2010年12月13日

もう走り出している企業

 カンクンでのCOP16は国際合意を得ることの難しさをまた一つ見せつけましたが、だからと言ってCOP17まで待っている必要はありません。世界の先進企業はもうとっくに走り始めています。そんな先進企業の動きが、今回のCOP16関連でもっとも衝撃を受けたニュースでした。(日本政府の「いかなる数値目標にも署名しない」発言も衝撃的でしたが(笑))

 カンクンでCOP16が始まった11月29日、パリでは消費財フォーラム(The Consumer Goods Forum(CGF))が気候変動防止のために、二つの重要なイニシアティブを発表しました。一つは、2020年までに開発による森林破壊をネットゼロにする誓約。もう一つは、温室効果の高い冷媒であるハイドロフルオロカーボン (HFC)の使用を段階的に廃止する誓約です。特に前半の森林破壊をネットゼロにすることは、生物多様性の保全のためにも大きな効果がありますので注目されます。

 CGFとは、2009年に結成された世界70ヶ国の小売業、消費財メーカー、サービスプロバイダーなど650社以上のCEOや経営層400名からなる企業人のネットワークです。全企業の売上を合計すると、2兆1千億ユーロにもなります。

 実は日本企業も多数名前を連ねているようで、メンバーリストを検索すると、40以上の有名企業などの名前がずらりと並んでいます。
《参国リンク》
会員リストの中の日本企業

これらの企業もこのイニシアティブに参加しているようであれば大変心強いのですが、今回のプレスリリース(PDF)には残念ながら日本企業の名前は一つも入っていません。リリースを読むと、今回の決議は理事会によるものですが、この活動は会員各社が個々のイニシアティブとして行い、また、政府やNGOとのパートナーシップについては一緒に活動するとしています。会員企業すべてが参加するというわけではなさそうです。

 ちなみに今回この両方のイニシアティブに参加することを宣言したのは以下の企業です。
共同議長 Unilever, Tesco
参加企業 Ahold, Barilla, Carrefour, Coca-Cola, Delhaize, General Mills, Henkel, Johnson & Johnson, Kellogg, Kraft, Kroger, L’Oréal, Metro, Nestlé, Pepsi Co, Procter & Gamble, Sara Lee, S.C. Johnson, Sobeys, Tesco, Unilever, Walmart

 いずれも錚々たるグローバル企業です。こうした大企業だからこそできるのだろうと思われる方もいるかもしれませんが、大企業だからこそ、身体も大きく、舵を取るのは大変なはずです。また、いくつかはの企業は日本でもビジネスをしていますので、当然日本市場へも影響を与えるでしょう。世界のどこかの地域のローカルな事件ではないのです。

 ちなみに気になる森林破壊のネットゼロについて、詳しい方法はリリースの中では述べられていませんが、関係がある(問題がある)事例としては、大豆、パームオイル、牛肉、紙、板となっています。こういう産業において、もうこれ以上はプランテーション等の開発をしないという決定は、大きなことだと思います。

 もう一つ気になるのは、そうした決定で原材料がコストアップになるのではないかという点ですが、それについてもCGFは、消費者に追加コストを負担してもらうことにはならないだろうと確信しているといいます。なぜなら、持続可能な生産を行うことで、収量が増加し、コストはむしろ低下するからだと述べています。大変な自信であり、また、大変な覚悟だと言えます。

 今回のCGFの決定は気候変動の防止のためにももちろん歓迎すべきことですが、先に述べたように生物多様性の保全の観点にも役立ちます。そしてこの決定をした企業は、先の生物多様性条約COP10で決定された愛知ターゲットの達成に、確実に一歩近づいたと言えるでしょう。

 愛知ターゲットをどう達成させるか。日本国内ではまだ本格的な検討は始まっていないようですが、くれぐれも日本企業が遅れをとって不利になったり、また安全な資源を入手することができなくなるなどといったことがないように、日本企業の自主性にも期待したいと思います。

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2010年03月12日

悲しき温対基本法

 12日、地球温暖化対策基本法案が閣議決定しました。ただ、とても手放しで喜べるような内容、状況ではありません。

 条件付きながら、温室効果ガスを1990年比で2020年までに25%削減はキープ、また2050年までには80%削減としています。「高過ぎる目標」とするメディアもあるようですが、既に国際公約している2050年に世界で半減するためには、80%削減でも不十分かもしれません。決して「突出して高い」などとは言えないでしょう。

 国内排出量取引制度を創設することは盛り込みましたが、民主党のマニフェストにあった総量規制であるキャップ・アンド・トレード方式からは後退し、原単位も検討するということになってしまいました。それでも経済界は猛反発しています。

 地球温暖化対策税(環境税)の実施に向けた検討や、太陽光以外の再生可能エネルギーの全量を電力会社が買い上げる固定価格買い取り制度も前進ですが、欧州等に比べれば、むしろ遅過ぎたぐらいです。

 そしてがっかりなのは、2020年までの再生可能エネルギーを1次エネルギー供給量の10%にという目標にしたことです。当初案の「消費量の20%」に比べるととこれはやはり後退なのではないでしょうか。また、ヒートポンプなど、本来の再生可能エネルギーでないものも含めることによる「水増し」も行われています。

 さらに、社民党の強い反対にも関わらず、温暖化対策として原子力発電の推進も盛り込まれてしまいました。温排水等の影響を考えれば、原子力は温暖化対策にはなっていませんし、生物多様性に対する悪影響も大です。さらに、人にも大きな危害を加える可能性を考えると、とても鳩山政権の「いのちを守る」精神にはとても合わないと思うのですが...

 この内容でも経済界は猛反発ということも悲しくなりますが、鳩山政権は頑張ったつもり(?)でも、欧州に比べるとどうしても見劣る内容です。若干の前進を評価するべきなのかもしれませんが、肩透かしを喰った印象は免れません。今までのやり方ではもうダメなのだということを、なんとか政治がきちんと示して欲しいと思いますし、その認識のもと、オールジャパンで頑張りたいと思うのですが...

《参考リンク》
■「温対基本法に暗雲――与党内不一致露呈、各界の激しい反発」(環境メディア、2010年3月11日)
■「第4回 危うし「温暖化対策基本法」」(nakata.net)

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2009年12月24日

COP15から学ぶこと

 前回のエントリーでも書いたように、COP15では削減量についての数値目標に合意することはできず、特にNGOからは「大失敗」であるとか、あるいは「期待を裏切る犯罪的結果」という手厳しい批判もされています。
<参考リンク>
■「COP15 (コペンハーゲン会合) 世界の最貧困層の人々にとって最悪の結果に」(FoE Japan、2009年12月21日)
■「COP15:コペンハーゲン会議終了!」(WWF Japan、2009年12月21日)
■「コペンハーゲン会議、歴史的な合意ならず ――期待を裏切る犯罪的結果と、グリーンピース国際事務局長」(Greenpeace Japan、2009年12月19日)

 COPでは全締約国が合意しなければ、決議とはなりません。にも関わらず、アメリカをはじめとする先進諸国の首脳は、自分たちで決議文だけを用意し、他の国々がこれに合意するのを確認することなく、帰国してしまいました。

 残された国々は、その決議文をのむか、あるいは決議を流すかしかなかったわけです。ちょっと乱暴というか、小国を馬鹿にしたような態度にも思えます。

 「いや、他にも重要な、一刻を争うような問題がたくさんあるのだ」とおっしゃるのかもしれませんが、これからの地球全体の運命を決める問題以上に重要な問題などあるのでしょうか?無責任と言われてもしかたないでしょう。

 ところで先進国は、途上国支援として、2012年までに300億ドル、2020年までには最大1000億ドルの資金提供を今回約束しました。これは一応、歓迎すべきことではあります。

 一方、海面上昇で国家消滅の危機にさらされているツバルの代表は、「our future is not for saleと公然と拒絶の姿勢を見せた」そうです。眼の前のニンジンなどには騙されないぞというわけです。

 前回も紹介したように、多くの途上国が大変な切実感をもってこの問題の解決を考えているのに、先進国のリーダーたちは本当にその切実感を受け止めて、自分たちに出来得る限りの努力をしたと言えるのでしょうか。

 @ks91020さんが、「私が選ぶ声明 暫定3位 」として、オーストラリア首相の言葉を紹介しています。「世界のリーダーたちに問いかけたい。今週末、家庭に戻ったとき、自分が持てるすべての力を発揮して、気候変動の危険に立ち向かったと、自分のこどもの目を見て言い切れますか

 この言葉を、今一度、私たち全員が深く噛みしめる必要があるのではないでしょうか。

 それにしても、これだけ多くの国が、異なった利害や思惑を抱える中で、全員一致しなくては前に進めないというのは、制度的に無理があるのではないかとも思えます。今回、数値目標について合意がなくても日本政府が25%削減の目標を取り下げなかったのは不幸中の幸いでした。

 一方、数値目標について国際合意に至らなかったことを歓迎しているかのような発言をしている企業もあるようですが、気候変動は自然科学の法則に従って起きる物理現象であって、政治で決まる問題ではないのだということを今一度思い起こしていただきたいと思います。

 政治的には合意に至らなくとも、気候変動の進行が足踏みしたり、ましてや止まるわけではないのです。近い将来、必ず対処しなければいけない問題なのですから、それこそ「自主的に」、どんどんと先手を打っていくことこそ、企業経営上も望ましい方策であるはずです。

 私たちには、悠長に次のCOPを待っている時間はありません。国際合意も重要ですが、完全な合意を待たずに、自主的に動いていくことの重要性、必要性を、今回の教訓にすべきなのではないでしょうか。合意の有無に関係なく、今こそ前進すべきときだと思います。

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2009年12月14日

キャップなしに削減させる方法

 どのような結論になるかまだまだ予断を許しませんが、コペンハーゲンではCOP15の熱い議論が続いてます。この会議の結果が地球の未来を決めると言っても過言ではありませんから、さらに注意深く見守りたいと思います。

 さて、COP15で前向きな目標が出来たとして、日本もそれにコミットすれば、排出権取引を導入するのも時間の問題でしょう。キャップを被せるのは不公平、自由な経済の発展を阻害するとの一部企業による反対論は、どうも身勝手な都合の言い訳のように聞こえます。ただ、仕組み作りをうまくしないと不公平が生じてしまう怖れはたしかにあります。

 例えば、どこをベースラインにするかによって、先進的に対応を進めてきた企業が不利になり、ギリギリまで対応を後延ばしにしてきた企業が有利になってしまうという可能性はあります。

 あるいは、排出権が高くなることを見越した投機的な業者などによって、排出権の価格が吊り上げられてしまう可能性もあり得るでしょう。

 このようなことでは、排出権取引が導入されても、大幅な削減は出来ないかもしれません。それでは、どうしたら各社の排出量に応じてもっと公平な負担を実現し、実質的に排出量の削減をできるのでしょうか? 

 この難問について先日、麗澤大学の高巌先生から非常に興味深い提言をお聞きしました。キャップを被せずに、自主的な排出権の購入としながら、不公正も防げる方法です。

 その方法では、政府が企業に排出権を有償で割り当てることが基本になっています。というか、企業は一定価格で排出権を政府から買うのです。排出量が多い企業はたくさん、少ない企業はそれに応じた排出量を買います。

 余った排出権は翌年に繰り越すことは出来るのですが、3年後には失効します。ここが最大のミソです。したがって、将来排出権が高値になることを見越した投機的な購入は避けられ、企業は本当に必要な分だけを購入することになります。

 もちろん排出権を買う量が少ないほど負担は少ないので、排出量を削減する企業の取り組みも進みます。実質的に排出量が削減されるのです。

 この方法ではキャップを被せる必要がありませんので、企業は自らが必要な量の排出権を購入し、必要量を継続的に削減しようとするはずです。

 全量購入となると経済に対する負担が大き過ぎるという意見もあるかと思いますが、当初は使用した排出権については、その9割程度を年度末に還付金として払い戻すので、実質的な負担はそれほど大きくはありません。ただしこの還付率はだんだん下げていきますので、なるべく早い時期に排出量を削減する方が有利になります。

 この方法が素晴らしい点は、既にこれまで自主的に削減してきた企業や、これから頑張って急速に削減を進めようという企業が報われるということです。頑張った企業に有利な仕組みになっており、いつまでもグズグズしている企業や、排出権で一儲けしてやろうという組織が有利にはならないのです。

 オークションでもいいのではないかと思いましたが、一定価格にした方が、価格が吊り上げられて体力のない企業等が困ることがないだろうとの配慮だとのことです。この点もなるほどです。

 なかなか理想的な方法に思えますが、いかがでしょうか? 日本国内でこの制度を試行し、うまく行くことを確認して国際的に提案しましょうというのが高先生の考えです。

 この方式に関して僕が唯一心配なのは、排出権の価格です。高先生は現在の市場価格に一定のデフォルト率を加えたものにすればいいというお考えなのですが、現在の市場価格は、日本国内での削減コストよりははるかに低いものになっています。したがって、自分で削減するより排出権を買い続けた方がいいやという考え方をする企業が出ることが予想されます(特に還付率が高い最初のうちは)。

 こうしたモラルハザートを防ぐためには、やはり実際の削減コストを勘案した絶妙な価格設定をする必要があるのではないかと思います。このことついても、今後さらに研究が進むことを期待したいと思います。

 このノン・キャップ方式にご興味のある方は、まずは以下の麗澤大学のプレスリリースをご覧ください。研究成果の概要と、関連する2つの論文へのリンクがあります。論文はリンク先から、PDFでダウンロードできます。
■「麗澤大学経済学部長の高巖教授らが「温室効果ガス25%削減」に向けた提案を発表」(麗澤大学)

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2009年10月18日

エコ革命の時代へ

 この一カ月半ぐらい、ものすごく時間の進み方が早かったように思います。仕事が忙しかったというせいもあるのですが(^^;)、実際に世の中がドンドンと動いていくのを感じます。

 もちろんその最大の原因は、政権が変わったことです。今までのところ、民主党が予想以上に健闘しているというのもありますが、その変化を起こしたのは国民の選択だったということをまず忘れてはいけないでしょう。「どうせ自分が投票したって」、「自分一人が反対したって」では決してない。みんながオカシイと思ったことは、必ず是正される方向に動く。そのことを実感している方も多いのではないでしょうか。大げさな表現をすれば、はじめて日本で(少なくとも国政レベルでは)民主主義が機能し始めたのです。

 もちろん日本以外の国も激動しており、そのことは一つ前の記事「気候変動、世界が動く」でも書いた通りですが、国内で言えば、「2020年に25%削減」というのが短期間のうちに国策として受け入れられつつあるということがやはり、影響大です。

 今日、来日中のニコラス・スターン卿のお話(挨拶)をお聞きする機会があったのですが、もちろん鳩山政権の目標については評価していましたが、「今ふりかえると、スターンレビューの警告は弱過ぎたかもしれない」と恐ろしいことをおっしゃっていました。2006年当時は十分に衝撃的なものでしたが、それすら今冷静に考えると、遠慮し過ぎていたというのです。

 その後、比較的早く帰宅したので、NHKスペシャルの「自動車革命 トヨタ 新時代への苦闘」を見ながら夕食。トヨタと言えばプリウスでエコカーの分野では一人勝ちかと思いきや、さにあらず。世界は急速に電気自動車に向けてシフトしており、トヨタとしても計画を前倒しせざるを得ない状況。そのことで、広大な裾野を持つ自動車産業全体が激動していると...

 つまり、ガソリン車から電気自動車へバトンタッチするということは、そのぐらい影響力がある大変化であり、トヨタと言えども、あるいはトヨタと長らく共存してきた系列部品メーカーと言えども、安閑とはしていられないという報告です。

 もちろんそうなのでしょうが、僕はそれだけでは終わらないと思います。というより、そのぐらの変化では済まないと思うのです。ちょっと前に「未来の自動車?」でも書いたように、持続可能なモビリティは、カーボン・ニュートラルなエネルギーにシフトするだけでは実現できません。

 環境負荷、社会的コストを限りなく小さくして、子どもからお年寄りまで、誰もが自由に移動できる社会こそが目指すべき社会であり、そのためには自家用車から「卒業」もあり得ると思います。2025年までにはきっとそういう変化が起きると思うのですが、そのときの激震は、電気自動車へのシフトどころではないかもしれません。

 テレビを見ながらTwitterをしていたら@suesiさんが、「環境革命ってあんまり誰もいってないな。持続可能な社会になることは、今の社会からの卒業なんだから革命だろう、きっと。無血かもしれないが無傷は無理。」、「エコがお洒落の時代から、環境革命というシビアな時代に向かってるはずだ、今後はきっと。牧歌的なタームはもうすぐ終わり。」とちょっと怖いことを... でも、たしかにその通りだと思います。

 「エコ」が単なるファッションや流行だと思っている企業人の皆さん、要注意です! 世界は、いや日本も、きっと皆さんが想像する以上の速度で変化しています。巨大な津波は静かにやって来て、その中に巻き込まれてから気付いても遅いのです。

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2009年10月10日

台風のメッセージ

 日本列島を縦断した先日の台風18号、皆さんのところでは被害はなかったでしょうか? 不幸にも被害を受けられた方々には、心からお見舞を申し上げます。

 伊勢湾台風並と言われながらも、そして列島を縦断したのに、日本国内での被害は予想よりは小規模に留まったのは何よりでしたが、電車が止まるなどして苦労をなさった方も多かったのではないかと思います。

 都心部でもお昼過ぎ、路線によっては一日中混乱が続きました。既に雨は止んでいるのに、電車は動かない。いつも当り前に利用している電車が動かなくなった途端、人がホームから溢れ、タクシーは長蛇の列、駅前の喫茶店も満席。一体どこへ行けばいいのか、あるいは会社にどうやって辿りつけばいいのか。

 高度に築き上げられた近代社会も、天災の前にはいかに無力であるかがさらけ出されたわけです。私たちは天候をコントロールすることもできないし、自然の力は人間の社会も生活も、いとも簡単に破壊できるのです。ともすれば忘れがちな自然の力の大きさを、再度私たちは見せつけられました。

 特にそれを感じざるを得ないのは、フィリピンや台湾の被害です。多くの人命が失われ、本当になんと言っていいのか... マニラの友人から、自分の家は大丈夫だったが、友だちの家が被害を受けたというメールをもらったりすると、とても他人事というわけにはいきません。

 今年が特に台風の当たり年なのかどうかはわかりませんが、自然災害による被害が最近増えているのは、統計上も明らかです。そして、因果関係を直接的に証明することは出来なくても、やはりこれは気候変動の影響であると考えるのが素直なのではないでしょうか。

 首都圏を台風が直撃したのは久しぶりのことだったと思います。いろいろと不便があって大変だったなというだけでなく、これを自然の警告であると捉えることはできないでしょうか。ウォルマートのリー・スコットCEO(当時)の目を覚まさせたのは、2005年のハリケーン・カトリーナであったといいます(「誰がウォルマートを変えたのか?」参照)。

 後になってから、「ああ、そう言えばあれが...」では遅過ぎます。毎日起きている現象が何を意味しているのか、その背景に何があるのか。私たちは今回の台風からどんなメッセージを受け取ったのでしょうか。
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2009年10月07日

表現方法いろいろ

 環境問題に取り組んでもらうためには、まずこの問題に興味を持ってもらうことが重要です。そのために、世界各国であの手、この手の活動が行われています。

 日比谷公園で開かれた「グローバルフェスタJAPAN2009」で、「環境・気候変動・地球」をテーマにした直径6メートルのフラワーカーペットが披露されたというのは、まぁ普通の取組ですね。
■「環境問題がテーマのフラワーカーペット」(AFP、2009年10月3日)

 セレブが集まって歌で気候変動対策を訴えるというのも、立派ですが、常識の範囲内です。 

 しかし、ブルゴーニュのワイン用ブドウ畑で集団ヌード撮影会となると、ちょっと訳が分からなくなってきます(^^;) たしかに気候変動の影響でブルゴーニュではブドウを作るのが難しくなるようですが、まぁ話題作りでしょうか?

 そして、今回もっとも気合いが入っていると思ったのは、これ。気候変動によって国が沈んでしまう危機を世界に訴えるため、なんと水中で閣議を開いてしまうというモルディブ!
 モハメド・ナシード大統領こそスキューバダイビングのライセンスを持っているそうですが、もちろん閣僚の中にはダイビングなどしたことがないという方もいて、なんと「前週末、14人の閣僚たちは首都マレ(Male)に近い島でスキューバダイビングの講習を受けた」のだそうです! 大臣も大変ですね(^^;)

 以上の皆さんの努力が伝わったことを願っています。さて、皆さんは周囲の方に、どうやって地球環境問題に興味を持ってもらいますか? いいアイディアがあったら、教えてくださいね。

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2009年09月25日

ブログが世界を変える

 Blog Action Dayというのがあるのだそうです。僕も最近初めて知ったのですが、世界中のブロガーが同じ日に、同じ話題についてをブログに書く。そのことで世界的に重要な問題についての議論に火が着くことを期待して...

 そして今年の世界統一テーマは... Climate Change、そう「気候変動」です。たしかに今やこれほど世界共通の関心事はないですよね。サステナ・ラボもさっき登録してきましたし、10月15日のBlog Action Dayにはもちろん気候変動の話題を書こうと思います(あ、その前にも書くと思いますが(笑))。

世界を変えるために、一つのブログができることって何だろう?
自分だけでは大したことはできなくても、
幸いなことに、私たちは一人じゃない。
世界にはたくさんのブログがある。
世界中のあらゆる話題をカバーして、
10月15日に
あらゆる場所のブロガーが団結する、
インターネットでこれまで最大の社会イベントのために。
ある日、ブロガーたちが一つの話題について書き、
世界を変える。
ブログアクションデー'09。
昨年は12000のブロガーが14百万の読者にメッセージを伝えた。
今年はあなたのブログが、私たちの地球が直面するもっとも喫緊の脅威に立ち向かうことに手を貸す。
気候変動。
それは環境を脅かすだけではない。
飢餓、洪水、そして戦争をも引き起こす。
今がその流れを変えるベストなタイミング。
今年の12月、世界のリーダーたちが集まり、
気候変動に対応するために議論をする。
10月15日、
私たちはブロガーとして団結し、
世界に自分たちの声を響かせる。
一つの日。一つの話題。数十万の声。
(※上記ビデオの仮訳です)

 もし皆さんの中にもブログをお持ちの方がいらっしゃったら、こんな形で世界とつながるのはどうでしょう?
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2009年09月11日

アダプテーションが試金石

 昨日は鳴子へ。東北大学の生態適応グローバルCOEの研究会で、東北大の旧附属農場を訪れていました。演習林近くの見事なブナ林も見せてもらいましたが、直径1mを越すような立派な大木もあって(下の写真)、よくこんなのがただの県有林に残っていたなぁと感激。おそらく寿命は200〜300年ぐらいになっていると思います。
beech.jpg

 ただ心配なのは、これからの気候変動。人間によって無闇に切り倒されることがないにしても、気温が上がり、乾燥化が進めば、このブナの林も存続できなくなってしまうかもしれません。実際、気候変動が生物に与える影響は、既に現実に起きているのですから。

 生物はもともと、多少の環境の変動には耐える力、元に戻ろうとする力を持っています。生態学では、レジリエンス(resilience)なんて小難しい表現を使いますが。

 しかし、その範囲を超えてしまうと、レジームシフト、すなわち枠組みが不可逆的に変化してしまいます。そうなってしまうと、今までとはまったく違う世界。ですからそうはならないように、どういう範囲であれば回復力が働きうるのか、また場合によってはどうやったら回復力を高めるのか、そういうことをきちんと理解しておくことが重要です。

 そして万一レジームシフトかそれに近いことが起きてしまった場合でも、それにどうやって対応していくか。それをきちんと考えておく必要があるでしょう。実際、気候変動というのは、人間を含めた生きものにそのぐらい大きな影響を与えるものなのですから。

 そんなわけで、最近、海外では気候変動について語るときには、どうそれを緩和するか(mitigation)だけでなく、起きるであろう(あるいは起きてしまった)変化にどう適応するか(adaptation)がセットで問題にされることが多いように思います。

 もちろん全力でミチゲーションをしなければいけないのですが、もはやある程度の、いやかなりの気候変動の影響が出ることは避けがたいので(実際、既に出ているのですから、この先それがさらにひどくなるのは必至です)、それに対する備えとしてアダプテーションもしっかりしておこうということです。そのぐらいリアリティをもって、気候変動を捉えているし、対応にあたっているということです。

 ところが日本は... 今だもってミチゲーション一辺倒で、企業からも、行政からも、ほとんどアダプテーションの話は出てきません。そもそも産業界は、ミチゲーションしなくても大したことはないと思っているようですから...(^^;) まるで自分たちとは関係のないことだと思っているのではないでしょうか?

 もちろん研究者はアダプテーションまで考えなければいけないことはしっかりわかっているので、研究もしています。今回ご紹介した東北大のGCOEもまさにそうしたことを研究テーマにしていて、そのことを世の中に広めようとしているのですが...  

 どうしたら日本でも気候変動を現実の問題にできるか。大きなチャレンジです。アダプテーションが話題になるようになったときは、日本でも気候変動がリアリティを持って受け止められるようになったということなのでしょう。アダプテーションは、気候変動の捉え方の試金石になりそうです。

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2009年09月08日

まず月に行くと決めたから

 今日は午後から、朝日地球環境フォーラム2009へ。パネル討論の第1会場は、「地球と人間」。その中でまず、テーマ2:「森と水の循環」にパネリスト出演しました。

 「森と水の循環」と題しているものの、パネリストは元琵琶湖研の研究者である嘉田由紀子滋賀県知事、Mr. 生物多様性こと国際自然保護連合(IUCN)主席研究員ジェフリー・マクニーリーさん、そして僕ということで、どう見ても本当のテーマは生物多様性です(笑)。

 実際、コーディネーターの伊藤智章論説委員(朝日新聞)も、生物多様性、あるいは気候変動と生物多様性ということで話を進めていきます。

 元研究者らしく、琵琶湖の生態系やその危機について詳しくお話をなさる嘉田知事や、気候変動と生物多様性の関係、特にそれが途上国で大きな問題をおこすことをマクロな視点から紹介するマクニーリーさん、そして僕は企業の役割についてと、それぞれ少しずつ違う観点から、うまく立体的に話が進んだのではないかと思います。

 そしてどうしても、昨日の「鳩山イニシアティブ」の余韻が残っているらしく、いろいろなところで、いろいろな方が、鳩山代表の25%削減という目標に言及していました。

 実は滋賀県は、2030年に50%減という、鳩山イニシアティブよりはるかにチャレンジングな目標を立てています。鳩山イニシアティブは、世界の主要国が意欲的な目標に合意したらという条件付きの目標ですが、滋賀県はそんな条件など一切なしです。そしてカッコ良かったのは次のセリフです。

 「出来るか出来ないかではなく、やるかやらないか。これは政治の意志の問題です。」

 嘉田知事がよくおっしゃる言葉なのですが、リーダーには、こういう気概を示して欲しいものです。

 テーマ2のパネルディスカッションの後には、今回の協賛企業である王子製紙の副社長さんが「日本の製紙産業と森林」という題で特別講演をなさったのですが... 生物多様性に関する突っ込んだ議論や、こんなカッコイイ発言の後では、ちょっとお気の毒でした(^^;)

 さて、その後のテーマ3は「太陽の時代に向けて」。まさに昨日の鳩山イニシアティブの後にぴったりの話題です。

 ISEPの飯田哲也さんは、自然エネルギー、特に太陽エネルギーは十二分の量があることや、自然エネルギーを系統接続してもそんなに大きな問題がすぐに起きるわけではないことを指摘して、「自然エネルギー100%は『出来るか』ではなく、『いつまで』が問題だ」と言います。ですから、「25%削減なんて『とんでもない』と言う人の方が『とんでもない』」とも。会場は大受けでした。

 また、 もう一人のパネリストである東京都の大野理事(前の地球環境部長)は、良い技術はあるのに、しかもそれほど値段が高いわけではなく、数年で元が取れるにも関わらず事業者がその投資をしようとしない現実を指摘して、「だから良い技術のものが売れるようにするには、私達が規制で後押しする必要がある。」 これもいいですね。これこそ行政の仕事、役割だと思います。

 その後も、飯田節は続いたのですが、僕が大きく頷いたのは、「ノモンハンの頃から、日本のリーダーは、『世界の価値観今何が起きているのかを共有出来ていない』と批判されていた」との指摘です。なぜなのでしょうか? そしてさらに恥ずかしいのは、「加えて、パブリックの精神もない。自分たちがリーダーとしていま何をすべきかという視点がない」という指摘です。残念ながら、これまでは本当でした。

 昨日の鳩山代表のスピーチは、同席していたIPCCのパチャウリ議長も絶賛したそうです。日本にもようやく真っ当なリーダーが現れたのだとすれば本当にいいのですが... 是非そうであることを願いたいと思います。

 ところでちょうど今週、こんなニュースも流れていたのをご存じでしょうか?

 日本は影響が少なくて一安心と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、むしろ気にして欲しいのは、貧しい途上国ほど、GHGの排出量が少ないにも関わらず、ほとんど責任はないのに、もっとも影響を受けてしまうということです。

 「「リスクが非常に高い」と判断された28か国のうち、22か国がアフリカ諸国。先進国が多くのCO2を排出しながら「豊かな生活」を続けているせいで、「豊かな生活」を送っていない国が非常に高いリスクにさらされているなんて理不尽だなぁ。」「国内だけで不公平とか言う前に世界の現状を直視しなければなりませんね。」とつぶやいている方がいましたが(@momonicoさん)、まったく同感です。自分たちの利益しか考えない人や企業が、国際社会で信頼を得られるとはとても思えません。

 物理的に不可能な目標ではないのです。今までのやり方をかなり変えなければいけないとしても、達成不可能な目標ではありません。僕はこれはむしろ、持続不可能な石油ベースの文明から、持続可能な生物ベースの文明へとパラダイムシフトするチャンスだと思います。

 このセッション、最後に飯田さんがおっしゃったことも印象的でした。「アポロは、飛行機を改良していたら月に行けたんじゃないんです。まず月に行くと決めたところから始まったんです。」

 社会が急速に転回し始めたことを実感する、なかなか刺激的な午後でした。

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2009年09月05日

溶けていく未来

 私たちが削減目標をああでもない、こうでもないと議論している間にも、気候変動は着実に進んでいます。
 グリーンランドは海氷ではなく陸氷ですから、海面上昇への影響も大です。

 ただそうは言っても、グリーンランドや北極海の氷はふだん直接自分の目で見るわけではないので、やはりどうしても実感がわかないという方も多いでしょう。むしろこんな現代芸術の作品の方が、ハッと気付かさせてくれるかもしれません。

 中国でも同じような展示があったそうです。「気候変動によって水不足の脅威にさらされているアジア10億人の「消えゆく未来」を象徴している」そうですが、それが現実にならないように、このメッセージが多くの人に伝わったことを願っています。

 そしてこういう作品を見ると、芸術の持つ力を実感します。日本でもこのような、私たちをハッとさせる作品が増えるといいですね。

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2009年07月28日

自然災害で19兆円!

 今日の日経夕刊を見ていたら、4面の「なるほどマップ」というのに2008年の世界の主要な自然災害と経済損失ということで、19兆円(!)という数字が載っていました。

 ドイツの保険会社ミュンヘン再保険がまとめたもので、災害発生数こそ2007年の960件から750件に減ったものの、中国の四川大地震をはじめ、大規模な災害が多く、なくなった方々は22万人。経済損失は前年の2.5倍の2000億ドル(約19兆円)で史上3番目だったそうです。

 もう少し詳しい数字をと思ってミュンヘン再保険のWebサイトを見てみたら、なんとこの数字は昨年の12月29日にリリースされたものでした(^^;) 半年以上してからの紹介だったんですね(^^;) (それにしても一年が終わらないうちに一年間の集計をしちゃうんですね。もし最後の2日間半にとんでもない災害が発生したら、どうするんでしょう? そんなことない方がいいですけれど...)

 それよりも、ちょうど昨日(7月27日)、2009年の上半期の自然災害の数値が発表になっていました。それによると上半期の経済損失は250億ドルと過去10年の平均値420億ドルに比べるとかなり少なめだったそうです。

 一方、そのうち保険でカバーされていた金額は110億ドルで、これは過去10年間の同じ時期に比べ少し大きな値なのだそうです。つまり、保険がかけられているような地域、つまり先進国の都市部のような場所での災害が多かったということです。気候変動などの影響が、私たちの背中にまで迫ってきたと言えるでしょう。

 今年後半もなんとかこのペースで、あまり大きな災害には起きて欲しくないものですが... 日本では急州地方の豪雨に続いて、昨日は群馬館林で竜巻被害がありましたからね。これこそが気候変動ということなのだと、少しでも多くの方がそう気付いて、行動を起して欲しいと思います。

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2009年07月09日

ついに新興国も説得!?

 快挙です。今回のライクラ・サミットで、G8は2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出量を80%削減することに各国が合意しました。これだけでも、多少、いやかなり進んだわけですが... さらにG8に振興五カ国、つまりブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカを加えた拡大会合でも、気温上昇をプラス2度に抑えることに合意!したらしいとのこと。本当だとすれば、これはスゴイ。

 全然関係ありませんが、今回のホスト国のイタリア、1997年から2007年までのGHG排出量の変動率は+7.1%とあまりよろしくありません。8.2%の日本より少しマシというて程度です。また、京都議定書目標の達成度も、2007年実績で+13.6%でイマイチです。ところが... 国民一人当たりのGHG排出量はなんと9トン/年と、ドイツや日本(12トン)よりも、英仏(11トン)よりもずっといいんですね。先進国の中では非常に好成績と言っていいでしょう。なぜなんでしょう? 温かい場所が多くて、あまり暖房が必要ないのでしょうか?

 さて、本日もう一つのグッドニュースです。オーストラリアの人口2000人ほどの小さな町が、環境への影響を考慮して、ペットボトルの販売の禁止を決定したのだそうです! おそらくは世界初の快挙です。地元の活動家は「この決定を知った人びとが、ペットボトル飲料水を買うことについて考え直してくれることを願っている」と語っているとのこと。

 僕も個人的に、今年はなるべくマイボトルを持ち歩き、ペットボトルを買わないようにしています。マイボトルの中味を飲み切ってしまったり、忘れることもあるので(^^;)、なかなかゼロというわけにはいかないのですが、それでも昨年までに比べれば買う数は数分の1に減っています。

 これからの暑いシーズン。気軽に使える給水ポイントが増えるといいですね。

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2009年06月22日

世界初の炭素時計、登場

 以前に人口時計を紹介したことがありますが(「こんな時計欲しいですか?」参照)、今度は世界初の「炭素時計」です。正確にはThe Carbon Counterというそうですが、リアルタイムで世界の温室効果ガスの排出量を表示するのだそうです。

 実際に今日はどのぐらいのGHGが排出されているのか、リアルタイムで見てみたい方はドイツ銀行のこちらのサイトをご覧ください。
"Know the Number"(Deuche Bank)
 私たちの気候は変化しています。科学的証拠は明確です。私たちの惑星は暖かくなりつつあるのです。温室効果ガス(GHG)が私たちの大気中で増加しています。化石燃料の燃焼や森林伐採がGHGの主な発生源です。しかし、私たちの目にはGHGは見えませんから、そこにGHGがあるということをすぐに忘れてしまうのです。見えないものは、気にならないのです。私たちがその「炭素」ガスを意識しなければ、GHGの排出を減らすという喫緊の必要性も簡単に忘れてしまうのです。

 だから、今この瞬間、私たちの大気中に増加しているGHGの量を目に見えるようにしたのがこの「炭素時計」、カーボン・カウンターだというわけです。

 実際に目の前で数字がどんどん増えているのは、かなり説得力があります。巨大な数値なので、それが本当にどのぐらいのものなのか、きちんと認識することは難しいでしょう。それでも目の前で、毎秒何百トンというスピードでGHGが増えているのを見ると、「何かしなければ」という気持ちが自然と湧き起こってきます。

 しかも恐ろしいことには、このサイトの説明にもあるように、GHGは「寿命」が長いのです。一度空気中に放出されたGHGは、その後何百年、ひょっとすると何千年にもわたって地球の大気を暖め続けます。

 そのGHGがどんどんと大気中に「漏れている」様子を、あなは静観できるでしょうか?
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2009年06月11日

中期目標にガッカリ

 昨夕、温室効果ガス削減の日本の中期目標が発表になりました。15%削減というと一見頑張ったようにも見えるのですが、2005年比で15%ですから、1990年比だと8%。なんとも中途半端な数字です。最近の日経か何かで「足して2で割ったような」という表現を見かけましたが、まさにそんな感じです。結局、首相には「科学」は理解できなかったようです。

 首相官邸の「政府インターネットテレビ」にはその会見の様子のビデオもアップロードされています。
■「麻生内閣総理大臣記者会見-平成21年6月10日」(政府インターネットテレビ)

 全文のテキストは、以下からご覧いただけます。
■「麻生首相「温暖化防止われわれの責任」」(産経新聞、2009年6月10日)

 冒頭でキリバスの大統領の言葉を紹介し、気候変動は国際社会全体の問題、これを防止するのは私たちの世代の責任と言いながらも、その程度の削減では防止できないことは科学的に明らかになっているのですから、言っていることとやっていることがチグハグな印象は免れません。日本の目標を聞いたら、キリバスの大統領は果たしてなんとおっしゃるでしょうか?

 さらにこの会見でビックリしたのは、そのための技術として「原子力の開発や普及に全力を挙げていきます」と宣言しちゃっていることです。これまでの日本政府の政策とは「首尾一貫」しているのですが(^^;)、これも持続可能とは言えない「回答」です。そして、気候変動防止への後ろ向きさと同様、将来世代にツケをまわす、とても無責任なやり方です。

 この記事を今朝アップロードし損ねてしまったのですが、ボンからは「今日の化石賞」に日本が選ばれ、麻生首相はブッシュ前米大統領になぞらえて批判されたとのニュースが...
■「将来世代に無責任と化石賞 ブッシュ氏になぞらえ批判」(共同通信、2009年6月11日)

 気候ネットワークの平田仁子さんの指摘、「京都議定書の目標から2%分しか厳しくなく、2013年からの8年間、ほとんど何もしないということだ」は非常に的を得たものだと思います。

 麻生首相は、早速日本の評判を落としてしまいました。また、多くのNGO等も続々と抗議声明を発表しています。
■「麻生首相が発表した「2005年比-15%(1990年比-8%)」に対して抗議声明が続々」(Make the Rule)

 麻生首相は、日本の削減目標は海外との排出権取引やCDMを含まない「真水」であると自慢しているようですが、これも大きな勘違いです。地球全体で効率良く温室効果ガスを削減することが求められているのですから、高いコストをかけて「真水」だけで削減するのではなく、むしろあらゆる手を使って、効果的に削減すれば良いのです。そういう計画や目標を立てられないというところに外交センスのなさを感じます。果たしてこんなことで「日本だけが不利となることのないよう」国際交渉するなんて出来るんでしょうか。正直言って、不安です。

 次の総選挙が少しでも早く行われ、その際には気候変動対策が大きな論点になることを期待しましょう。

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2009年06月02日

野心的目標を掲げよ

 今年12月のCOP15に向けて、間もなく日本政府の中期(2020年)GHG削減目標が示されます。それに対するエールか、牽制か、スターンレビューの主査として有名なニコラス・スターン卿が、「日本も『野心的目標』を掲げよ」という論説を寄せています。先週29日(金)の日経の経済教室です。

 お読みになった方も多いかと思いますが、日本が「野心的目標」を設定すべき理由をわかりやすく整理してあったので、それを簡単に再現してみたいと思います。

 まずCOP15は「1994年のブレトンウッズ会議にも匹敵する重要な国際会議となるだろう」とした上で、もし私たちがいま低炭素経済への「移行に失敗すれば」、「億単位の人間が移動し、グローバル規模の紛争が長期化」するであろうと警告します。

 そして福田首相(当時)が昨年認めたように、私たちは「2050年までに世界の年間排出量を半減させる必要」があり、それを「単純計算」すれば、「一人当たり年間排出量を平均2トンにすることになる。誰もがこの数字を大幅に上回ることはえきない」と述べています。これがまさに、イギリスなど欧州の「積極派」の論拠です。

 しかし、これはけっして情緒的な言明ではありません。「これは国際政治の力関係や公平への配慮に基づく論理ではなく純粋に科学と計算に基づく帰結」であり、「気候変動の悲劇を避けたいならこれだけの排出削減が必要だというのは科学者の主張」なのです。

 そして「日本の現在の一人当たり平均排出量(CO2換算)はほぼ英国と同水準で、10.5トンである」ことを考えれば、日本は「なお80%の削減が必要」です。

 これに対して、現在の経済危機を理由に行動を躊躇する人々もいますが、むしろ私たちは「先送りは高い代償を伴うという教訓を学ぶべき」であり、「経済危機が落ち着くまで待つのは、あまりに近視眼的で地球環境を無用に傷つける行為」と批判します。

 「むしろ今の機会を活用して取り組めば、少ない費用で効率的なリスク軽減が可能になる」し、実際に「各国の状況を分析すると、移行コストはあまり大きくなく、影響を被る部門を保護しながらでも十分賄えることがわかった」と主張しています。

 日本にとっても、「日本は、低炭素技術を活用し、海外に売り込める有利な立場」にあり、「日本の省エネ技術開発のノウハウは今後しばらく競争優位となりうる」と持ち上げています。

 ただここで気をつけたいのは、「今後しばらく」と限定している点です。もし日本がぐずぐずしていたら、「チャンスはいつまでも待ってくれない」からです。韓国企業などがすぐに追いかけてくるぞと注意を喚起しています。

 それだけでなく、「今後、炭素排出に制約が課されるのが明白である以上、先んじて行動し主導権をとる国や企業が市場で優位に立ち、自ら標準を決める自由度を獲得し、世界の尊敬を勝ち得ることは確実」とします。(日本がこれまで苦手としてきたことですが...)

 したがって、今、低炭素経済へ移行を開始することが「日本にとっても景気停滞から脱し、先頭に立って未来の成長に向けた基礎を築く好機」だと言います。

 逆に、「移行がもたらす機会や技術的進歩、排出量取引が果たす役割などを無視したコスト偏重型のモデルに基づく経済分析は、政策当局を誤った方向へと誘導しかねない」と懸念を示し、「極端に単純化された分析や一部産業界からの圧力によって妨げられたり遅らされたりすることがないよう、注意が必要」と警告を発しています。

 もう一つ、日本が野心的目標を示す理由としては、日本が野心的目標は「無理だと考え、適切な中期目標を掲げなかったら」、「日本ほど技術を持たない国々は排出削減など不可能だと言い出しかねない」、その結果、「COP15は暗礁に乗り上げ」、「地球は修復不能なダメージを被ることになる」と指摘しています。

 僕は以上の考え方に全面的に賛成します。日本が責任ある行動を取ることで、地球全体にとっても、日本にとってもメリットがあるのです。移行のコストを躊躇している場合ではまったくありません。

 ところがご存じのように、一部産業界はこれとは正反対の立場を取っています。今日たまたま新幹線の中でウエッジ6月号を開いたら、巻頭のWEDGE OPINIONがまさにそういう意見で、「CO2削減目標 日本の努力を反映した公平な数値を示せ」(日本鉄鋼連盟専務理事 市川裕三氏)でした。

 市川氏は、「思い切った削減目標を掲げよとの情緒論は完全な誤りである」と断定し、各国の限界削減費用の均等化により目標値を設定しすること、すなわち1990年比プラス4%が「公平性を確保したもっとも合理的な選択肢である」と力説しています。

 しかし、各国の限界削減費用が異なるからこそCDMやETなどの京都メカニズムが導入されたのですから、このような考え方はそもそも理論破綻しています。

 また、国民生活に多大な犠牲を強いると言っても、「実質GDPは、累計で▲0.5〜0.6%押し下げられ」といいますが、それこそきわめて限定的なコストです。スターンレビューでは、今ならGDP1%程度のコストで、GDPの5〜20%にもなり得る損失を未然に防止できるとし、世界のビジネスリーダーを納得させたのです。

 折しも今日の日経には、「温暖化対策のために、市民は25%以上の削減を求めています」という全面広告が掲載されていました。Avaaz.orgによるものですが、ビッグコミック6月10日号にも同じものが掲載されるそうですし、今日のFinancial Timesには英語版の広告がのり、ボンの会議参加者に届けられているそうです。
■「日本の中期目標に関する世論調査結果を含むプレスリリース等」(Avaaz.org)
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 世論調査によれば日本人の63%が「2020年に温室効果ガス排出量を25%以上削減する」べしと回答しており、「CO2をたくさん排出する一部の勢力」が麻生首相に「ムリだから、逃げたほうがいい」とそそのかしていると指摘し、「麻生首相、ぜひヒーローになってください」と締めくくっています。

 ヒーローになれるかどうかはともかく(^^;)、ニコラス・スターン卿のエールに加え2/3の国民の声を受け、将来に禍根を残さない決断をしてもらいたいと思います。

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2009年04月10日

オフセットするならこのマーク

 何かというと「カーボン・オフセット」というのが目立つ今日この頃。カーボン・オフセットさえすれば何でもいいのか?という批判もありますが、キャップなしでザル状態の排出権取引に比べ、排出した量をきちんと相殺しようというカーボン・オフセットは、本来的にはずっと有効なはずです。

 しかし困るのは、こう何でもかんでもカーボン・オフセットと言われると、それが本当に意味があるものなのか、なかなかわからないことです。量だけでなく、質に関しても、それが真っ当なオフセットであるのか、素人にはまったく判断がつきません。

 そんな問題を解決するためにしばらく前に環境省は3月に「カーボン・オフセットの取組に対する第三者認証機関による認証基準(Ver. 1.0)」を定めていますが、今度はこの基準に則り第三者認証機関による認証を受けたものに表示するカーボン・オフセットの認証ラベルのデザインを発表しました。
carbonoffset.jpg


 矢印とCO2という文字を組み合わせたデザインなのだそうですが、どちらかというとCO2そのもので、あまりヒネリは感じられません(^^;) 色はなぜにゴールド?なのかと思ったら、これは「大地のブラウン」なのだそうです。「植物のグリーン」を使うパターンもあるのですが、いずれも地球が本来持っている大自然に由来した色、アースカラーなのだそうです。

 ま、デザインの好き嫌いはともかく、この制度が動き出せば、このラベルがついているカーボン・オフセットであれば、国の基準に基づく信頼できるものと一目でわかりますので、これまでのカーボン・オフセットにまつわるモヤモヤ感も少しは払拭できそうです。

 ただ注意が必要なのは、このマークが付いていなくても、清く正しいカーボン・オフセットはあるということや、このオフセットは認証クレジット(VER=Verified Emission Reduction)であり、国連による認証クレジット(CER=Certified Emission Reduction)ではありません。したがって、排出権の国際取引や、日本のマイナス6%分へのカウントはされないことです。

 しかしそういう点を除けば、まっとうなカーボン・オフセットであるVERは、CO2の排出分を確実にどこかで相殺していますので、気候変動の防止には役に立っています。その効果が得られればいいのであれば、この認証ラベルは目印として大いに役に立ちそうです。
《参考リンク》
■「「カーボン・オフセット認証ラベル」の公表について(お知らせ)」(環境省)

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2009年04月04日

桜が楽しめるのも...

 東京周辺では、今週末が桜の満開のようです。今年は咲き始めが例年以上に早かったので3月中に散ってしまうのではないかと思っていたら、3月末の思わぬ花冷えのお蔭で、なんとか4月最初の週末まで持ったというわけです。

 我が家の周囲でもいろいろなところで桜の花が咲いていて、「あ、こんなところにも桜が植わっていたのだ」と発見があります。せっかくなので、桜の名所になっている近所の川まで歩いてみました。お天気も良かったので、さらにそのままいつもは歩いてはいかないような先まで、いつの間にか随分と散歩をすることになりました。

 ふだんの生活圏より本の少しだけ足を伸ばせば、桜以外にもいろいろな発見があります。チョコレート屋さんのブリオッシュが実はおいしかったり、住宅街になぜか突然、行列のできているタコ焼き屋さんがあったり、手作りハム工房では出来立てのベーコンが試食できたり... あ、なんか食べてばっかりですね(^^;)

 そんなわけで、僕自身は完全に「花より団子」状態でしたが、それでもやはり、あちこちに桜の花が咲いているというのはいいものです。春が来たという以上の華やかさや、一年にわずか一週間の儚さ、様々な思いが去来します。

 しかし、このまま気候変動が進むと、今のようなお花見はもう楽しめなくなってしまうかもしれません。九州大学の伊藤久徳教授(気象学)らの分析によれば、「桜(ソメイヨシノ)の開花日が今世紀末には最大で4週間近く早まる」とのことですが、「北日本では早まる一方、房総半島や伊豆半島、南九州などでは開花日が遅れ、開花しない地域も出てくる」というのです。
someiyoshino.jpg
出典:「桜開花:21世紀末最大24日早く 九大教授分析」(毎日.jp、2009年3月15日)

 これは、ソメイヨシノが開花するには、「冬の間、最高気温10度以下の寒気に約60日間さらされることで、木が眠りから覚め」、その後の春先の気温上昇で開花するからです。

 冬の気温が高くなると、「南九州の一部など30地域で満開にならない年があり、5地域では全く開花しなくなる」と予想されるのだそうです。

 これはもちろん、桜以外の植物でも起こりうることです。花が咲かなければ、当然実もつきません。つまり、最悪の場合、次の世代を残せないということすら起こり得るのです。

 桜の場合には人間が植えているのでそれほど深刻ではないと思いますが、自然の植物では大問題です。実際、熱帯の植物の中には、数年に一度の稀な低温が開花のトリガーになっているものもあるのですが、こうした植物は、次世代を残せなくなってしまうかもしれないと既に本気で心配されるようになってきています。

 桜をはじめとする様々な植物の花を楽しみ、お花見にまつわる文化を伝えていくことにも、気候変動の防止は関係しているのですね。

今日もお読みいただき、ありがとうございます。
皆さんはどんな風に桜を楽しまれましたか?
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2009年03月23日

賢治と温暖化

 盛岡で岩手山を遠くに望みながら、中津川のほとりをちょっと散歩してみました。中の橋のすぐそばにある赤煉瓦の銀行、岩手銀行中の橋支店は、宮澤賢治も眺めていたはずの建物です。

 雪を戴いた岩手山ももちろん美しいのですが、100年近く前と同じ建物が残り、部分的にせよ、100年前の人々と同じ景色を共有できるというのは素晴らしいことです。景観を守り、伝えることの意義を感じます。

 そんな景色を見ていたら、久しぶりに賢治の童話を読み返してみたくなり、「グスコーブドリの伝記」を手にしてみました。ご存じの方も多いかも知れませんが、イーハトーブに生まれ、冷害で辛酸をなめながら育ったグスコーブドリが、農民のために献身的に働き、最後は自らの命を投げ打って、村を冷害から救うという物語です。

 この作品の中に描かれている冷害の被害は、おそらく誇張ではなく、かなり当時の実情に近いものであったのではないかと思います。そう思いながら読むと、本当に胸が痛くなりますし、またこの100年弱の間の科学技術の進歩はたしかに素晴らしい進歩であったのだとも思います。

 で、ちょっとびっくりしたのは、最後にグスコーブドリが村を冷害から救うためにカルボナード火山島を噴火させようとするのですが、それは炭酸ガスが増えれば気温が上昇すると考えてのことなのです。つまりは、「人口的に」温暖化を起こそうとした考えたわけです。当時既に、CO2が温室効果を持つことは知られていたんですね。

 グスコーブドリは結局、自らの命と引き換えにカルボナード火山島(この名前もきっと、carbonから取ったのでしょうね)を噴火させ、イーハトーブを冷害から救います。

 賢治がもし今の日本に生き返ったら、私たちが気候変動に直面しているのを見て、はたして何と言うでしょうか? そしてグスコーブドリだったら、どんな行動をするのでしょうか?

今日も読んでいただいて、ありがとうございます。
皆さんのご感想をお待ちしています!
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2009年03月15日

ついに引導?

 中期目標についてなかなか結論が出ない、というより腰が引け気味の日本ですが、業を煮やした(?)EUから、ついに引導を渡されそうな状況です。

 「京都議定書に定めのない2013年以降の温室効果ガスの削減レベルについて、主要先進国間の負担を公平にするには、日本や米国は20年までに1990年比で24%の削減が求められるとの厳しい内容の試算を、欧州連合(EU)欧州委員会がまとめた」のです。
出典:「「日米は24%削減必要」 20年温室ガスでEU試算」(47News、2009年3月12日)

 EU議長国チェコのブルシーク環境省らが13日に環境省で斉藤鉄夫環境相と会談する予定に先立っての発表だったので、EUはこの会談でこの試算結果を斉藤大臣に伝え、また今後の交渉の中でもこの数値を求めてくるのではという観測もありましたが、その後の報道をみると、13日の会談でEU側は自分たちの「温暖化ガス排出量を20年までに1990年比20%減らす」という目標を説明し、「先進国が高い削減目標が必要」と指摘したに留まったようです。
出典:「ポスト京都へ連携方針確認 日・EU環境相」(日経ネット、2009年3月13日)

 EUもさすがに訪問国の大臣のメンツを潰すような発言をするのは控えたのかもしれませんが、今後どこまで求めてくるかはこれで明確になりました。この先いくらセクターアプローチを繰り返したところで、とても理解は得られないでしょう。

 それよりもお得意の環境先進技術をどう活かすか。それを使って世界のGHG削減に貢献すると同時にビジネスチャンスも広げて行く方がよほど生産的だと思うのですがいかがでしょうか? もちろんCDMも使い、日本の削減量としてしっかりカウントしてです。そのことを言うだけでなく、さっさと実行してこそ、本当の「環境技術大国」でしょう。

 どこまで大きな視点で考え、そしてそれを実行できるか。日本の視点と行動力が問われているのです。

今日もお読みいただき、ありがとうございます。
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