 ところで今日、アメリカはオバマ氏を大統領に選び、8年ぶりに民主党が政権を取ることになりました。オバマが言うように「変革が米国に到来した」のです。環境面でも大きな政策変更があることが期待できます。しかし、まだそれだけで喜んでいるわけにはいきません。それは例えば、この本の中にある「ひとつ星の上の争い」と題された項目を読めばわかります。(イラストは、本を見てくださいね。)
1950年、世界の戦争は13件だった。
2005年の戦争は28件、武力紛争は11件。
時代がどんなに進んでも、人間は戦争を止められないでいる。
2004年の世界の軍事費は、1兆240億ドルを越えた。
1日1〜2ドルで生活している人が数十億人もいるのに、
軍事関係には世界人口1人あたり166ドルも使っている。
2004年、経済協力開発機構(OECD)に加盟している先進国が
軍事プログラムに使った費用は、開発援助に支出した金額の10倍以上だ。
アメリカでは、それが24倍。
いま地球が抱えている環境問題は、軍事費の1/10もあれば解決してしまう。
人と人が殺しあうより、自分たちの星を守ることにお金をつかおう。
出典:「エコノザウルスカウントダウン」p.53

 私たちは「自分の欲を抑えられずに、地球を食べつくしたバカな恐竜」なのか、最後の最後で思い止まることができるのか。今、私たちはその瀬戸際で試されているのです。

いつも読んでいただいて、ありがとうございます。
あなたの周りには、どんな恐竜がいますか?
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posted by あだなお。 at 00:34| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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